南アルプスの夜明け(塩見岳:静岡県)
なんと、何度も目が覚めて、最後は1時過ぎには眠れなくなってしまいました!
がんばって寝袋の中でもぞもぞしたけれども、結局2時半頃に断念し、アルファ米の朝食。
ところで、外の状態はどうだ?
トイレなどを済ませ、いよいよ、塩見岳に4時過ぎに出発。どうやら、昨晩の天気は嘘のように回復したみたいです。
トワイライトの空の下、三伏峠を北上。今日の歩行時間は意外と長いですぞ。
ふうたろう、暗闇の樹林を駆け抜けています。しかも、さっきまで雨が降っていたこともあり、露がすさまじい。これで防水スプレーをしていなかったら、下半身ずぶ濡れだったに違いないでしょう。
ところで、塩見岳、ものすごくはっきり見えていますね。樹林帯を早く抜け、展望のいいところに行きたい!
本谷山まで来ると、全体が明るくなってきました。伊那谷の方にも朝が来たようですが、どうやらこちらは雲の下。雲海の下に沈んでいます。
コースタイムよりも殆どの場合早く進んでいますが、日の出との勝負だと、ずいぶん負け越しです。とてもじゃないけど、日の出までに塩見小屋は無謀です。
樹間から陽が漏れて来つつあります。でも、本当に身体イッパイに太陽の光を浴びるのはまだ先のようです。
まだ本谷山を越えたところ辺り。
本谷山を越えて、稜線を歩いて、一旦谷に下ります。そこは深い樹林で、写真を撮るには暗すぎます。ついでに25000分の1の地図もルートを間違っています。
その樹林を抜けるのはおよそ30分後(ありえない速さらしいが)。
塩見小屋はもうすぐです。小屋付近は低木あるいはガレ場で、展望が開けます。
仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳・北岳・間ノ岳などが見えます。他にも見えているのですが、どれがどれなのか、解りません。
塩見小屋、6時32分到着。三伏峠を4時20分に出発して2時間12分。
小屋の前で中高年のおっちゃんおばちゃん軍団が、小屋番の姉ちゃんに写真を撮ってもらっていました。…が、姉ちゃん、写真の方はどうも巧く撮れないみたい。
ところで、三伏峠は、ふうたろう「みつふしとうげ」と読んでいました。しかし、小屋番の姉ちゃん曰く「さんぷくとうげ」だと。いや、ヘタすると場所が特定できないべ。
小屋前の広場。写真撮ったときは気が付かなかったけど、後ろに間ノ岳(あいのだけ)が見えています。
さて、ちょっと塩見岳に急ごう。2時間で来ておいて急ぐってのもなんだけど、バスの時刻がギリギリなので。
もちろん、急ぐって言っても、樹林の時ほど急ぎませんて。だってここは歩く展望台ですもの。
ハラが減ってきたので、おやつ。下界なら10時くらいに当たる、天上界の7時。
ぬおぉっ!
チョコパイがチョコせんべいになってしまった!(-o -;)
ここは2700mくらいの高地なのに、袋が縮んでしまいました。
見えているのは烏帽子岳(右)と前小河内岳(中央手前)、そして、小河内岳(中央奥)です。圧縮した写真では解らないですが、その小河内岳には、草原の中に小さな小屋が見えていて、美しそうなのです。次はあちらを通りたい。
さて、岩場にさしかかりました。塩見岳を南側から攻めるとき、この岩場は落石にも注意が必要です。三点確保で、おりゃおりゃ~~~と登ります。
塩見岳の西峰に立ちました。東峰まで目と鼻の先です。
そして、東峰の先に何か見えるものがありませんか?
ぎゃーっっっ!!\(^O^)/
3052mの天上界、塩見岳に到達!!
空は青いし、空気はうまいし、たまらん!!
塩見岳の南にあるんだけど北俣尾根と荒川岳が見えます。360度の大展望です。
拡大図。
富士山までばっちり見えています。雲海に突き出す富士山が。ここは静岡県なので、富士山も近いです。
東峰から今度は西峰を見てみますと、その向こうにはうっすらと中央アルプスが見えます。さっきまで完璧に見えていたけど、ガスが上がってきたみたいですね。
仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳・北岳・間ノ岳が全部見えています。絶景です。
塩見岳から縦走だってできます。塩見岳の東の稜線にある蝙蝠岳(こうもりだけ)の方に抜けるときにでも、通ろうかな。
山頂の昼メシ。インスタント焼きそばがうまい。ハラが減りまくっていたので、余計です。
ふうたろうが手前で追い抜いて、少し遅れて山頂に着いたふたりの兄ちゃん。この展望は最高の調味料ですよね。メシがうまい。
さて、1時間もマッタリしているわけにはいかないし、歩き出しますか。7時28分に着いて、7時59分出発。
三伏峠に殆どの荷物を置いていますので、そこまで戻るのです。そう、あの樹林をまた抜けて。
それにしても、向こうの山、少し雲が増えてきたな…。
下から見たらあれだけ遠く、高かった、塩見岳手前の天狗岩。こんなに下にあります。
そして、ふうたろうが登頂時に下山を始めたおばちゃん軍団が、まだあんなところにいる。
やっぱり、気のせいではないらしい、雲が急に増えてきた8時半~9時。
そろそろ山は昼寝の時間かな。
ハイマツの絨毯はこんなにきれいなのに、天気は下り坂ですねぇ。
塩見小屋、再び。
小屋の若い兄ちゃん姉ちゃん、楽しそう。何だか、ふうたろう、ものすごく惨めな気がしてきたりして。この景色の前に、逃げ出したくなったりして。
仙丈ヶ岳や北岳、甲斐駒ヶ岳などにも雲がかかってきました。もう宴は終わりです。
あっという間に、こちら側までガスが上がってきました。今から登ってくる人もいっぱいいるのに…。
樹林の稜線の、樹間から見える塩見岳、のはずですが、重く厚い雲の中。さっきの快晴は嘘みたい。
遙か彼方はガスでボロボロになっているように見えます。天気は概ね晴れてはいるようですが…。
本谷山の頂上まで戻ってきました。小屋から1時間13分。10時です。そこにいた、これから塩見岳を目指すご夫婦に、牛乳パンの切れ端をいただいてHP回復。
頂上より三伏峠の方に進むと、そこにはマルバダケブキの群落があります。
三伏山には女性が一人。塩見岳に行った、あのおばちゃん軍団の一人のようです。みんなを見送って待っているんですって。ふうたろうもここで大休止。写真を撮りながら、少しばかり山の話をしていました。
塩見岳はまた晴れたようですね。でも、さっきの大展望は見られないだろうな…。
11時8分、6時間48分で三伏峠のテント場に戻ってきたのは大健闘ですが、14時25分に鳥倉登山口発のバスに乗るので、それほどボヤボヤしていられません。テントなどを撤収して、速攻で下山開始です。
鳥倉登山口までの下山は、かなーり厳しい道です。ぬかるみと木の根っこと丸太梯子と急坂と。足は痛いし、かなりバテました。
グロッキーになりながらも、やっと鳥倉登山口に着いたのは13時28分。9時間8分の行動、大健闘ですね。コースタイムは10時間45分なのですから。
九州熊本県からやってきて、仙丈ヶ岳からずっと縦走してきたおっちゃんと山話をして楽しんでいました。頭をピッケルで怪我したみたいだけど、深刻な怪我ではなさそう。
ちょっとハイテンションで、しかしバスの運転はアホみたいにうまい運転手さんとも話をしながら、バスは伊那大島駅に着きました。熊本のKさんはそのまま高速バスで帰宅する模様です。
バイバイした後、ふうたろうは、塩見岳踏破の暁にここへ再びやってきました。
割烹美富久。何と読むのだろう。
生のウナギを割くところから始めるので、塩見岳に登っている間もこれを食べるのを楽しみにしていたのです。ホンモノを見せてもらったら、下りてきてよかったと思えるよねー
でも、これから長い道のりです。伊那大島駅を17時25分に出発。
もう南アルプスは雲の中に入ってしまいました。
岡谷駅前のlalaとかいうショッピングモールは7時過ぎでこの有り様。伊那の店でもこれはなかったよ。5年くらい前に来たときも、ここはひどかったが…。
そして、近くで買った缶ジュースがスクラロース入り。ついでに、今日は投票日で、下界から「(あなたの)対話数0なんだよね~」などという呪いの電話が入ったり、高尾から乗った各駅停車東京行きの電車内で携帯電話で話を続ける中国人が隣に座ってきたり(言葉が通じないから止めるのに勇気が要る。この前伊豆から帰るときは止めることさえできなかった)、外は何気に雨が降っていたり、塩見岳の頂上では味わえない寒さを都心で味わうことになったり、と、最後の最後で萎える結末となりました。
…でもまあ、これが山、なんですよね、きっと。展望のいい歩きやすい道ばかりが山じゃないと…、ね?
最後、テンション下がったけど、きれいで雄大な山に登れたことは収穫であり、財産です。#54塩見岳、クリア。
天気:晴れのち時々くもり(静岡県静岡市・長野県下伊那郡大鹿村・松川町・上伊那郡長谷村、移動中は含まない)
覚え書き:関東一円冷たい雨