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頂上に未練あり(石鎚山成就社コース:愛媛県)

2009年 12月 29日

 さて、かくして、今年で4年目、真冬の大合宿が始まります。
 岡山のビジネスホテルで起き出して、これから瀬戸大橋を渡り、四国を目指します。そう、まずは石鎚山を踏み台にして、それから九州へ渡るのです。言わば石鎚山は前菜。
 ところで、岡山駅で買ったこの穴子寿司、非常に不味いです。


 ウトウトしつつも、遂にほとんど眠れないまま、伊予西条駅に着きました。パンでも囓って、腹ごしらえ。


 970円で、せとうちバスが石鎚山のロープウェー乗り場前まで行きます。伊予西条駅から55分くらい。


 まるで寂れた温泉街みたい。でも、石鎚山登山の基地、のはず。


 登山はそれが始まるまでが一番気力の必要なところです。そして、ここまで来てしまえば、後は登るだけなのです。
 しかし、ロープウェーを下りたあと、ここでバイトをしつつ卒論のデータ集めをしているO西くんと少しばかり話し込んでしまいました。


 ところで、不吉なことに、小雪が舞っているではありませんか。今日は晴れの予報なのに?


 文句を言っても始まらないし、晴れると言っているのだから晴れるだろうと思い、成就社(じょうじゅしゃ)に向かってGo!


 ふうたろうの歩き出すのを待っていたかのように、空が急激に青くなってきました。O西くんも下りてくる登山者のおっちゃんも、上までトレース(雪の踏み痕のこと)が付いていると教えてくれたので、安心して登れそうです。


 これから晴れてくると思うと、足も軽くなります。


 ましてや、樹氷の森の木漏れ日もいいと来たもんだ。


 この辺りの樹氷はきれいですが、上に行くと全然ないとの情報が入っています。シッカリ見ておきましょう。


 やっぱり、樹氷は青空に空かしてみてこそ輝きを増します。


 そうこうしているうちに成就社が見えてきました。


 成就社集落(!)の鳥居。もう昼です。何せ、ロープウェー駅下りたのが11時50分でしたから。


 神社の境内に旅館やら土産物屋やらが建ち並んでいます。それにしても、何というさわやかな空!この陽気で、真冬の格好をしているふうたろうは、猛烈な暑さに苦しんでいます。


 さて、これは何でしょう?


 成就社の出口(頂上側)を出てから、しばらく下り坂です。梢に石鎚山が見えます。


 その下り坂が終わると、連続する上り坂が始まります。利尻富士のように、急坂→平坦→急坂→平坦…のパターン。


 雪に覆われ、凍った階段が織り交ぜられていて、なかなか苦労します。アイゼンは今のところなくて行けます。


 暑さと、何気に25kgを超える荷物とに疲れ、休憩所の凍ったベンチに腰掛け、雪見。
 見れば見るほど、この樹氷はすばらしい。


 大樹に樹氷。既に日が照っているので、それほどもう命は長くない。


 ここは前社ヶ森の肩。前社ヶ森は小さな岩場で、登ってみれば解るのですが、上にはお地蔵さんがいます。
 しかし、この、トレースも何もないところを上がろうとするヘンタイはどうやらいないようなので、ふうたろうが代わりにヘンタイになることにしました。


 そんなに長いわけではないけども、雪が被さっている上に直角に近い鎖場は、ものすごく長く感じます。雪を掘り起こしながら、固まったアイスをパンチなどで砕きながら、登ります。荷物はさすがに肩のところにうっちゃらかしています。


 前社ヶ森の上は、景色抜群です。今までがずっと樹林帯だったので、ここで初めての展望はきっと誰もが感動するはずです。しかも、雪のある展望は格別です。
 見えているのは瓶ヶ森(かめがもり)です。


 上でじゅうぶん油を売ったら、同じところを下りてきます。鎖が凍っているので、とにかく捕まれるところを掴み、引っかかれるところに引っかかり、地道に下ります。


 前社ヶ森のすぐ下には、休憩所がありますが、当然閉鎖されています。
 ふうたろうは油断して、足を滑らして、危うく階段からOBするところでした。


 緩急を繰り返す坂。前社ヶ森の次の坂は、少し横が切れています。


 ヘンタイにならなくても瓶ヶ森が見えます。


 木がまばらになってきて、雪の絨毯が輝き始めました。この輝きが雪山に虜になる、大きな魅力のひとつだったりします。


 この空の青さを見よ!


 石鎚山の山頂はもう目の前です。しかし、地図である程度予想してはいたものの、すごい岩壁です。


 嗚呼、瓶ヶ森が普通に見える・・・。


 しかし、ここからがキツく、長い。写真を撮っているという理由だけではなく、足が進みません。


 坂が急なので、さっき展望が急に開けてきた夜明峠などもみるみるうちに下へ。瓶ヶ森も容易に全容を望むことができます。


 雪に閉ざされた小屋の横を過ぎます。


 滑落には注意しつつ、シッカリと地に足を着けて歩きます。


 少し雲海が広がってきました。さっき晴れてきたばかりですが、既に低気圧が接近しているのです。


 遠いっ!遠いぞ!!まだ山頂はあんなに遠く。


 しかし、無理もあるまい。今日は本来、この二ノ鎖小屋付近で宿泊する予定だったのだから。それを、貪欲なるふうたろうが上まで行ってしまおうというのだから。


 二ノ鎖小屋のところから土小屋方面にトラバースする道がありますが、深い雪でトレースは一人分。勇者に乾杯。


 鎖場を登るルートと、巻き道を通るなだらかなルートに分かれていて、ここでは巻き道を歩きます。鎖の方はトレースがありません。


 しかし、巻き道の方も安泰ではないんですよね。なんすか、この中途半端に雪に埋もれた階段はッ!


 嗚呼西条市方面が一望できる(棒読み)。


 ふうたろうは、巻き道というか、崖に取り付けられた足場を歩いています。網になっているのは、雪が溜まらないようにとの配慮でしょうか。


 急坂にあえぎながら、何とか稜線に立ちました。そこから見る南西の空は、晴れていれば絶景ですぞ!


 そして、すぐ左を向けば、もうゴールの頂上山荘。


 その山頂(弥山)付近はスゴい風で、風車がゴリゴリ回っています。


 ここにいるのはふうたろうひとり。嗚呼、また孤独登山・・・。でも、この独り占め感は何とも言えない。


 とりあえず、ここを山頂としましょう。本当は隣の天狗岳が最高峰なのですが。・・・ちょっと未練がありますがねー。


 さて、ハラも減ったし、この石室っぽい避難小屋に駆け込んで、寝床とメシ。


 湯を沸かしたりしつつ、天狗岳の写真をば。
 ところで、山頂は吹きさらしなので、雪があまり積もっていません。水の確保がもう少しでピンチになるところでした。


 瓶ヶ森の方に、石鎚山の影が。
 瓶ヶ森や笹ヶ峰方面、いつか縦走してみたい。一応、名山ですしね。


 マカロニとイカスミソース。さすがに150gは茹ですぎた。腹が苦しい。


 イカスミパスタでハラが一杯になって、マッタリしていたら、日が暮れました。嗚呼、山頂で夜を迎えられるなんて、何と贅沢なんだろう!


 意外とあっさり山頂に着いたので、この分だと明日中に九州に渡れそうです。有力なルートは伊予西条に戻った後JRで八幡浜(愛媛県)に行き、そこから船で別府に渡るのです。
 しかし、問題は31日から大寒波が来ることで、別府に31日の朝着いても、それからどうするかということで、狭い石室の中で唸っていました。それに、どうやって旅を終えた後、帰ってくるかも・・・。
 ま、なるようにしかならないさ。下界に下りた後、船便の予約を入れましょう。
 こうして、残りの時間をドラクエやりながら、夜のとばりが下りるのでした。


天気:くもり時々晴れ、一時小雪舞う(愛媛県西条市・上浮穴郡面河村、移動中は含まない)

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