最も恐れていたことが…!(西吾妻山:福島県・山形県)
※記録:3月9日
最も恐れていたこと、とは、寝坊のことです。
この11時25分発の、グランデコスキー場行きの送迎バスに乗るためには、6時20分に電車に乗らなければならないのに、目が覚めたら6時17分でした。
これは、いつかテレビでやっていた、わさびの辛味成分を使って叩き起こす方法でも使わないとダメかも知れない。
腹立たしいことに、新幹線を使う羽目に。しかも、大宮駅直通の西武バス、所沢駅から1時間20分もかかるのにもハマってしまい、本来ならもう一本早い送迎バスに乗れるはずだったのが、いきなり犬死にしました。
なぜ、いつも始まりはこうして不幸なのでしょうか。これもふうたろう旅日記の恒例とでも?
異常な形状をしたいなり寿司と、こんなに量は要らないからもっと安くしてくれというほど多いフライドポテトが、スキー場で食べた僕の昼飯でした。
グランデコスキー場は、そこそこの人数。僕にとってはじゅうぶん多いけどね。レストランが混んでいて、非常に苦しゅうございました。
グランデコスキー場のリフトとゴンドラで登り口まで登り切るには、リフト券3枚(1500円)が必要です。複数で行けば、回数券の割引があるかも知れないけど、単独の僕には関係ないもん。
さっき、「スキー場は、そこそこの人数」と書きましたが、前言取り消し。ゴンドラは混みまくっています。しかも、同乗した子連れ家族が後ろで大人中心にうるさくて、不幸な気分に浸っている僕は意気消沈。
ゲレンデの白に空の黒。でも、こんなのは寝坊のショックに比べたら屁でもない。
ようやく登り口です。雲の隙間から時々照らしていた太陽も、すぐに見えなくなります。
まずは、西大巓(にしだいてん)を目指します。間違ってもトラバースなんて考えないように。
不思議と、登り始めてから気が楽になりました。でも、ちょっとずつガスが濃くなり始めているし、木の高さが低くなってきましたし、先が見えなくなってきました。
追い撃ちをかけるように、下山者の「これから登るの?大丈夫??」という言葉と、諦めて引き返してきたという山スキーの初心者の姿です。
でも、稜線を目指すのですから、まだ大丈夫!…だろう。
さて、目の前が真っ暗という経験や頭の中が真っ白という経験はあるでしょうけど、目の前が真っ白という経験はなかなか味わえないでしょう。
ですが、現実は、これです。…風が強いから、トレース(前を歩いている人たちの足跡)も消えるし、それに、見えない。
でも、それでも、基本的に上を目指す分には、頂上は一つなので、行き着くのです。これ、西大巓の三角点。周囲はそれほど木がないように思うのですが、ただ雪で埋まっているだけかもしれない。
サムネールだけを見ていたらただのグレーのキャンバスです。でも、目をこらしてみると、樹氷がたくさんあります。晴れていたら、信じられないくらいきれいでしょうね。
西大巓を越えたあたりから、帰りの山スキーヤーがグランデコスキー場に向かい始めていました。
気持ちの中では、ガスは薄くなっているのです。本当は、このまま曇っていても、今回は雪山を経験するというだけでもよかったのです。だから、実は、登ってからの僕の気持ちは、至って高揚していたのです。
突然、小屋の影。これが、「西吾妻避難小屋」です。帰りのスキーヤーたちが「けっこう人いるよ」といっていたのですが、確かに、みんなが入口にしている2階部分には大勢いました。
でも、2階が一杯な割に、1階は誰も住み着いていませんでした。ただみんな、階段をスキー靴で下りるのがダルいだけなんですよね?
見捨てられた1階を、普通の登山靴の僕が占領しました。そして、外へのアクセスを楽にするため、1階の扉をこじ開けました。
実は、雪が吹き付ける時、障害物を避けて積もる性質があるようです。流体力学的にはどういう原理なのか判りませんが、小屋の周りだけくり抜かれたように、雪が2メートルくらい無いのです。
だから、僕は手持ちのスコップで掘ったのです。小屋の看板も現れました。
1階占領の僕は、何気に漁夫の利。
2階で、諸々の理由でいぶし出された男性2人が、突然1階に逃げ下りてきました。ちょっと話をして、程なくして、2人は寝てしまいました。何気に、そのうちの一人は、マッターホルンを登った、ベテランらしい。
赤城山のときから当たり前になった、水の現地調達です。ただ、今回は避難小屋の周りの雪は誰かの小便の痕があったりしたので、そのあたりに無尽蔵にある樹氷をむしり取って使いました。
ここで炊いた1合強の米を全部食べてしまったので、明日の朝が困ることになります。
…と、食べ過ぎとも言える夜ご飯にもかかわらず、胃もたれもせず、赤旗を読んでから睡眠薬を飲んで寝ようとしました。
ふと、小便がしたくなって、ちょっとトイレに行った後、外を見ると、何と快晴!
ある程度確信めいていただけに、喜びもひとしお。明日が楽しみです。
樹氷が繋がって、アーチになっているところから、猪苗代町か会津若松市の明かりが見えます。
…睡眠薬飲んでんなら、さっさと寝ろよ。
なお、夜中は寒くて2時間くらい寝ていられない時間帯がありました。厚着で難なくやり過ごしましたが。
寝坊さえしなければよかったのに、それだけがいつまでも悔やまれます。4600円くらい余分に出費。
天候の回復はありがたく戴いておきます。
天気:くもりのち晴れ(福島県耶麻郡北塩原村・山形県米沢市:猪苗代町までの天気は含まない)