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氷の樹海(西吾妻山:山形県・福島県)

2008年 3月 9日

 かくして、朝ご飯は、昨日の予言通り、困りました。朝から、インスタント焼きそばとコーンポタージュのみです。
 いつも、始まりが悪い、ふうたろう旅日記。


 夜が明けてきました。夜からの快晴はそのまま持続。遠くに樹氷の影。


 朝焼けの空と樹氷の影。黙って見ていようなんて思っていませんが、そのくらい思ってもよかったなと、今となっては、少しだけ思う。


 西吾妻山登頂。日本百名山#34。南に磐梯山が見えます。
 本当は西吾妻山は展望がないらしいのですが、なんせ、雪が4メートル以上積もっているらしいので、立ち位置がほぼ林冠です。どこにいても、展望は抜群です。


 前方右に、東吾妻山の方に縦走できるルートがあります。でも、今日はこのまま下る予定でいます。


 2008年3月9日、おはよう。
 ずいぶん遅い夜明けのような気もするけど、昨日寝坊した僕が言うことじゃないね。


 樹氷に朝日が差し込み始めました。


 樹氷の長い影が雪原に映し出されました。


 昨日、ホワイトアウト(目の前が真っ白で何も見えないこと)で難儀した西大巓(にしだいてん)です。今日あそこに行った人は、また美しい景色を見ることでしょう。


 天狗岩にある、神社です。雪で完全に埋もれています。奥には飯豊山が。


 西吾妻山の樹氷と飯豊山。


 固い雪面を強い風がさらに削り出します。地吹雪です。顔が痛い。


 見えるツブツブの殆どが樹氷になった木です。何という木だったか、いぶし出されたベテランのおっちゃんが言っていたのですが、忘れました。


 マイタケみたいなエビのしっぽみたいな、そんな氷の造形物。


 東吾妻山の方を見てみました。次はあっちを登ってもいいかな。まずは、日本百名山を踏破してからと思って、こっちに来ました。


 2年前の蔵王の樹氷もよかったけど、自分の足で歩いて見ているこの樹氷に敵うものではない。
 この前の戸狩温泉のときも書いたけど、楽して得られたものに、あまり価値は感じません。今回は、リフトやゴンドラは使いましたが、ホワイトアウトの中を抜け、16kgの荷物を持ち、自炊をして、-4℃の小屋の中で眠ってやっと見た景色なのですから。これは、本当の意味で自分から見に行った樹氷でした。


 樹氷の向こうに見える小高い山は、中大巓(なかだいてん)。遠からず、近からず。でも、遊んでばかりで、いつまで経っても着きません。


 青と白の二色刷です。


 僕が、和かんじきを履いて歩いてきた軌跡が、新雪に残っています。


 吾妻連山の樹氷の向こうに、蔵王連峰。次は、足で登ります。


 中大巓から、天元台スキー場まで下ります。でも、道らしい道なんかまったく判りません。それもそのはず、中大巓の頂上なんか、本来は歩くべきところではないのですから。
 よって、この好天に任せて、暴力的にスキー場に下りる手段に出ました。


 北斜面なので、樹氷も積雪も、まさに荒れた海のようです。


 蔵王連峰と樹氷を眺めながら、悠々自適に下山。


 樹氷の影、抜けるような青空、一本の飛行機雲。


 天元台スキー場、リフトに乗っている人も凄く少ない。だって、まだ9時なんですもの。


 強烈な日差しと、強烈な風と、強烈な斜面と、分厚い積雪。ゲレンデなんだけどね。


 それにしても、気の毒なくらいスキーヤーがいないスキー場だなぁ。9時回ってるのに…?


 ウサギの足跡なんかが、ゲレンデのすぐ側にあったりします。リフトには山スキーをやる人が何人かいました。


 ふと、リフト乗り場の時計を見たら、9時9時回ってたんじゃ…??
 …よく考えたら、今朝、僕が、5時17分を確認した時、いぶし出されたおっちゃんが4時47分だと言っていました。
 きれいに30分進んでいます


 一つ目のリフト沿いのゲレンデを下ったら、この休憩所が。トイレも暖房つきで、部屋の暖房も薪で、ええかんじです。
 ここで、他に休憩していたおっちゃんが、僕がグランデコから歩いてきたことを知るやいなや、「さてはM(マゾ)だな?」だとさ。
 …否定はしない。生業ですな。


 天元台スキー場最下部。公園か何かっぽいですね。ブランコの骨組みが埋まっています。


 天元台スキー場のレストハウスで食べた山菜ソバ。たぶん、山菜は中国産の塩漬けをもどしたものだろうけど、それ以上に、筋が多くて、これから家に帰り着く20時まで奥歯に挟まったそれを気にしなくてはなりませんでした。


 天元台スキー場から湯元駅まで、ロープウェーで下りてきましたが、僕一人でした。正確には、案内の人(男)と二人っきり。
 そして、下りたった後のバス停は雪で埋まっていました。時刻見えへんやんけ。


 さっきの案内の人から、下ったところに白布(しらぶ)温泉街があると聞いたので、歩いていきました。そしたら、「白布大滝」の標があったので、磁石に吸い寄せられるように行ってしまいました。
 …行ってみたら、あまり大したことなかった。興が冷めました。


 渓谷に分厚く降り積もった雪。何気に、ここから県道に這い上がる時が、一番ピッケルのお世話になったというのは、今回の旅の滑稽なところです。


 古風なおみやげ屋さん。買い物したら、ブルーベリー味のミルクケーキを4本くれました。「ケーキが4本」というのは、どういうことでしょう?
 ついでに、ラフランス(果汁入り)ジュースも買って、喉を潤しておきました。


 バスで米沢駅。これから6時間半の鈍行の帰路です。宇都宮から大宮まで、生涯掛けて数百の山を登ってきたという女性と話をしていました。今日は「宇都宮アルプス」と呼ばれるところへ行ってきたそうです。3人の友達を連れていたそうですが、混雑した電車で、みんなバラバラだったようです。
 …宇都宮アルプス。次の行き先が決まったようなものですな。草津白根山を踏み荒らした後くらいに行ってみますか。


 雪山を遂に完全に単独行しました。剣山は雪山と言うより、荒れた山でしたから、今回のは、かなり満足。思い返せば、雪山も利尻山以来ですからね。
 それにしても、今シーズンで、休日が晴れたのは珍しかったそうです。ロープウェーの案内人も、土産屋のばあちゃんも口揃えて同じこと言ってました。
 確かに、写真の枚数が昨日の92枚から今日の246枚であることも、その天気の良さを物語っていますね。いや、本当に素晴らしい山行でした。

天気:快晴(山形県米沢市・福島県耶麻郡北塩原村:米沢駅以降の天気は含まない)

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