戦闘虫(滅)(乗鞍岳【乗鞍青屋登山道コース】:岐阜県)
(Θ_Θ)どよーん
4時17分くらいに高山駅に到着した、新宿発の夜行バスを出たとき、もう日が出ていてもおかしくないのに、と思っていたら、不気味な雲が空を覆っていました。これから7時発の旧・朝日村方面のバスまで、身支度して待ちます。
本当は、直ぐにでも出発したいのですけど、レンタカーやマイカーでもありませんからね…
濃飛バスのバス便はそこそこ充実していると言えましょうか。幹線から外れた各集落にはデマンド制の乗合タクシーが出ていますが、土日祝日運休のものが多く、使えません。ふうたろうのようなマイカー不使用300名山ハンター(何)にとっては、国策としてのモータリゼーションは、やはり敵です。
7時近くになると、この高山バスセンターから出る新穂高温泉や上高地方面のバスに乗る人がどこからともなく集まってきます。その中で、いかにもアルプスに登るいでたち(しかも縦走)のふうたろうは、その集団から遠く離れたところで、バスを待っています。
ふうたろうの乗った7時発のバスは、ふうたろう以外にひとり、病院に行く人だけでした。まあ、ふうたろうも山には精神の療養に行くようなもんなので似たようなもんか(何
フリー乗降なので、乗鞍岳に登るということが判れば、上ヶ見御幸橋バス停でなくても、分岐のところで下りることができるようです。
ふうたろうの精神病院につながっている道を歩きます。今日はまた、下界は猛烈な暑さになりそうです。早く病院に行こう(真顔
一度目の青屋川の渡りです。高山市という大きな街から30分バスに揺られるだけでこんな風景がある。東京住まいの負け犬のふうたろうには永遠に手に入れられない生活かもしれませんな。
食べる物を作る産業は、本来大事にされてしかるべき。でも、その就労人口は減っているという異常さ。大規模化なんて要求してないから、かつては中山間地まで広がっていたこういう農地を、ちゃんと維持する政策をとってくれ。その栽培は、コメでなくても、小麦でもトウモロコシでもいいから。
ふうたろうの目指す乗鞍岳は、鬱空の彼方にうっすら見えるようです。そういえば、高山市街地を覆っていた呪いの雲は、恐らく層雲。山の上から見れば雲海になっている雲だと思われます。
田んぼの畦に紅葉の若葉があったので撮っていたら、地元の農家のおっちゃんが話しかけてきました。行き先を告げると、刈り払いがされているかどうか怪しいとのこと。
ノアザミ(キク科)でしょうか。作り物ではない自然のある風景が、既に羨ましい。
何の木かは判りませんが、赤い色素のにじんでいる葉っぱが透けていてきれいでした。
コップのかかった水場。たぶん飲めるのでしょう。この上には汚染源となるようなものはなさそうですし。少し飲んでみたら、確かにうまい。
たぶん、禁止されてはいるんでしょうけど(危険なので)、ふつうに家の前で川遊びができるでしょう。都会人が観光地として這い出してまで来るようなところが、実は土地の圧倒的な面積を占めているのです。
「『してあげる』世界から『させていただく』世界へ」だそうです。仏教の格言のひとつなのでしょうね。好きですよ、種類問わず仏教やキリスト教の格言は。
撮影に飽きません。SD1を手にしてから、また下界、里をよく見るようになった気がします。
ところで、この花は何でしょう。オオハンゴンソウ(キク科)とは違います。
バラ科シモツケ属の花のようです。ふうたろうのPCのディスプレイ(ノートPC)では、解像度の再現が追いついていません。デジタルは出力機器の違いで大きく出来が変わります。そこが難点ですね。
こういうものを撮るだけなら、110リットルのザックを担がなくてもいくらでも撮れます。でも、ふうたろうの住んでいる場所には、一切の自然がありませんから。
労働・社会から疎外され、自然から疎外される。
ふうたろうは、仕事を変えるだけのエネルギーを費やす勇気が湧きません。元々は茨城県取手市に住んで通勤していたわけですから、こうなることはあまり想像していなかったんですけどね…
ハッカ(シソ科)かな?揉んでみてもあまりにおいがしなかったので、おかしいなとは思うんですが。
これこそ、シモツケ(バラ科)でしょうか。いや、里を歩いているだけでこれほど花がいっぱい咲いているとは、これなら、花粉を顕微鏡で見て歩く、という過去の栄華(何)も復活できるかもしれませんね。
この辺りの農地は、耕作放棄地かな…
ミニマムアクセス米の年間約70万トンを受け入れなければ、この農地の所有者は離農しなくて済んだかもしれない。その70万トンは新潟県や北海道で伯仲している年間生産量第1位を上回る量です(ミニマムアクセス米は玄米の量、各県の生産量は籾か玄米か、判らない)。
…などと思ったりする。
外国産米は、最近はトレーサビリティの関係か、米菓の原材料表記のところに産地も書かれるようになっています。ああいうところに使われているのかと思いますが、「コメあまり」が聞いて呆れます。
もっと気楽に動ける頭なら…いつも思うことだけど、やっぱりそれは良くない。ふうたろうは、気楽に考えないからふうたろうなんだと。
ゲートがあります。青屋川の支流、九蔵川の方に向かう林道の途中にゲートがあって、これ以上奥へは車では進めません。
それにしても、SD1のダイナミックレンジの広さには驚きを隠せません。
タオル濡らして、頭に巻く。これでかなり気持ちいいんですよね。
この林道の橋が出てきたら、登山口はもうすぐそこです。いやふうたろうの登山口はいつもバス停ですがね(棒読み
登山口に当たる神社の手前に渓谷美がありました。下に降りてみたいな。ザイルがあれば、降りられるんだろうな。登山だけでなく、散歩したい。でも、時間は有限。
ここが登山口に当たる神社です。そこの白い指導標にも、「乗鞍青屋登山道」と書いてあります。
登山口からいきなり急登が始まります。でも、本当は、山は海から続いているもの。この樹林帯さえ通らない登山なんて、その価値を著しく下げているような気がしてならないのです。
この樹林帯、つまらない場所ですか?ふうたろうは、最初の頃はそう思っていましたが、今はまんざらでもないと思います。仮にしんどい、つらい、と思っても、それがその次の気持ち、例えば抜群の展望やあてやかな花たちを見て感動する気持ちを準備しますから。決して、「比較物」とかなどではなく、山の風景のひとつです。
この道で最初で最後なのか、まだ一つ目なのか、判りませんが、ほこらが出てきました。
ん?(・ε・;)
ふと上を見るとコシアブラの木が。
じゃ、コシアブラ集めとこうか(重
2個目のお社。これ、何なんだろうね…。でも、登山口が神社だったので、きっと信仰の対象としてあるんでしょうね。
ちょうど、休憩場所となった1694.0mピークに、ギンリョウソウ(イチヤクソウ科)の大きなひと株がありました。
しかし、その1694.0mピークは深い針葉樹林の中です。ここで少し休んでいましたが、じっとしていても虫に集られるのが関の山なので、先に進みます。
このルートは、乗鞍青屋登山道復興する会というところが、再開発(?)してくれたようです。さっき見かけたお社の中にいる石仏も、そのときに発掘されたものらしい。ふうたろうは、とてもナイスなところを歩かせてもらっているのですな!
樹林が少しまばらになってきたかと思うと、澄み切った空が見えてきました。え?雲がある?そういうことではありません。
観天望気によると、この空はあからさまに下り坂です。要は、その坂を下りきるのがいつになるのかが問題なのであって。
青空と雲の境界がはっきりしているでしょう。この空が、この夏の空が、ふうたろうは好きです。くもりのない空。
ヌオッ(゚皿゚;)
またヌプントムラウシの罠がっ!(滅
大雪山を銀泉台から高根ヶ原を抜けて石狩岳まで縦走したあの約50kmの悪魔のような道を思い出す…(遠いじと目
でも、気持ちに余裕持っていけば、何事も極楽なのですな!まあ、余裕持っていけばね。
薄雲の量は減ったり増えたりします。これ、大体天気が崩れる前はいつもそうです。
しかし、この辺りからふうたろうの疲労が積み上がっていきます。まとわりつく虫の数が尋常ではありません。汗で濡れたズボンにはおびただしい数のハエが集り、肌の露出した頭部にはブヨが集り、途中から蚊も参戦し、血みどろの闘いが始まります。
千町ヶ原へ向かう登り坂は、やや緩やかながらも猛烈に長く感じます。今までの坂がそもそも長く、疲労をため込ませてきましたから…
虫を引き連れながら1885.0mピークより約2時間、登ってきたところで、千町ヶ原の湿原にさしかかり始めました。
モウセンゴケも。
なお、この間も数百の虫の攻撃はひたすら続いています。
おい、そこにおるモウセンゴケよ!おまえらの出番だっ!
モウセンゴケが触手でも伸ばして飛んでいる虫の9割を食ってくれればいいんだけど、そんなロマンシングサガ2みたいなことはしませんから。
そうそう、この辺りでやっと日影平コースと合流します。日影平コースも、乗鞍岳最短コース(1km程度)に比べればかなり長くハードなコースだと思いますが、それでも恐らくこの青屋登山道には及ばないでしょう。
この果てしないルートを思うと、木曽駒ヶ岳の上松駅から金懸小屋を経て登るあの最凶ルートを思い出すのです。あそこも長く険しい道ですからね…
それほど苦労して辿り着いた湿原ですから、ゆっくり鑑賞したいわけですが、ふうたろうの身体の周りには、恐らく500匹程度の虫が飛び回っているはずです。毛穴からキンチョールの霧を吹き出したいくらい、大量におります。ジョチュウギクになりたい(真顔
ピレスリン大開放!とかやりたい(じと目
ピレスリンはジョチュウギクの殺虫成分です。
ああ池塘に反射する太陽と雲がきれいだなあ(じと目歯ぎしりヴォー読み
カメラの前にも容赦なく立ちふさがるブヨどもを徹底的に追い払い、写真を撮る。
ちょっと気を許すと、おでこや首筋、手の甲などの露出部分にブヨは飛びかかってきます。
ふうたろうぶち切れて飛びかかるブヨと戦闘開始。もちろん、化学兵器なんて持っていないので、拳(掌)です。
まあ、そういうのを、多勢に無勢というんですけどね(没
せいぜい50~100倒せればいい方で、這々の体で先に進みます。負け犬のふうたろうらしい(じと目歯ぎしりヴォー読み
千町ヶ原のさっきの湿原から、追いかけてきているのか、それとも道中次々と援軍が湧いてくるのか、とにかく進まないと、完全に包囲されます。
2301mピークと2357.4m地点の間の鞍部にも湿原があります。ここからははっきりと乗鞍岳が見えます。
ところで、本当に直接湿原の上を歩かせるの、やめてほしい。それでも、ここまで通る人が少ないと、インパクトもそれほどではないと思いますけどね…
ウボァー(゚Д゚)
腐った丸太みたいなのが埋まっています。もちろん、機能しているわけがありませんが、気休め程度にその上を踏んで進みます。
この湿原、小さいけど結構いい感じです。乗鞍岳が見えるのもポイントかな(この写真は逆向いてるけど)。
そして、ふうたろうの地形図には存在しない、奥千町避難小屋のシルエットを発見。
明日はこちらに向かうのですね。この空を見ていると、ガスの中歩いて行くことになるのかな…
死亡フラグびんびんですが、とりあえず小屋に向かいましょう。誰かいますかね。
奥千町避難小屋。しっかりしているように見えますが、外側の木のドアが固まって動きません。半開きのままです。
中には誰もいませんでした。今夜もまたふうたろう一人かな。
ところで、このパックご飯は水だけ新潟県(販売元)から故郷に帰ってきたようですね(真顔
メシを食っている間に小屋に動きがありましたが、それは後で。
やはり、乗鞍岳に下層雲がかかり始めました。湿った空気が降りてきている…
右奥に笠ヶ岳が見えます。
この湿原は遷移が進んでいるように思います。
ここ、下界に続く道があったようですが、ほぼ廃道化しているように思います。子ノ原高原方面は、どこかの私有地、らしい。
絹雲と絹積雲が増えてきました。これが最後の晴れ、か?それとも、絹雲・絹積雲で終わってくれるか?
明日の天気予報はくもりで昼過ぎからところにより雨、というものでした。ここは電波が入らないため、天気予報は確認できません(au)。
ま、判ったところで何か行動を変えられるというものでもないんだけどね…
チングルマが既に綿毛になっています。これを見ると晩夏だなあ、と思うのですが、まだ梅雨すら明けていないんですよね(遠い目
ここの綿毛、撮影がつらかった。しかも、アングルも結局中途半端やし(滅
逆光が眩しい(じと目
コイワカガミが咲きまくっています。ここを見ると、湿地と言うより草原である感じがします。
さらに日が暮れた頃にもう一度外に出てきました。ブヨの舞はだいぶ落ち着きを見せましたが、まだ少しいますかね…
そう、さっき、小屋に動きがあったと書きましたが、単独の兄ちゃんひとり、8人のグループがひと組、合計9人やってきました。それで小屋は一気に騒然。ふうたろう入れると10人になるので、小屋はけっこう満員です。
じゃ、ふうたろうはテントを持って来ているので、小屋脇の砂利の上にでもテント張ろうかな。
夕焼けが出ると翌日は晴れ、といいますが、そういう予兆にはどうしても思えませんな…
で、小屋では酒盛りが始まっていました。ふうたろうもテントに入って寝るまでは小屋で過ごします。
このグループはいろいろな経験者がいらっしゃるようで、沢だの岩だの、色々と。愛知県から来ているので、中部地方(北陸含む)各地に出かけているようです。ふうたろうが比較的よく話をした女性は、去年からSDカードに入りっぱなし(笑)だった山の写真を見せてくれました。
七ヶ岳や男鹿岳、籾糠山、ふうたろうも知っている山がいっぱい出てきます。
夜、テントに入ります。しばらくするとここ一帯もガスに覆われるようになりました。やはり死亡フラグは確定か。
こんな天気を繰り返して、明日は持ってくれるといいのですがね。どうしても天気の崩れが早くなるように思えてしょうがない…
思えば2010年9月12日、体調不良を騙しながらやってきて、ガスの中最短コースを歩いただけのショボイ登山をした乗鞍岳。その屈辱も明日、報われる…
…たぶん。
天気:晴れ時々くもり(岐阜県高山市・大野郡朝日村・高根村)