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ネタ切れオパーリン

2008年 4月 24日

 今日は一日、12件のサンプルに追いかけ回されて、ぐったりでした。でも、スピードアップのための基礎データを集め、工夫もしたので、17時に終了。1時間半以上早くなりました。
 今日はとりあえずネタ切れなので、オパーリンの話でもしようかと思います。


 今、終章(9章)を攻略しています。主に、呼吸機能の進化。数日前、従属栄養生物と独立栄養生物という話をしたのも、それです。
 ここで、呼吸というのは、息をすることではなく、物質を代謝してエネルギー(ATP)を得ることです。この前の話では、従属と独立の話しかしませんでしたが、従属の中にも、もっと原始的なものがありました。
 今は微生物の教科書をまさぐれば、必ず出てくるであろう嫌気呼吸。それに準ずる好気呼吸。嫌気呼吸をもうちょっと細分化すれば、偏性嫌気性通性嫌気性があります。偏性嫌気性は、酸素を必要としない(あるとむしろ毒)もので、ボツリヌス菌やビフィズス菌などがその例に挙げられるようです。通性嫌気性は乳酸菌が有名。もちろん、程度に差はあるのでしょうが。
 ここでおもしろいのは、オパーリンも述べているように、すべての生物が解糖という代謝経路を持っていることです。ビフィズス菌なら酢酸を作ることもあり、酵母ならエタノールを作ることもあり、乳酸菌なら乳酸を作り、多くの高等動物であれば二酸化炭素と水を作ることもあります。酢酸やエタノール、乳酸、水と二酸化炭素になるためには、必ずブドウ糖からピルビン酸にならなければなりません。これをすべての生き物が持っているというのです。
 高校で習った、好気呼吸の詳細、クエン酸回路電子(水素)伝達系(あるいは呼吸鎖)と言われたものは、あとから付け足されたものに過ぎないのです。
 でも、その付け足しというくらい軽い表現の割に、酸素が3分途絶えると人の脳は死んでしまうという。オパーリンに依れば、生物が高等になるにつれて酸素依存的な呼吸形態になるようです。僕らは、もう、酸素のない生き方には戻れないのですね。
 それから、もう一つ、僕がオパーリンに付いていって思ったことは、生物はエントロピーの増大する速度を高めている装置だということです。生物がいなければ決して進まない炭化水素や糖の、二酸化炭素や水への酸化を、生物の動的平衡を通して成し遂げているのですから。
 大きく見れば、生物の存在は、エントロピー増大という大原則に則っているのかもしれません。

 人の社会の発展と似ていると、僕は思います。江戸時代にコンピュータがあったとしても、ただのゴミにしかならなかったでしょうけど(そもそも生成しない)、今はコンピュータ無しには経済は動きません。コンピュータのような形あるものでなくても、人権意識の変化、医学の進歩など、人々は少しずつ現状に付け足しをしながら社会を発展させてきました。
 社会発展の中で、進歩に対して反動という言葉がありますが、大きく見れば進歩側に進む(エントロピーでいえば増大)しかないと思うのです。
 さて、そしたら、「何が進歩か」と問われるかもしれない。でも、それは愚問かもしれません。それは、今の生物の進化の先を予測するようなものかもしれませんから。僕らは、現時点で少しずつ権利意識や科学技術その他を付け足しているはずです。まさに、僕が今日息絶え絶えでやっていた残留農薬抽出作業の進歩のごとくです。
 ずいぶん乱暴で三段論法的な書き方をしてきましたが、まだそれを許してもらうとすれば、僕らの運動する方向は、間違いなくエントロピー増大の方向だと思うのです。
 例えば、環境・エネルギー問題が起こっています。肉食などによる化学ポテンシャルのロスを伴った食料問題が起こっています。知恵のない生物であれば、この問題をそもそも問題として認識もせず、乳酸菌が試験管の中で自分の排泄物で死滅するように、動的平衡(生命活動)は止まり、エントロピーの増大も止まります。でも、僕らは知恵を持ってしまった"ヒト"でした。環境や食料問題の行き着く先が自分たちの滅亡であることを知りうるのです。
 …エントロピー増大の原理があるから僕らがこういう行動を取るというのは少しこじつけというか、やっぱり三段論法ですが、原理の側から見れば、やっぱりエントロピーを増大させているのです。エネルギー問題でいえば、「持続可能な発展」を述べていたりもするけれど、それは太陽や地熱、重力など、簡単に得られる外部からのエネルギーを使おうというだけの話で、エネルギーそのものを消費し、宇宙全体の系としてエントロピーを増大させていく事実は隠しようもありません。

 さて、寝るか。もう2時だ。
 中途半端。

天気:くもり時々雨(東京都板橋区・埼玉県所沢市)

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