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雪の罠と月明かり(袈裟丸山リタイア【塔ノ沢コース】:群馬県)

2013年 12月 22日

 腐ったイワシのような目をして出かけました。ええ、110リットルのザックを担いで。どこへ?今日は群馬県の東部、袈裟丸山を目指します。ここは東武相老駅。彼方に白く薄く広がる雲が見えますが、まさか、あそこが袈裟丸山山塊ではあるまい…?


 昨日の夜見たあの『太陽の罠』のことがずっと頭から離れません。なんだあのひどい結末は…そんなことが延々と頭の中を駆け巡る。
 …見えているあれは上州武尊山でしょうか。この辺りの地理は、いまいちよく解りません。


 わたらせ渓谷鐵道に乗って、沢入(そうり)駅まで来ました。ここで下りたのはふうたろう一人です。


 さ、駅前に何か商業施設があるわけではないので、そのまま袈裟丸山に向かいましょう。雪の状況など、正直全くの未知数なので不安ではあります。


 駅から渡良瀬川に架かる橋を渡ります。


 国道は車の往来で危険&鬱陶しいので、生活道路を失敬します。でもふうたろう、心上の空。


 国道を渡って山側の道に入ります。


 登山口まで林道を歩きます。しかし、荷物が異様に重い。30kg弱、あるように思います。


 今や、ここを歩いて袈裟丸山に向かう人は年に何人いるでしょうか。しかも今の季節…


 小雪がちらつくときもありますが、空は青いです。


 地図にはない道があります。ここから滝に入る道があるとかないとか…?


 登山口へ向かう道は雪がこびりついています。
 …2週間のブランク、というか、精神がすっかり堕ちてしまって、力が入りません。


 実は、ずっと昨日の『太陽の罠』の最期が頭から離れません。何でヒロイン犬死にしてんねん、って。金儲けの企業に一人直談判なんかしても犬死にするの解ってるやろ、って。経済的にも人間的にも理不尽な終わり方に納得いかなくて、頭の中をぐるぐると。


 雪解け水か地下水かが、つららになって、再び溶けています。山はいつでも誰でも、受け入れる準備をしてくれています。要は行く側の人間の問題ですから…


 登山口の駐車場です。3箇所ほど広場があって、駐車スペースがあります。ここでふうたろう一休みします。
 やれやれ、沢入駅出発から1時間半が経ってしまいましたか…。車道でさえコースタイムに間に合わないなんて…


 塔ノ沢登山口です。駐車場からもしばらく、荒れた車道のような道が続きます。もちろん、車が走れそうな道とはとうてい言いがたいですが。


 登山口に橋が架かっていますが、朽ちかけています。何気に雪被ってタチ悪いなあ…


 うす暗い雪と樹林の道。荷物も心も重い。そして、雲の量も増えて、雪も降ってきつつあります。情景一致しすぎ。


 おい、ふうたろう!楽しいか?山。


 唯一の救いは、この時点で登頂に焦っていないことです。260個前後を攻めていた男鹿岳(栃木県・福島県)あたりではまだまだ焦りの気持ちも含めながら登っていましたが、289個の今となっては、短い余生を楽しもうじゃないか、くらいのノリです。


 荷物が重くて、それでもきつい。写真が揺らぎます。何も、こんなときにこんなきつい登り方をしなくても、と、思わなくもない。


 誰も歩いた形跡のない道を、ただ独り歩きます。遠い道、ただ独り。


 『太陽の罠』の主人公みたいに、騙してくれる人さえも現れないほど、一人です。
 まあ、人の歩かない場所歩いているんだもんね(遠い目


 しかし、うつろな目をして、山に何をしに来た?本当は余裕持って来たつもりが、全然余裕持ってないんじゃないのか?


 雪が少しずつ、確実に増えてきています。このまま行くと、上の方では進むこともままならないんじゃ…?


 賽の河原、寝釈迦の指導標あり。でも、この場所、地図を見ても道と地形が一致しなくて、どうも…??


 とりあえず、指導標やリボンを頼りに進みます。沢を遡上するときは、本当は沢の数を数えないとだめです。でも、今日のふうたろうにそんな高度な要求は…


 寝釈迦のあると思われる岩です。下からは、たぶん見えない。


 寝釈迦の矢印があります。


 指導標。なんか、色々書いていますが、まあ、読みたい人読んでって感じです(←こら


 雪の中に仏像。チョコ食べる?って思わず差し出してしまいました(←こら


 これが、寝釈迦?解んないけど。雪に埋もれた岩にしか見えません。しかし、本当にただの雪に埋もれた岩かも知れません。寝釈迦はどこにあるの?いや、いるの?


 それよりも、この岩の割れ目から芽を出して、ここまで太く育った木の方に目が行きます。ふうたろうはやっぱり小さい頃から自然に強いこだわりを持っていましたからね…。その一方で社会は捨ててきた(←こら


 寝釈迦を過ぎて、奥に入っていきます。ここから雪がガツンと深くなります。


 ペースがいっそう落ちました。一つ目の避難小屋にさえたどり着けるかどうか、アヤシいです。


 登山道は当然埋まっています。徒渉点などの細かいルートファインディングは、地形図なんか見ても解りません。その場で決めないと…でも、ふうたろう、心身共にきつい。


 空を見上げて休憩。
 あの『太陽の罠』を見て、ふうたろうが一番嘆かわしいと思ったのは、「何も変えられない」ことです。ある意味あのドラマは現実を描いています。まさにNHKニュースがそうするように。
 ふうたろうは、山に登って、こうやって日記を書いたりFacebookなどでつぶやいたりすること以外に、できることはあるのかと、ね?


 ずいぶん奥に入ってきたように見えますが、実はそんなでもありません。


 沢を徒渉しなければならない場所があります。


 雪で徒渉点が解らないところは、思い切り川底にヅドンします。


 寝釈迦から賽の河原まで1.5km。がんばったけど、残念ながら半分来ていません。厳然たる事実。


 雪が強くなったり弱くなったりを繰り返しつつ、晴れ間も見えています。ふうたろうも一喜一憂です。


 さて、奥へ進みたいのですが…この雪の量といい斜面といい、普通に進めませんよ?
 …っていうか、この時点でわかんもアイゼンもピッケルも装備していない時点でアホかと。さっさと装備せんかい。


 沢の上にも氷が張っていて、ますますヅドン危険度が上がっています。


 そういえば、ラッセルするときに、ピッケルを横に持って掻き出すとかいうのが本に書いてあったような気がします。やってみると、これ、けっこうイケます。急斜面では使えます。雪を踏み台にできます。まあ、限度がありますけども。


 袈裟丸山のカンバンがあります。いや、方向も行き先も解るんだけど、この雪の量…


 シカの足跡をラッセル泥棒しようとしていますが、全然役に立ちませんね(顔面蒼白


 そろそろ日が落ちます。避難小屋はまだか。25000分の1の地形図には避難小屋の位置は書かれていません。昭文社の地図は猛烈に曖昧な描き方しかしていません(実は、寝釈迦や相輪塔の位置も両方とも間違っているのではないか)。


 この辺りで諦めてテントを張ろうと思ったそのとき…!


 薄闇の中に、小屋っぽいシルエットが、木の間から見えるような気がします。


 判りにくいかもしれませんが、かなり近づいてみると、やっぱり小屋の屋根っぽい。2軒あるけど。


 やっと小屋に辿り着きました。見えてからここまで、深い雪に足を取られ、疲労を圧しながら来ました。
 なお、コンパクトデジカメで撮ったら、オートフラッシュで雪が輝いてしまいました。


 これは上の写真の、奥の方の小屋の中です。布団などがありますが、かなり老朽化してすきま風も通りまくりです。っていうか、玄関の下、完全に穴開いてますけど。


 休憩室みたいなこちらに、泊めさせてもらいましょうね。ドア左手に広めのスペースがあるので、そこにマットを敷いて。


 ハラが減りました。調味料はたっぷり持って来ています。こないだ袋買いしてしまったスパイスを一昨日混ぜたやつも、ここにあります。


 まずはごま油でスパイスを少々炒めて、パック入りの白飯を次いで炒めます。
 なぜこんなことをするかというと、鍋に火をかけて温めても、時間と燃料と水ばかり消費する割に、全然温まらないからです。まさか、発電機と電子レンジを担いで上がるわけにはいきませんからね(ヴォー読み


 そして、その上にレトルトカレーをかけます。スパイスを利かせてあるので、レトルトでも美味しくなりますか。
 なお、レトルトカレーは、沸騰したら、そのまま湯に浸けっぱなしで放置しておけばいいのです。グツグツ煮る必要はあまりありません。


 18時過ぎ、眠くなって寝て起きたら19時半頃でしたか。若干胃がムカついていまして、そのまま目が覚めました。しかし、昨日付のしんぶんA旗とかを読んでいたら、少し回復。しかしまた悪くなる。最後には外でも見ようかと出てみたら、月明かりがきれいでした。


 空もそこそこ晴れているようです。雪はもう降っていません。明日は確かに冬型が緩むので、この辺りまで雪雲も来ないかも知れませんね。


 本当は、山は、来るだけでも十分いいところです。それでも300名山の撃破とかを付けるのはなぜでしょうね。そういうきつさというか制限というか、スパイスみたいなものを利かせることで、楽しさの深みも変わるのでしょうね。ただ砂糖を入れただけのきな粉より、少し塩を入れた方が深みのある甘味になるような。


 なんだかんだ言っても、ふうたろうがここにいるのは正解だと思います。明日の袈裟丸山登頂は絶望的ですが、それでいいのかも知れません。ええ、もちろん、今だから言えることなのだと思います。今までも十分がんばったと思えるからかも知れません。山だけは。
 明日はどこまで行けるでしょうか。


天気:晴れ時々くもり、山中では時々雪(群馬県勢多郡東村、東武伊勢崎線など)

  1. みやーみ
    12月 24th, 2013 at 20:57 | #1

    初の携帯からです。調子良くないみたいですね。残りの余生短くてうらやましいなぁ。さみしいの もあるのではないですか?
    終わったら腑抜けになる前にふうたろう1000山ですか(^ー^)

    鹿の足跡ラッセル泥棒には想像して笑いました~

    山に本格的なフライパン持参しているのですね(* ̄∇ ̄)ノ
    ビックリ!!

    歳のせいか手がカサカサでタップしても反応が悪く何回も打ち直しで時間食ってます…(  ̄▽ ̄)

  2. ふうたろう
    12月 25th, 2013 at 00:42 | #2

     みゃーみさん、スマホを買ったんですか。使い勝手は…慣れないとしんどいですよね。僕も2年4ヶ月経ったけど(旭川の携帯屋のネーチャンに浮気した携帯のせいで購入したんだっけ)、機能を使いこなしている気がしないし、使いこなさないことに美徳を感じているというのもあったりなかったり(黒笑
     調子は相変わらず悪いです、ね…。寂しいのもあるんですかね。孤独が具合を悪くしてるのもあるんですかね。でも、具合の悪いところを直に人に見せたくないというのも…あります。

     余生は11ですね。あ、まだ二日目、書いてないんで、10になるかならないかは解らないということにしときますか(笑

     フライパンは鉄のフライパンです。18cmのやつですが、こいつ、けっこう重いです。でも、山に行くときは手放したくない一品なんです。もう黒いあなたを離さない(黒ハート

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