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動物先生(山伏岳大谷崩コース:静岡県)

2010年 2月 14日

 いつものように、長い夜でした。しかも、エアマットに穴が開いていたので、定期的に床が冷たくなってめっぽう寒いのです。
 睡眠不良気味のまま朝を迎えました。嗚呼きれいな朝だ(棒読み)。


 この写真を撮ったのは、さっきの日の出も含めて、1時間くらいテントなどの片づけをしたあとのことです。-10℃以下でテントも霜でバリバリになっていて、片付けも一苦労。しかも、山伏小屋にいた若造が朝っぱらから山頂で大騒ぎしてるし…。


 まだザックの中に詰め切っていない物もあるのですが、モルゲンロートに間に合いません。とりあえず、手袋とかをほっぽり出して、写真をバリバリと。


 富士山が雲に浮かんでいます。雪原の上に柔らかく日の光が差しています。おはよう、クソ寒い14日。


 日記で悪態をつきつつも、この山頂にいるふうたろうは、至って嬉々としています。そりゃ、こういう瞬間のために山に登るようなもんだもんね。


 1分経つと太陽の色が変わります。赤から橙へ。赤く焼けるのは、ほんの一瞬、ひょっとしたら1分くらいなんじゃないか。


 あの騒がしい衆がいなくなって、再び静寂が山頂を包みました。薄雲があるものの、冬の青い空の下で山頂を踏める喜びをば。


 これは昨日の夜の写真に載せた山伏岳の標と同じものですが、この山頂にはパッと見で4本もあります。


 南アルプス方面が展望できるのは、この辺では山伏岳山頂付近だけではないでしょうか。


 さて、ふうたろうはこれから北上します。でも、見てのとおり、トレースがまったくありません。GPS付けるのもめんどくさいし、だいたい持ってきていないような気がするので、地図で進んでしまいましょう。


 淡い光に包まれた雪原。すばらしい。


 雪に覆われ、霧氷にも覆われた木々。普段は樹林も曇り空も嫌いなふうたろうですが、これらの造形は、その存在なしにはあり得ない、人生の理。


 さすがになんの目印もなく進むことはできませんが、なんと、動物の足跡多数。実はこいつら、いやこの方たち、正解ルートを知っているんですよ。闇雲に追いかけるのはダメですが、その方向をよく見てみると、確かにリボンやペンキが隠れていたりするのです。


 いつもお約束ですみません。
 今日のは少し淡い影です。


 少し明るめ。


 少し暗め。こちらの方がふうたろうは好きです。


 アングルを雪面に移動。ふうたろうには、上の写真とは全然違うものに見えてしまいます。
 写真の練習をしています。


 樹氷が天を突いています。青空の樹氷は本当に冬山の「顔」とも言うべき存在。これがあるから、ふうたろう、冬山は来たいと思ってしまうのです。


 稜線が深い雪に埋まっているので、うろうろうろうろ…。地図で地形を確かめながら、わかんで誰も踏んでいない雪をゲシゲシ。


 雪の稜線。ふうたろうは完全に陶酔状態です。


 奥にうっすら富士山。嗚呼、雪山最高。


 手前の木を入れないバージョン。


 動物先生の先導を受けながら、真っ白の樹海を進みます。


 無地の雪原を踏み歩く、何物にも代え難い贅沢。
 軽くウィンドクラストしている、…のかな?あまり固くなっている雰囲気はなかったような気もしますが、ツブツブしたのがあります。


 少し谷になったところは日影になっています。だだっ広い雪原。


 雪原の木立。


 動物先生がルートを見つけてくれました。ふうたろう感動。


 ここだけならスキーの練習とか出来そうです。まあ、スキー板を持ってくるのが大変ですけど。
 しかし、なめらかな雪質、歩いていて本当に爽快です。…手袋さえ落とさなければ(見つかったけど)。


 抜けるような青空の下に、空を突く氷の針葉樹。西吾妻山の樹氷(モンスター)もすばらしかったけど、木の形が残っているこれも、ふうたろうは好きだなあ。


 こういうところでマッタリするので、全然前に進みません。もう出発から1時間半くらい経ったよ?


 しかし、宴は終わった。ガスが湧いてきました。
 実は今日は下り坂の天気。大谷崩(おおやくずれ)まで持ってほしかった…。


 天気の崩れは速い。雨や雪こそまだ降らないけど、一瞬でガスが山を覆っていきます。ここでホワイトアウトされたら少しまずいか。


 しかし、ガスが出てきてから、展望のある箇所はどのみちあまりありませんでした。あとは動物先生の足跡を探すだけかな。


 それでも、まだ晴れ間も断続的に見えるので、樹林歩きもそんなに悪くないです。


 でも、針葉樹林に入ってくると、ツラくなってきます。しかも、稜線が東に曲がった辺りから、急坂のアイスバーンとかも出てきます。


 アイスバーン坂がツラくなってきたので、わかんからアイゼンに履き替えました。


 大谷崩手前あたりから霧氷が長くなってきました。5センチくらいあったんじゃないかな。


 ここはもう新窪乗越(のっこし)。大谷崩を下るルートとまっすぐ八紘嶺の方に向かうルートとの分岐です。


 大谷崩を上昇してきたガスで発達した霧氷。


 ものの見事にホワイトアウトしていて、景色も何もあったもんじゃないです。


 微かに谷底が見えるような…。


 あ、見えてきました。しかし、延々と雲が連なっていますね。


 何気にこの大谷崩のガレ場の雪道はツラい。


 大谷崩の辺りで、単独を含めると合計4グループに会いました。しかし、みんな来るのが遅い。マイカーなら5時にはスタンバイだぜっ!7時頃はすごくきれいだったんだから。


 だいぶ下りてきましたが、雲が広がる速度の方が速い。これは今日持つかどうかさえ怪しいくらい。


 ガスと雪ガレ場で疲れ、足が痛くなってきて、あとはやっつけ仕事みたいになっています。でも、まだ長い車道歩きがあるんだな…。


 この看板は、大谷崩にいくつも設置された砂防の有用性を解説しているものです。「ダム群を作ったために崩れが少なくなった」
 誰か、これに異を唱える人はいないでしょうか。それとも、これは正しいのでしょうか。ふうたろうは、砂防のことはよく解りません。砂防を作れば、どのくらい崩落を防ぐのか。どのように防ぐのか。費用対効果という面ではどうなのか。


 そんな口上はともかく、ハラ減ったし疲れたので、延々と車道歩き。心を無にして。
 そしたら、もうすぐ日影沢と大谷川の分岐の辺りというところで、今日一番最初に会ったおっちゃんらの車が横を通りかかりました。
 「乗っていかない?」
 …断る理由も思いつかないし、ありがたいし、話ができれば皇海山の時みたいに楽しいし、お言葉に甘えました。なんと、静岡駅まで送ってくれたのです。バスで1時間40分の距離ですから、どれだけスゴいか…。
 おっちゃんたちは、実はバスの運転手(Sバス会社)で、バス会社の実情をとくと聞かせて頂きました。運転手の労働環境、路線存廃の決定、メチャクチャなことをやっています。特に労働環境なんて、労働基準法違反です。それに、バス会社一企業もそうですが、やっぱり交通に対する政治のあり方を感じます。少なくとも、公共交通をもっと多くの人が使うように誘導してもらわないと、マイカーを使った方が便利なのは当たり前なんだから、誰でもそちらを選びますよ。
 しかし、こうしてみると、ふうたろうの単独登山というのは、改めて、誰かのお陰でできているというのがよく解るではないですか。バスの運転は誰がしているのか、というひとつの問いに対してでさえ。本当にありがたいことです。そして、それは守らないと消えゆく可能性があるということも。…。


 今日もほぼ半日で終わる短い山行でしたが、この冬一番のすばらしい景色を堪能できた山行でした。最後の道連れは、ふうたろうの旅の醍醐味です。
 今日味わったこと、忘れないように、これからも山行を続けよう。そして、そろそろ、さらなる飛躍を遂げたいものです。
 #210山伏岳クリア。


天気:くもり、朝のうち晴れ(静岡県静岡市・山梨県南巨摩郡早川町、移動中は含まない)

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