森の中の富士(北ア有明山:長野県)
昨日寝たのは24時前後。どうがんばってもそういう時刻になります。そして、この不気味な色をした空を見た朝の時刻、4時半。
利用者の少ない、穂高町の24時間営業の西友の早朝の時間帯を利用して、買えたのは投げ売りのスイスロール。これが朝飯代わりなのだから、もう既に終わってますね。
5時5分穂高駅前発の中房温泉行きバスに乗って、眠りこけていたら、有明荘前でした。ここが今日のふうたろうの登山口になります。
有明荘。新聞の束を持って中に入っていこうとする女性が、ふうたろうに何かを尋ねたのですが、背後の沢の音で聞き取れません。…何度か聞き直して、けっきょく何聞かれたんだっけ。
投げ売りのスイスロールを半分ほど囓って、出発。ふうたろうは、メジャーどころの燕岳(つばくろだけ)ではなく、中房温泉を挟んで反対側の有明山を目指します。信濃富士という別名を持っているくらいなので、期待しています。
有明荘直ぐ上にある駐車場を進みます。廃トラックみたいなのがありますが、それよりも更に進みます。
空には既に薄雲がかかっていて(さっきの不気味な朝焼けを醸した雲です)、普通にヤブで薄暗いところが暗いです。
しばらく急坂を歩くと、方向指示板があります。三段の滝ではなく、有明山の山頂方面です。
程なくしてこの朽ちかけた梯子があります。坂そのものの角度は、ふうたろうが今まで登ってきた山の中でも屈指のきつさです。
40分ほど歩いたので、一休み。意外といいペースで進んでいるようです。
かすれて読みにくくなった石柱には、どうやら4合目と書いてあるようです。
こういう進入禁止のロープが何カ所か張られています。実は、上り道はこのロープのせいで道を失いやすい箇所が何カ所かあります。
これは、コシジオウレン(キンポウゲ科)でしょうか。もう2000mレベルの山でも下の方では花の季節到来です。
その代わり、樹林も切れていて若干展望が利きます。しかし、実は見えているのは、気になっていた燕岳ではありません。
シャクナゲの木が大量に生えています。花がなければただの木です。…と、展望のなさを嘆いてみる。
イワナシ(ツツジ科)です。初めて見る花。この季節のアルプスなどの山は、実は初めてですから。今まで、雨やら北海道合宿後の気抜けやらで、サボってきましたからね。
坂は、先ほども述べたように屈指のきつさです。しかし、手で岩や木の根および枝を掴んで登れば、案外キツくもない坂です。これがむしろもう少しなだらかで、長くぬかるんでいると、それが最悪の道なのです。
薄雲が少し晴れ、北アルプスの表銀座が見えています。残雪輝く表銀座も歩いてみたいですね。予定がつまっているのですぐには無理だけど。
雪渓が出てきました。斜面にへばりついていて、踏み抜きも多いです。厄介です。
8合目の石柱が出てきました。何気に最後の方の雪渓で1時間くらい消費してしまいましたが、何とかここまで来ました。
遠くには後立山連峰なんかも見えたりしていますが、何気にさっきよりも曇りかた激しくないですか?
ここから、実は安曇野盆地の方に下りる道と、最高峰に向かう道とが分かれていますが、猛烈なヤブやらでとても解りにくくなっています。最高峰に向かうには、ほこらの裏を回って。
しかし、この猛烈な霞、何とかなりませんか。地表が霞んでいるのはいいのですが、空まで真っ白の絹層雲では、ふうたろうの鬱状態とおんなじじゃないッスか。
針葉樹、恐らく落葉松か、芽生えです。こういうところはいいですね、この季節。
でも、登ってきた道よりも雪が多いです。しかも、激しいヤブです。イライラも絶頂でした。
けっきょく、道がまったく解らなくなってしまったので、戻ることにしました。頂上は踏んだから、まあよしとするか…。
30分ほど山頂でマッタリして、30分ほど雪とヤブにいてこまされている間に、空は厚く曇りました。厚曇りっていう言葉はないだろうけど、そんな雰囲気です。
また雪渓を通ります。さっきの盆地側の斜面に比べたらマシですが、アイゼンの着脱がダルいので、この距離で履くのはもうごめんです。
芽吹いた落葉松と表銀座の稜線、なのですが、曇った樹林は暗いので、コントラストがクソです。
しかし、だいぶ下りてきたので、花がまた増えてきました。朝は気が付かなかったけど、イワカガミ(イワウメ科)のつぼみがほころんでいるではありませんか。
ツツジ科スノキ属っぽい(図鑑を見ると)ですが、解りません。しかし、何と愛らしい花でありますか。
シダも力強く。
シダ植物はまだ名前を調べるには至っていません。
ヤブデマリ(スイカズラ科)の幼木でしょうか。葉っぱが緻密でおもしろい。
ふうたろう、すっかり景色放ったらかしで木や草花に夢中です。
何だか目立つ四枚葉。たくさんあったのでとりあえず撮っておこうかと思いました。調べると、どうもツクバネソウ(ユリ科)の幼生のようです。
クリンユキフデ(タデ科)でしょうか。花の種類が増えてくると、やっぱり血湧き肉躍ります。調べるのは大変ですけどね。
これも初めて見た花ですが、シロバナエンレイソウ(ユリ科)です。すごく不思議な形していますよね。
何やら風に乗っていい匂いを漂わせているひとがいます。どうやら、この花のようです。
遠目でちっとも解りはしませんが、恐らく、さっき幼木を見た、ヤブデマリではないでしょうか。
さて、花と戯れながら三段の滝に着きました。…が、何かしょぼい。速攻で踵を返すことに。
タチツボスミレ(スミレ科)ですかねえ…。スミレは見つけたら素通りしたくなるくらい、解りません。
ツルネコノメソウ(ユキノシタ科)でしょうか。八溝山から下りたところの道ばたにもこの仲間がいましたね。
サクラソウの仲間だとは思いますが…。花のつぼみの出方まで図鑑には図示されていませんで。それとも、サクラソウ科ではないとか?
ニリンソウ(キンポウゲ科)でしょう。この辺りはポツポツと咲いているにとどまっていますが…。
クルマバツクバネソウ(ユリ科)です。この花を見たとき、ほんとにびっくりしました。テンション上がりまくりでした。おもしろいッス。
確か、「たる沢の滝」とか書いていましたっけ。何だか、柵の向こう側にたくさん踏み痕があるんですけど。
コキンバイ(バラ科)でしょうか。似たような花が他にもあるので、違うかもしれません。写真では、どれがこの花の葉っぱなのか、さっぱり判りません…。いつも撮るときは花に夢中で、葉っぱを撮り忘れる…。
オオバキスミレ(スミレ科)かなあ。図鑑に載っている黄色のスミレの中に該当するものがあれば、の話ですが。でも、葉っぱ、大きかったかなあ。ビミョー。
見捨てたらかわいそうなので、タンポポも。
『どんな花よりタンポポの花を、あなたに送りましょう』
…なんていう歌詞の歌がありましたね。
さて、天然野草園の宴が終わって、道路に出ました。バスの時刻が何時か解らないけど、まさか一日5本くらいしかないバスが、今目の前を通り過ぎるなんてこと…
(゚◇゚|||)ガーン
あるやんけ!!!
というわけで、1時間半に1本のバスを0分前に見送って有明荘(滅
有明荘の温泉に入るかどうかを迷いながら、清らかな沢の流れを。今朝、新聞の束を持っていた女性の声をかき消した沢の流れを。
結局、温泉に入りました。そして、特に名物っぽくもないノーマルざるそばを食べました。テレビ画面に北アルプスを高所撮影した映像が流れていたので、蕎麦を薬味にして見とれていました。
さっきの新聞の束を持った女性は、実はここの従業員でした。今日有明山に登ってここに来たのは恐らくふうたろうひとりだろうから、色々聞かれました。
こうやって、山小屋の人たちは登山者から情報を集めるのですね。なるほど。
1時間半後のバスで穂高駅まで。右のところの鉄塔の後ろに有明山が見えています。目立つ山です。山頂の景色はサッパリだけど。
なお、バスの運転手さんとは、いつもどおりの話をしました。交通政策に関する不満は、もはやみんなに共通するみたいですな。
特急あずさが入線する直前に撮った写真。偶然にも常念岳が写っています。
特急あずさでは、何をするでもなく、ただ流れる山の風景を見ていました。しかし、それだけで時間はあっという間に流れるのですよ。ちゃんと原則的に登りさえすれば、山は心のオアシス。今日は花スペシャルはよかったですなあ。
#122有明山クリア。
天気:くもり(長野県南安曇郡穂高町・北安曇郡松川村)