山学部哲学科の授業(白馬岳雪倉岳縦走コース:富山県)
朝は4時台に起きたような気がするけど、実際のところあまり起床時刻を覚えていない。というのも、やっぱり雨だから、そんなに早く出発できないということと、つるべ落としのように朝や夕方の明るい時間が短くなっていくことと。
まあ、とりあえず、せっかく起きたんだし、飯でも食いますか。
今回もアスパラガス持ってきましたよ。
…でも、今日持ってきたアスパラ、何だかネバネバするんですけど。
そして、左にあるネコまんまもどきは鮭フレークを入れた鮭茶漬けだし入り茶漬け(何
外に出てみると、どうもガスっている様子ではない。雨も霧雨っぽい。どうなんでしょうね。
とりあえず、暗い中動く気はないので、朝食後の朝寝をカマしました。そしたら、出発が7時3分。殿様山行ですな(何
というわけで、周りにいる人たちにも喜びの笑みを隠すことなく出発ですな。
昨日の栂池自然園から白馬大池までのルートは準備運動です。まあ、ただの山行日数稼ぎとかは口が裂けても言えない(何
とにかく今日から本番。この初の白馬連山を踏み倒します。
先に出発した人を何人か抜かして、景色にかまけまくります。青空が広がってゆく様がものすごく嬉しくて、2週間のブランクで鈍った身体は疲れても、足がすすむくん。
白馬大池。この辺りから全部をファインダに収めるのは無理ですね。
頭に笠を被ったおっちゃんがいます。いわゆる和傘ではなく、Umbrellaです。手に傘を持つタイプではなく、頭に被るタイプの笠。まあ、笠なんだけど(何
どうやら、釣具屋で手に入れたそうです。池袋の元・好日山荘があったところに確か釣具屋があったな。行ってみるか。
青空が高くなってきました。この雲が切れていく瞬間のワクワク感と来たら、他に取って代わるものはないです。
これから進む先には人影がいなくなっていきます。だって、ふうたろうが出発した時間帯辺りに出ていった人はみんな、ふうたろうが抜かしてしまったから。
こうしてまたアローンの旅が始まる?
白馬大池の端っこが雲の裾から見えています。ガスが消えたらどんな景色になるんでしょうね。
時間の経過と共に晴れ間が広がります。
今日は誰もが雨と信じた。でも、ふうたろうは絶対晴れると思った。この時の確信そのものが嬉しかった。
下層の雲がどんどんちぎれていきます。紅葉の谷を覆っている雲が晴れていくと、ハイマツの緑一色だった景色が一変します。
この、太陽と雲の明るさで深く色づく青い空がたまらない。この青空の喜びは、雨を乗り越えて登ってきた人にしか解らない。それが山学部哲学科の授業です。
霧の向こうに消えゆく稜線と一本一本色づいてゆく灌木類、そして草もみじ。
トラバース気味だった道が稜線歩きに変わった瞬間、左(南東)の景色がカーテンを開けた時のように明るくなりました。
ここまで感度(ISO)200で撮っていたことにここで気が付いて、慌てて修正。
もう少し雲が切れてくれれば良かったのですが、それでもこの雲海には感動して涙がこぼれました。はっきりしているのは、景色がきれいだったから感動したのではないということ。
紅葉で色づいている斜面に陽が差しているようです。これが早く全体に広がるといいのに。
しかし、このじれったさもまた良さなのです。山の天気には一切のムダがない、このちぎれ雲だって、あの層雲だって、この二つと無い景色を作っているのですから。
ガレ場の整った道を歩きます。とてもよく整備されていますね。あの霧に消えゆく先までずっと続いています。
まるで真夏を思わせるような日差しが時々射し込みます。
あの雲たちは、山を覆えばあの影の黒さで解るように、真っ暗になるほどのもののはず。中から見る一面と外から見る一面がこれほど違うものって、実はあまりふうたろう、感じて言葉にしてこなかったかもしれない。
(゚Д゚;)ヌオッ!
びっくりしたぁ!
目の前50cmくらいのところにライチョウがのそのそ歩いているではないですか。このふてぶてしさというかなんというか、ライチョウという鳥のイメージがふうたろうの中で変わっていきます。
歩いていく方向にテキトウに逃げていくので、奴を追いかける形になります。横に逃げるとかせんのか。このニワトリめ!
そして、小蓮華岳。残念ながら、青空はあまり広がりません。まあ、それでもこの影もまたよし。
小蓮華岳を過ぎたら、次は三国境という分岐までまっしぐらです。
実はこの三国境までに、ふうたろうはこのあと白馬岳を越えて唐松岳方面に行くのか、それとも白馬岳から引き返して雪倉・朝日岳方面に行くのかを決めなければならないのです。さあ、ふうたろう!どちらに行くつもりなんだ!!
っていうか、まだ決めてないってのがそもそも…(滅
白馬岳山頂はどうもガスの中ですね。でも、日が照っている部分もあって明るいようです。
三国境の標にザックを置いた。
…ということは、白馬岳をピストン(行って帰ってくること)するということです。つまり、ふうたろうはあと数時間後には、雪倉・朝日岳稜線に誘われるということです。
さあ、白馬岳、93個目の百名山までコースタイムで1時間。昭文社の地図に1時間と書いてあります。しかし、ふうたろうの足で、しかも荷物なしでだと、そんなにかからないでしょう。
この青の濃さはワクワク感の濃さ。ふうたろうブルー輝く稜線漫歩。
あれは白馬岳といいたいけど、ニセピーク。
でも、ニセでもなんでも、最高の稜線。過程を楽しみ歩きます。
ノコギリカットの稜線。雲がノコギリに切り裂かれて、青空が見えてくればいいのに。しかし、草もみじがいいですね。
白馬岳山頂到着は、ニセピークを過ぎるとあっという間です。これ、晴れていたらもっとすごいのでしょうけど、まあ、これはこれでいいのではないですか。
ここで3人組の若い男女グループがいたので、写真撮影を手伝いました。スマートフォンの扱いが難しいなと思いながら。
3人と別れて、ふうたろうは白馬山荘にバッジゲットに行きました。三国境とは逆方向で、たかがバッジのためになんて思わなくもないけど、この先バッジゲットできるような小屋はないかもしれないので、ここで買っておくしかないです。
…しかし、それは大正解でした。
白馬山荘前は誰もいません。なんでこんなに静かなのか不思議に思いながら、小屋の中でバッジを買います。小屋番と少しだけ話をして、笑顔で送り出されました。
今日のガスはいつまでも残るな…。でも、これだけ展望良ければよいか…。
雲があるから青空も青くなる。
青空だけでも青いけど、銅イオンに有機酸(酒石酸だったかな)を混ぜたように、より青が濃くなる。銅と酒石酸の反応に初めて驚いた時のような、青空とちぎれ雲の共演。
…が、三国境で、さっき白馬岳の山頂で出会った男女のグループと話し、小屋出発前や昨日の夜などに話していた女性ふたりと話し、お菓子なんかを食っていた10分程度の間に、なんと、雨が降ってきました。しまっていた雨合羽を慌てて取り出すふうたろう。
この雨は一過性のものだろうか、それとも…
いや、まさかとは思うが…
しかし、雨が降っている事実に対する現実の反応というのはこういうことです。小さいけど立派な虹が架かっています。これは雨のみぞ為せる業です。ふうたろう、山に感謝します。
それでも、どうも雲が厚くなっていくように感じます。まだ鉢ヶ岳をトラバースする登山道が見えてはいますが、それがガスに覆われてしまうのも時間の問題のようです。
ただ、そんなに恐れることはない。雨や雪が降っても、ふうたろうは絶対大丈夫な装備を持っています。それに、いざとなれば雪倉岳の前に避難小屋もあります。
もっとも、この段階ではそんな非常事態を予想することもありませんでしたが。
ええ、ただ草もみじがきれいだと、それだけです。
しかし、現実はどうも厳しいようです。前が本当に見えなくなるほどマッシロになってしまいました。これは先行きが厳しい…。
とりあえず、12時を回っているので、雪倉岳避難小屋もあることだし、ここで暖かいどん兵衛でも食べようかと(何
ガラリと戸を開けると、中には夫婦がいました。話をしていると、京都からいらっしゃったそうです。
ふうたろうがどん兵衛を食べるために湯を沸かし、その湯の中に麺と具を放り込んで、ズルズルと食い、そして食い終わり、片づけとパッキングが終わるまで、ずっと話をしていました。いつものふうたろう旅日記の醍醐味です。フランクに話ができる交流はふうたろうの最も幸せな時間のひとつです。
…しかし、その30分ほどの間に、避難小屋の壁を強風が叩き始めるようになりました。これは本格的に荒れます。
それでも、荒れると言ったところでふうたろうが死ぬような荒れ方でもなく、それなりの覚悟で進んでいるので、雪倉岳山頂にはあっさり到着。一方で雨と風はもはやとどまるところを知らないので、展望に関しては絶望です。
雪倉岳山頂は13時35分。それからたとえ2時間歩いたとしても、夜が来るはずはない。でも、あからさまに周囲が暗い。
この辺りの岩は特別黒いようですが、この暗さはこの岩の黒さだけが原因ではないようです。
14時を過ぎるとガレ場から樹林帯に入ろうとする辺りに至ります。それを前後して、いきなり雨の攻撃力が上がりました。これはさすがに、雨防御力の上がったふうたろうも無傷ではいられない。
ただ、雨の強弱に対していちいち歩みを止めてはいられない。
しかし、理由の判らない天候の荒れ方に、いや、恐らく午前中の晴れが疑似好天だったというのは理解できたのですが、天気図などの正確な情報を得られない現実に、若干の焦りが出てきたふうたろうです。
とても明るい木道のルートのように見えますが、この朝日岳手前あたりでの雨は毒矢のようです。
高層湿原の草もみじは落ち着いてみればきれいだと思えます。しかし、雨の攻撃力はもはやふうたろうの防御力を上回っているような気がします。精神的に追いつめられているような、そんな思いさえ。
雪倉岳山頂から朝日岳の鞍部までほぼ2時間きっかり使ったあと、今度は水平道を朝日小屋に向かって進みます。水平道というのは、ルートの名前です。でも、名前だけで、全然水平じゃないッス。
鞍部から歩き始めて程なくしてこの池を見るでしょう。
上下左右に暴れる水平道は、紅葉の見頃のようです。晴れていれば、の一言ですが、そんな思いをも砕くほど強い雨の攻撃力に、閉口です。
なんと!登山道が完璧に川になっています。6月に買った新しい(嘘?)靴のおかげで何とか靴の中までの浸水は防がれていますが、この中の歩行は相当ストレスです。
でもね、その戦いが厳しいとしても、楽しむ余裕を失ったら今までとおんなじなんだよ。少しずつイライラしてきている自分に、若干の悲しさを覚えつつ、そう言い聞かせて進みます。
長かった水平道。でも、時間を見ると、1時間あまり。1時間45分かかる水平道を、1時間あまりで通過したようです。ひとつ前の2時間のルートに比べて、本当に必死で歩いてきたんですね。
程なくして、朝日小屋に到着。ここで小屋に入って、濡れたものを乾かして、明日こそ晴天の予報を信じて、ゆっくり身体を休めたい。
実はこの朝日小屋の評判は、何人かから良さそうなことを聞いていたので、ふうたろう、若干期待していました。玄関から見る限り、内装もホテル並みにきれいで(これは要求するところではないが)、落ち着いた感じもしています。
しかし、この写真はどう見てもテントです…ね?なぜこういうことになったんでしょう。思い出したくもない、業腹(ごうはら)な出来事。
…負けないぞ、あんなことに…負けないぞ。
ふうたろう:「今日、小屋泊まれますか?」
横から客が来る。
客:「予約してないの?怒られるぞー」
小屋番の女性が出てくる。
ふ:「予約無いんですけど大丈夫ですか?」
小屋番:「えー…、ちょっと…」
ふ:「…?」
番:「部屋はがら空きなんですけど、もうお客さんにはこれ以上誰も来ないと言ってあって…」
ふ:「…!!」
番:「…部屋も荷物を広げてしまっていますし」
ふうたろうは返す言葉を無くした。
ふ:「あ、そ。なら、テントでいいですよ。はい500円。」
番:「いいですか。すみません…。」
ふ:「ええ、まあ突然来たんですからしょうがないですね」(ひきつった様子で)
番:「また次来てください、小屋泊まりで…。出来ればお料理も食べてもらいたいです。」
ふ:(来るわけねーだろ!!)
心の中で叫んでいました。
テントの中、寝るまで、悔しかったなあ。昨日の夜、自炊小屋で話していたおっちゃんの話でも、Mariさんの話でも、ここの小屋のことは実はそこそこ期待していたのに。ふうたろうは、飯も布団もストーブも、屋根さえもいらない。小屋番や小屋の人たちの山やその他諸々の話が聞けることを、本当は期待していたのに。
理念的な話をするなら、山小屋だから今日みたいな大雨と強風という非常時には要求があれば泊めるべきだし、ましてや客が荷物を広げているからなんていう理由はありえないと思う。でも、そんなことはもうどうでもいい…。
…雨の弱い間にテントを立てて、速攻で中に入って、瞬く間にテントの中も湿ってきて、タオルやザックから出し忘れていた9月22日のしんぶん赤旗で、今までに受けた水と現在進行形で受け続けている水の攻撃に耐えながら、テントに横になりました。悔しさがテントの中に滲んでくる。
膝や胃腸のダメージ、雨の攻撃、乗り越えてやってきた。それなのに…。今回の山行なんかクソくらえだ!
でも、それは違う。膝も十二指腸も雨も、結果とは何の関係もないことだ。それは、「努力すれば必ず報われる」などという観念的な態度と同じじゃないか。山も人も、いつもいい顔をしてくれるわけがない。ふうたろうがそうであるのと同じように。
今日の山学部哲学科の授業では、これをレクチャーしたのではないのか?今までは落第し続けていたけど、そろそろ単位を取る時期が来たのではないのか?
でも、今夜はまだその思いには至らず、止まない雨音に怯えながら、眠るのでした。
天気:雨時々晴れ、夕方から激しく降る(長野県北安曇郡小谷村・新潟県糸魚川市・富山県下新川郡朝日村)
私は、この時雪倉岳避難小屋にいました、京都の夫婦です。11月の7日まで毎週山行きでふうたろう日記を見るのが遅れました。11月6日、7日は、白山に行きました。積雪50cmがちがちに凍結していました。南竜ヶ馬場に避難小屋に先週泊まりましたが、ほうきが無いので届けに登りました。ますます頑張って下さい。ふうたろう日記を楽しみにしています。
あの時の、お二人ですね!
どうも、こんばんは。
二人揃って毎週山行ですか。
さすが、箒を届けるくらいのことをする人は違います。
でも、ふうたろうも何か山に来る人たちにお返しができることがないかと、
そろそろ悩んでいます。
こないだ、早池峰山では、水や屎尿の話が出たので、
考えてみようと思っています。
白山はもう50cmですか。
白山…懐かしいですね。
まだ1年ちょっとしか経っていませんが。
キャピキャピの雪山、
行きたいです。
早く冬にならないかな…
と思っていたら、
まだ日記をしたためていない、
岩木山と八甲田山は豪雪でした。
どうも、これからもふうたろう絵日記を、
よろしくお願いします。