さらなる最果ての山(恵那山:岐阜県)
暗い駅だなあ。いったい、どこなんだ、ここは!
なんと!これは猛烈に寒い立川駅です。実は、ふうたろうが出発するたった20分前に人身事故が発生し、0時29分に乗る予定だったムーンライト信州が55分も遅れたのです。ただでさえ寝不足になるムーンライト号なのに、これは痛恨の一撃。しかも、それで済めばいいのに、見えるところでゲロっている酔っぱらいとかいて、幸先不安な始まりでした。
なお、立川駅は外なので、寒風吹きすさぶため、いきなり冬山の格好をしてしまいました。
出発が55分遅れても、岡谷駅(乗換駅)に着いたのは定刻通り4時です。飯田線の天竜峡行きの電車の始発は6時45分なので、開いている店もない岡谷駅で2時間45分の待ち。
2・3番線の暖房がかかっていないマックラの待合室でVIP接待を勝手に受けて、エアマットを敷き、寝袋で寝ていました。
しかし、5時40分頃に松本行きの始発が来てしまったので、起きざるを得ず、一瞬夢を見た程度で、寝不足に変わりあらず。
飯田線も南下する車両の東側に座ってしまったため、太陽光線ガビガビで、眩しい。
そればかりではなく、飯田駅に着いたら、今度は乗る予定のバスが、満席でした。なんとか運転手が取りはからってくれたのですが、今度は、園原インターでは下りることができないことが判明。ここまで来て、犬死にですか?
いや!そんなことはさせない。人身事故とゲロと寒さとVIPと太陽光線に耐えてきたのに、ここまで来て撤退はありえない!
タクシーで登山口までダイレクトさっ!
ところがっ!今度はタクシーの若い運転手が、月川温泉(園原ICのあたり)ってどこ?
(゚Д゚;)ふうたろう大ピンチ!?
いや、それでも行ってもらわなくては困るので、なんとか登山口まで。9000円かかりました。この、事実上の登山口になるゲートまで来るのに、これほどの苦労があったのですぞ!
さて、車道を遡上します。広河原登山口は車道の脇に突然現れるはずです。
なんか、少し崩れている箇所もありますなあ。だからこそ、さっきのところにゲートがあったんですね。
ひとつ、トンネルをくぐります。中に入ると突然寒い風が吹きますが、涼みがてら、顔にUVケアを施しておきました。幌尻岳や斜里岳の時みたいに、顔がヘルペスで崩れたらたまりませんからね。
トンネルを過ぎると直ぐに登山口が現れます。ここは車で来ることはできませんので、さっきのゲートのところに駐車してくるしかありません。なお、園原スキー場の方も通行止めになっているので、回ってくることもできません。
さて、恵那山に闘いを挑みます。やっと、って感じですね。最初に丸太の橋を渡ります。
登り始めはジグザグのトラバース気味の道。雪があるので若干歩きにくいですが、なんのこれしき。
一旦急坂が落ち着くところが出てきます。そこで一旦休憩。しかし、なんだか、空が曇ってきたなあ。
樹林帯をひたすら歩いています。落葉松の隙間から、明日歩く予定の稜線が見えています。
先を行く人がいるようで、その足跡に追随。足跡がなければ、少し不安だったかもしれない。
まず最初に見えたのは南アルプスの山々。さっき多少雲がでていたようですが、それほど多くはないようです。抜けるような青空ですよ。
広々とした雪原を歩きます。樹林がまばらになってきて、気分的に歩きやすい。しかし、わかんくらい履かないとさすがにツラい積雪になってきました。
いや、わかんだけではダメで、わかんとアイゼンを両方履いてアタックしなければならないようです。しかし、それを決めたのはずいぶん後ではありますが。
見通しのよい雪道が続くようです。天気もいいし、すばらしいですよ。
シュカブラ、雪の上に波のような模様ができています。雪庇(せっぴ)も発達していて、マルッキリ雪山ですね。
実は、さっきから6人パーティと一緒になっています。更に驚くことに、その中の一人のおっちゃんが、大峰山の弥山川遡上の時、河原小屋で会ったあの人だったのです。もっとも、向こうが覚えていてくれなければ、ふうたろうは気付かなかったでしょうけども。
雪の坂は何がツラいかというと、せっかく登ったのに足場が崩れていくこと。雪が柔らかいほどそうなりやすいけど、固すぎても爪先が刺さりにくいので、どっちみちしんどい。
しかし、この雪庇、すごいですね。そんなところを歩いて嬉々としているふうたろうもビョーキかもしれませんが。
斜度的には急というほどでもないかもしれないけど、やっぱり足が沈んだり崩れたりすると、それは大変なことです。さっきの恵那山山頂まで100分なんて、絶対ムリ。
雪庇の稜線を登り詰め、恵那山の主稜線を歩きます。しかし、これがまた長いんですよね。雪道だから…。GPSで気を紛らせます。
今度は黒い森の雪原。嫌いじゃないけど、かなり疲れてきました。
スキーのあとを追従。さっきの6人はまだ後ろを歩いている模様です。
樹林が疎らなところもあります。でも、それほど展望が利いていたという記憶はありません。
ちょっとの坂でも、既にツラい。積雪でかさ上げされているので、ザックが木の枝に引っかかってめっぽう鬱陶しい。
よく晴れていますね。樹林がなくなれば抜群の大展望に違いありません。
これが山頂三角点2189.8mのあるところ。なんか、やぐらみたいなのがあるけど、ああいうのは要らん。大台ヶ原みたいな真似はやめてくれ。
山頂三角点は最高峰ではありません。しかも、小屋だってまだ先です。嗚呼、今回のアプローチは第2の日高幌尻岳だ…。
社の埋まり具合を見ると、積雪は1mはあるようですね。
広い雪原が現れました。これはすばらしい。でも、ふうたろうはもう睡眠不足で疲れきっています。
と思ったら、さっきのは便所でした。飯豊山の時もそれに騙されたような気がしますが…。
今日中に最高峰を踏んでおこうと思います。もっとも、どの辺りが最高峰なのかよく解りませんが、この景色が見える場所は恐らく最高峰なのではないか、と勝手に思っています。小屋から少し上がって社がある場所。小屋にとりあえず荷物をほっぽり出して、行きます。
中央アルプス北部の、木曽駒ヶ岳や空木岳などが見えます。あの山々、高校生の時には登りましたが、一昨年の11月、雪山で敗退したので、必ずリベンジしに行きます。
その「最高峰」から山頂三角点方面を見た景色です。黒い森が広がっています。
小屋のすぐ側にも展望の良い岩場があります。でも、さっきほどではないかも。小屋はよく見えるけどね。
夜飯はマカロニ。塩を入れすぎて塩辛い。でも、腹が減ったのでイナヅマ食いします。
それにしても、この小屋、全窓はめ殺しで真っ暗な上に、そんな密閉状態の部屋で薪ストーブを焚こうと、さっきの6人組の人たちががんばるもんで、中、ものすごいですよ。しかも、みんなよく喋るしなあ…。まあ、賑やかな方が多少は明るいのでいいんですけどね。
恵那山の山頂を踏んだ、長い1日が終わります。嗚呼、充実しすぎた…。
今回の登山口に着くまでの大変さは、今までのすべての山行を見ても、群を抜いています。上りの雪道は大変でしたが、それでも、立川駅から始まる移動の大変さに比べれば全然大したことがない。これが登り始めるまでが最大の上り坂というふうたろうの山行の極意ですな。
さて、まだ明日が残っています。長い夜を過ごして、明日を夢見ましょう。
天気:晴れ(長野県下伊那郡阿智村・岐阜県中津川市)