傷病兵の行き着く果ては(天塩岳→樽前山:北海道上川・石狩支庁)
今日は9時半までに登山口に下りなければなりません。昨日、タクシーのおっちゃんに9時半に下りてくると約束したので。いつものように、気分が乗らないのでふて寝はできません。
とりあえず、カレーをボイルしておきます。サッと食べましょう。
外は、まさに予言どおり大雨。夜中から雨音が聞こえていたのでもはや諦めてはいたものの、やっぱり萎えますよね。この中、何が楽しゅうて外に出て行かなアカンの(滅
それに、雨が降っているだけならいいけど、このウルトラぬかるみゾーンだった道が、今度は沢になってますよ。ニクワックスという、特殊なエマルジョンの防水液を塗ったのに、靴の中が濡れるまで10分かからなかったんじゃないかな。
視界も悪く、身の危険を感じるよりも前に、不快極まりないという件。
なんか、空が猛烈に暗くなってきたと思ったら、毒矢のような雨が降ってきました。こういう予報だけは良く当たる。晴れはろくに当たらないくせに(-“-|||)ブツブツ
これを写真真っ正面に進めば天塩岳ヒュッテに、左に進めばタクシー待ち合わせ予定の滝下橋付近に下ります。
猛烈な雨。道がどんな形であろうと、樹林がどれだけ頭上を守ってくれていようと、もはや関係ないくらい水の弾丸を浴びます。
無心に下山を続けるふうたろう。6時前に出てきたふうたろう、今、7時半頃。もう1時間半ほど雨に撃たれ(「打たれ」ではない)ています。
写真がこれほど暗く、ぼやけているのは、レンズが曇っているからです。カメラバッグも毒矢の雨でズタボロ。
ところで、ここはもう登山口。今何時かっていうと、7時50分。
(`皿´;)
この大雨の中、1時間40分も待てって言うのかよ…
…もちろん、そんなこと無理なので、タクシーがやってくるのは確かゆえ、下に向かって歩くことにしました。1時間40分あれば7~8kmは進めるでしょう。
途中、この雨の中を何台かの車が過ぎ去っていきました。その中の一台が、事故っていました。札幌ナンバーだったけど、北海道の人でも慣れないもんなんだねと、驚いていたところです。そして、程なくしてJAFと帯広ナンバーの車がタンデムでやってきました。後の話によると、帯広ナンバーの車は仲間だったようです。
9時20分頃でしょうか、やっとタクシーが来ました。ずぶぬれのふうたろう。乗るのも憚られるほどでしたが、乗せてもらいました。若干早めに来てくれたとのこと。山は事故と隣り合わせだから、やっぱり心配だったみたいですね。
そして、タクシーで向かったのは愛別町の協和温泉。ここで毒矢の雨に撃たれた心の傷を癒します。ふうたろうを抜いていった車の人々がいっぱいいまして、さっき事故った人もふうたろうの隣で湯船に浸かっていました。
ここで出会った人たちがみんな優しかったことだけが、この天塩岳に来た意味を感じるというと、オーバーかな…。
雲が薄くなっていきます。車窓から見る広大な農地のすがすがしさよ。
天塩岳でふうたろうの旅は終わりません。ここは千歳駅前。ここからバスに乗って、支笏湖まで向かいます。そう、樽前山のミッションが残っています。
樽前山登山のことを尋ねると、どこの案内所も歯切れの悪い返事しか返ってきません。今夜はとりあえず樽前山7合目ヒュッテに泊まろうと思っているので、千歳駅前の観光案内所と、支笏湖ビジターセンターと、それぞれ聞いたけど、よく判らんとか、電話が繋がらんとか、マジ役に立つ情報をくれないという罠。俺、なんのために支笏湖まで来たんだよ。
とりあえず、しょうがないので、樽前山7合目ヒュッテに向かいましょう。そのためにはまず、支笏湖バスターミナルからモーラップキャンプ場まで抜けなければなりませんが、さっきビジターセンターでは通行止めがどうとか、不吉なこと言ってたんだけど。
観光地化した支笏湖畔を歩きます。場違いな格好で歩くふうたろう。道が細かく分かれていて(公園みたいなもんだから)正解ルートが判らないという罠。苛立ちが募ります。
ベンチの間に隠し通路が。天塩岳ではスイッチすら入れることのなかったGPSを、支笏湖ビジターセンターで迷わずONしたふうたろう。
モーラップキャンプ場に向かう道は通行止め。その情報が確からしいのは、この道の荒れようと、蜘蛛の巣の多さと、人の気配がしないこととが、物語っています。方向指示板の文字が塗りつぶされているのとかもあって、猛烈に不吉です。
…。
やっぱりな…。
モーラップキャンプ場方面へはロープが張られて立入禁止とか。
でもな、ここで行き場を失ったら、樽前山に登れないどころでは済まねえんだよ!
落石がどうのとか書いてありました。落石って、ふうたろうが今まで歩いてきたノーマルルートよりも安全そうじゃねえか。笑えないジョークですな。
そして、1時間強でモーラップキャンプ場に出ました。蜘蛛の巣が多いのと、木の橋が朽ちかけているの以外は、特に問題なく歩ける場所でしたな。でも、精神衛生上よろしくないので、二度と歩きたくないですな。
モーラップキャンプ場でゴールではないので、これから更に歩きます。まずは国道へ出ます。
あの青い看板で、樽前山方面に向かいます。車で行けばあっという間でも、歩くと長いのですよ。特に車道の長さは歩いた者にしか判らない。
そして、樽前山の方向に曲がって進み始めると、両側原生林の車道。熊が出てきそうとか、果てしないとか、そういうことを考える余裕もなく、黙々と歩いています。
やっと砂利道の入口が見えてきた。あれを左に行くとそのまま苫小牧方面ですが、まっすぐ行くと樽前山の登山口です。
その砂利道の入口のところで、ぶぎゅるストーブを使ってインスタントカレーうどんを食います。
食い終わったのが18時40分頃。今日中になんとしても7合目まで行かないと、明日風不死岳の縦走ができなくなります。樽前山のピークハントだけで終わるなんていやです。
しかし、心が折れそうなくらい歩いて、今はもう19時を回っています。
そして辿り着いた7合目ヒュッテ…
…ですが、管理人のおっちゃん一人がいて、「ここは緊急時以外宿泊禁止」と大声で言います。
しかし待てよ。北海道人はみんな車持ってて、誰でも樽前山ごとき日帰りできるかも知れないけど、ふうたろうはできないんだぜ?普通に小屋があるって地図に書いてたら、誰でも泊まれると思うぞ。
どうやら、モーラップキャンプ場を基地に、朝早くこの7合目のヒュッテそばにある駐車場まで入ってから登るのが通例のようです。なんだよ、その車中心社会は。
…と、もちろんそれはおっちゃんの責任ではないので、ここまで歩いてきたのでどうしようもない、と食い下がっていたら、一応緊急時ということで泊めてもらうことになりました。
ま、お互いなんだかんだ言って、山の話に燃えて、就寝が1時間半も遅れたという裏話もありますが。
とりあえず、樽前山7合目ヒュッテは、宿泊不可の施設であるということだけは書いておかねばなりませんね…。もし、公共交通で風不死岳の縦走もすると思えば、モーラップキャンプ場に泊まって、そこから歩いてグルッと回るか、タクシーで7合目まで入って風不死岳登山口にタクシーを呼んで戻るか、の2択しかなくなります。
というわけで、ふうたろうは社会的障壁に多数阻まれながら、ヌルい自然をかき分けて樽前山7合目までやってきました。聞くところに依ると、明日は再び雨という予報らしく、この苦労を踏みにじる結果さえ予想されます。明日にならなければ結局のところ何も判りませんが、またもや不吉な予感がします。
天気:雨のち時々晴れ(北海道上川支庁上川郡朝日町・石狩支庁千歳市、移動中は含まない)