春霞と海(石廊崎海岸仲木~妻良コース:静岡県)
4時に起き出して、日帰り用のリュックを背負って板橋駅に向かっていると、芳香族化合物っぽい(何)においが下板橋駅前に漂っていました。何だろうなと考えていたら、桜なんですね。春爛漫のはずの4月、人の心は核の冬に怯えつつも、自然は関係なく春を迎えています。
ここは熱海駅。今日、ふうたろうは伊豆に向かいます。誕生日登山が景鶴山で失敗したので、今日はそれなら行きたいところに行こうと。300名山にこだわらず向かいます。今日は山行できるだけ幸せというものです。
しかし、新大久保駅で一時電車が止まったときは「またか」と思ったものでした。すぐに動いたので、何とか思った通りに伊豆急線まで乗り継ぐことができました。計画(された)停電(は起こってないけど)の影響で間引き運転がされていて、ハマると余計な待ち時間になるので、もう七面山の時の二の轍は踏まないぞと。
海は、風が強くて白波も立っているけど、穏やかですよね。ほんとに。
伊豆急下田駅到着。9時23分到着に間に合うためには、板橋を遅くとも5時2分の電車に乗らなければなりません。足の遅い人なら4時53分。
駅前にある東海バスセンターで、石廊崎方面に行くバスのことなどを聞いてから出発です。乗客もそれほどいないので(平日だしね)、静かです。
バスに揺られること小一時間。運転手さんと相談しながら、仲木上バス停で下車。
新緑の南伊豆の小道。崩れるといわれていた天気は思いの外そのスピードが遅いようですぞ。既に時は10時半。
この伊豆半島もリアス式海岸、というのでしょうか。崖を駆け下りるような階段がたくさんです。
海岸を歩いてハイキングコースを探します。
今日は登山ではなく、海岸のハイキングです。しかし…
だけど、ここも津波が来たらひとたまりもない、海抜1m。それでもふうたろうはここを歩きたい。
この壮観な地層、地震の源である大陸移動の結果起こるもの。自然とは無情なものだなあとつくづく思います。
美しい浜です。砂浜とはまた違う趣です。ふうたろう、こういうところを見ると、大分県蒲江町で、いとこたちと遊んだ頃を思い出します。
¨:∴(゚ε゚;)ブッ
何も疑わずに歩いてきたけど、ここ、ニセルートですがな!!
でも、ふうたろう、ここを歩いてよかったと思っています。昨日の尾瀬入口とは大違いです。
というわけで、さっき漁協が見えたところまで戻ってきました。まあ、写真は仲木里バス停ですが、目と鼻の先です。
小刻みなアップダウンを繰り返していると、なんだか樹林の切れる場所が。
この南伊豆歩道ルート、アップダウンが猛烈に激しいと述べましたが、海抜ゼロメートルまで本気で下ります。この、桜の芳香族臭漂う急坂を下って、入間地区に向かいます。
何だか、水場もどきがあります。「どこから引いてきた水か判らないので飲用注意」みたいなことが書いてあります。
農家の老夫婦が何の作物か判らないけど手入れをしていて、草抜きをしています。その隣を、挨拶して、次なるルートへ。
ペンキのはげた文字。打ち付けられたドア、誰もいなくなった農協ストア。
この入間荘というところは、キャンプ場の受付をするところでもあるようです。テントを持ってきて、のんびり過ごすのも手ですなあ。
さっきの入間荘の奥を見れば、だいたいルートが判るようになっています。ただし、集落内にはそのルートの案内板はないので、下界で迷うパターンです。
そして、その再びおぞましい急坂を登っていくと、こういう断崖絶壁を望むことができます。
長閑な海を一望。もっと時間的に余裕があれば良かったのに。13時45分までに妻良(めら)バス停まで行こうとしているので、相当慌てています。
道が一旦林道にぶつかります。もちろん、ここを歩いている人も、走っている車もありません。アスファルトではなく、コンクリートの道が1kmほど続くでしょうか。
そして、あまり変わり映えしないコンクリートロードを突き当たりまで進みます。
しかし、ふうたろう、腹が減ってしまったので、インスタント焼きそばを食べます。時間的に余裕がないっていっても、食うものは食わないとバテます。
再びそこからは急坂の上り。このコースをなめていたふうたろう。もっと観光地レベルだと思っていたので、迂闊…
このピークには、桜の木とベンチと大展望がありました。判っていればここでインスタント焼きそばを食えば良かったと、後の祭り的に悔やむのでした。
礼文島のスカイ岬やゴロタ岩を思い出すような風景です。すてきな場所だなあ。
そして、ゼロメートルまで下りきりました。しかも、岩と打ち寄せられたゴミや諸々の天然物で、猛烈に歩きにくい浜です。
こういう部分を切り取っていくと、すさまじいコースだなと、改めて思います。道幅も広くはないので、なめてかかると平気で落っこちて死ねます。
(゚皿゚)あ”ー
ダッシュもいい加減疲れました。妻良バス停までいったい何kmあるんだよ。少なくとも、ふうたろうがエンジンでも積んでない限り、あと20分で妻良集落なんか行けるか。
吉田集落に降り立ちました。もう、妻良バス停13時45分は無理なので、ゆっくり観光しながら歩くことにします。
あそこに一つ大きなログハウスみたいなのがあるのですが、何でしょうねえ…。
この辺り、大量にアロエが植えられています。有機JAS認定を受けているので、何かに使うために植えているんだろうなと。
吉田集落から吉田口バス停の方に、舗装路を歩いていくと、二十六夜山(にじゅうろくややま)へ登る抜け道があります。しかし、この道はかなり荒れているので覚悟が必要です。
25000分の1の地図ではこの道をまっすぐ進むと妻良集落に抜けることができることになっています。しかし、昭文社の地図には、そうなってはいません。
結局、25000分の1の地図に従って歩くと、ウルトラデラックスヤヴこぎゾーンとなりました。倒木、蔓植物、蜘蛛の巣(蜘蛛ももちろんいる)などが行く手をこれでもかといわんばかりに阻んできます。
適当に進んで、うっかり谷筋を通ってしまうと、この砂防ダムに阻まれて全滅しかねません。しかし、何気に14時50分妻良発伊浜行きのバスまであと20分。
ウルトラヤヴこぎゾーンはもう終わり。比較的歩きやすい道になりました。
どこかの店の裏側から道路に出てきました。この道路を下っていくと、妻良バス停(地区)です。
ここ、海抜が低いから、津波が来たときはキケンです。陸前高田や気仙沼の惨状を目の当たりにしたばかりなので、目についてしかたありません。
バス停の向かいにある小さな店でジュースを買って飲みました。もう、水が無くなりそうですので…。
こういう風に、五葉山から大船渡に降りてきたときも眺めていましたっけ。それが…
縁起でもないことをいうけど、この瞬間の町を、どうしてもしっかり見ておこうと思ってしまいます。
さて、ふうたろう、大量に小学生が乗っているバスにひとり場違いな格好で乗って、伊浜バス停に到着です。15時10分頃。しかし…
Σ(゚皿゚;)ヌオッ
…コースタイム1時間間違ってる…(滅
伊浜から雲見温泉に抜けるルートは、2時間ではなく3時間コース。17時4分雲見温泉発下田行きの最終バスに間に合うとは到底思えない…
しかも、16時までしか使えない昼間回数券は、16時までに下車する便において有効なのだそうで(滅 今15時過ぎてんですよ?
海岸から集落に上る坂は、猛烈にきつい。すごいところですな…。
津波は怖いけど、いいところだなあ。東京でビルの下敷きになることに怯えることを考えたら、暮らしていけるのだとしたら、こういうところの方がいい。
24時間入れる温泉があるらしい。でも、入りに来るのは難しいだろうなあ。
下田まで戻るバス、運転手さんと話しながら行きました。回数券は使えなかったけど、こうやってマッタリと旅ができているのだから、いいじゃないか。また来るさ。
夜飯を食べる場所を探していましたが、結局、駅前の食堂に入りました。カレー屋とかもあったけど、やっぱり魚と米を食いたい。
塩辛が駄目だといったら、こういうおまけを付けてくれました。嬉しい。これ全部で1000円です。
そんな飯を食べようとしていた17時16分、緊急地震速報が入りました。みそ汁の面が揺れていました。しかし、福島の方では震度6弱で、後から入ってくる情報では原発の冷却水が50分も停止したと。崖崩れで死者も出たと。奇しくも今日はちょうど1ヶ月。
店にはふうたろう以外の客がいなかったので、店の女将さんたちと地震や原発の話など、していました。
また次、来たときはここに入ろう。次来たとき、覚えているかなあ…。
かくしイベントとして、女将さんの娘さんから、誕生日プレゼントにバナナをいただきました。帰り、平塚駅あたりで食べたっけ。
この後、横浜から乗り込んできたオッサン2人がおもむろにふうたろうのいるボックス席に座って、ビールを飲みながらつまみを食い始めました。注意するも、当然こういう非常識が反応するはずもないですから…。周りの大人も何も言わないし。この日本の社会情勢というか民主主義というか、そういうものの縮図を見た感じで、滅びの願望が湧く瞬間でした。
東京に戻ってくると、冷たい雨でした。
竜頭蛇尾的な感じもするけど、下田までは良かったから、まあ、良しとしましょう。
天気:晴れ(静岡県賀茂郡南伊豆町・下田市、移動中は含まない)
いつもの山旅とは違い、とても長閑な旅でしたね♪
藪こぎは別として(^_^;)
新鮮味処は、メチャ美味そう(#^.^#)
こういうまったりの旅、大好きです(^^♪
”いつもの”山旅に比べたら長閑かも知れませんが、やっぱり結構ハードなルートになりました。長かったし、アップダウンが異常だし、断崖絶壁もあるし。ついでに地震もあるし(何
登山というよりは旅行に近い感じもしますが、結構歩きごたえありました。最後の飯屋はゴールにふさわしい場所でしたね。いい旅でした。