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水との闘い(小松原湿原・苗場山:新潟県・長野県)

2007年 9月 8日

※記録9月9日

 ここは、風穴のある、登山口です。水との闘いは、まだ始まっていません。



 台風一過の新潟県。湿気が多く、キノコは大喜びです。そこら中キノコだらけ。名前は、調べが付かないので、追究しません。


 空はまだまだ晴れています。この調子で登るぞ!


 道は誰かが通った形跡もなく、クモがやたらと巣を張っています。湿気に舞い上がった虫たちを捕獲しようと躍起になっているのでしょうが、これが先頭を歩く僕に集中的に掛かってくれるので、鬱陶しゅうてしょうがない!


 そう思ってたら、何だか、ガスが山を駆け上がり始めました。…もちろん、急坂でゼーゼー息を切らしている僕らなんて、ひょいと追い抜いて。


 台風で出来た沢なのか、元々ある沢なのか解りませんが、ちょっと土気色した水が流れています。地図を見ると、水場になっているのですが、ちょっと飲むのには躊躇します。
 そして、ガスが…。


 ガスの上はまだ晴れているのかも。チンダル現象まで見られます。


 小松原湿原は、一瞬、カラッと晴れ上がりました。どこが水との闘いだろう?


 小松原湿原に、小松原避難小屋があります。そこから始まる第3の急坂を登り切った頃には、もうこんな感じのガス。ここは、日蔭山の山頂だと思います。…が、もはやそんなことはどうでもいいくらい、展望はありません。


 ベニナギナタダケ(シロソウメンダケ科)か、カエンタケか。前者なら、食べられるそうですが、後者なら、毒キノコらしいです。ま、色んなキノコが生え盛る湿気ということです。


 第4の急坂を超え、和田小屋との分岐に近づこうとしています。しかし、汗だくと雨で、もはや満身創痍。ただでさえ池塘の多いこの山に、台風一過の雨後のぬかるみ。死ぬ。


 雷清水と呼ばれる、小松原湿原や和田小屋から来るルートでは最後の水場です。良質の水場なので、ここで水を汲むのですが、このあと、苗場山頂まで、50分の第5の急坂が待っています。しかも、なぜか、小屋まで水を運んで持ってきて欲しいと言わんばかりのペットボトル。最後の急坂では、濃厚なガスと絶壁の坂に、絶句でした。


 そして、この急坂に、木の階段をつけてくれるとは、優しすぎて言葉が詰まります。このあと少しが、長い…。


 やっとの思いで着いた、池塘広がる苗場山頂付近。野ウサギがこんにちは。


 池塘は、言うまでもなく真っ白の世界に覆われ、見る陰なんかあるはずもない。太陽どころか、雨降ってます。


 これが、苗場山頂ヒュッテです。全身、汗と雨と泥水で濡れまくった体をここで乾かさなければなりません。宮之浦岳の時と同じく、みんな着替え。生臭い衣服は、取手に戻ったら全部洗濯機に直行させます。


 安達太良山で発見した、圧力をかけて米を炊く方法。なぜか、僕の持っている小さなチタン製の食器が、図のように丸飯盒の取っ手とフタの間にフィットします。Mさんの作ってきてくれた、醤油味のけんちんと一緒に、食べます。…僕は、細々と、ね。


 あ、忘れてたけど、山頂、通過しました。ただでさえ展望がない上に、隣に山小屋。Mさん曰く、中で、飲んだくれたオッチャン(管理人っぽい)がイカを囓っていたとか。…山頂の雰囲気総崩れ。それに、このガスじゃ、シャッターすら押す気しなかった。


 苗場山頂ヒュッテのそばに、展望台があって、そこからガスの晴れ間を待ちました。うん。待っていると、時々晴れることが、確かにあります。雨を降らしている雲はガスではないので、ガスが晴れると、上空にある雨雲の様子もわかります。
 たまたまこのときは、夕日が差していました。


 苗場山頂ヒュッテは混んでいるときは大変だろうけど、台風一過の泥まみれ登山道、しかも端境期とあれば、誰も近寄らん。広く使えました。僕ら2人以外に、千葉県柏市から来たというおっちゃんおばちゃんら3人と、あと10人くらいいたかな。歯ぎしりのキツい別のおっちゃんは、自主的に、食堂に移動して寝ていたと、Mさんの考察。


 とにかく、大気も大地も、水尽くしの第1日目でした。Mさんは「そうは見えなかった」と言っていましたが、僕は、「利尻富士の雪山並みにしんどかった。」
 小松原湿原を通るコースは、上るコースではなく、下りるコースだと、強く思いました。
 風穴から苗場山頂ヒュッテまで、10時間弱。水との闘いは、まだ後半戦、残っています。

天気:晴れのち雨(新潟県中魚沼郡津南町・中里村・南魚沼郡湯沢町・長野県下水内郡(しもみのちぐん)栄村)

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