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大事なもの(飯島烏帽子岳飯島コース:長野県(安平路山リタイア))

2011年 3月 27日

 日付は、起床後に変わりました。0時過ぎの駒ヶ根市方面です。気温はガンガン下がっていて、-15℃以下になっているようです。


 何てことのない小さな街だけど、ふうたろうにとってこの伊那谷はPricelessです。中央アルプスには毎回泣かされて追い返されるけど、それでも通い詰めている回数は、意外と多い気がします。


 2時頃に2度寝して、次起きたら5時前でした。やっぱり、朝3~5時頃が一番眠いのかもしれません。
 …しかし、それ以上に、寝袋から出たくないくらい気温が低い!テントの中なのに、-19℃!


 北岳の向こうから太陽が出てこようとしています。
 ふうたろう、今朝は暖かいメシは食べられません。ガソリンが切れていますので。だから、カロリーメイトゼリータイプの凍った奴をシバいて、出発の準備をしています。


 手足がかじかむというか、凍傷になる勢いの寒さなので、それに耐えながらテントを畳んで、写真も撮るのです。


 でもふうたろう、昨日あえて下山せずに、かといって先にも進まずに、この烏帽子岳に留まったのは、朝日を見たかったからです。どんなに寒くても、山で迎える朝のまばゆさは希望を与えます。


 雪にも朝日が落ち始めました。


 中央アルプスの主稜線はすっかり朝日に燃えています。


 日の光の色が変わりました。この劇的に変化する朝と夕の時間帯は、山でもそもそする中でもとても貴重な時間なのです。


 昨日は雪雲に覆われていた主稜線にも、今日はまったく雲がありません。きっとあそこは別天地。でも、樹林と雪の厚い壁を越えるのは容易ではありません。


 薄もやの中を貫いてくる朝日が、山々を照らしています。


 伊那谷の朝です。


 グッと冷え込んだ朝です。


 さあ、そろそろ下りよう。帰りも険しい。


 昨日歩いてきた道を、途中までそのまま戻ることになります。あの苦労した道を。


 森の動物たちは道を熟知しています。歩くべきところを知っているのです。


 昨日、もっとも坂がキツかったところは、下りるときも一苦労です。


 セキナギは、どこから見ても迫力があります。


 空は雪の白に映えて真っ青に沈んでいます。


 そして、このセキナギはやっぱり現在進行形で小石がぱらついています。


 昨日より、雪、減った…?


 背の高い針葉樹林が一帯を覆っています。これが辛いわけだけれども…


 ふうたろう、昨日から歩いてきて、疲れてしまいました。ザックを雪の上に置いて、座り込みます。


 ほら、影が疲れています。


 ダケカンバの樹林が広がっています。笹原とセットで爽やかです。


 飯島・松川の分岐に来ました。ふうたろう、今日は飯島コースを下ってみようと思います。此方は、駅でいえば七久保駅方面になります。


 しかし、看板には、初心者向きではないコースとのこと。道の不明瞭なコースは、特に下山はとても道探しの技術が必要になりますし。


 ルートそのものも斜面に取り付けられた足場のようなものを歩くことになります。しかも今は積雪期で、完璧に斜面のトラバースという場所もたくさんあります(っていうか、それがすべてかもしれない)。


 小さな尾根が二またに分かれていたりもします。知っている道でない限り、迷う可能性がとても高いです。ふうたろうにはGPSがあるので、地図とのクロスチェックをしていれば殆どの場合大丈夫ですが。


 この谷底へ続く雪の斜面を下ります。ただし、下りきってはいけません。


 下ってきたところです。ハッキリ言って急峻です。


 また足場トラバース深雪ゾーンです。だるいです。


 座り込んでピーナッツかりんとう(アメリカ産とデカデカと書いてある正直な商品)を食べながら、「ああ一袋で640kcalかあ(棒読み)」みたいなことをつぶやいていた気がします。


 実は、6合目ほどに下るに至るまで、下山用のマーカーが少ないです。上り用の、つまり上っている側からは良く見える場所には、烏帽子岳への矢印がたくさん付いています。
 地図をいくら眺めても、本当に細かい凹凸まで地図に反映できませんので(GPSの地図も同じ、か、それ以上に大雑把である)、こういう複雑な場所は案内のリボンくらいはせめて無いと無理です。


 ああ、数少ない展望ですね。ここも崩落地なので足元注意。


 枝分かれがワケギみたいな、ミズナラ


 4合目付近に開けた展望箇所があります。たぶん、木が伐採されているんだろうとは思いますが。


 樹林帯の急坂。楽ではありません。


 やっと2合目。足に疲れがかなりたまってきています。


 ここは広葉樹林。新緑の時季もきれいでしょうね。


 冬枯れの木の向こうに少しだけ主稜線。いつか、本当にあそこを歩こう。


 1合目を切ると、雪の量が著しく減りました。


 林道が見えてきました。もう少し!


 飯島登山道入口到着。疲れました。


 でも、この林道をまだ数キロ、下らなければなりません。


 春はいずこ、まだ氷が張っています。


 黙々と、未舗装の林道を歩きます。


 大きく、小さく蛇行を繰り返す林道。長いです。


 集落が見えてきました。ふうたろうの敗走も終わりです。


 伊那谷の空が、深く、青く…。


 アルプスが白く輝いています。


 道ばたを見ると、タンポポやオオイヌノフグリが咲いています。この感情のギャップが逆に辛い。


 今年の3月は、早春賦が流れない。空も大地もふうたろうも何となく震えている。


 街から、電柱の間から、中央アルプスが見える。それが伊那谷の町です。


 七久保駅到着。既に脚は凄い筋肉痛です。


 小さな駅。1~2時間に1本の電車が通る田舎の駅。ふうたろうは、全国に散らばるこういう駅にこそ、お世話になっています。


 岡谷駅で長い待ち時間が出来ました。駅前の客入りの少ないショッピングセンターで、鰻弁当を買って食べましたが、やっぱり、旅先の店主たちは温かいですなあ。少しでも、ここ岡谷をつまらないだとか思ってしまったことを後悔しました。


 岡谷でずっと待っていても、それでもしかたのないことなので、上諏訪に移動します。お決まりの足湯です。
 隣向かいに座った人たちと、地震や原発の話をしていました。話をすることで、現状が変わるわけではないけど、若干安心感を得ようとしているのだなと思います。


 同じ上諏訪駅には、霧ヶ峰の天然水が汲める(と書いてある)蛇口があります。折角なので、こういう時期なので、汲んでいきますか…。


 電車が高尾駅に着いたのは18時過ぎ。ハラが減ったので外に出て食堂を探しました。コンビニなどが目立っていましたが、食堂が少し離れたところにあったので入りました。そして、やっぱり電気の話。


 暇があると、将来のことやエネルギーのことなんかを考えていました。心の底から楽しめたかというと、決してそうは言えない旅になりましたな…。
 200~300名山撃破についても考え直していたけど、これはちゃんと続けようと思います。山に登る大きな動機のひとつだから。来週はどこに行こうか。


天気:晴れ時々くもり(長野県下伊那郡松川町・上伊那郡飯島町・岡谷市、移動中を含む)

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