新緑の怪道(扇ノ山青下コース・東因幡林道・氷ノ山氷ノ山越コース:鳥取県)
あの飛加越国境の山々を撃破して1週間。ふうたろうはもう次の山を撃破しに動き始めています。2年前であれば北海道の山(連休の合宿?)を撃破したあとに再び動き出すことはなかったのですが、去年から根性の入り方が変わっています。
今日やってきたのは、浜坂駅。兵庫県北西部。夜行バスで鳥取駅に着いたあと扇ノ山方面へ向かうためのバス停がある浜坂駅に来たのです。
しかし、何も考えずに浜坂駅に来ても、扇ノ山の登山口にすら着くことができず、恐らく一撃で全滅するでしょう。
6時19分鳥取発7時3分頃浜坂着だったのですが、幸運にも、その早い時刻からこの駅前の商店「米田茶店」が開いていました。この店は、朝5時半からやっているようです。朝飯を鳥取駅で買う暇も気力もなかったので、これは激しく助かります。
店には、いわゆるコンビニ弁当も売っていましたが、ほんの少し手作り風の香りがするものもあり、それを買いました。
弁当を稲妻食いしたら駅を出て右(駅の出口は北口ただ一つ)にあるバス停に行きます。なお、新温泉町(浜坂町は合併で消滅)の町民バスの時刻表はこのバス停に貼り付いていますが、それだけを頼みにしていたら登山口着が昼を過ぎて全滅確定なので、隠し交通手段を使います。
その、隠し交通手段というのが、全但バスの、浜坂~神戸間を走る高速(?)路線バスです。湯村温泉から、登山口のある青下(あおげ)バス停までの便は、8時29分の次が12時になります。しかし、浜坂駅発の新温泉町民バスの始発が8時50分なので全滅が確定しています。
そこにこの全但バスの高速バスは、浜坂駅7時41分発・湯村温泉8時0分着なので、危機を切り抜ける決定的な切り札となるのです。
→全但バス株式会社 時刻表のページ
新温泉町民バスもついでに乗っけときますか。
→新温泉町 夢つばめ(町民バス)時刻表
路線は、浜坂~湯村温泉が浜坂温泉線。湯村温泉~青下が八田線。運航日注意。
さて、天気も最高ですし、バスに乗って、青下バス停に行きましょう。なお、運賃は、湯村温泉までの高速(?)バスは490円、青下までは300円です。
青下バス停付近の転回場で下ろしてもらいました。ここでは、爺ちゃん婆ちゃんたちがバザーみたいなものをやっていて、とても長閑でしたが、ふうたろうはこれからウルトラハードスケジュールをこなさなければなりません。気を引き締めていきますよ。
ちなみに、どこが登山道の入口にあたるのか判りませんが、この蔵の横を通ってみましょうか。
扇ノ山(おうぎのせん)という文字はまったく見あたりません。代わりに、遙か手前の上山高原の看板あり。
登山道に入るとすぐ、杉林に潜り込みます。まあ、最初は心の動きと同じで、こんなもんですね。
しかし、それも束の間で、落葉針葉樹林帯に突入します。ふうたろうがかなり楽しみにしていた新緑もそもそ山行。
一応案内用の標があったりもしますが、件の大雪で相当いてこまされています。
最初の坂が猛烈にきつく、尾根に上がるまで一苦労です。ふうたろうの今日の荷物は、いつもの100リットルザックではなく、半分以下の40リットル。テントを入れず、避難小屋頼みで来ました。しかし、それでも一般の登山客に比べたらまだずいぶんと多い。厳しいです。
尾根に上がりました。これからしばらく、緩やかに登る、森林浴コースとなるでしょう。
やっと春が来たという感じのするふうたろうの山行。いや、たぶん、これから夏になるまで何度も冬に戻るんだろうなあ。
そして、ここで一旦車道へ出ます。ここから小1時間、車道を歩くことになるでしょう。
地図では、この辺りに、車道から外れて、ショウブ池の側を通っていく道があるようですが、草藪に埋もれていて、猛烈に不吉なのでやめときます。
ここに上山高原避難小屋があります。正月に来ようと思っていたとき、ここか、先にある小ヅッコ避難小屋で泊まろうかと考えていたのです。
小屋レポートを。
上山高原避難小屋は、後で聞いた話によると、数年前に建設されたそうです。中は新築であるせいもあってとてもきれいで、トイレも水洗洋式になっています。ただ、利用届を出さないと、水は出ないとか何とか、小屋の表に書いてあったような気がします。ま、水くらい持って上がれということですな。
さて、扇のように蛇腹になった斜面をトラバースして山頂に至るコースか、車道を伝って小ヅッコ小屋から稜線を歩いてくコースか、判断の分かれるところですが、とにかくふうたろうは無難に、稜線コースを採ります。今日全滅したら、それ以降すべてが死亡ですから。
あれがショウブ池。車道を進んでいくと見下ろすことができるでしょう。新緑の中に静かに水をたたえていて、とても眺めがいいです。
しかし、北斜面側の道路を歩いているので、場所によってヒドく雪に覆われています。斜めなので歩きにくいの何の!
う~ん…
どうもふうたろう、小ヅッコ小屋ルートに入っていくルートを見落として、先に進んでしまったようです。これは、小ヅッコ小屋の西側にある、地図には描いていない道です。登れれば結果オーライですが、無駄な遠回りは命取りになりかねませんぞ。
あの入口から小ヅッコ小屋まで150mだそうです。とりあえず、この笹藪をかき分けてばく進してみよう。
小ヅッコ小屋は、至ってボロい状態でたたずんでいました。1Fの戸は、これは入れないようにしているのか、それとも、雪によるドアの破壊から守るための方策なのか。
さて、やっと扇ノ山の標識が見えてきました。ふうたろうの山行では、大抵歩き始めたときに目的の山の標が見えることはないですなあ(滅
登山道に大量の残雪。残雪だけならいいけど、木の枝が通せんぼしています。
雲が上空を行き来していて、時々森全体が暗くなるけど、基本的に晴れています。
一旦下って、最後の、扇ノ山のピークへ上がります。出会う人に、ふうたろうが氷ノ山まで行くと言うことを告げると、大抵、「行けるのか?」と返ってきます。
ふうたろうの、まだ見ぬ地獄への分岐点がここにあります。しかし、まずは扇ノ山山頂へ。
山頂手前に展望台があります。しかし、笹藪の広い尾根なので、思ったほど展望は良くありません。
これはかなり立派な小屋です。ここで宿泊できれば、立派なホテルに泊まるよりも立派な夜を過ごせそう(何
小屋は2Fが寝床スペースです。ここに先客のおっちゃんがいました。その隣で、ふうたろうは餅2個を落としたうどんスープ。杏仁豆腐も食いました。
小屋の2Fからは比較的遠望できます…が、今日も黄砂が飛んでいます。中国大陸の砂漠を緑化でもしないと解決しませんかね…。
樹林に阻まれて遠望できないけど、樹林自体が美しいので十分ですな。
さて、小屋の前にある天然のアーチ(何)をくぐって、さっきの地獄への分かれ道へ行きましょう。
ブナの疎林の向こうに、遠くの山がうっすら見えます。扇ノ山ブラボー!
そして、この辺りで、小ヅッコ小屋手前の登山口で抜かした3人組の男女が登ってきたところに出会いました。自己紹介して、ふうたろうは地獄の分かれ道、畑ヶ平(はたがなる)へ。
そしてついに、車道に出ました。ここで扇ノ山は下山したことになりますが…
本当に厳しい戦いが始まるのはここから。15km以上はあると思われる林道を、明るいうちに歩き抜いて、更に氷ノ山の稜線にある避難小屋のいずれかに入らなければなりません。
しかし何と!この林道は舗装路ではありません。しかも、倒木もかなり多く…。
ここはスノーブリッジになっています。真ん中を踏むと落ちます。
東因幡林道との出合です。案内板がありますが、よく見たら相当傷んでいます。ペンキが剥げていて、もはや誰も来ないのでは…。
出合に突き当たったら、左へ向かいます。右へ向かえば下界へ脱出するルートになります。
雪解け水か、数日前の大雨か、古い轍にたまった水の中に、蛙の卵。
随分歩いてきましたが、あとどのくらいでしょうか。そして、新緑がいっそう美しく輝いています。
しかし、いきなり脈絡もなく、切り開かれたむき出しの土道があったりします。
そして、もっとも怖いのがこの崖崩れ。この崖崩れをまともに食らったら即死です。
集中力が切れてくる、車道歩き30分以降。気分転換を図ります。意識的に周りを見てみることも重要。
林道の側にシダが生い茂っているというのも、不思議な感じがします。
3時間ほど歩いたでしょうか。やっと、舂米(つくよね)集落、即ち、氷ノ山登山口一帯が見えてきました。(「舂」という字は、地図には、「臼」ではなく「旧」の字で表記されています)
そして、更に崩壊のきつい土砂崩れ。これはとても通過に勇気が要ります。
この材木を切り刻んだような崩落地が特にタチが悪い。ウルトラデラックスハイパーヤヴこぎゾーン・改ってところですかな。
あのバラバラになった木の崩落地を抜けると、やや下り気味の道が続きます。
もう、夕日が傾いている17時45分頃。今日は恐らく、せいぜい行けて、氷ノ山越避難小屋でしょうな…。それも暗くなる頃に。
…ん(・ε・)?
ヌオッΣ(゚Д゚;)
また、立ち入り禁止通路の裏から出てきたんじゃねーか!!
この氷ノ山越コースの入口付近には、立派な水場があります。1リットル汲むのに30円の寄付を呼びかけています。何か、いきなり都市に戻ったような気分ですなあ。
さ、これで最後です。今日はここを稜線まで上がれば、とりあえずミッション完了です。1時間半のコースタイムなので、18時の今からだと…真っ暗かも知れませんな。
氷ノ山越方面に無言で向かいます。右膝の裏というか、ヒラメ筋の上の方に痛みが走り始めています。
2Fにも上がってみたけど、無言で下りてきました(滅
扇ノ山の避難小屋に泊まりたかったですなあ…
でもまあ、贅沢は敵です。明日、那岐山のミッションを果たすためには、今日は氷ノ山で宿を取っておかなければなりませんから。
夜行バス明けの長距離は堪えます。…が、遠征は死ぬ気で登らないと、時間がかかります。お金も使いすぎます。公共交通ベースで2日間で3個の、しかも田舎の山ですから、今までのふうたろうの旅を手繰ってみても、これほど難しいミッションはあまりないでしょう。
問題は明日。無事山頂を踏み、下山して、7時17分舂米(舂は、臼ではなく旧という字が正確)発のバスに乗って、8時29分若桜駅発、智頭駅9時19分着、タクシーで那岐山の登山口まで、という苦肉の策がうまくいくか。タクシー利用が最善であるとは、よほどの厳しさですね。
天気:晴れ(鳥取県岩美郡国府町・八頭郡若桜町・兵庫県美方郡浜坂町・温泉町・美方町・養父郡関宮町、移動中は含まない)
公共交通機関の時刻調べから始まり、体力なども考慮して、何時にどことかもう計画だけでスゴイですね。。。
それも、二日で3山というのだから、十分大変さは理解できます。
林道歩きも半端ないしー。
ちょっとでもぼーっとしてたら、すぐに全滅につながってしまうから怖いね(笑
それでも、ちょっとでもぼーっとできるように、ぼーっとできる時間を入れた上で全滅しないように心がけています(苦笑
後半戦の2日目はもっと大変です(黒笑
扇ノ山でお出会いしました、男女組の一人です☆
あのあと、こんな凄いことをされていたんですね!!ただただ、びっくりです(>_<)
そして、出会いに感謝です。
これからも、日記楽しみに読ませていただきます(*^_^*)
>がぶんたさん
ありがとうございます。
林道歩きはさすがに並大抵ではなく、気晴らしをしながらでないと歩き切れそうにありませんでした。その後氷ノ山越まで行かないと明日がないというプレッシャーもきつかったです。
普通に、かつ、大方の人のようにマイカーで行ければ、ふうたろうもそこまで苦労しなくてもいいのですが、車を運転するのが怖い(今は免許証を紛失してそのまんまになっていますが…)ので、かつ、自分の身体一つあれば誰でもいけるのが山なんだという、一種の意地みたいなものもあるので、拭えない苦労ですよね。
ともあれ、ああして道行く人と話をするのは、どんな旅でも醍醐味ですね。どこへ行っても、声をかけてくれるみなさんに感謝です。ふうたろうはそのエネルギーをもらって歩けているのかも知れませんから。
いろいろ探して、こんなとこ歩く人いたんだー、と見つけました。
検索していると、いつもふうたろうさんの日記にたどりつく(ぶちあたる)ような気がします。
kirisameさん、はじめまして。
今日(2013年10月20日)は、東京は”霧雨”どころか大雨で大変でした。ずぶ濡れになって家に帰ってきたところです。
登山するとき、コースの紹介が多い山と少ない山がありますね。僕のやっているのは日本300名山(今のところ)で、百名山時代に比べると、情報は随分減ったものです。アクセス解析などを見ていると、登山道の様子などを検索して*ぶちあたる*人が多いですよ(笑
もっとも、「こんなとこ」歩かないでしょうから、みんな参考にしないでしょうけど(笑 東因幡林道を歩き通した人は、歴史上1000人はいないでしょうね(笑
あまり人の道を歩んでいませんが、いつでもいらっしゃってください。