七兎を追う者は三兎をも得ず(五色ヶ原前半・薬師岳立山縦走コース:富山県)
スゴ乗越小屋のテン場で朝。気温は当たり前のようにマイナス。寒すぎます。
とりあえず、飯食ったあと(パックの赤飯とコーンポタージュ2杯)、便所。何だか出血しているみたいだけど大丈夫か!?
それにしても、この小屋の至る所にある絵や文字などのセンスは独特ですな。
テン場はもちろん霜柱まで立っています。テントも霜がビッシリでビチョビチョです。
何だか右膝に違和感が。でも、ここにいてもどうにもならないので、出発して歩くしかない。
スゴ乗越小屋のある方向を振り返ってみると、木々が朝日に焼けています。
スゴ乗越から、スゴの頭は、これまたいきなりものすごい急坂です。おかげで薬師岳の方の眺望がもう凄いったらありゃしない…。
しかも、途中からあのイヤラシいガレ場の移動。更に、岩の上には霜がビッシリとか。
いったい何処まで登るんだろうと思いながら、ガレ場を上がります。
スゴ乗越小屋のテン場から、ずっと見ていて、あれを登るのかとゾッとしていた、越中沢岳が目前に迫ってきました。
ずいぶん登ってきましたな。これ、またすぐに下りなきゃならんのですよ。
スゴの頭は、何気にピークより少し低いところまでしか登りません。なんだろうね、この中途半端さは。
スゴ乗越小屋を5時47分に出て、このピーク直下は7時10分。
しかし、どうあることか、右膝の違和感、痛みも、上りではそれほど辛くない。さっきのスゴの頭の上りはしんどかったけども、越中沢岳のは大したことないじゃないか。
スゴの頭を見下ろしています。薬師岳のガレ場であるところが見えます。
越中沢岳到着。8時24分。スゴの頭から1時間14分で来ましたね。
もちろん、登ったからには展望は楽しんでいきたいものです。ここまで来ると、五色ヶ原が見えます。
越中沢岳の立山方面は、広い斜面の下りなので、ガスに巻かれるとキケンだろうと思います。特に、右方向(東)に出っ張った尾根があり、こいつを歩いてしまうと、遭難する可能性もあるので、気をつけるべし。
まあ、今日は地図を見ながら、晴れた稜線を歩くのでそこそこ安全。油断だけはせずに、五色ヶ原に向かいますぞ。
っていうか、五色ヶ原の前に鳶山(とびやま)という横移動の長いピークがありますよ。
針木岳なども見えてきました。針木岳はまだ行っていません。今回縦走して7個の名山をゲットしようと思っていたけど、七兎を追う者は三兎をも得ずですな。
鳶山、岩だらけの薬師岳とは違って、どちらかというと、東北や上越方面のたおやかな雰囲気が漂っています。ええやないですか。
空にはさっきから薄雲。天気、明日まではまだ持つはずだけども…?
鳶山・越中沢岳の鞍部。谷の向こうに針木岳などがあります。そして、初日23日、雨の中歩いた黒部湖も見えます。
絹雲もたなびいていますね。崩れる方向にあるのかどうかはわからないけど、少なくともこの空は快晴よりむしろきれいだと思います。
鳶山の上りもそれなりにありますが、もう上り坂は怖くないですね。横移動と微妙な下りがしんどいです。
越中沢岳とか薬師岳とか、どんどん見えてくる山が増えます。ここ、トムラウシから十勝岳の縦走路を思い出します。
さあ、もう何度目のピークですか。そろそろピークの連続、慣れてきましたよ。
振り向いたら、歩いてきた道がずっと見えます。縦走はこれが見られるのもいいところですね。
鳶山到着。10時5分。越中沢岳のタイムチェックから1時間41分。コースタイムより29分早い。はっきり言って、余裕です。上り坂はもはやこたえません。ただ問題は右膝が痛いこと。こいつはかなり厄介です。
ここまで来ると、今までの縦走とステージが変わったような気がします。
この雲が天気の崩れを告げる雲だとしても、空の美しさのためなら憎めないさ。
アルペンルートが通っている台地のようです。室堂がもう手の届くところに来たということですか。
いやいや、それは言い過ぎでしょ。まだ五色ヶ原に入っていないのに。
五色ヶ原の木道を歩いて、まずは五色ヶ原山荘を目指します。
実は、ガス缶のガスが切れて、ラーメンすら作れません。行動食のお菓子も尽きかけです。
しかし、天気といい、景色といい、素晴らしいですな。人も殆どいないし、静かです。
立山の山塊が見えてきました。比較的遠くからでも目立っていた立山連峰ですが、ここまで大きく見えると、もう少しだと思えるようになります。
さて、もう五色ヶ原山荘は目前です。長いので後半に続く。