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雪の毛布(黒法師岳・寸又峡前黒法師岳コース:静岡県)

2012年 2月 17日

 東名高速道路を経由して浜松に向かっていた夜行バス、「キラキラ号」。場所は定かではありませんが、凄まじい渋滞に引っかかっていて、これは浜松5時半に間に合わないこと必至だ、と、諦めモード。しかし、以前、別ルートではありますが、キラキラ号は、50分遅れています、とか言っときながら、それでも最終目的地に早く着く、恐るべきマジックがありました。どこで時間を稼いでいるのか判らないけど。路線バス型の高速バスだと遅れを取り戻すことはないので(しっかり休憩時間も長い)、ある意味ありがたい。キラキラ号の場合は遅れも加味して、かなりのマージンを取っているのかもしれません。
 とりあえず、今回も浜松に5時過ぎ(予定は5時半)に到着し、予定していた5時34分三島行きの電車に乗れました。


 金谷駅で乗り換えです。ここからは初めての路線、大井川鐵道。6時17分発で、おにぎり2個食ったらふうたろうは力尽きていたので、途中の景色は覚えていません。


 程なくして千頭駅到着。千頭は「せんず」と読みます。思ったよりもモダンな駅の造りです。


 駅前から寸又峡温泉行きのバスが出ています(ここはもう寸又峡バス停ですが)。
 大井川鐵道バス。マニアの作ったようなバス時刻表が、検索で上がってくることがあるので、必ず大井川鐵道のホームページから拾うようにしましょう。


 ここは終点の寸又峡。
 順序が逆になりますが、大井川鐵道とバスの接続は、恐ろしいほど良すぎるので、トイレに行く時間もジュースを買う時間も靴を履く時間もありません。待ち時間のマージンは、せめて20分は取ってもらいたいです。


 久しぶりの山行です。2泊3日は今年初です。荷物の重さ、生化学にうつつを抜かしていたふうたろうのナマクラ心の臆病風、そんなものが影を落としている、登山開始の瞬間。


 寸又(すまた)峡は、「峡」というくらいなので、断崖絶壁です。道路すぐ横が崖。景色がいいんだ、これが。


 道路の途中にぽつんとあるトイレ。このトイレは、排水はどこに繋がっているのかなあとか思いつつ、通過。


 ふうたろうは黒法師岳(前黒法師岳)登山口に向かって進んでいて、トンネルをひとつ潜ろうとしています。今日は代休を取って平日に来ているので、勤めの工事関係者の車両がたくさん通っています。


 ん?(・ε・)
 こんなところに…水場が。ちゃんと水質検査もしている、とか。山の中、特に土の中を通ってきたのなら、大丈夫だと思うんですがね。火山の場合はシアンや重金属の類などが不安だけど。


 あの真正面の山が、黒法師岳に続く尾根です。ここからざっと10km前後あると思っていいです。


 帰りはここを通らない予定でいるので、「夢の吊橋」を通ってみますか。下らないと行けないのがネック。


 ダムっぽい川にかかっている吊り橋。


 今日は冬型の気圧配置で、強風が吹き荒れています。吊り橋も若干揺れます。
 しかし、風屋貯水池や二瀬ダムのアヤシい大吊り橋を歩いてきたふうたろうにとって、この程度なんてことありません。


 右手の標には「くろう坂」と書いてありますが、ふうたろうは、荷物が既に苦労です。隣のテーブルと倚子に腰掛けて、一つ残っていたおにぎりを食べます。


 林道に出ます。寸又川を遡上する方向に、トイレと自動販売機があるようです。山の中に自販機は要らんでしょ。さっきみたいに水汲めるところを探した方がいいんじゃない?それとも、水力発電で、電気余ってる?


 登山口手前の検問所(?)。飛竜橋の袂にあります。ここで登山届も出しておきます。工事現場のおっちゃんが一人立っていて、車両に注意してくれと。


 それでは、しばらく車道を進みます。そして、程なくして前黒法師登山口が現れます。


 この崖を崩したような登山道を登り始めます。さあ、今年いちばんの決戦ですな(まだ2月だけど)。


 こういう系統の山、奥多摩のような下の方から登る山の系統は、いきなり急坂が手荒な歓迎をしてくれます。とにかく、ふうたろうは荷物が25kgくらいあるので(量ってないけどいつも通り)きついの何の。


 この山の中に、元々集落があったとか。確かに、石垣を積んだような箇所が何個も。


 やっと樹林が途切れるところ。あれは朝日岳。ふうたろうは、大無間山を田代(井川の奥)からあの朝日岳まで縦走しようと狙っています。今回の黒法師岳~寸又高塚山の縦走とどちらがハードかなあ。


 2回目の林道に当たります。登山口からだと、これが初めての林道、かな。そこには、窓の破れた小屋と地層がはっきりした斜面とがあります。


 この林道の端から朝日岳と北に延びる尾根がよく見えます。


 引き続き登山道を登ります。林道を数メートル下ったところに登山道が付いています。


 尾根を直登するような、若干斜めを切るような、中途半端な坂の登山道ですが、きついのには違いありません。500~600m前後の登山口から1943mの前黒法師岳まで、断続的に急坂を繰り返して突き上げるように登りますから。


 ああ朝日岳がきれいだなあ(棒読み)


 深い針葉樹林帯。雪がないのがせめてもの救いですが、下界から見えていた黒法師岳界隈は確か白かったと思います。


 栗の木段。…と書いてある。何の変哲もない樹林帯ですが、遂に雪がうっすら出て来ました。無尽蔵の水場を提供してくれる雪なので、無いなら無いで命の危険すら感じますが、あるならあるで、また不安もあるのです。


 遂に雪が積もり始めました。そろそろアイゼンの出番です。


 そういえば、イワカガミのパラダイスだとか何とか。確かに、赤茶けたイワカガミの葉がありますな…


 まだ前黒法師岳にもほど遠いのに、もう12時を回りましたか。この心臓が破裂しそうな坂は修行と言うほかありません。


 この急坂を見よ!


 そして、その斜面に雪とかがこびりついていたら、もう拷問ですね。吐く、吐くから許してくれー(何


 白ガレの頭。…と書いてあります。ここから、若干展望がいいですが、雲行きがアヤシいんですよね、さっきから…(¬_¬;)


 ただでさえ薄暗い濃密針葉樹林帯。


 白ガレの頭からしばらく、比較的平坦です。それでも、荷物が重く、足も重い。


 雪がいよいよ深くなってきました。前黒法師岳に近づけば近づくほど、みるみるうちに層が厚くなる雪。数メートル登るだけで肺が風船になりそう。


 雪が柔らかいような固いようなで、歩きにくい。


 日が殆ど陰ってしまいました。寒気の底がおそらく今夜にやってきます。そのプレリュードとして、今の悪天候の走りがあります。


 今日はかなりの厚着をしていると、ふうたろうは思っています。しかし、この寒さは何だろう。そう思っていたら、鼻毛に先立って水筒の水があっさり凍りました。温度計は日向国見岳で吹っ飛ばしてきてしまったので計れませんが、おそらく-15℃前後まで下がっていると思います。


 死ぬ思いで到着した、前黒法師岳。これでもまだ黒法師岳まで、半分来ていないというのだから、気が遠くなるし、目も遠くなる。


 ところで、この伐採で無理矢理展望作りました、的なやつはやめてほしい。マジ萎えます。そもそも、曇ってるし(滅


 さて、先へ進みます。今日から3日間で、高塚山を経由して寸又峡温泉に戻るので、まだまだ、進まないとだめです。


 しかし、樹林帯の深雪ゾーン。しかも、ところどころ倒木もあるとか、やっぱり厳しいコースですな。


 笹が出て来ました。雪に埋もれた笹が。


 程なくして、林道との出合。登山コースは真正面の尾根の方に続いていますが、既に青息吐息のふうたろうに尾根を越える気力は残ってないと。


 遥か後方に前黒法師岳。ええ、1kmも後に。
 …全然進んでねえ(滅


 とりあえず、林道進みます。雪積もってるけど。


 展望はいい。尾根の方もいいみたいだけど。


 ああ笹の雪かぶり斜面が美しいなあ(棒読み)


 雪の舞う景色。むしろ吹雪だけど。


 だだっ広いところに出ました。今日はここいらで終わりにしますか。既に時刻16時46分。日没45分前。


 それにしても、いつもなら紐に団子状に凍った雪がこびりついて始末に負えないのですが、今日はまったく凍っていません。こんなの、今までになかったような気がしますが?
 …ああ気温が低くて幸せだなあ(棒読み)


 今夜もスパゲッティ。チーズとトマトソース系があれば、タンパク質と有機酸が疲れを癒してくれます。タバスコとニンニクも忘れずに。


 19時頃には寝ました。
 外では雪がテントに叩きつけられています。直径3ミリほどの雪の結晶が吹きだまっているところがあります。昼間の寒さの割に、夜中は雪の毛布で寒さは和らいでいます。風も強いのに。
 キラキラ号で中途半端な眠りしか取れなかったふうたろうは、この雪の毛布にくるまれて快適に寝ましたとさ。
 明日は朝から晴れるといいなあ。


天気:晴れのち雪、夜は強風を伴い強く降る(静岡県榛原郡本川根町、移動中は含まない)

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