春のいぶき(池口岳:長野県)
飯田駅前のビジネスホテル、もらったお湯の温度が低すぎて、カップ焼きそばがひどいことになりました。いくら何でも、このビジネスホテルは最低限を割っていると思いました。
信南バス遠山郷方面行きのバスに揺られること1時間20分。大島バス停到着。天気はとても良く、低気圧が近づいていることを予め天気図で知っていなければ、これから崩れるなんて思うこともないでしょう。
大島バス停に、池口岳登山口方面と書いてある大きな看板がありますが、こちらは車道を遠回りしなければなりません。元々こちらを行くつもりもなかったので、バス停を歩いてひとつ戻り、観音前まで。
実を言うとどこに登山道の登山道(?)があるのか判らなかったのですが、観音堂の右後ろにそれっぽいのがあったので、侵入しました。すると、これが林家の作業用路みたいな道で、倒木や枝でまともに歩ける状態ではありません。それでも、ここを通れないとあとがないので、進みます。
少し歩きやすい道に出ました。しかし、これが正解ルートだとは思えないくらい、明後日の方に向かっています。
ひたすらGPSを頼りに方向修正を繰り返しながら、ウロウロ。倒木を跨ぎ、ヤブをかき分け、進みました。
疎らな針葉樹林帯。“樹林”というレベルではない気もするけど。
ようやく、あのおぞましい樹林帯を抜けました。案内板の1枚もないルートで、苦労しました。
その樹林帯を登りきると、向こうに池口岳が見えます。
犬に吠えられながら道路を進むと、登山口に続く道の入口の看板があります。
程なくして砂利道になります。登山口に「1.5km悪路」みたいなこと書いていたけど、なるほどと思えます。
バス停から2時間半ほどして、やっと池口岳登山口。…!?これが本当の本当に登山口。さっきのは登山口へ続く林道の入口だったのね…。
樹林帯に始まります。ここで、これから下山するまで唯一の人に出会いました。
踏み痕はしっかり付いているので迷うこともないでしょう。しかし、展望がまったくありません。
ところで、今日は気温が15℃くらいあります。標高が高くなると少しは下がりますが、それでも猛烈に暑い。喉が渇きます。早速ひとつフルーツパックを食いました。
テントを張れそうな静かな樹林帯があります。でも、まだ黒薙(くろなぎ)の遥か前なので、止まっている場合ではありません。
落葉松の間から空が見えていますが、若干薄雲が広がってきたような…?
芝か笹か忘れたけど、さわやかな林床の斜面をサクサク歩きました。
下層雲が南西から北東へ流れ始めました。やっぱり、あの天気図で見てきたスゴい低気圧が近づいているのですね。
黒薙手前の崩壊崖に出てきました。この辺りの坂も細くてキツい。
春霞でモヤッとしてはいますが、池口岳が見えます。下層雲~中層雲があちらにも掛かり始めてはいますが、まだ概ね晴れています。
池口岳登山道は展望の利く箇所が殆どありません。この崩れた場所からくらいじっくり景色を楽しみましょう。
池口岳登山道の稜線の南にも一本大きな稜線があります。25000分の1の地図には確かルートみたいなものもあったような気がしますが…?
落ちたら終わりですね。時々落石とかがパラパラいっているので、時間が経てばこの道もなくなるかも。
崖の上には三角点があります。そこで一息。気温が少し下がってきたと思ったら、目を疑う0℃付近。でもさすがにそこまで寒くないだろう。温度計、壊れてんじゃない?
しかし、1800mくらいを超え始めると残雪が出てきます。っていうか、まだ3月なんだから、こんな山奥で残雪って違和感ない?
折れたばかりと思うような大きな木。こないだ、鶴岡八幡宮あたりでイチョウが折れたというあの巨大な低気圧(3月9日頃)によるものでしょうか。
地図には名前はないけど、利検沢の頭と書いてある場所に出ます。25000分の1の地図でいえば1902mのピークです。
そのうち斜面に雪が凍り付いて、めっぽう歩きにくくなります。しかし、あと少しでテン場に着く予定なので、アイゼン履く気もせず。
もうすっかり曇り空です。嗚呼、これから崩れるのですね。でも、その崩れが今夜中に回復すれば…。
さあ、雨がパラパラし始めたので、テントを張ろう。
さあ、雨よ、いつでも降ってこい。明日の朝、またきれいな空を見せてくれよ!
しかし、風が強くなるばかりで雨は夜中になるまで降り始めませんでした。それどころか、晴れ間さえ見えていました。回復が遅れるっ!今夜中に低気圧が過ぎてくれないと、困るんだっ!
そうして、いつものように1時間おきに目を覚ましながら、天幕の夜を過ごすのでした。
それにしても、上着が要らないくらい暖かな夜です。そもそも、標高1900mの場所で、3月で雨というのが信じられません。空気のにおいも初夏です。
天気:晴れのちくもり(長野県下伊那郡南信濃村、移動中は含まない)