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病み上がりの闘い(農鳥岳大門沢コース上り:山梨県)

2010年 9月 18日

 甲府~広河原のバスは甲府駅を4時に出ます。しかし、ふうたろう、今回は広河原ではなく、奈良田という、身延方面の登山口に行きます。正確には、奈良田第一発電所
 5時22分発の身延線に乗り、6時36分身延駅到着。バスはなぜか6時35分発の設定になっていて、嫌がらせとしか思えないと思っていたが、さすがに電車到着まで待っていました。乗客が出てくるのが少し混雑で遅れたので、一旦発車してしまいましたが、乗客を発見するやいなや、すぐに戻ってきて、なんとか乗れました。
 もっとバスのダイヤが臨機応変に(電車の時刻に併せて変えられるように)なればいいのだが。
 体調の方は、食欲がない。結局バスの中でスナックパンを2本ほど食らいついただけだったと思います。


 かくして最後の交通機関に乗ったふうたろう、奈良田まで来ました。奈良田は特に集落があるわけでもないけど、少し手前に温泉が何軒かあったように思います。携帯はだいぶ前の集落から圏外(au)。


 6時35分のバスは奈良田で数分止まってトイレ休憩などをすれば、そのまま広河原に向かいます。こちらの線も結局は広河原に向かうのです。…が、ふうたろうは「第一発電所」で途中下車。田代入口あたりで降りる人が2人くらいいましたが、発電所で降りる人はいませんでした。
 なお、田代入口バス停は、荒川岳・二軒小屋ロッジ方面に峠を越えて登る、伝付峠ルートがあるので、笊ヶ岳縦走にも使えるかもしれない。


 第一発電所から、遂にふうたろうの病み上がり登山が始まります。しばらく車道を通ります。ふうたろうのしつこい、停滞前線のような難敵と闘いながらの今日の登山です。


 空はとても青くいい気分。崖のくすんだ色となぜか合う気がする。


 途中、登山道が斜面の方に入り込んでいます。


 この吊り橋に乗るためでした。まっすぐ進むと橋の下に出てしまうところでした。


 大きな砂防の連続を見ることでしょう。


 しばらく進むと、樹林の中の登山道を突き進むことになります。でも、今日は良く晴れていて気分がいい。


 2本目の吊り橋。


 広河内と、地図にはある沢ですが、沢沿いの道は飽きません。沢が見えればの話ですが。


 この辺りは電力会社(東京電力?)が電源開発に勤しんでいるようです。そのためと思われる施設がいくつもあります。


 3本目の吊り橋。これで吊り橋は終わり。


 だいぶ奥に来たようですが、まだ8時13分の出発から1時間経っていません。


 小さな沢を越えます。今日はこないだまでのような猛烈な暑さはありません。かなり快適に登れます。


 ここまでで1時間半弱。沢と樹林の繰り返しです。


 背の高い樹林帯が裾野に広がる大門沢コース(広河内コース)。少しずつ斜面は急になっていきます。


 この東側に飛び出した小尾根から大門沢小屋まで1時間15分。第一発電所を出発してから1時間56分。


 鬱蒼とした広葉樹林。風が吹くとすぐに寒くなります。


 一旦離れていた沢がまた近づいてきます。大門沢小屋が近くなっています。


 川を滑りやすそうな丸太を組んだ橋で渡ること何度か。


 岩に取り付けられた鉄パイプの足場。


 58分で大門沢小屋に到着。しかし、何だか雲行きが怪しいですな。


 大門沢小屋のテラスで休憩を取らせてもらいます。


 シャワー付の小屋?
 ここで宿泊、という手もあるのですが、まだ11時。農鳥小屋まで出来れば突っ切りたい。


 さて、小屋番に挨拶して、出発です。ここから先のきつさはハンパないです。


 沢を渡渉しますが、ここまでの、沢が見えない沢沿いの樹林帯がまた長い。


 標高2000mの標識。ところどころに、高度で示した標識が置かれています。「山頂まであと~m」よりは親切な気がします。…が、まだ2000m。あと1000m以上上がらないといけませんが。


 それに、さっきから分厚い雲が空を覆っています。今日は晴れの予報じゃなかったのかよ。


 遂にガスの樹林帯に突入。テンションダウンもそうですが、ナマクラになった脚力、ヒラメ筋がパンパンです。


 ガスの樹林帯は幻想的ではありますが、疲労のたまりやすさに驚愕しながら急坂を登っているので、楽しむ余裕はほとんど無い。


 2370mの標識。正直、全然前に進まないという思いしかありません。なるほど、ここを登る人が(遅れているふうたろうを抜かす人が)一人もいないのはこの厳しさのせいでしょうな。下山してくる人はそれなりにたくさんいるのに。


 ところどころ開けた場所を見下ろすも、この通り濃霧の中。


 下も上もここまでひどいガスだと、気分は萎える一方です。


 樹林が途切れてきて、ハイマツ帯に変わってきました。


 ガスが斜面を流れています。体力的にはもう相当厳しい。今日の行動時間はまだ7時間弱なのに。


 やっとの事で稜線に出ました。ここまでで7時間3分。簗場駅から冷池乗越まで歩いたあの鹿島槍ヶ岳なんか比べものになりません。


 さっきほどガスはひどくないけど、展望は無いに等しい。


 あれだけがんばったのに…、という感情はありますが、自然に情けはない。ここで闇テンして諦めたくなったけど、ここで止まると明日は何処まで行けるか…。


 農鳥岳の標識。稜線と沢コースの分岐から1時間の距離なのであっという間のはずですが、農鳥岳は見えないし足は棒だし、もうだめ。


 もうだめ、を、ダマシダマシ、なんとか農鳥岳山頂到着。3026m。2200mアップは、本当にアップアップでしたな。


 時刻にして16時を回っていたけど、このガスの山頂で、インスタントラーメンを食いました。思えば朝からろくに食事を取らずに動いていた。スナックパンなどではなく、おにぎりでも持っていれば良かったのだと、今になって思う。


 ふうたろうがインスタントラーメンを準備しようとしていたら、前からふたりの男性が。なんと、この時刻になって、行けるところまで行くとか言い出しています。特にそのうちのひとりはひどくて、小さなデイパックに雨具も持たず、ツェルトやテントも寝袋もなく歩いているのです。もう16時過ぎているのに、今から大門沢小屋方面に下るとか、正気の沙汰ではありません。農鳥小屋に戻れと言いましたが、聞き入れることはありませんでした。


 さて、農鳥小屋に向かって、まずは西農鳥岳に向かって、出発しようとしたところ、少し霧が薄くなりました。


 何だか、遠くの山も見えそうな気配。


 カール地形が見渡せています。


 西農鳥岳手前の小ピークがあります。


 谷を挟んで反対側も見えそう。


 カールの向こうの稜線が見えました。


 歩いてきた登山道も見えます。


 空はうすら明るい。昼間よりも明るい(何


 ここまで見えれば今日は十分です。


 ひたすら西農鳥岳を目指してガレ場を進みます。


 西農鳥岳付近は小ピークが連続していて、なかなか最後の最後まで気が抜けません。正直、キツい。


 遂に雲が切れ、青空が見えてきました。


 西農鳥岳はいつの間にか越えていたという感じです。ここから農鳥小屋まであと一息。


 雲がたなびいて壮観です。ガスのあとのこの風景は、本当に山の醍醐味のひとつです。


 だんだんと下っていく稜線。


 絹雲の模様。


 …と、歩いているうちに暗くなってしまいました。農鳥小屋までもう少しなのに。


 上空は夕焼け。月だって見えています。
 嗚呼、本当に今日は良く歩いた。


 農鳥小屋に着いたら、界隈では名物らしい、農鳥小屋の主人に、「到着が遅い!」とお叱りを受けました。まあ、そんなもん、よく解っていますって。バテてしもたんやからしょうがないやん、…とは言わないけど、本当にこんなに遅くなる予定ではなかったので、勘弁してもらいました。
 ところで、さっきのふたりの話をしていたら、主人もふうたろうも、やっぱり同じことを思っていたらしい。ああいうあからさまにおかしい山登りは、自粛すべきなんですよね。
 このあと、テン場にテントを張り、今日の10時間弱の行程を終了しました。嗚呼疲れた。明日は晴れるといいのですが。


天気:くもり、小雨ぱらつく(山梨県南巨摩郡早川町・静岡県静岡市、移動中は含まない)

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