サドンデスマッチ(大無間山【寸又朝日岳~田代ハイパー縦走コース】:静岡県)
さあ、最終日。これから田代まで一気に登って下ります。出発は5時13分。暗がりの中なので片付けに手間取りましたが。
しかし、出発早々、この猛烈な深雪に足を取られます。全然前に進みません。
170mの急坂を越えて最初に左に曲がるあたりで東の空が白み始めました。500mほど進むのに1時間くらいかかっているようです。荷物がもっと軽ければ、といつもこういうときになって思うのですが、言ってもしょうがないことです。
今日は寒気に覆われて天気は荒れるかと思っていたけど、意外とそうでもない。風も昨日の夜はすごかったけど、今朝はほとんど吹いていない…。
あっという間に周囲が明るくなりました。2150mのピークはまだ先ですが。
展望のいい場所があります。この2150mのピークはこの縦走路でも屈指の展望箇所です。
雪質はもちろん悪いですが、昨日のアレや今日のソレに比べると全然楽です。
2150mのピークに達する前に日が当たってしまいました。もっとも、既に日の出の時刻は10分ほど過ぎていますが。
これは、もう一日泊まる余裕があれば絶対に楽しめる山行のはず。今日中に下りなければならないというのが無間地獄の始まりですな。
南アルプスの南部が見えています。光岳やイザルガ岳、右の方には聖岳なども見えていますか…。
真正面には今回のミッション、大無間山。その前にはまた100m以上の上りの急坂があります。
雪と戯れられるのは今のうち。そして、十分戯れられないので苛立ち混じりの絶景。
気温は-15℃。アイゼンもわかんも、装着から今まで雪団子ができることなく快適に使えています。それほど寒いということです。
そういえば、昨日は寸又峡手前で11℃。今が-15℃なので、26℃気温が下がっています。しかし比較的緩やかな方です。これが春先になると一晩で、とか。
気温が30℃下がっても大丈夫なふうたろう。でも、公共交通と人間界の時間には勝てない。絶対自然よりも人間の方が恐ろしいと思います。自然と人間の時間の流れは、しばしば相反していると思います。
再び樹林帯に突っ込みます。そして、無限の深雪の苦しみが始まります。
小ピークを越えるのが嫌でトラバースなんてしてみたりしますが、かえって倒木や笹で足を取られて歩きにくかったりします。まっすぐ小ピークを越えた方がましだった?
そして、小ピークを越えたと思ったら、もう一つ地図の文字に隠れて小ピークがあったという罠。
なめとんのか(゚Д゚メ)ゴルァ
小ピークを過ぎ、いよいよ大無間山の本チャン。げろりんちょ級にきつい坂です。
出発から4時間7分、やっと到着です。下馬評通り、本当に展望なしですね。…まあ、いいんだけどさ。
色の変わるサングラスが、この暗い樹林帯でも真っ黒のまま。ちょっと使いづらい。
長居している時間も無いし、日陰で寒くなるだけなので早々に出発しましょう。
…楽しめるのにねえ…。せめて今日の終点が第4ピークの小無間小屋だったら余裕が出ます。
坂から小無間山が見えています。実は小無間山の手前のあの崖みたいなところは、小無間山よりも標高が高くて展望が良いのです(後述)。
ところで、小無間山と大無間山の間に、「中無間山」があります。このアップダウンの多さ、マジで無間(無限)地獄ですね。
時間的に本当に余裕がなくなってきました。今日田代に下山するのはいったい何時になるんだろう。今のこの下り坂でも、まったく前に進まない。雪があまりにも深すぎる。
…精神的余裕のなさから具合が悪くなります。こいつはまずい。とりあえずプリンペラン(吐き気止め)で騙して進みます。
大無間山から2時間20分かかってやっと中無間山。北方向の尾根に進まないようにロープが張られています。
しかし、雪に埋もれている場合、進行方向は全くの樹林のヤヴに見えます。少しトラバースするような感じで尾根に復帰しましょう。
雲行きがかなり怪しいことが判ってきました。樹林帯の黒眼鏡で展望が開けないと本当に周囲の様子がわかりづらいのですが、岩場に出てびっくりです。
小無間山手前の崖のピークから大無間山がガッツリ見えます。大無間山の展望はここがいちばんじゃないでしょうかね。
黒眼鏡で海の方を見ると、海面と雲の様子がよく見えます。日頃は目で見ても白飛びして見えないものですが、これは思わぬ発見というべきか。もちろん、写真では判りません。フィルタが必要ですから。
この小無間山手前(上り側なら後)のピークは南側が大きく崩れ落ちています。だからこそ展望もいいのですが、崩落の危険もあるということであまり近寄らない方が。
それから小無間山に向かって歩いていたはずですが、その間の記憶がほとんどありません。キツいし景色変わらないし先行き不安だし。
で、小無間山は札すらもないしょぼいピークでした。しかし、この小無間山を越えれば何となく来るところまで来たという感じがします。
しかし、小無間山を過ぎてからも雪が大量にあるし、坂は下りになるものの猛烈に急で、疲労した脚にはかなりハード。
…北側の大崩落。これはわかん脱いでいった方がいいね。しかも、こんなところで吹雪いてきやがった…
かなり急な岩場で、むしろ雪があった方が樹林側を巻ける分楽かもしれないとか思いながら、何とか下りてきました。
そして、実はここ、南側も崩落していて、左右両面大崩落現場です。浮き石とかが今度は雪で見えないのでアブナい。
そういえば、ふうたろうが2年前に倶留尊山(くろそやま、三重県)で出会った元気のいい声の大きい兄ちゃんが、ここにロープを残置していったと言っていましたっけ。mixiでこないだつぶやいていたような気がします。ありがたく使わせていただきましたが、ロープの結び方はやっぱりちゃんと覚えるべきだなあと。
はるか北に見える南アルプスは、何気にここよりも天気が良さそうな気がしない?強烈な寒気が来ている真冬に白石山(埼玉県)で草津方面を見たとき、真上はどんよりしているのにあちらが晴れていたハイパー屈辱モード再来?(じと目
さて、無事崩落部を通過したら、4連チャンの鋸歯に挑みます。まあ、挑むというか流されるという感じだけどね。
この鋸歯の最初のピークは上からだとP1から始まります。そのP1に登るとき、何気にまた南面斜面が崩落していて、ちょうど足を置きたいところに雪がガッツリ積もっていて、しかも背中に刺していたピッケルがザックの天蓋か何かに引っかかって抜けなくて、更に鬱陶しいことに雪は表面だけカタいので足で踏まないと崩れてくれなくて(つまり、乗ると崩れるといふこと)、とにかくウザい坂でした(じと目
そして、P1到着。ここから後3個先のP4まで、それなりのアップダウンを強いられますので夜露死苦。
P1~P2、そんなにアップダウン無いだろう、地図見てる限り、なんて思ってたら、記憶飛ぶほどしんどかったんですね。
そして、P2から100mほど下って、P3まで70mほど上がりますが…その覚悟をするために鞍部で5分休憩しまっせ。既に15時で、もう田代発の自主うんこバス発車4分前でしたがね。
あっという間にP3?いやいや、記憶飛ぶほどしんどいんだってば。P4にある小無間小屋で終わりならもっとガッツリ写真も撮ってるって。このP3の上りはかなり強烈でしたぞ。
そして、黒く曇った眼鏡越しに小無間小屋が見えたのは15時52分。
小屋の中。ここで大鉄タクシー(大井川鐵道のタクシー会社)に電話するも、電波が不安定ですぐに切れました。
とりあえず、P4。あとはひたすら下山です。田代に可能な限り早く着く。サドンデスマッチです。
アイゼンを脱いでスピード優先。その代わり、スリップには警戒。そして、途中で左右の尾根を間違えやすいところがあるので、そこだけは常に気にとめながら下ることです。間違えてそのまま沢なんかに下ると、間違いなく昇天します。
火事場のくそ力とはよく言ったものか、猛烈なスピードで下っています。雪でグリセード(もどき)、サスペンションを活かして多少飛び降りてみたり。
途中、電波がつながったので、タクシーに再度連絡し、17時半に田代に来てもらうことにしました。かなり強気の時刻です。
このあたりは雪が降っていますが南アルプスの方は美しいアーベンロートですねしかも樹林で見えないし(棒読み
ヤヴァイ。マックラになってしまいましたがな!ヘッドランプ点けて小走りですが、さっきほどのスピードが出ません。足もかなりの疲労度ですしね。
17時半きっかりに運転手から連絡が来ましたが、まだ下山中。ここは…どこやねん!?
ふうたろうの下山口はアレです。あの鳥居の先に水場とかがあります。そこで17時44分。いやあ、生き延びた…
…た?(゚Д゚;)
呼んだはずのタクシーがいない…(滅滅滅)しかも、タクシーの運転手の電話番号(さっきかかってきたやつ)に電話したら、相手はソフトバンクの携帯で、電波が繋がらないでやんの!オレ、またシぬのですか?
何かの弾みでか、無事連絡が取れ、18時1分に乗車できました。
アヴネー(゚皿゚;)
かくして、ふうたろうは最終の大井川鐵道線上り、金谷行きに乗るのでした。タクシーの運転手とはおかげで話ができて良かった良かった。
…長かったなあ。思えば自主うんこバスの連絡がヘマったところからすべては始まったんだなあ(遠い目
金谷行きの大井川鐵道線が金谷に到着したのは20時15分前後。それから静岡で新幹線に乗り換えますが、静岡で50分ほどの待ち時間があるので、なじみの「東京ナシゴレン」に寄っていきます。ここのナシゴレン(チャーハン)が美味いんだな。
激しいサドンデスのあとのメシ、生きた心地がしますね。
帰り、ディズニーランドやクリスマスの文字が入った袋を持ったオナゴたちが東京の電車に乗っているのを見かけます。そうだ、世間ではくりすますなんだ(ヴォー読み
…ノロに3たび食いつかれる前に早よ人混みを離れたい。荷物も重いし、もう限界であります。中板橋駅から自宅までの徒歩は、P3の上りよりキツかったかも(滅
#179大無間山、クリア。ただし全滅扱い(滅滅滅
天気:晴れのち時々雪(静岡県榛原郡川根本町・静岡市、東海道新幹線など)
まさしく、そのザイルは、私のです(笑)誰か、もっとしっかりしたザイルを張ってくれないかなあ・・・。まあ、誰もやってくれないなら、自分でやるしかないってことですね。
ふうたろうさんも、6mm×20m、スリング、カラビナぐらいは持った方がいいですよ。
確か、このときは持ってましたよ。でも、何とかなるかとは思ったのであえて出さなかったと。ロープは32mあります。
いや~、お疲れさまでした。もう、最後は走ってヘトヘトになちゃいました。
天と地獄の境目が電波のつながりだけで、紙一重。きょわい!
下界へ降りてきても許してもらえない。
黒法師の時より疲れてそう~~
クリスマス!といえば家で1人、編み物をほどいてました(涙
「着てはもらえぬせぇ~たぁ~を~寒さこらえて編んでますぅ♪」のほどき版。ちなみに母からつっかえされたチョッキでありました(滅
またしてもななしのごんべえやっちまいました
あれ、走らなかったらこの日に帰れませんでした。あの雪道があんなに時間のかかるものだなんて、まったく思わなくて…。もちろん、黒法師岳の10倍くらい、ノロにかかったときの500万分の1くらい、キツかったです(きっぱり
この頃、下界も山の中も、区別つかないですね、きつさが。山の中のきつさが下界でも続いていると。ま、それでも下界のつらさに比べれば屁のカッパですけど…
その歌、聞いたことなかったんですけど、Google先生によると、「北の宿」という歌らしいですね。演歌!
でも、「着てはもらえなかったチョッキを、寒さこらえてほどいて」いるんですよね(じと目
てか、わざわざほどくというところが…
しかし、こういうハイパー山行、最近誰かを道連れにしたくなってきました(藁
どんまい!文の感じで解りますけん。
あれ?ふうたろうさんはノロにかかったことあるんですか?ノロのきつさは相当らしいですね。ノロにかかったときの辛さのたとえがたくさん出てるサイトがあって読んだのですが、すさまじさを感じました。。。
あのね、ほどいてまた別のもの編むんですよ。昔、まだ物が少なかった頃はそうやってたみたい。どんだけむかし~編むのが好きだからいいんですけどね。
道連れになってくれる人いますかね~(ジト目
まあ、ノロウイルスという証拠はないですが、ウイルス性胃腸炎という奴は吐き気を伴うので最悪です。もうそれだけで史上最強の悪です。核兵器です。
…これに比べれば大無間山のしんどさなんてちょちょいのちょい…でございます。
え?道連れ??
たぶんいないでしょう(きっぱり
二回目拝見しました。
というのも今週末行こうかと思ってるのですが、やっぱハードそうですね。
今の時期凍ってそうで達が悪そうだな、どうしようかな。
ツチさん、2回も見てくださったんですか。しかもあのオゾマシい山行を(笑
たぶん、思っているほど大変ではないと思います。ただ、天気が13日辺りは良くない可能性があります。できれば、北に逃げた方がいいかと思いますよ。