雪の上にも3時間(陸前五葉山黒岩経由大沢コース:岩手県)
夜中、空は晴れたり曇ったりを繰り返していましたが、ふうたろうが曇っているだろうとタカをくくっていて寝倒していたため、朝日が知らぬ間に昇っていました。そして、モソモソとメシを食ってテントを畳んでいたら、ご覧のように北西から雲が襲ってくるという、非常に腹立たしい朝です。
雲が瞬く間に空を覆っていくので、慌てて周囲の写真を撮るも、それは泥棒が来てから縄をなうという。
というわけで、昨日の夕方、五葉山山頂方面に向かって広大に広がっている樹林帯の雪原を、曇り空の下、越えていかねばなりません。枝より上まで雪に埋まってるし。
ヌオッ(゚皿゚;)
どこを通れって言うんじゃ!
本当に通路を探すのが大変で、樹林がひたすら雪に覆われているので、歩けない。西吾妻山のように、4mくらい雪が積もっていても、樹林が覆い隠されるくらい積もっていれば、何の問題もないのですが…。
しかし、ふうたろうの根性が勝ちました。あのウルトラデラックス雪ヤヴ漕ぎゾーンを、遂に制しました。
ピッケルで雪面を叩きますが、気持ちよく跳ね返ってきます。そう、雪道ってのはこうでなくてはならんのだよ(何
ただし、油断しているとヅボッです。
しかし、あの晴れ予報はどこに行ったのか。確かに、忌々しいプチ温帯低気圧が青森県辺りをビミョーに通過していますが、…まあ、それが原因ですよなあ(滅
ガスった中、五葉山の山頂に到達しましたが、本当の最高峰はさっきのデラックスヤヴの中にある岩の上です。でも、ここが山頂でいいよ…。
さて、このガスはあまりにもたまらんので、石楠花(しゃくなげ)山荘に行きましょう。ロープで仕切られているルートはあってないようなものなので、直線で歩きますよ。
若干ずれて歩いていたけど、GPS頼りにザクザク歩きます。あのデラックスヤヴ漕ぎゾーンの股下までの踏み抜きと樹林の壁を思えば、ここの歩きやすさは例えようがないほどです。
そして、難なく石楠花山荘の裏手に出ました。
外も煙のにおいがするなと思っていたら、中でストーブの火が残っていて、どうやら昨晩はやはり人がいたようです。ただ、小屋の記帳には残っていません。何人泊まっていたんだろう。
そして、今更のようにコース地図を眺めていると、昨日通った洞泉駅から鳩ノ峰までのルートは、通行不能と書いてあります。
(`皿´#)
雪が止んできて、時々日も差すようになってきました。どうやら、寒冷前線が五葉山をシバき飽きたようですな。
というわけで、ふうたろうも出発しますか。
歩いているうちに晴れるだろうと思うので、ゆっくりめに歩いています。稜線を下りてから晴れたら犬死になので。
この神社のところとかでちょっと座って待ってみるか。気温は-10℃くらいで風吹きさらしだけど。
これから進む、黒岩方面の様子が見え隠れしていますが、すぐに雲に覆われてしまいます。
晴れていればきれいなことまちがい無しなんだろうけど、目を瞑ればその様子が想像できるほどなんだけど、それはただの妄想であると、低気圧が嗤っている(滅
しかし、さっきの晴れ間はウソではなく、低気圧も徐々に東の海上に離れていっています。それにつれて、青空の広さや日の差す頻度がだんだんと大きく、多くなってきます。
おそらく、半分以上雪で埋まっているのでしょうね。どうせならもっとガッツリ埋まってくれた方が歩きやすいですが。
スピードを上げすぎると、そのまま黒岩を越えて犬死にコースになるので、ちょっとまた座り込んで振り返って。
ハラが減ったので、100gで544kcalもあるかりんとうを食べよう。
ふうたろう、さすがにこのガス路線には飽きてきたぞ。もう待てないぞ。もうすぐ12時だぞ。
でも、着実にガスが薄くなってきていて、遠くまで見通せる時間も長くなっています。
さっきまではまったくガスの向こうだった五葉山稜線北側も、愛染山が見えるほどに晴れて…
量から質への転換。ある一線を越えて薄くなった雲を、太陽の光が一気に通過して山を照らす。
ふうたろうは雪庇の上でマッタリ。雪庇っていうか、ふきだまって積もった雪の上というか。
シュカブラも氷を帯びたブッシュも、光と影があってこそ輝きを増します。
宝石の上を歩いているような、贅沢な気分です。そして、ここを歩いているのは、ふうたろうひとりだけです。
ここはスキー板を履いていたら気持ちよく山スキーが楽しめるでしょう。
よく見ると、大量に車が止まっている五葉温泉の施設が見えたりもするのです。
ヌオッ(゚Д゚;)
最後のピーク、岩場なのですが、そこから斜面が落ちています。これはスゴい高度感ですな…
急坂を下りきったようです。でもまだこの展望は凄い。ほんとに3時間以上待った甲斐がありました。
もう一箇所、岩場の崖が雪に埋もれた箇所がありました。高度感を味わい、落ちるように下ります。
さっきまでの曇天とガスは嘘のよう。ウソだったのかも知れない(何
ただし道迷いを誘うルートです。リボンは付いていますので、見逃し注意ですし、途中でリボンを無視して歩くところもあるので、GPSと25000分の1の地図セットで。
方向を南東斜面に変えたら、何となく尾根になっているところを下降します。ここら辺からは踏み抜きゾーンが増えます。
急坂を転がるように下っていくと、再び尾根が二俣に分岐する箇所が出てきます。そこには道標があるので、それに従えばOK。
スピーディーに下山が進みます。天気が良くなって以降、悲惨なヤブもなく歩けています。下界はもう間近。
展望台のような岩の出っ張りが途中にあるので、景色でも見ていきましょう。
気温が上がって、雪も少なくなってきたので、アイゼン・わかん、インナー類を脱ぎ捨てます。
大沢の谷に下りてきました。ここから切り開かれたようなところを歩きます。
五葉山側に少し登ると大沢小屋があるようですが、ふうたろうは確認していません。
ひたすらこの大平原を下へ下へ。
この辺りも展望がいいので、けっこう快適ですな…。五葉山北斜面側は樹林ばっかりだったのに…。
牧場の入口?
しかし、この扉が、地面に引っかかって開かないという罠。
ふうたろうが牧場の入口の罠でもがいている間に、シカの大群は一匹残らずいなくなりました。
シカにこじ開けられたのか、元々こういうデタラメな作りなのか、ふうたろうももがかなくてもいいほどの罠(入口)です。
山道が終わりました。シカの糞を大量に踏んづけながら歩いた牧場も脱出完了です。
程なくして五葉温泉の施設に至りますが、500mほど遠回りして道路を歩くのはバカバカしいので、沢のところをショートカットしていきます。しかし、途中にイバラが生えているなんてのは聞いてないので、おでこに3箇所くらいイバラの打撃を食らっていくのでした。
五葉温泉ですな。車がイッパイ止まっています。この辺りには、温泉施設があまりないそうなのです。
五葉温泉バス停。登山にも五葉温泉利用にも非常に便利な時間帯に、何本かバスがあります。13時台、15時台、17時台。これだけあれば、公共交通での登山はトリプルAクラスに楽になります。
→岩手県交通 大船渡・高田地区時刻表目次(五葉温泉線・下甲子線のところ)
五葉山の雪が輝いています。施設の前で必要な着替えを出したり、いらないものを片したりしていたら、やっぱりあのデカい100リットルザックに驚いて、色んな人が声をかけてくれます。
五葉温泉自体はそれほどおもしろい施設ではありませんでしたが、憩いの場として、なかなかいいと思います。利用者も多いし。
ふうたろうはバス停で数分、湯上がり後の涼みに浸っていました。
バスは終始ふうたろうひとりでした。みんな車で来てしまうんですかね。料金も盛駅までの往復で1100円になりますから、そうなるんでしょうね…。
住民やマイカー利用者の自己責任とは言えない問題なのかなあ。でも、みんなこういう過疎路線の維持には粉骨砕身しているのかなあ。…金持ち政治屋はこういうことに思いを馳せることはないんだろうなあ。
バスが盛(さかり)駅に到着。盛駅はJR大船渡線の終着です。ここの待合室に無駄にデカいザックとクサい登山靴や着替えを突っ込んだバッグとを置いて、近くにエサをあさりに行きましょう。
ピザ自体はうまかったので、とりあえず、誉める意味でその喫茶店を撮影。しかし、もう、庇の文字も朽ち果てていて…
JR大船渡線が発車する20分くらい前に改札が始まり、乗ります。さあ、これから帰るぞ!
…って思ったら、この大船渡線の乗車時間が166分、つまり2時間46分で、今からなら一ノ関(新幹線駅)に着く頃にはもう真っ暗です。最終バスで帰ってきていたらとんでもないことになっていたかも。
だいぶ日が長くなって、16時半盛駅の発車でも、しばらくは景色を眺めていられます。三陸海岸の旅は初めてなので、新鮮です。
街かと思ったら山になり、山かと思ったら海になる。とても不思議で慌ただしい風景だなと思います。でも、爽やかですね。
大分県佐伯市のすぐ近くにある、蒲江町というところに、ふうたろうがかつて遊んでいた義理の祖母ちゃんの家がありました。その辺りもこういう風景がありましたか。山の下がすぐ海で。いいところだったけど、今はどうなっているんだろうなあ。
このあと、渋滞なくふうたろうは家に帰ります。具合が悪くなることもなく、きっぷを間違って発行されていたので気仙沼駅で変更手続きをした以外は特に問題もなく。
前半、とにかく悪路と雪と樹林帯で苦労しましたが、あの雪景色はその苦労に見合ったものだと確信しています。あそこで嫌気を指して下山しなくて良かったですね。
#224陸前五葉山クリア。
天気:雪のち晴れ(岩手県釜石市・大船渡市・気仙郡住田町、移動中は含まない)
お疲れさまでした。
ガスっている中寒さに耐えたり、ゆっくり歩いたり。。。
その後に見えたあの青空~~自分が体験しているような錯覚に陥りとてもすがすがしい気持ちになりました。
よい山行になりましたね!
あの木の枝が隠れきらない中途半端な雪の量(もとの木がどれくらい高いものかは知りまsんが)はほんとうに歩きづらそうですね。。。
さすがに、これは相当こたえました。あれであの最後晴れてくれなかったら、かなりダメージでかかったです…。
寒さの方は、意外と何とかなりました。テントを出し入れするときだけがしんどくて…。歩いているときって、意外と暑いんですよ。あるいは寒さを忘れているって言うか。
最後の晴れた雪原は、それでもやっぱり耐え抜いた人にしか解らない良さでしょうね。歩きにくさと同時に、美しさもまた…
ふうたろうさんの山行とは比べ物になりませんが、冬でも歩いていれば寒くないですね。
この私でさえそう思います。
止まると寒いから行動食もあまり食べないし、汗も少ししかかかないから水もあまり飲まないし、最近いいかも~と思い始めてます。
夏のあの猛暑に比べれば、冬の方が清潔感があっていいわ。虫もいないし~。
素手で食べものの写真よく撮ってますが短時間ですか?すぐにつめたくなっちゃうでしょ?
100リットルザック背負ってるからすぐに体は冷えないのかな~?
凍ったテント撤収、想像できます。少し。
凍った軍手でチェーン外してたら死にそうになりました。もっと寒そう、山頂近いし。な。。。
止まると寒いけど、行動食は食い散らかしています。ザックを雪原の上にゴンと置いて、その上に座って、かりんとうとか板チョコとかをむしゃむしゃと…。
もちろん、素手で(何
夏の山も夏の山でいいですが、やっぱり暑さと渇きと虫は辛いかも。でも、日が長くてたくさん歩けて、あれはあれでいい面もいっぱいあるんですよね。今年もガンガン行きますぞ。
素手で写真撮ることは良くあります。携帯で写真を撮るときなんかは手袋外さないと撮れませんし…。まあ、寒さは-12℃くらいなのでそれほどキツくもないかも、ですね。下界の4℃の方が寒いんじゃないですかね。
雪だと汚れを気にしないでザックをゴロンできますね!
かりんとう高カロリーだしこまめに食べられるし美味しいから大好き。普段下界で食べているとカロリーオーバー。
昨日もえびせん一袋いっちゃいました。495キロカロリほど。。。汗
夏はかみなりはこわいけど、行動時間が長いので夢がふくらみます。元気で天気なら私も毎週どっかに出没したいです。
手帳に山の名前書いて付箋で貼ってます。行けないときは移動して貼りかえる。。。
雪って、ザックに付くと意外と濡れるので、ちゃんとザックカバーしてないとダメですよね(当然か…)
カロリーは使うことを前提に取るものだから、既に使ってしまったカロリーは補っておかないと死にますからね。少量で高カロリーのものってのは、ふうたろうにとっては超重要です。
さて、そろそろ次の山行が近づいてきましたが、天気は不利な方に動いていますね…