無間地獄への道(大無間山【寸又朝日岳~田代縦走コース】:静岡県)
なぜか、朝起きたらガスっていますがな。本当に数時間前、3時とか4時とかは晴れていたような気がしますが…?!でも、とりあえず出発するしか…。6時20分のことです。
ツツジなんて咲いていません。しかし、ツツジの咲く頃、ここは蛭が発生するそうです。くわばらくわばら。
さっきのツツジの看板から400mアップの急坂が続きます。一心不乱に登ってきたので写真を撮るの、忘れていましたわ。というか、撮るところもないけど(じと目
いつしか雪がこびりついて、山頂から先の道なしゾーンはアイゼン必要だなと思いながら進みます。
木に看板がめり込んでいます。相当長く放置されていたのだろう…
ついに今回の出発点である朝日岳到着。まずはここまで来ないと始まらないんです。
空が晴れてきました。これがにわかな晴れなのか、回復に向かう晴れなのかは解りませんが。
それにしても、東面が切り開かれて富士山が見えるようになっているとか地図には書いてあるけど、そんなところ、ないね…。
さて、確かここでアイゼンを着けたんです。いざ、ハイパーバリエーションコースで大無間山に向かいます。
しかし、朝日岳から縦走路(っぽい)にとりつくところがなかなかのヤヴこぎゾーンです。赤いリボンは所々にありますが、方位磁石(ちっさいのでいいから)と地図をよく見ていきましょう。
なお、方位磁石の北を指す方向は、磁北線を地図に引いておけばいいそうです(ふうたろうは引いたことありません)。このあたりなら、6.4度西に傾いている(25000分の1の地図に書いてあります)そうなので、地図の真上側が北だと思い込まないように。西に10度以内の角度で傾いていると思えば、北海道から九州にかけて、少しずつ角度を小さくして使えばいいのです。
池口岳から黒法師岳につながる尾根が、木の枝の間から見えています。このあたりは尾根が最初のうち広くなっているので、くれぐれも道迷いしないようにしないと、昨日の岩になってしまうかもしれませんよ。
尾根を念入りに探し、方角を確かめ、木の隙間を縫うように歩きます。かなり急な坂です。枝が100リットルザックに引っかかります。鉈は当然出動します。
前も後ろも変わらない樹林帯。葉があったり無かったり、針葉樹だったり広葉樹だったりはしますが、霧氷もないし、つまんない。
これからの縦走路、アップダウンの連続で、少しずつ上昇していきます。念のため、朝日岳は1827mで、大無間山は2329m。この間をアップダウンを繰り返しつつ、上昇していくのです。最低鞍部は朝日岳過ぎた今まさにこのあたり、1623m。
ピークも鞍部も樹林と雪に覆われています。展望を期待するのは間違いです。
道は不明瞭ですが、尾根伝いに歩くことを忘れなければ迷わないはずです。もちろん、地図・方位磁石はないときついです。
細かいアップダウンが連続。そして数十メートルのピークが波状攻撃をしかけます。
今ここがどのピークに当たるのか、判るときと判らないときがあります。ピークを地図で見分けるときのこつは、尾根のくびれや膨らみを確認するといいのです。しかし、けっこうでたらめだったりすることも…(滅
あちら側の尾根も曇ったり晴れたりを繰り返していますが、朝日岳付近のくもり方を思えばあっちの方が良かった?
南アルプス深南部に限って言えば、それは望むべくも無い。しかし、その森っぽさがこの深南部の良さでもあるのです。
さて、1706.4mピークの位置に来ました。ここでクッキーをシバいていましたが、急に気温が下がってきたようです。昨日のあの低気圧の後ろには強い寒気があります。それが到達したのでしょう。
ふうたろうは、気温が30℃下がっても生きられます(ぇ そういう装備をしていますから。逆に言えば、それくらいの装備をするか、そういう天気を予測できる(あきらめること前提)かしないと、絶対踏み入れてはならない場所です。
しかし、ここで寝たら星空はきれいでしょうね。
ああ井川自主運行バスがもう少し早く連絡くれれば良かったなあ(ヴォー読み
ここには元々何かの建物があったようです。林業関係者のだと思いますが、今は国産材が安い外材に圧されて……?それとも、元々登山道だった?
すぐに樹林帯に入ってしまいますが、さっきまで雲が多くて見えなかった大無間山が見えてきました。思ったより大きいのでちょっと圧巻。
ひたすら先に進み続けます。見所、というほどのモノはないので…
途中、非常に険しい尾根道があります。全体を通してそういうのが数カ所。なんだかんだ言ってもここは通常のハイキングコースとはかけ離れています。
樹林の隙間から、今まで歩いてきた朝日岳その他のピークの連なりが見えます。
リボンがむやみやたらについているところがあります。しかし、ルート用のものではないものも含まれているようで、それを安易に信じて進むと大変なことになります。地形と方位磁針を優先して進みましょう。
早くも「大無間山」の表記が!ふうたろうにしては珍しいですな、こういうの。
と思ったら、すぐにすれ違っていきました。どうも、この先にある地図には無い小屋に正月用の登山道具を置きに行ったらしい。そういえば、ネットでちょっと調べたときに、小屋があるとか書いてあった気がしますな。ほとんど気にもとめなかったけど。
笹原になってきました。そして、雪の深さがここら辺からハンパなくなり始めます。
雪の深さが深まるのは、樹林が禿げてきたから。見通しは良くなるけど30cmくらいも沈む雪は本気でつらい。
景色が美しい。
そんなことを言っていられるのは今のうちかも。
さっき歩いていたご夫婦の足跡を辿ります。歩いていて判ったが、このあたりの雪はかなり深い!
雪が吹き付ける西~北方面は比較的ましでも、たまってくる東~南面はきつい。
二つの建物のうち、上の写真の奥の方は非常に汚かったのですが、手前の方はこの通り。テレビとか電気とか、布団までありますよ?何、この家は。
しかし、雪はいよいよ猛烈に深い。このあたりは笹原で、笹の上に雪が被っているので、踏みしめたら平気で50cmは潜ります。
場所によっては地面が見えているところもあるほどです。吹雪で積もる前に雪が吹き飛ばされるところは楽に歩けるのです。
しかし、二重稜線になっているようなところとかは地獄を見ます。稜線の間の谷のところとかはとかく雪がたまり、このような倒木帯のところは吐き気が(滅滅滅
人がとにかくほとんど通らないので倒木も片付けられていません。というか、道ちゃうやろ、ここ!
このあたりは景色に変化がありますね。この林の向こうは開けていそうです。
霧氷とかがあればもっと美しいし、できればここは朝に歩きたい。
ただし、見かけによらずここは地獄です。雪の踏み抜きがハンパない。倒木のそばとか50cmレベルです。
時間が潤沢にあれば景色を眺めながら余裕で歩けますが、明日の15時までに下山しないとバスに乗れない、となれば…
こういう疎林は本来雪の中をもがいて歩いても、余裕さえあれば楽しいはずです。しかし、今は精神修行…
まったく進みません。きつい。常識的に考えれば、これはやはり4日コースですね…。
シカの足跡をラッセル泥棒。もはや手段を選んでいる余裕は無い!
そして薄暗い樹林帯、倒木が多くてうんざりします。樹林も密に生えていてザックが引っかかります。
そしてあの真正面には標高差170mほどの絶壁級の急坂があります。今の時刻で既に16時前なので、あの坂を登ったあたりが限界のようです。
何とか鞍部を過ぎ、例の急坂にさしかかりましたが、この疲労感たるやハンパありませんよ。
一心不乱に登っている間に暗くなり、テントを張ろうとしたらポールが折れ、風が非常に強くなり、なかなか大変なことになりましたが何とか本日を終わることができました。スパゲッティを食べた後は溶かした雪(オオシラビソの葉入り)でココアを飲んだら美味いのなんの!ただし、コップを持ち合わせていなかったので、缶詰の空き缶で。
小屋から先の深雪がこれほどまでとは思いませんでした。おかげでかなりの遅れです。明日、下山しますがこの先の道がまったく予想できません。同じレベルの深雪だと、名前の通り無間地獄でしょう。いや、無限地獄ですかな(じと目
天気:くもりのち晴れ(静岡県榛原郡川根本町)