青の絶壁(上河内岳~茶臼岳縦走コース、聖岳登山口より:静岡県)
22時前、あまりの蒸し暑さに目が覚めました。ここは南アルプス椹島、であるぞ?さすがに、三瓶山の時のおおちキャンプ場ほどではないけども。
そんな夜が明けた朝で、日付が変わってから急に冷え込んだため、色々寝づらかった面もあり、若干の睡眠不足気味。腹が減っているような気はするけど、カレーとかを食べる気にはなれない。でも、食べられそうなものはカレーくらいしかない。っていうか、レトルトカレーと白飯という重いセットを消費してから登りたい。
…というわけで、がんばって食べました。
さて、出発しましょう。便所などに行ってたら、やっぱり出発が遅くなってしまいましたな。それに、朝食の準備があると、撤収に一手間かかってしまう。
まずは聖岳登山口に向かいます。この東俣林道の砂利道を歩きます。
天気は雲ひとつなしの快晴。あの小さく見えているのは赤石岳、かな?とりあえず、半日は持つでしょう。
ふうたろう、バスに拾われました。バスの始発は6時半だったと思ったのですが、どうも始発が早い臨時便がでていた模様です。おかげで、この聖岳登山口に5時52分に立つことができました。
というわけで、今日の出発は聖岳登山口。ここから聖平に向かって出発です。この前は冬季ルート(東聖岳や白蓬ノ頭などを通るルート)を下山したので、違うルートということになります。
しかし、この一般登山道もそんなに楽ではありません。いきなり急坂でお出迎えです。
相変わらず樹林帯を歩く道なのですが、まだ集中力があるので耐えられます。
聖沢吊り橋を過ぎると、これがまたすさまじい急坂になります。昨日の布引山までのアホさに比べれば全然ですが。
そして、その急坂を上り終えたら休憩所。倒木のような丸太のベンチに腰掛けます。
そして、今一度、ロングライフ牛乳で玄米フレークを試します。パンに塗るために持ってきていたチョコクリームをちょっと混ぜてみると、チョコフレークのミルクがけになります。こいつはイケる!
2011mの乗越を過ぎたら、右手に時々聖岳が見えるようになってきます。もちろん、時々なので、あまり期待してはイケない。
あのピークは、奥聖岳でしょうか。一応、前聖岳が一番高い(3013m)。
葉っぱの間からさす日の光が清々しい。この清涼感も、昨日のバカみたいな尾根とは違います。
樹林がいざ途切れてみると、展望は抜群。盛夏の緑に覆われた山が、遠くまで見渡せます。
沢には樹林がないので、これも立派な展望台。
見えているのは、笊ヶ岳の北にあるピーク、かな…?地図には、生木割山と書いていますが。
再び坂を上昇していくと、展望台が出てきます。そこからは聖岳より生まれる滝を眺めることができます。
そして、奥聖岳の向こうにはずっと冬季ルートが続きます(左)。
谷底が、何となく模型っぽく見えます。しかし、実際この崖っぷちに立つと、なかなかの高度感です。
支流がたくさんあって、そういうところを何度も橋で渡ったり、そのまま渡渉したりします。
耐荷重400kgだったか150kgだったかの鉄の橋が濁流の後か何かに潰されています。でも、これはそのままにしてもらっても、十分渡れますわ。
ようやく、トラバース道が終わりました。昨日の笊ヶ岳下山の時と同じで、何本も沢と尾根の登下降があり、いったい、今自分がどこの沢や尾根を扱っているのか、なかなかつかめない。地図もそこまで細かくはないからね…。
穏やかな樹林帯を歩きます。立ち枯れた樹林帯からは青空と稜線が。
このコースは、沢を愛でるコースなのかも知れませんね。展望の方はそんなにでもないけども。
ふうたろうがぶくぶくぶくしたところからすぐ上、涸れ沢になっていました。たぶん、伏流しているのだと思いますが。
そして、遂に聖平へ。5時52分に登山口を出発して、11時37分到着。5時間45分もかかりました。そりゃ、色んなところで立ち話したり遊んだりしていましたからね…。
すぐ上に小聖岳が見えます。やっぱり、良いロケーションですね。
そして、ふうたろうはこれから南方面へ縦走するわけですが、聖平から木道を歩いて数分もしないうちに、草原が出てきます。
しかも、その草原からは聖岳がばっちり見えるという。いい夜と朝を過ごしたかったら、一度はここに泊まりに来ねば。
ミヤマバイケイソウ(ユリ科)らしい群落の向こうに樹林帯と聖岳。
聖平付近はこのように景色がナイスすぎます。次はここに泊まりに来よう。
しかし、その聖平を過ぎた途端、樹林帯が深くなり、急坂。ふうたろう、実をいうと、聖平までの歩行で相当疲労がたまってきています。昨日の13時間弾丸ショットは、やはり調子に乗りすぎたか。
森林限界を超えました。ここからは、後ろを振り向けばいつでも聖岳を見ることができます。
見えているのは名もない稜線だけど、昭文社の地図でいうと、岩頭滝見台と南岳を結ぶ稜線です。
そして、この中央に見えている山が、ふうたろう2個目の目的地、上河内岳。
上河内岳も近くなり、展望も素晴らしく、天気もまだ十分良く、これからが勝負所。
しかし、ふうたろうの足がひどく凝っていて、歩くのが正直つらい。後から来る人に抜かされるほど、です。
ガスがわき起こり、太陽を隠すようになると、周囲はサッと薄暗くなります。
ガレの縁を歩くルート。ロケーションは最高でも、足が痛くて集中力が…
景色最高でも、何度も立ち止まります。自分の都合にあわせて足に力が入りません。昨日までの疲労と、足の痛みと。
このあたりに小屋があったら幸せだろうに。聖平から茶臼までに、テン場か小屋がほしいです。
ふうたろう2個目のゴール、上河内岳。地図で見た感じよりもけっこう険しそうです。
南岳までやっとの思いでやってきました。…が、どうも、またふうたろうは道を外れたらしい。
…ま、今更だね(黒笑
ここからは富士山が見えます。富士山だから目につく、というのもあるかも知れませんが、富士山は形も高さも、目立ちますからね。
タカネコウリンカ(キク科)でしょうかね。まだつぼみっぽいけど、このあたりまで来て、やっと花の種類も増えてきました。
この上河内岳が見えるところで、ふうたろうひとまず大休止。靴を脱いで、足の痛みを抑えます。層雲峡から十勝岳まで縦走したときも、ツリガネ山の肩のところで休みました。あの時と同じです。
それでも、いつまでも止まっていられないので、出発。まだ上河内岳は撃破していないのです。
休んでいる間に、すっかり聖岳はガスに覆われてしまいました。青空に突き刺さっていた稜線が消えています。
さて、一時的に青空に突き刺さる上河内岳、行きまっせ。荷物を下ろしていけばいいのにといわれつつ、そのまま上昇です。
山頂には人がいますね。ふうたろう、やっぱり足の痛みと疲労で、表情が硬いような気がします。
この山頂で、2回目の玄米フレークを食べました。今度はたっぷりチョコペーストを入れて、ガッツリと。牛乳で癒されまくります。
さて、元気なおっちゃんに励まされ、ふうたろう、再出発。茶臼小屋まであと2時間ほど、がんばりましょう。
上河内岳の二重稜線の谷から気にはなっていたけど、ライチョウの鳴き声が聞こえます。ライチョウの親は、殆ど子連れです。なので、子を置いて逃げることはありません。むしろ、親が気を引いて子を守るとも聞いたことがあります。だから、決して威かしたりしないように。
しかし、山屋にとって、ライチョウは山のアイドルです。可愛いっす。
稜線の上はガスが覆っていて、暗い。昨日は笊ヶ岳の稜線が曇っていたけど、今日はこっち。ことごとく雲に追い回されるふうたろう。
ここは25000分の1の地図には「御花畑」と書かれています。しかし、畑というほど花は咲いていないな…。砂利みたいなのがたまっている場所で、湿原でもない…。
ここは御花畑っぽい湿原のようにも見えます。後ろを振り向いていまして、上河内岳が雲の中にぼんやり浮かんでいます。
これはギョウジャニンニク(ユリ科)の花です。最初は、こんな高山にギョウジャニンニクなんて生えているのかと思いましたが、あとでやっぱりギョウジャニンニクであることが判ります。
もうキツい上りはないと思っていたけど、茶臼岳と茶臼小屋の分岐手前に、ガレ場の上りがあります。今日ももう10時間くらい行動していて、疲れましたぞ…。
夕方になって、気温が少し下がったせいか、ガスの上昇は止まった気がします。
3個目のゴール、茶臼岳が見えています。展望はないだろうなあ、と思っていたけど、見た感じ岩山っぽい?
分岐到着。時刻15時47分。ふうたろう、茶臼岳に登ってから行くか、小屋でチェックインしてから行くか悩みましたが、天気の崩れもなさそうだし、空荷で行けばそれほど時間もかからなさそうなので、サクッと行ってしまうことにしました。
すっかり疲れてしまったふうたろう、岩の上に腰掛けて、ぼーっとします。しかも理由はよく判らないけど、若干ムカムカします。きっと、昨日から丸24時間行動している疲れに依るものでしょう。
ガスが行ったり来たりしていて、結局光岳(てかりだけ)方面は見えませんでした。
恐らく、山伏岳(やんぶしだけ、本来、「岳」は付けないらしい)方面。さっきと同じ方向を見ていますが、この岩場にも日が差したので、今一度。
崖っぷちに立って展望を楽しみましょう。ずっと立ち上がる気力というか体力が無かったのですが、それももったいないですからね…。
これが茶臼岳の標です。たぶん、一番高いところの標がボロボロだけども、そこにこれを立てるような場所がないので、ここに立てたのでしょう。
ガスが一帯を覆いました。ふうたろう、さっきザックを置いた分岐に、ヨタヨタしながら戻ります。
上空には薄雲などの、天気が悪くなっていくような雲はないので、まだ天気は持つはずですが、若干不安ですね。
普通ならこのくらいの坂を下って、また登ることはたやすいですが、今日はもう疲れ切っています。たぶん、チェックインしたら登る気を無くしてしまうでしょう。
結局、今日は小屋泊まりに決めました。明日、バスに乗りたいのと、今日はすっかり疲れてしまったことと。
小屋に着いた人々と交流するのは楽しみのひとつです。いやあ、今回もたくさんの人と交流しましたなあ。
谷に雲が進出してきました。ちょっと位置が高いので、雲海はきわどいところかな…。
夜飯は、赤飯パック2袋(350g)と杏仁豆腐。野菜などが食べたい今日この頃ですが、欲しがりません勝つまでは(何
19時前になったので、小屋のテレビで気象情報をば。どうやら、台風がかなり近づいていて、明日は天気が崩れていく模様です。ただ、まだ上空には薄雲さえないので、タイミングによっては朝焼けを拝んだあと、下山できるかも知れません。その絶妙なタイミングを味わえるでしょうか。
すっかり日も沈んだ頃、外に出て、再び大交流会(何
東の空にピンクの輪が。
写真撮りまくっている夫婦(奥さんの方がかなりハマっているが、ダンナの方がカメラはいいという不思議な組み合わせ)が妙にはしゃいでいるという件。
この小屋が稜線上にないことがザンネン。夕日も朝日も楽しめる小屋だったらいいのになあ。
今日も長い一日が終わります。
夜寝るとき、KYな宿泊客の二人くらいが、みんな寝静まっている中でごちゃごちゃ喋っていたので黙らせました。黙らなかったら小屋番にも連絡して、叩き出すかと考えたほど。コミュニティを守れない奴は山には要らない。
しかし、彼らのやかましさが無くても、今夜も蒸し暑く寝苦しい。台風の風がやっぱり吹き込んでいるんだろうなあ。
どうやら無事に茶臼岳まで達成できた模様です。あとは畑薙まで下山ですが、事故さえ起こさなければ、クリア同然でしょう。
しかし、昨日と今日で24時間行動は、さすがに調子乗りすぎたかな。相当バテました。ここまでのコース、3~4日かけても良いかもしれない。普通なら、5日コースかもね、全体では…
天気:晴れ時々くもり(静岡県静岡市・長野県下伊那郡南信濃村)
雨畑から笊ヶ岳を越えて椹島、
さらに聖平から茶臼岳まで歩いてしまうとは、私ならば5日間コース(>_<)
身体、バラバラに壊れませんでしたか?お尻は大丈夫ですか?
聖平から茶臼岳への草原や稜線から見る聖岳はいい景色ですね♪
私はすぐ、こんな所から星を眺めたいと思ってしまいます☆
さて、台風はどうなるのでしょうか?
赤の絶壁、読ませていただきますね♪
どうにもこうにも、歩いてしまいましたねえ…。かなーり厳しいコースだろうなとは思っていたけど、あそこまでとは。笊はとにかく悲惨なくらい大変でしたよ。バラバラは何とか回避できましたが、バラバラにしてネジの一本や二本、締め直したかったですね(笑
星、この夜はきれいでした。嵐の前の静けさってやつですよね。そして、次の日の朝も…