スーパーマ○オ・黒部ステージ(劔岳・剣沢ハシゴ谷乗越コース:富山県)
夜中、何度も目が覚めます。足を思い切り伸ばせない、広げられない、やたらと湿っぽい、という最悪な環境なので、やっぱり寝苦しいのです。まあ、好きこのんでこういうテント暮らしをしているからしょうがないけど。
そうして、2時半頃起床。夜に残したアルファ米とカレーを食べ、腹を下していたのでトイレに行き、3時33分、剣沢キャンプ場を出発です。
まずは昨日雨が降る前に偵察しておいたあの雪渓をトラバースしなくてはなりません。
出てきました、雪渓。アイゼンを着けずに歩いてしまったので危ないのですが、とりあえず踏み痕を歩けば大丈夫。そのまま剣山荘に着いてしまいました。
もう4時は過ぎたのに明るくなる気配なし。とりあえず、小屋前にザックをデポし、サブザックに物を入れて出発。風が強く若干寒かったのでトレーナーと雨合羽を装備していたものの、すぐに暑くなってしまい、荷物と化しました。
暗闇の中、岩場と鎖場を登ります。まあ、鎖なんか触らないけども、こんなとこでは。
少し明るくなりました。しかし日の出は4時45分頃らしい。1ヶ月前に比べたら1時間くらい遅くなっていますな。
少し明るくなったとは言えまだこんなに暗いのに、ふうたろうの前にはスゴい人の列が…(゜Д゜;)
少し明かりが差せばそれ以降の夜明けは加速度的です。立山連峰北部の別山付近が見えています。
どうやらよく晴れているようです。これは期待してもいいですかね。
鎖場の連続。とはいえ、そんなに恐ろしくもない。この辺りは鎖を掴まなくても楽勝です。
山頂には他の人たちもたくさんいましたので、一緒に晴れた朝を喜ぶと。
劔岳が良く見えています。今山頂にいる人がいれば、それは素晴らしいことですね。
少しガスがかかっていますが、これくらいならまだ全然大丈夫でしょう。
これはいわゆる「カニのたてばい」や「カニのよこばい」ではありません。何の変哲もない普通の岩壁。
しかし、スゴい人の数ですな。こんな岩だらけのところに、スゴい人口密度。池袋ですな、ここは。
若干薄もやがかかっているものの、実に幻想的な風景。これが続けば最高の山行になるに違いありませんね…。
この微妙なガスがまた。
しかし、人が多い。こんなに大混雑埼京線山行は経験がありません。
…と、そういう喜びのひとときは、あっという間に終わりを告げます。この左から襲いかかるガスがあっという間に…
垂直の岩壁が連続し始める頃には、もう前後左右まったく何も見えないレベルの、ひどいガス。
ここが例の「カニのたてばい」ですな。ひとりひとり、順番に登っていきます。
…まあ、ガスっているのである意味幸運かもね。切り立った崖の下とか覗かなくてもいいから…(滅
あまりにも見るものもなくテンションも下がりきっているので、ろくに写真も撮らず、山頂に着いてしまいました。
あ"ー、だりー\(゚皿 ゚#)/
というわけで、2分くらい山頂にいたような気がするけど、速攻下山開始。ここは下山時に使う「カニのよこばい」です。
この下山時が、実をいうとこの岩場のかなり危険なところで、足のかけどころとかをかなり探さなければなりません。カニのよこばいは、鎖の取り付き始めが大変。ふうたろう、何処に足をかけるかかなり迷いました。ふうたろうの後を歩いていたおっちゃんは、かけることを諦めて鎖に頼り切っていました。…危ないなあ。
そしてこの金属の梯子。梯子に手と足をかけてから、身体を反転させるのがまたしんどい。本当です。
カニのよこばいには小屋っぽいのがあるのですが、これは携帯トイレを使う場所のようです。携帯トイレを持っていればふたつのうちひとつのブースを使うことができるようです(片方は扉が外れている)。
驚くべきことに、カニのよこばいから殆ど写真も撮らず、ただ行き交う人々と交流しながら、黙々と(?)剣山荘に戻ってきたのでした。4時間強で行って戻ってきたことになるのですが、本当に後ろ3時間は、歩いていただけでしたね…
8時半過ぎまでマッタリラーメンを食いつつ休憩させてもらい、予定通り剣沢方面へ向かいます。ここからがまた長いのですが、覚悟の上です。
キツい急坂、草やぶの露、岩ゴロゴロの道、雪渓に出るまでの辛抱とはいえ、厳しいなあ。
これが剣沢の大雪渓。日本3大雪渓のひとつなのだそうです。確かに、ガスでごまかされているとはいえ大きそうです。当然、アイゼンピッケルは装備しなければなりません。
ちょっとだけ色の違う雪が。ここ、湧き水やら沢やらで再凍結してるんじゃなかろうか。
今まで、100名山という理由だけで歩いていた劔岳の岩場とかがあれだけガスっていたのに比べると、今自由意思で歩いているこの剣沢の見通しは何と果てしないことか。
さて、展望も利いたことだし、元気に歩こう。アイゼン効かせてBダッシュだぜ。
いつまで続くのかと思いますが、しばらく続いてほしいと思いつつ歩いています。劔岳付近を思えば人の数は数十分の1か、百数十分の1かもしれない。素晴らしい道です。(^Q^)
なんか、雪道が途切れました。アイゼン脱ぐのがめんどいので、道が付いていない雪渓中央を歩くか、それともバカ正直にこの道を、アイゼン脱いで歩くか。
かくして、アイゼンを脱いでバカ正直に歩いたふうたろうは…
嗚呼、雪渓歩きが楽しいな(棒読み)
…向こうに真砂沢ロッジが見えてきましたよ。雪渓を歩いてまだ40分くらいしか経ってないんだけど。
真砂沢ロッジのテン場。
ここでも、右側の雪渓を下るか、このテン場を突っ切るか悩みました。そして、ふうたろうはまたバカ正直コースを選びました。
さっきの真砂沢ロッジの右を歩いてくれば雪渓を楽々と。
こうして、楽しい時間はあっさり過ぎ去りました。コースタイム1時間半のコース、1時間かからなかったねー。
さて、ここから、ハシゴ谷乗越(はしごだんのっこし)方面ですよ。この草付きの変な岩ゴロの道を歩き出します。いや、歩くというか、よじ登るというか。
ちなみにこれは、昭文社の地図では破線(点線)ルートです。
実線ルートに合流すると、実は通行止めでしたという話。
ただ、このルートの名誉のためにいえば、キヌガサソウ(ユリ科)がイッパイだったということ。変わった花で見た瞬間感動しました。まあ、それだけだけど。
ハシゴ谷乗越の坂は急です。広葉樹林なので、陽が差すと明るくて清々しいとも言えますが、どちらかというとむしろ暑い。
さすがにこのハイパーヤブ漕ぎ沢を登れとまでは要求されませんでした。
デカい岩がゴロゴロしたガレ場。ビミョーに陽が差していて、暑い。
きちんと晴れていればそれなりの風景なのでしょうけど、きちんと晴れていないので、景色もそれなりです。
この急坂には何度もうんざりしましたが、こんな深い谷から逃げる場所なんかあるか。とりあえず、ハシゴ谷乗越まで歩くのじゃ。
しかし、ハシゴ谷乗越の峠は、あまりにもドライすぎて、ふうたろうもドライにスルーしました。気が付けば下り坂もそこそこ進んでいます。
次は内蔵助(くらのすけ)平に下降するのですが、どうもここ、涸れ沢っぽいです。
…なんてメルヘンチックなことを宣っている場合ではなく、この涸れても残る小さな滝の段差が、意外と足に来るのですよ。
やっと水のある川に出てきて、ここで小休止。ここを間違えて下ってしまう人がいるのでしょう、念入りに下らないように印が打たれています。
さっきの沢から内蔵助谷の合流地点に行くまでには、このハイパーヤブ漕ぎゾーンを抜けねばなりません。
その行き着く先には小さな橋が架かっていて、内蔵助谷を流れる黒部川源流の清らかで力強い流れを見ることでしょう。
この青さ、素晴らしい。紅葉のシーズンだと言うことなしでしょうね。
しかし、そんな道すがら、テントを張るのにちょうど良いスペースがあり、横には消し炭になった燃えかすの木が散らかっています。こういうことをするから、真面目な天幕者が迷惑するのです!
さっきの一本橋を過ぎると、右岸をひたすら歩き続ける急坂のコース。意外と樹林帯です。
しかし、樹林が切れたところからの眺めは抜群。川の岩の上に立ったりすればそれだけで。
なんか、ものすごく遠いところに進路を示す赤ペンキの印があるけど、こんな崩落地を突っ切るルートでいいの?
しかし、歩いている足場のガレや土がボロボロと崩れます。もし同じようにあの上にあるデッカいのが崩れてきたら、ふうたろう、一撃でゲームオーバー(コンティニューなし)です。
しかし、ここ、恐ろしい道ですな。内蔵助平から次の分岐点まで、最初の半分は木の根が張り出した歩きにくい樹林帯で、後半は崩落地を含む岩ゴロゴロの歩きにくい岩場で…。
それでも、この道はいいところだと思います。川はきれいですし、人は多くない(いない)し。
ん?(・e・)
何この看板。
「なになに、観光放流…?ふむふむ。」
程なくして、黒部川下流方向への分岐が現れます。看板のある方に進んだら戻ってこられなくなります。
ところで、猛烈に嫌な予感がするのですが、さっき、毎分15m3放流って書いてあったよーな。この谷、道が水没してるんじゃ…(゜Д゜;)
相変わらず川の流れは激しいですな。晴れていたら、最高でしょうね。
Σ(゚□゚;)ヌオッ!
木くずに見えているのは雪渓の固まりでした。まさか、道をふさいでいるとは…
まあ、それでも木屑があるのでそんなに滑るわけでもなく、向こうまで歩くのにそんなに苦労はしません。ただ、立ちはだかる雪渓に、面食らうのは確か。
そんな幾多もの難関を乗り越えて、やっと最後の橋を渡ります。
…でも、なんか妙にミストがかかってない?
っていうか、これ、あの観光放流のしぶきとちゃいますか?
かくして、雨なんか殆ど降っていないのに身体にお湿りをいただきました。しかも、汚いダムの水。(´Д`;)
でもまだ最後の上り返しが残っているのですよ。疲れている場合じゃない!
ん?(・ε・)
ゲート…?
どうやら鍵がかかっているようだ。
着いた…。
やっと黒部湖駅に着いた…。
しかし、そこら中を観光客が歩き回っていて、ふうたろうが落ち着ける場所は見あたりません。衆人環視の中で荷物整理をして、トロリーバス乗り場へ向かうのでした。
長かった。黒部湖に着いたのは15時41分。12時間以上の行動は、さすがにキツいですな。しかも、今回どのくらい上り下りをしたか。更に、岩、沢、ヤブ、雪、縦走、何でもアリでしたがな。飛び降りたり乗り越えたり、走りすぎたり滑ったり、まるで、スーパーマリオみたいですがな。
まあ、超疲れたけど、歩いてみれば剣沢雪渓以降は、満足できたのではないかな。
…立山と劔岳はもう2度と行きたくないけどね。
#46立山、本クリア。
#80劔岳、クリア。
天気:くもり、小雨降る(富山県中新川郡上市町・立山町、電車での移動中は含まない)
ふうたろうさん、立山・剱Getおめでとうございます。
ふうたろうさんのことだから、早月尾根でもいくのかな?・・・と思ってたら「ハシゴ谷乗越」ときましたか・・・あそこは荒れていて危ないのでプロのガイドも避けて通るとか聞きました。
無事完走してよかったですね。それにしてもアルペンルート料金高すぎですよねェ~関西電力儲けすぎ・・・いつも頭にきます!
ところで私は先週やっと飯豊山に行ってきました。梶川尾根~大日岳~本山~大日杉登山口と縦走しました。花はマツムシソウやニッコウキスゲなど百花繚乱。天気も上々。でも、稜線までの登りは灼熱地獄でした。なんで今年はこんなに暑いのでしょう・・・
早月尾根から行ってもいいのですが、
早月尾根はアクセスする手段がないのですよ。
従って、室堂から行くか、
このはしご谷乗越を抜けるかしかなくて…。
帰りまで室堂経由で、
金をむしり取られるのがイヤで、
多少楽しめる可能性もあるはしご谷を選びました。
雪渓も良かったし。
はしご谷、特に険しいとは思いませんでしたよ?
多少ヤブとかガレ場とか飛び降りるところとか崩壊しているところとか…(略)
ありましたけど、長いことを度外視すれば、
もう一泊くらいできれば、
余裕です。
そうですか、飯豊山、行ってこられたんですね。
梶川尾根ってのと大日杉という名前を忘れてしまっていますが、
ふうたろうもどこかで通りましたっけ。
祓川(弥平四郎)から杁差岳北部の大石ダムまで縦走した、
という記憶しか。
ともあれ、やっぱりこの時季、山はどこも暑いですね。
早く秋山に登りたい。
早く雪山(春前の)に登りたい(笑)
>多少ヤブとかガレ場とか飛び降りるところとか崩壊しているところとか
それって結局危ない所ばかりじゃないですか・・・?
>梶川尾根ってのと大日杉という名前を忘れてしまっていますが・・・
ふうたろうさんは朳差岳の方に行かれたので梶川尾根(飯豊山荘から登る)は通ってないで しょう。大日杉は切合小屋から飯豊町の方に下りるルートです。
私も朳差の方まで行きたかったのですが、車の都合で今回は無理でした。
でも飯豊の大きさを十分感じたのでまた朳差岳の方も行ってみたいと思いました。
次どこへ行くか?・・・思案中です。秋は、紅葉はヤッパ北海道でしょう。大雪山かな・・・
>紅葉はやっぱ北海道
うーん、ふうたろう的には、
上越方面の紅葉がいいです。
平ヶ岳とか、会津駒ヶ岳とか、
あの辺りの紅葉が最高です。
大雪山、9月に行きましたけど、
平ヶ岳や会津駒ヶ岳などの紅葉には、正直負けます。
…友人には大雪山が好きな人がいるので申し訳ないけど、
ふうたろうにとっては、やっぱり大雪山周辺は、
観光地だなと思うのですよ。
うん、行くなら、幌尻岳とか、斜里岳とか、羊蹄山とか、
いいんじゃないッスか?