虹色の絶壁(三峰山(三畝山)福本(ニセ)コース:三重県)
昨日の夜、池袋を発車した夜行バスが、松阪(まつざか、ではなく、まつさか、が正しいようです)駅前に到着しました。保険をかけて、早いほうのバスに乗ってきて、6時半頃に着いたのですが、予定どおり着いてしまったので、7時25分の三重交通スメール行きのバスまで1時間ほどの時間が空きました。
このあたりはコンビニが少ないようです。まあ、ひしめき合っているよりは良いかもしれませんが。
ファミリーマートを発見したので、厚さ5ミリほどにそぎ切りにされた薄いうなぎが載ったうなぎ弁当を680円で買って食べました。そして、付いている薬味が、山椒ではなくなぜかワサビという件。
スメール行きのバス、途中、部活に通う中高生の集団が乗り降りしていきましたが、結局最終的にはふうたろうアローンになります。大石(おいし)バス停で運転手が新聞配達員に新聞の薄い束を渡したと思ったら、それが赤旗だったのでびっくりしたという話もあります。ひょっとしたら、表1枚だけだったかも知れませんが。
8時50分頃、バスが富永に着きました。昭文社の地図では、ここが三峰山(みうねやま、埼玉の三峰山(みつみねさん)と間違えやすいので、以後、三畝山と表記)最寄りのバス停ということになっています。
しかし、その一つ手前側に、F柳瀬橋というバス停があって、そちらの方が実をいうと近い。なお、"F"というのは「フリー」の略らしいけど、何がフリーなのか判りません。
さて、これからまず、登山口までの登山が始まります。ふうたろうの旅はいつもそれからです。
さっきの看板を見たか。何と、登山口まで9kmもあるんだとよ。これは2時間コースですぞ。
歩いて25分ほどで、分岐点です。ここから右折して、更に奥に進みます。残り7.4km。
清涼な沢がザンザン流れています。先日の台風で、相当水かさが増していると思われます。
時々地元の人が作業していたり、どこに行くのか判らないけど車が通っていたりしますが、100リットルのザックを担いで登山口まで歩いているのはふうたろう一人です。
水が手の届くところに無尽蔵に流れていると、浴びたくなります。暑いからねー。そのうち、タオルを濡らして、首に巻きます。
このあたりに細い近道が付いているはずなんだけど、どうやら地図にあるだけで、実際は消えているようです。地図は生き物、ですなあ…。
空はモヤモヤしているけど、時々晴れます。気温は不思議と、低めのようです。もちろん、それでも歩いていれば暑いし、妙に湿度だけは高いですけどね。
道が沢になっています。靴擦れで、逆に靴の方に穴が開いているので、水が簡単に入ってくる構造になっています。防水加工されていても、これではたまったものではありません。しかし、ここはまだ浅いので大丈夫。
このように、滝みたいに流れていると、素早く抜けなければ、ずぶ濡れになります。
ま、急いては事をし損じる、慌てる乞食は儲けが少ない、急がば回れ、などという諺は、ふうたろうのためにあるようなものですね。涼風に当たりながら、真夏の三畝山登山口に向かいましょう。
ところで、台風一過で林道は所々崩壊しています。こういう林道というのは、雨の度に崩れるのでしょうけど、車の人は大変だろうなあ、と。ふうたろうはどこでもスイスイ(黒笑
とはいっても、作業を止めてもらってから進まなきゃならんので、挨拶はしっかりと。トラックのおっちゃんが登山口まで乗せていってやるぞと言ってくれましたが、ふうたろうのやせ我慢根性で意地でも登山口まで歩ききるのです。
そして、念願の登山口到着。ここが、福本登山口。ここ使う人、どのくらいいるんだろうなあ。
福本登山口からすぐに道があって、真上にふうたろうは向かいます。しかし、何となく道があるような無いような感じの行き止まり風の場所に行き着いてしまいました。たぶんこれはアリだろうと思って進むわけですが。
早池峰山の平津戸コースなみの不安定な橋は渡る気がしなかったので、石を飛んでいきました。
ああ、沢が大量に発生しているなあ。
…クキャッ!
Σ(・・;)"
ドッッパーーン
掴もうとした太い木が、丸ごと腐っていて、バランスを崩しました。そして、そのまま渡渉しようとしていた沢の中に左半身が落ちました。100リットルザックに重心を持っていかれるので、転んだらチーンですから。
いや、冗談じゃない。こんな登山口直後で全身ずぶ濡れなんて、しかも、これから結構長い旅路になるのに、まじで勘弁です。下手したら、全滅ものですよ?断じてそんなこと…!
ふうたろうは全身ずぶ濡れ。左半身の水が右半身にも浸透して侵していました。靴は例外的に最初から右もずぶ濡れですが。
さっきから首に掛けているタオルを固く絞って、休憩の度に水を吸い取ります。しかし、豊富にわき出る水。さすが、台風直後の水の量は違いますな(爆滅
自然は火がきらい
全身ずぶ濡れに進化した俺に向かって何を言うか(滅
…ふうたろうは、過剰な水の方がきらいです(泣
そして、このルートは何気に一般登山ルートとは違っていたという件。いつの間にか、ものすごい急坂を直登していますよ。諦めてGPSを点けたら、一本東隣の尾根を這い上がっているんですけど。全身ずぶ濡れに進化したくせに。
掴んだ木が、今度はヌメっていました。何かと思ったら、粘菌なのか、それともキノコの類なのか、生えていました。
ああ自然が豊かだなあ(棒読み)
思わず迷い込んだ、ニセ福本コースにもいつか終わりはあって、やっと、人の足跡がありそうな場所に行き着きました。坂が一気に平坦になれば、そこはもう山頂近し。
そして、山頂到着。
でも、あれだけがんばって登ったのに、ガスッてるね。
倶留尊山(くろそやま)が見えています。でも、案内板がないと、倶留尊山と判別するのはつらいですね。このあたり、奈良県御杖村や曽爾村、三重県名張市のあたりには、おもしろそうな里山がたくさんあります。
パンをかじりつつ、濡れまくった靴と靴下を少しでも脱水して、出発を粘ります。でも、これから高見山まで、そんなに楽でもなさそう。早めの出発に超したことはありませんから。
途中でカメラを持ったおっちゃんと出会いまして、しばらく一緒に歩いていました。山の交流はいつでも楽しいものですなあ。
台風で引きちぎられた葉っぱや枝が地面を埋め尽くしています。簡単に道迷いを招いてしまうので、油断大敵。
この高見山までの縦走路、もちろん三畝山の周辺全体として、樹林帯ですから展望はあまりありません。しかし、崩れていたり、がけだったりするところは、たまにこうやって展望できるところも。
白髪山。何気に、ここまではそれほど労せずしてやってきました。しかし…
あの白髪山を越えてからがこの縦走路の本当の恐怖が始まります。
25000分の1の地図にはこのルートはありません。県境の線上を歩くわけですが、尾根が分かれているところは厳重警戒です。間違ってしまうととんでもないところに流れていきます。ふうたろうは、GPSと25000分の1を見ながら、歩いていますが、それでも時々ぼーっと歩いているとコースアウトします。
もう一つこのルートの大変なのは、小ピークが多いこと。たった10~30m程度の小ピークが殆どですが、それが積み重なると数百メートルになるわけです。これがまた…
当然、25000分の1にも、場所によっては昭文社の地図にもない、その山頂に行かないと、名前が判らない山がたくさんあります。ここはその一つ、水無野山…って書いています。大滝山の一つ二つ手前のピーク。
たかが数十メートルの下りと思っていても、それは地図上で見れば大したことないと思っていても、見下ろせばすごい急坂だったりします。
ぬかるんだ急坂は滑ります。その悲惨なくらい歩きにくいところをよじ登って、大滝山。
時々利く展望。でも、ガスっていてパッとしないので、あまり嬉しくない…。
この請取峠(読み方?)は、地図とは場所がずれています。地図に線のある場所には、道は一切ありません。しかも、このあたり最近なのか、崩落してとても歩きにくくなっています。
進んでいくと、ここからの小ピークの連続もまた地獄を極めます。歩いてきた距離も長いので、かなり堪えます。もちろん、靴が濡れていて不快度も増していますし、たまりません。
ここは794mの奥の山。
奥の山を過ぎると、次に250mアップの坂に入ります。これを登り切れば、台高山脈に入るのでしょうか。
その大きな上り坂を登り切ると、トクマ山という標があります。地図上とはひとつピークがずれていますが、この時点でもはやそれを気にかける気にもならんという。時刻18時25分。
巻けそうなピークは巻きながら進みますが、それでも安泰ではない。暗いぞ。ヤブだぞ。
何だろ、この変な機械は。こういうのがあると、近くにテントを張るのはイヤになるので、結局先に進むことに。
そして、この標のあるところまで、結局来てしまいました。その分岐のところでテントを張って。ブヨに思い切り噛まれながら、テント設営はたまりません。
テントに入ったら、玄米フレークに牛乳とチョコペーストをかけて、ザクッと食いました。とてもじゃないけど、何か重いものを食べる気にはなれません。でも、不思議と気分の悪さもなく、気色悪い悪夢は見ましたが、比較的安寧に夜を過ごしました。
靴が明日の朝までにどれだけかでも乾けばいいのですが、それは期待するだけアホを見るので、占いを信じるレベルで。明日のことは明日にならないと判らない。結局そういうことです。
明日は高見山を越え、国見山を越え、明神平に行って、大又バス停にそのまま下ります。実は、ふうたろうの念願は明神平にありますが、叶うでしょうか。
天気:くもり時々晴れ(三重県松阪市・飯南郡飯高町・奈良県宇陀郡御杖村、移動中は含まない)