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鳥の少女(利尻山:北海道)

2007年 4月 30日

※記録:5月4日

 いよいよ戦いの日。いくら今年が暖冬とはいえ、3月10日に行った武尊山の比ではないだろうと思っていました。どんな山行になるのか、想像さえつかない…。
 『民宿花乃家』は稚内市内の宿。そこを出たのが6時半頃。稚内港にいるときはまだ曇り。利尻島はどうなっているのだろう。


 どうも西の方までこの下層雲は続いているみたいです。ちょっと不安。


 東日本海フェリー、稚内利礼航路。海鳥たちが船の周りを飛び交います。


 利尻島に近づくにつれて、雲がちぎれてきました。どうやら、利尻富士も快晴のようです。しかし、あの急峻な山を見よ!あれを本気で登るのか!?


 とりあえず、この山はゼロメートル登山です。靴を海水面につけて、ゼロからスタート。どうせならここまでこだわりたい。


 いつか来た道。2年前にも、実は同じところ通ってるんです。ああ懐かしい。ここは利尻富士温泉の前あたりです。


 1時間ほど舗装道路を歩いて、登山道に入ります。ここは『甘露泉水』のあるところ。利尻富士鴛泊(おしどまり)コース唯一の水場です。
 実はここにいる少女は船で出会った鳥観察の人でした。元気な人で、『甘露泉水』を一緒にくみに行こうと誘ったら、快諾してくださいました。短い間だけど、心強い仲間です。


 『甘露泉水』を過ぎてから、しばらく森の中を抜けます。雪が積もっています(30~100cm)。2年前はこれが倍以上あって、断念しました。アイゼンなどの装備もありませんでしたから。
 森を抜けると、向こうに海が見えます。手前には、標高400m程のポン山。


 上まで続く雪の道。でも、この時点での感触から、「登ってみたらたいしたことないやんけ」なんて思っていました。実際、まだ楽な場所でした。


 ポン山を遥か下に望み、礼文島まで見えます。今日は快晴。何も文句のつけようがないくらいすばらしい天気です。


 しかし、海や空の青をバックに、雪の道は途切れません。周囲から鳥の声がなくなり、歩けば暑く、止まれば寒い。いったいどこが今日のゴールなんだろう…。


 今日のゴールはとりあえず利尻山避難小屋。でも、登っても登っても見えてこない小屋。不安が募ります。「雪で埋もれてしまったのではないだろうか。」


 利尻富士は、階段のような山。急登と平坦な登りを交互に繰り返します。だから、次の峰がなかなか見えなかったのです。その峰に隠れて、ようやく小屋を発見。でも、小屋は下2メートルほどが雪に埋もれ、中にも雪が入り、天井からは結露水が雨漏りのように滴ります。窓は塞がれていて、暗い。諦めて外にテントを張りました。


 テントを張るといいことがあります。それはすぐに夜空が見られること。ほら。月明かりに照らされた利尻富士の剣先がきれいでしょう。


 利尻富士は島の頂点です。とくに、小屋の付近は沓形(くつがた)や空港付近の集落を見渡すことができます。礼文島の香深(かふか)なども見えています。


 とりあえず、ここまでくることができました。今までにない好天で始められた登山。不安は杞憂に、闇夜は美しい夜空と夜景に、それぞれ変わって、一日目の戦いが終わります。
 下で鳥を追っかけている少女はどうしているのだろう。今となってはわからない…。
 東京などに残っている仲間に、利尻富士のメール。ちょっとしたお裾分け。こんなにきれいな晴れは、まず無いもんね。
 何気に、4月最初で最後の快晴でした。

天気:快晴、稚内市内は朝のうち曇り(北海道稚内市・利尻郡利尻富士町)

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