山の上と山の下(上蒜山槍ヶ峯コース:岡山県)
今朝、もちろん起きても空模様は相変わらず、ですよ?夜中中ずっと、暴風雨でしたから。これが小屋でなくて、テントだったら…
ああ北アルプス朝日小屋のテン場を思い出すなあ(棒読み)
降っていたのは雨だけでなく雪もまた。たいそう湿っていて、タチが悪そうですな…
朝はチーズをドヴァッとかけた(入れた)68円の激安カレーで朝食。肉が入っていなくて安全に食べられるカレーなのです。
その間に、やっぱり辺り一面モッサリと濃霧。
しかし、いつ頃出発するかを悩みつつ、何となく空の様子が変わりそうだなと思っていた8時過ぎ、雲が切れ始めました。
この劇的に変化する予感が、山の天気のたまらないところでもあります。
上空はよく晴れているようです。低い雲だけが飛び交っています。
イナヅマのように片づけて、出発。片づけ終わるまで10分かからなかった。お日様の力は偉大なのだ。
鳥取県側、日本海まで見えています。寒気が入ってきているのですが、その流れ込みがまだ弱いのでしょう。ガチ12月といっても、やっぱりまだ初冬ですな。
広大な笹原。これ、雪が積もったりしたらたまらんだろうなあ(恍惚
その正体は虹ですな。時雨(しぐれ)が朝日を浴びて七色に輝いております。雨と太陽の反作用現象。
清々しい笹原。もちろん、こんな笹原を漕がされれば、二度と来たくなくなるでしょうけども。
しかも、上蒜山の最高点、1202mの分岐点は樹林帯という罠。
この辺は雪が少し厚いような気がするけど、それは本当に「気がする」程度でしかない。
いちおう道標がこのヤブの奥に「1202m」を指しているので行こうではないか。
しかし、いってもこのしょぼい三角点がひとつあるだけで、さっきのところと、展望に関しては五十歩百歩。天気はもはやいうまでもなく。
晴れるまで待ってから、せめて下山したいと思い、頭上をかすめていく晴れ間を見送ること1時間。
この辺、樹林帯が剥がされていて、ガスがなければ大展望だろうと思いますが…
待つこと35分。さっき上蒜山最高点で1時間待ったばかりなんだけどね。
ふうたろうがここで待ちぼうけしていると、下からおっちゃんが登ってきました。どうやら、おっちゃんが晴れ間を運んできたようで、劇的に天気が変わり始めました。
大山山麓のはっきりしたひだが見えてきました。このひだ一本一本が雪と雨で、長年刻まれてきた谷なんだと思うと、気が遠くなりますね…。
セシウムの半減期30年は、人にとっては猛烈に長く、自然にとってはそれほどでもないんでしょうね。
南中高度が、夏に比べ随分下がった太陽。まともに南から差し込もうとしています。
日本海まで見えてきました。米子市や大山町などは晴れているのでしょうね。
久しぶりの青空は青く見える。本当に青いのか、心がそう思わせるのか。
あの雲のかかっているのは皆ヶ山(みながせん)山塊。昨日や今日みたいに、笹にまでベタ雪塗りたて状態でなければ、ヤブを漕いででもあちらまで行こうかと考えたのですがね…。
おっちゃんと写真のことやら何やら、色々話をしていたら、待つのもそれほど苦痛ではないし、晴れてきましたから、ね。
おにぎりをいただきました。少しご飯が干飯になっていましたが(笑
皆ヶ山上空と、大山の東面はガッツリ晴れました。非常にいい景色ですね。
それにしても、展望では上蒜山よりも、中蒜山や下蒜山の方が良いし、歩いていても清々しいのに、200名山を「上蒜山」にしたのは何故だろうなあ。
もっとも、ふうたろうはこの蒜山三山を200名山だと思っていますが、ね。
槍ヶ峯から上蒜山…は、ちょっと手前の尾根が邪魔で見づらいですな。
その代わり、麓まで続く笹原と森林が遠近感を持ってガッツリと堪能できます。
雪化粧している伯耆大山。夏の伯耆大山は見たことがないなあ。2007年に、N民連青年部で来たときは、めちゃくちゃ天気悪かったし。
眩しくて、撮ったあと、プレビューを見られないんだよね…。明るさ・暗さがよう解らん。
かなり段差の大きい階段状の道。いや、「状」ではなく、そのものかな。
程なくして日和雨になりました。しかし、この日和雨というのは気持ちがいいものですね。雨と晴れの反作用コンボは両方を楽しむ絶好の機会。例えば、虹とかね。
これは、冬、雪が積もったときに登ってみたいですねえ。ふうたろうが住んでいるところからは、雪のある山に気楽に行けないのが(デイパックくらいで行きたいのだが)いつも悩みですな。100リットルザックで歩くのは辛いのですよ。
そして樹林帯。おっちゃんと話をしているので、急坂も若干辛さが紛れます。
そして下山。距離自体短いのに中蒜山避難小屋を出てからゆうに6時間は経っていますな。
牧草地が広がっています。ここも雪原になったらたいそういい風景なんでしょうなあ。おっちゃんがデジカメに残っている写真を見せてくれたけど、羨ましい限りで。
腐った木で柵がしてあるけど、何の意味があるのか解らなかったり。
伯耆大山の裾野にある烏ヶ山。数年前の地震の時に登山道が崩壊した、らしい。
ふうたろう、帰りのバスは米子からですが、米子まで行くバス便などを調べていません。…が、気楽、あまりにも気楽すぎです。
実は、先刻のおっちゃん、この地に別荘を持っていて、そこにお呼ばれしてしまいました。奥さんが手作りピザを焼いて待っていましたが、ふうたろう、ベーコンが入っているので不安さを隠さずに食べていました。
…こういうときは正直に言った方がいいと思いますわ。
そして、石狩汁。酒粕もそれほど得意ではありませんが、まあ、何とか食べられます。それにしても石狩汁(粕汁)なんて何年ぶりに食ったかな…。
バス便がまったく不明なまま、15時過ぎまでマッタリしていました。…というか、動くに動けなかったという感じでしたけど。
というわけで、おっちゃんに鳥取県側のJR伯備線江尾駅まで乗せてもらう運びになりました。
ほんと、ふうたろう、毎週毎週、手助けを得ていますね。しかし、今回のは実は、2月の高原山下山の時並みにやばかったのです。
この時刻表を見よ!
これを見ると、この周辺のバスが、予約必要なデマンドバスになっています。登山の、特に下山口なんて実際どんなことがあって下れなくなるか解らないのに、予約なんかできるか。
おっちゃん、話しているうちに、昔の話をしてくれました。ふうたろうにとって驚くべき事実だったのですが、それはまあふうたろうの中にだけとどめておくとしましょう。
ま、世の中狭いなあ、と(何
で、ここは江尾駅。
米子方面の電車まで30分ほどあったので、この駅前の商店街を少しウロウロ。
…一見寂れていないように見えたけど、やっぱり空き家・廃屋はけっこう多い。スーパーのテラスも破れてボロボロ。駅舎で婆ちゃんと話していたけど、この町並みもボランティアで支えられているとか言ってなかったかな。ボランティアで支えないと潰れるなんてのは、もはや人の営んでいる町ではない。
駅舎で会った婆ちゃん、話し相手ができたようで喜んでいましたが、ふうたろうもこうして話をするのが何よりの醍醐味ですんで。
空の時雨雲が夕焼け色になる頃、電車が来て、米子に向かいます。
米子駅に着いたら、今夜21時発のバスまで4時間弱あるので、風呂に行きましょう。さっきおっちゃんの別荘で地図を見ていると、この米子市には皆生(かいけ)温泉があることが確認されましたので、それは行かない手はないと。バスで向かいましょう。
海岸沿いにホテル街がずらっと並んでいて、温泉街というよりもホテル街になっていました。温泉街といえば、蔵王や万座などを思い浮かべるふうたろうですが、この温泉街はほんとに街です。
そして、肝腎の風呂ですが、これが350円で入れる健康ランドだったという罠。鳥取県米子市まで来て、更にバスで海岸の温泉街くんだりまで来たのに、入ったのは健康ランドだったという罠。
ああいい湯だなあ(棒読み)
皆生温泉街で、まず風呂で転けたふうたろう。健康ランドに入るなんて屈辱以外の何ものでもないので、せめてその中のフードコートでメシを食うなど、自傷行為に走ることだけは避けました。
で、如何にも地元市民がやっていそうな食堂を探したのですが、この看板がふうたろうを射止めました(黒笑
(`∀´)ニヤリ
レストラン「たつ美」。小さい方の看板には、なんと、ファミリーレストランと書いてあるのです!
その「ファミレス」に入ったら、どう見ても地元で暮らしているおっちゃん(客)と、店の主人夫婦がいました。奥さんは電話を受けては料理を盛った盆を手に、出前に行っています。
うんうん。そんな光景、ファミレスじゃ絶対無い。
そして、メニューの中に「たつみ丼」なるものが目にとまりました。
(☆.☆)きらーん
ふ:「この『たつみ丼』って何ですか?」
主:「イカと、魚と、エビと、野菜類を載せた丼です。」
ふ:「え?天丼ですか?」
主:「タマゴで絡めて… フライを載せて玉子で閉じています。」
ふ:「…じゃ、それで夜露死苦。」
で、出てきたのがこれです。一見天丼の卵とじですが、やっぱり中身はしっかりフライです。しかも、ナスやピーマンまでもフライというのが猛烈に斬新で、ふうたろう感動。
え、味?ふうたろうは美味かったけど?
奥さんや客で来ていたおっちゃんと、15分くらい話をして過ごしたあと、駅に戻ってきました。皆生温泉は\(^0^)/オワタだったけど、たつ美は良かったなあ。
駅に戻ってからまだ1時間弱あったので、歯磨きや土産物を済ませ、それでも余った時間は、駅の中にあったテレビで、バレーボールの日本×ブラジル戦を見て過ごしましたとさ。
21時の米子駅前。やっぱり地方都市、静かです。夜はこうでないと、ね?
この後、4列シートのバスで東京に帰ります。3列シートのを予約したかったけど、確か満席だった。いやいや、通路側だから外の景色も見られないし、居心地最悪でしたな…。
というわけで、雨と寒さにやられた一日目、待ちぼうけしまくっても晴れなかった上蒜山山頂、どうなるかと思ったけど、それからがふうたろうの旅の本領発揮でしたね。色々悩んでいたこともあったけど、改めてみんなの優しさにも触れたし、皆生温泉のザンネンさとたつ美の"ファミリー"さも楽しかったし、改めて、多面的な旅だと思えました。雨も雨で済まずに虹まで見せてくれた。山は、山や自然の大きさだけでなく、人の社会の大きさも教えてくれているものなのかもしれませんね。
いや、いい旅でした。
#158蒜山三山・上蒜山クリア。
天気:晴れ時々雨、朝まで雪で強風を伴う(岡山県真庭郡八束村・鳥取県東伯郡関金町・日野郡江府町・米子市、移動中は含まない)