春のふぶき(池口岳~光岳縦走コース:静岡県)
夜中、雨はそれほどではないけれど、猛烈な風が吹いていました。テン場は場所的に風を避けてはいたけど、時折テントが揺さぶられていました。
雨は7時頃まで降っていたので、止むまでマッタリ。まあ、あまりこんな所でマッタリしていたくはないのですが。
さて、出発は7時47分。
地面にこびりついた雪の上に水がたまっています。
空が晴れてきました。これから回復して、池口岳でも大展望が見られるのでしょうか。
登山道には少し雪が着いています。
これから恐らく増える一方だろう。アイゼンを履こう。
雪にたまった水。雨は2000mの場所でも雨のままだったということですか。しかし、よく見ると、表面から凍り始めています。
急な雪道が、池口岳のジャンクションまで続きます。ジャンクションとは、ふうたろうが今回最大の難所としている、光岳(てかりだけ)までの道なき縦走路への分岐のことです。
晴れてくる様子はありません。それどころか、一方的に暗くなっている雰囲気さえあります。
池口岳ジャンクション手前の2156mピークからは、細い尾根と樹林と急坂が続きます。最も厳しい場所のひとつとなります。
晴れるどころか、小雪が舞い始めました。まさか、本当にさっきのは疑似好天だったのか。
ジャンクションに着く頃には、雪が激しくなっていました。とりあえず、ジャンクションで荷物を整理しつつ、空荷で池口岳を踏んでくることにしました。
このエビのシッポ、どうも黄砂の影響を受けているらしく、黄色~茶色をしています。ある意味レアかもしれない。
まるで大峰山の八経ヶ岳を往復する時の気分です。真っ白で何も見えないので、ただの儀式です。
池口岳の山頂に自然保護区みたいなものの看板があります。これの方が景観を壊しているような気もしなくもないけど?
池口岳の山頂は樹林に覆われていて、ガスがなかったところであまり展望は無さそうです。
さて、ジャンクションに戻ります。今のところ、雪は小康状態です。
よーく見てみると、黄色のあとから白のシッポが繋がっています。
ジャンクションから加加森山(光岳方面)方面の尾根に移らなければなりませんが、この道が非常に判りにくいです。ひょっとしたら、明瞭な道はないかもしれません。ガスと雪と樹林で最大の難所になってしまいました。
猛吹雪の痩せた岩稜の尾根に、雪庇が張り出し、樹木が行く手を阻んできます。言い訳している場合ではなく、真剣に前に進むしかありません。
しかし、そんな痩せた岩稜の道は少しだけです。日高幌尻岳に比べたら全然余裕です。これだけ広い雪道なら、鼻歌交じりで歩けます。吹雪だとしても。
北風が吹いているので、稜線の南側に潜り込めば風は多少マシでしょうか。
しかし、考えようによっては、これは冬山を堪能しているということでもあります。…変なテンションになってきたな。
あまり写真は撮れないけど、ここまで徹底的に荒れてくれると、開き直ってきます。
一応、テープを目印に進みます。あるんですよ、ちゃんと目印。動物先生の力は、この吹雪だと借りることができません。
強弱を繰り返す吹雪の中を、ずんずん侵攻。樹林が行く手を阻んできますが、負けるわけにはいかないのです。
木々も雪をしっかり纏うレベルに、強く雪が降っています。もう体中雪まみれ。
加加森山の山頂まで行き着いたら、先ほどに続いて樹林の細い木の間を、ふうたろうの身体の幅よりも広い100リットルザックを引っかけながら、歩行。これが辛いんですよね、一番。
晴れていればまたきれいな場所なんでしょうね。吹雪でも見通しはそれほど悪くないので、案外、冬山の雰囲気が出ている場所ではないですか。
しかし、気温-17℃。昨日より30℃以上も気温が下がっているので、改めてこの春の吹雪の凄さに感心しています。
結局、光岳までは行けず、行けたとしても吹雪で展望もない中行きたくないので、2381mと光岳の鞍部に天幕です。ここで、明日の晴れを期待しましょう。明日はこの冬型の気圧配置もゆるむことでしょう。
今朝のテン場で、雨でずぶ濡れになったので、テントなどのあらゆるものが凍っていました。あまりにも不快で発狂しそうでしたが、これもまた山の醍醐味かもしれません。早く明日になって、光岳を撃破したい。ここまで来れば、光岳撃破も同然ですが…。
それにしても、夕方、マカロニの茹で汁で歯磨きをしている時、一度雲が切れて日が差したのに、また23時頃、雪が降ってきました。これは、明日も駄目なのかな。状況の割に意外と暖かい雪原の上のテントで、夜を過ごすのでした。
天気:雨のち雪、強風を伴い強く降る(長野県下伊那郡南信濃村、静岡県榛原郡本川根町)