沈みゆく大地の果ての小屋へ(清水沢駅から夕張岳ヒュッテまで:北海道空知支庁)
はまなす号が南千歳に到着。5時25分・・・と思ったら、短い針が6時を指しています。どこかで貨物列車が故障して、1時間くらい立ち往生していたとかナントカ。ふうたろうらしい罠だけど、残念ながら次の電車は3時間待ちなので、影響できなかったという罠。素直に喜べないんだよなあ(棒読み
2時間後の8時29分に、本日初発のスーパーとかち号が来て、乗ります。これから、30分ほど乗って、新夕張駅に行きます。
新夕張駅では乗り換え時間に余裕がなくて、あのクソ重い100リットルザックを担いでは、駆け込み乗車なんてできませんから。まあ、乗り継ぎの客を、鈍行・夕張線が待っていてくれたので助かりましたが。これを逃すと、約3時間待ちという大罠が待っています。たぶん、新夕張駅から直接夕張岳に歩いて登った方が速いだろうと思います。
が、無事、9時15分少し遅れで、最終目的地駅の清水沢駅到着。なお、この駅の一つ新夕張側に、南清水沢駅が存在していて、若干ミスりそうな不安に駆られました。
しかし、この車両、かなり古そう。あの、行き先を示す看板のことを何というのか知らないけど、あれが錆びまくってて一部読めないとか、スゴすぎるでしょ。でも、廃線なんて決してしてもらいたくないね。公共交通の維持は社会的責任です。
駅には駅員がしっかりいました。無人駅に、東京からの切符をポイ捨てするようなこともそれほど少なくはなかったこれまでの旅ですが、今回はポイ捨てしなくて済んだようです。
しかし、廃業して久しい店とかを見ると、それでも切なくなります。
道路脇にムラサキツユクサ(ツユクサ科)が咲いていました。そういえば、この草が放射線の影響の指標になるとかならないとかいう噂をどこかで聞いたな…。
タクシーの運転手に呼び止められ、夕張岳まで歩いていくと言って驚かれてから、国道452号線に出て来ました。一切れ250円の夕張メロンがあるようなので、話の土産にでも寄っていきますかな。
冷えた夕張メロンをいただきます。
思えば、財政破綻とやらで有名になった夕張市だけど、何よりもふうたろうが初めて知ったのはこのメロンでした。産業だってあるし、人だって暮らしている。なぜ「破綻」したんだろうね?そもそも、財政「破綻」って何だっけ?
ま、生け贄にされた感のあるそんな話は、ふうたろう、実を言えばそれほど興味がなく、先に進みます。日本全国、町に対する思いはみな同じ。ふうたろうはその中を、ただひたすら進むのみ。
これは夕張川。シューパロ湖の大夕張ダムより下流です。大夕張ダムより下には、清水沢ダムというのがあって、それゆえにこんなに湖か池のようになっているようです。
空は曇りっぱなし。明るくなったり暗くなったりを繰り返しているようですが、晴れることはありません。
車道歩きの集中力は30分が通常は限界。でも、道すがら花を愛でたり、山菜を採ってみたりと、何かに目を向けることで、その限界時間は延長もできます。
清水沢集落から南部集落へやってきました。夕張メロンを食いながら談笑していたのもあったので、9時20分に駅を出てから1時間24分後の10時44分です。
ノコギリソウが咲いています。この道沿いなどには、ノコギリソウに限らず、多くの花が咲いています。特別珍しそうなものは、そんなにはないとは思いますが。
建物には、「生協」の文字が見えました。が、今はこの通り、朽ち果てています。
原野というか、ヤブというか、そういうものが広がっているのが基本です。
ところで、南部地区を歩いているのが11時頃なので、そろそろ昼飯を考えようかという頃。せっかくまだ街にいるのだからと。しかし、この「光弁当」さんは、予約でしか弁当を受け付けていないそうです。そりゃ、作り置きしても買いに来る人いなきゃ無駄になるだけだもんな…。
なお、清水沢から歩いてきたと言ったら、初めてそんな奴を見たと苦笑されました。
最期の道具屋で薬草を買いました。これを一つ食べるとHPが30回復(違
実は、清水沢駅からこの南部まで、バスが出ています。しかし、清水沢駅初発が12時。やっぱり歩いた方が早い。今ここにいる時点で12時になってませんからね。
なお、このバス停は、光弁当のすぐ先、郵便局や派出所のある辺り(地図で確認)です。
→夕張バス
おそらく役に立たないけど、念のため。乗れれば7.5kmほど稼げます。その先、18kmくらい歩くけど。
南部バス停には公衆電話があります。っていうか、注意書きがなぜか妙におもしろかったので載せときます(何
…どんなマヌケな事故だよと(黒笑
昔はここにも鉄道が走っていたのでしょうか。車両が保存されているみたいですが…。
ん?(・ε・)
あそこにトンネルがありますな。ということは、もうシューパロトンネルですかな?南部バス停からヤケに短い気がするけど…
しかし、まっすぐ進もうにも、吉野竜門岳(奈良県)の大蔵寺なみの激しい拒絶反応の看板が目について、進む意欲を失うんですよね。
…でも、このトンネル、やっぱりおかしくない?地図にあるシューパロトンネルは、どう見ても長さ500mそこそこだべ?
この指導標(?)を見ればは判るけど、長さ2310m。地図で言えば9.24cmに相当します。25000分の1の地図はどう見ても2cmほどしかない…。
っていうか、バイクやら車やらの音が響いて、クソうるさい(滅
やっとトンネルを抜けました。終わりのないトンネルはない(何
トンネルを入ったのがちょうど12時の鐘が鳴るときでした。今は12時30分。ちょうど30分かかりました。
なお、このトンネルの中には25mおきに指導標があるので、自分の歩数と距離の関係を調べておきました。概ね、34歩で25m。100mなら136歩くらいですか。ってことは、1000km歩いたら136万歩(黒笑
どこにいるのかわからない。どうやら地図にない場所のようだ(ドラクエ7風に)
どう考えても高架。そして、右奥に、登山道へ続く林道へ向かう白銀橋が見える…。
この高架の下に道路が一本ある。あれが、ふうたろうが元々歩こうと思っていた道に違いない。
そろそろふうたろうは気が付くべきでした。なぜこんなトンネルや高架道路が造られたのか、を。
そろそろ旧道(?)に下りないと、白銀橋にたどり着けません。どこか、下りる場所は…。
よし、あそこから下りられそうですぞ。
しかし、その道は工事関係者用の道路でした。今は昼休みか何かで、重機も稼働していませんが…。
この道の先には、工事現場の労働者の休憩所があります。ふうたろうはその側を何食わぬ顔で通過します。
ひいき目に見ても「銀」に相応しくない白銀橋。錆び方は尋常ではない。
またもやここで拒絶看板。
…さっきからまさかとは思っているんだけど、ここ、ダムに沈むんじゃないのか?なぜこれ以上ダムが必要に…?
登山口の看板に並び、「テロ対策重点警戒中」とか。誰がこんなところでテロ起こすんだよ。
その隣には、高山植物を大事にしろとかゴミを捨てるなとか、そういう系統の注意書きが並べ立てられています。殆どの人間にとって不必要な大開発による自然破壊は正義で、少し高山植物を踏んでしまったり、ゴミを風に飛ばされてしまったりしたら悪魔のように扱われる。まあ、極端な書き方だし、これはこれでだめなことだけど、戦争による殺人と個人の殺人の違いみたいなもんかね。「正義の」戦争と凶悪犯罪との構図、みたいな。
ふうたろう、この場で怒りが治まりませんでしたよ。
これがないと、夕張岳へは登れません。錆びていても、朽ちていても、大事な橋です。渡渉の経験がある人は、橋のありがたみを絶対知っているはず。
この原野には笹とふきとワラビが生えています。ワラビ、少しだけ採っていこう。あわよくば、検査に回せる…と思ったけど、全然量が足りません(最低280gは必要です)。
つぼみのヨツバヒヨドリがいました。晩夏になると咲き始めます。
砂利道を進みます。車がすれ違ったり追い越したりし始めます。みんな、夕張岳ヒュッテに向かうの…?
この見事な原野は見ているだけで良いと思います。ちょっと中でタケノコ掘りでもしたいね。
土砂がうずたかく積み上げられています。ま、でもこんなの可愛いもんですな。ただ、道を車が通れるようにするだけだもんね。
…さっきまで明るい晴れだった空から、小雨がぱらつき始めました。そうか、合羽を出すか…。
あの高架は何だろうな。
どうも、この先の道路と合流するようですが、ダムに埋まるので新しい道をもう作っているということですかね。
雨が本格的に降ってきました。…強い霧雨というと変な日本語でしょうか。
この手前あたりで、「乗ってく?」コールをかけてくれる人が!
…でも、ふうたろうはここまで20kmくらい歩いてきた。ここで諦めるわけには…。
こんな自然豊かな中に、何か大規模な工事をやっています。工事現場のおっちゃんの話によると、ダム工事に伴う廃棄物を処分する場所を作っているのだそうです。しかし、後述する夕張岳ヒュッテで出会った、誰か忘れましたが、言っていました。現実は、埋められていた廃棄物処分場がダムに埋まることで水質に問題が出るため、それを移動させるのだとか。
…どこまでこの計画、ひどいのか。いや、このダム問題、どこかで情報を手に入れないと。まだまだ知るべきことがいっぱいあるはず。
そして、林道のゲート。6月16日に開かれ、奥に進めるようになったようです。
地図を見ると、あと10km前後あるかどうか…。ふうたろうの足であと3時間くらい?
晴れていれば緑が清々しいだろうけど、今はむしむしとした雨模様。でも、ここでへばるわけには…。
何台も横を車が通過していきます。数台に一台の人が、ふうたろうに声をかけてくれます。ふうたろうはここでへばるわけにはいかないので、丁重にお断りしてきましたが、その声には非常に励まされてきました。
あと6km。ゲートの始まりから3.5kmほど来たところのようです。ユウパリコザクラの会という夕張岳を管理する団体とでも言いますか、その人たちがちょうど通りかかって、ゲートからヒュッテまで9.6kmであることを教えてくれました。
声をかけられるたびにふうたろうの疲労上限値が上がります。25kgくらいの荷物を担ぎながら20km近く歩いてきたので、足にもかなり負荷がかかっています。
ゲートからの距離が書かれた小さな札。これもユウパリコザクラの会が付けてくれたもの。50mを68歩で歩けているでしょうか、今は?
薄暗く、霧雨が木の葉にくっついて落ちてくるしずくに耐えながら、進み続けます。
7250m
刻むなあ…。でも、7000mとか7500mはありませんでした。
…なはずないよね。遙か先に、初めて歩いている人を見かけました。つまり、車を降りてヒュッテに向かっている人がいるということです。
さっき、ふうたろうを追い抜いていった車の数からある程度予想はしていたものの、これはまさか、池袋状態ではないのか?
ゲートの前に入林届。書いていきます。金山方面に下りるから、下山報告はこちらではできないけどね。
ゲートを過ぎてから、今度は上り坂になります。しかも、若干ぬかるんでいるので、最後の最後で、キツい…
ここが冷水コースとの分岐。まっすぐ進むと夕張岳ヒュッテです。今日はとりあえずそこまで行くと決めていましたので。
夕張岳ヒュッテが見えました。ふうたろうのシルエットに気が付いた人たちが、一斉に拍手を送ってくれます。みんな、林道でふうたろうの歩く姿をもれなく見たんだもんね…。女の子(あとで聞くと小学4年)がビールを持ってきてくれましたが、酒ムリ星人ふうたろうの罠(滅
でも、嬉しかったッスよ、間違いなく。テントの下にいたおっちゃんが出て来て、真顔で握手してくれました。乗ってくコールをかけてくれた人の中の一人でした。
一息ついたら、小屋の中でいつものスパゲッティです。今日は空芯菜を持ってきていたので、加えます。これで、スパゲッティのコッテリ度とアッサリ度のバランスが上がります。
テントでバーベキューか飲み会をやっていたメンバーたち(さっき握手してくれたおっちゃんとか)が小屋の中に入ってきました。とある交通関係大企業の山岳会らしい。ってことは、みんな、どっかで会ったことあるんじゃない?(笑
ほらほら、おっちゃん、手を離して!(黒笑
みんな、どうもお仲間のようで、とても楽しそうです。
この山岳会の他にも、ユウパリコザクラの会の人々はもちろん、シカ調査や高山植物を守るための防護柵なんかを設置するボランティアとしての学生たちもいます。
いやいや、多彩な顔ぶれですな。一匹狼のふうたろうにはなかなか刺激的です(何
何とか夕張岳ヒュッテまで到達しました。これで、夕張岳登山の準備が完了です。しかし、実はこの小屋で大惨事が起こるのですが、それは単独流れ者のふうたろうが騒ぐことではありませんので、ここには書かないでおきましょう。
本当はユウパリコザクラの会のこととかも紹介してみたいけど、ゆっくり話す時間もなかったので、いつか何かの関わりが持てた暁には、することとしましょう。
天気:くもり時々雨(北海道空知支庁夕張市、移動中は含まない)
長い!!笑 すごいですね。話で聞くよりもその果てしなさがよくわかります。
初めて訪れる土地でこんな冒険できるなんて、尊敬します。
ぼくも林道への道が変わっていたのを知らず、通り過ぎちゃいました。
15分はロスりました。。。
続きを楽しみにしてます。
ヒロくん
長いでしょ。みんなたぶん、初めてふうたろう絵日記を見たとき、卒倒すると思うんですよ。たぶん、読み続けられないかと(黒笑←これ、ふうたろうが勝手に作った言葉だよ
日記を訪れる人の何人かが、「自分も歩いているような感覚」になると訴え、自分も歩いているかのように、途中で疲れ果てるそうです。文章とはものすごい魔力ですよなあ(`∀´)
ふうたろうはとりあえず日本なら、今回クラスの旅は躊躇なくやります。というか、普通の生活の一部です(笑
え、15分はロスりました…?(`∀´)
ふうたろうは、日帰りできる山に出かけたら、登山口を4時間くらい探し回って、山頂までたどり着けなかったためにテントを中腹の平らなところに張って翌朝日の出に間に合うように山頂を目指したことがあります(熊伏山:長野県)
前日の沢の水が引かないので、撤退か突撃かを決めかねて、5時間沢の前をウロウロし、遂に突撃して稜線まで上がって朝日を拝んだことがあります(カムイエクウチカウシ山:北海道)
あるはずの道がヤブに覆われていて登山口を発見できず、1時間ほどウロウロしました。しかも途中で猛烈な雪が降り始め、ひたすら吹雪の中を突っ切ったその終点が吹きさらしの山頂部で、ニュースで「今年一番の冷え込み」と言われたところをテントの中、夜景を見て目をハートにしていたことがあります(鈴鹿藤原岳:三重県)
だから大丈夫。15分の遅れは「寄り道」と思うようになるし、2時間くらい遅れたら、どこの登山道にテントを張れば少しでも快適になるか、なんてことを考え出すようになります(`・ω・´)キリッ
…続きはもっと長いので、テキトウにとばし読みしてくださいな(^-‘*)
初日、登山前でどっと疲れましたw
たくさんの人のお出迎え、温かかったですね。読んでいる方もほんわかしてうれしくなりました。
ところで、私も最近思っていたことがちょうど書いてありました。
↓
殆どの人間にとって不必要な大開発による自然破壊は正義で、少し高山植物を踏んでしまったり、ゴミを風に飛ばされてしまったりしたら悪魔のように扱われる。まあ、極端な書き方だし、これはこれでだめなことだけど、戦争による殺人と個人の殺人の違いみたいなもんかね。「正義の」戦争と凶悪犯罪との構図、みたいな。
ふうたろう、この場で怒りが治まりませんでしたよ。
>みゃーみさん
へい!おつかれさまでーす(黒笑
実際歩いてみると、その疲れ具合が具体的に解っていいですよ(`∀´)
ほんとに、見ていてくれる人がいるというのは、強みです。ふうたろうが単独登山に燃え盛れるのは、結局はそういうことなんだと思います。とてもありがたいことです。
>私も最近思っていたことがちょうど書いてありました。
…そうです。ふうたろうはね、森林の立ち枯れとか、登山道の崩壊とか、湿原の汚染とか、そういうものを聞く度にシカのせいだとか登山者のマナーが悪いんだとか云われてきたと思っています。でも実は、尾瀬ヶ原がダムに埋まろうとしていたこととか、都市からやってくる酸性を帯びたガス(雲というか蒸気というか、酸性霧というやつ)で森が一気に弱っていくこととか、石灰を掘るために山頂まで削られていった武甲山のこととかを聞かされると、誰が「登山者」や「シカ」だけを悪者にしているのか、と考えてしまうんですよね。希少な生物を大規模に破壊している側と、登山者だけにマナーを吹聴しシカだけに責任を押しつけている側とが、どうも同じに見えて仕方ありません。
それでも、ふうたろうは登山道のゴミは拾いますよ。個人だろうと大きな組織だろうと、やってはいかんことはやってはいかんですからね。