皮の際まで甘い果実のように(鉢伏山・樋橋二ッ山~山辺縦走コース:長野県)
昨日の夜はずっと小雨がぱらついていたようです。これでホンマに晴れるんかいなと思っていたのですが、朝起きて外を見てみたら、雨は降っておらず、雲の間に晴れ間も見え隠れしています。うむむ…
とりあえず、今日は6時7分岡谷発の高尾行きの普通列車に乗り、一駅隣の下諏訪まで行かなければ始まらないので、5時半頃、真っ暗なフロントに鍵を放り投げて(置いてきて)、出発です。岡谷駅まで若干距離があって、町並みを楽しみながら歩きます。こんな時刻でも、活動を始めている人はいるもので、挨拶をしたり。
6時前の駅は閑散としているなあと思いながら、これは車両独占かなと思っていました。しかし、列車到着前になると、人がぞろぞろ集まってきます。都会者のふうたろうでさえ10分以上前に電車を待っているのに、田舎の人たちは3分前とは、恐れ入りましたわ。
下諏訪駅に着いたら、まずはバスを確認。ふうたろうの持っている2005~2006年版くらいの古い昭文社の地図には、下諏訪から和田峠方面に向かって走るバスが残っていますが、Wikipediaを見ると、2008年頃にそれが廃止されています。和田峠まで行こうと思っていたふうたろう、昨日はそれで出足をくじかれ、難儀しました。
しかし、扇ノ山の時と同じように、粘ります。こういう廃線問題にぶち当たったときは、その市町村が運営(委託)しているバスを探すと良い。例えばここは下諏訪町なので、「下諏訪町営バス」などで検索する。そしたら、高確率で出てくることがあります。
→下諏訪町ホームページ バスあざみ号
昨日の夜、岡谷のコンビニでパンを買っていたのだけれども、甘いパンで朝食なんてふざけすぎているので、店を探しに行きました。ご飯もの、塩気のあるものを食べたいので。そしたら、駅前からまっすぐ商店街を突き当たって左に行って、右手の鳥居の方向に曲がったところに西友がありました。ここで、不味い寿司を買いました(滅
バスの中でマズい寿司をイナヅマ食いして、その間にバスが終点に。
バスの路線は「萩倉・樋橋線」。"樋橋"は「とよはし」と読みます。終点の樋橋バス停まで行くのが最善です。始発は2011年9月18日現在で下諏訪駅前発6時55分。
樋橋バス停より、これからいよいよ登山開始。
今日のふうたろうの狙いは、日本300名山・鉢伏山。しかし、この山は山頂近くまで車道が通っており、それひとつだけ登っても恐らく楽しめないと踏んだため、わざわざ下諏訪側から、二ツ山経由で裏道を通ります。雰囲気的には、伯母子岳を風屋貯水池から登るようなもんです。
ヌオッ(゚Д゚;)
いきなり手荒い歓迎です。ゴッツい急坂です。普通の登山道ではないので、容赦なしです。
10分ほど、さっきのもどき分岐から歩くと、鉄塔が出てきました。鉄塔は重要な目印。地図で確認しましょう。この山域は、昭文社の地図に掲載されていないので、25000分の1の地図を見られない人は、即全滅と思っていい。
鉄塔の周りには、ワラビが生い茂っています。春になればワラビが食べられるでしょうか。それとも、福島第一原発の…
歩いていると、何となく柑橘系のにおいが漂っていたので、ふと振り向いたら、山椒がたわわに実っていました。赤い実が割れて、黒い種がむき出しになっています。赤い実の部分をひとかじり。
(・ε・*)クチャクチャ
¨:∴(゚ε゚;)ブッ
…舌がすっぱ辛い…
したどころか、唇までビリビリします。生の山椒の実は強烈です。でも、野生の山椒なんて初めて見たなあ。ちょっと新鮮。
そして、再びふうたろうは急な広い道を昇天。
そして、登ってきたら、なぜか腐った倒木で封鎖されていたという。ま、デフォルトですな。
2本目の鉄塔です。ここまで来ると、林道を4回ほどかすめるように上がってきたでしょう。ここで第一の急坂は終了。これから、ゆるめの尾根のアップダウン。
山手は天気の回復が若干遅めです。樹林帯なのでただでさえ暗いのですが、日が差さないと、部屋の中みたいに暗い。
(・ε・*)ん?
鳥居がありますか。二ツ山、どうも、山岳信仰の山、のようですね。
少しずつ明るくなる空に、森も少しずつ緑から黄緑へ。秋近いのに、何となく新緑の頃に戻ったような。
鳥居を潜ると、今までの広い道はなくなります。ここから本当の登山道。考えれば、今までの道は、轍だってありましたよね。
ま、信貴山だってすさまじい数の鳥居を潜っていった覚えがあるから、2個くらいは普通なんですかね(素人考え)
ふうたろうはとりあえず、山を信仰じゃなくて侵攻(ぇ
空の色が青くなってきました。ガスの濃淡を繰り返す空が、質的な変化を起こすときが近いでしょうか。
しかし、二ッ山に近づくにつれ、笹ヤブがキツくなってきます。この程度のヤブこぎは屁でもないのですが、朝露や昨日の夜の雨で濡れまくっているので、靴がビチョビチョですがな。また、シゲクラ尾根スペシャルですか。
ここはどこだろう。細かいピークは地図には表れないこともあります。周囲の地形からするとだいたい予想はできても、まだ上の方はガスっているので、判りにくいの何の。
さっきの神社を過ぎると、道は不明瞭に、ヤブはいっそう深くなります。でも、見通しが良くなってきたので、とりあえず上へ上へ。清々しい笹原ですから、あの地獄の日高山脈みたいではありません。
疎林の笹原。地図には植生も描かれているので、これを見ると、山頂が近いことも判ります。
どうやら、二ッ山の双耳峰(?)が見えてきました。左にある方が三角点です。
さあ、二ッ山の山頂はもう少し。ここが第一チェックポイントになりますから、シャキッと行きましょう。
さっきから気にはなっていたけど、このあたりの樹林は立ち枯れが多いですね。なぜでしょう?去年の赤旗祭で買った、立ち枯れについて書かれた本を、今一度ちゃんと読んで、学習しておかねば。
…見晴らし自体はいいんだけど、それと環境の話は別だからね。
二ッ山登頂!
しかし、ここには三角点があるだけで、展望も余りありません。ただ笹原が美しいだけ(それだけでも本来十分だけど)です。
さあ、もう片方の耳を食いに行きますか。でも、笹ヤブが相当道を塞いでいますなあ。
ムスカ大佐のようにヤブをかき分けながら、二ッ山第2峰を目指します。
そしてこの看板。どうも、樋橋ルートはそれなりに知られたルートのようです。ホンマかいな…
第2峰の山頂はだだっ広いところです。栃木県の高原山の釈迦ヶ岳のように。
そして…
キター\(゚∀゚)/
笹原大展望!
遠くに北アルプスが見えています。
北には美ヶ原が!
…あのアンテナ群はハイパーキノドクだけど。
彼方に美ヶ原。しかし、あちらはもはや近隣の公園に過ぎませんか。今ふうたろうがいるこここそ、本当の美しい原です。
この看板、反戦まで訴えますか。そうですか。
ふうたろうのMPが全快した。
出たり消えたりを繰り返していたガスも、ふうたろうが二ッ山に到達する頃には完全になくなっています。ふうたろうの目の前には大展望が広がっている。
踏み跡が縦横無尽に付いています。ガスっていたら道迷いに十分警戒すべきですね。
どこに引っかけたのか、穴の開いたカロリーメイトゼリータイプが、ザックの中で漏れているではないか。爽やかな気分ぶちこわしという罠(滅
しかし、ぶちこわされても、MP自動回復の道。これはたまらん。死ぬ!
鉢伏山近し。しかし、まだ遠くであってほしいという気持もあったり。
この道は冬、雪が積もっているときに来ると、また格別の良さがありそうですね。300名山撃破したら、来たい山リストに載せておきましょう。
谷を覆う樹林とササ。空気の澄み具合といい、何もかも素晴らしいですな。
冬の季節風で木が曲がっているのですかね。みんな北方向に…。北?ここは低気圧による雪の影響の方が大きそうですかね。
どこ見ても展望良し。さっき、南側の展望はあまり良くなかったけど、このあたりは例外的。
冬の雪景色とか、もっと死ねますね。この笹原だけでも十分死ねるのに…。
こういう道でさえも美しく感じます。皮の際まで甘いメロンのようだ。
笹原のトラバース道。雪シーズンはこんなところ歩くのは怖いけど、これは雪道を食いに来ないと、本当の美味さは判らないだろうなあと。
ずっと歩いてきた道。これはある意味魔性の道ですな。帰りたくないですわ。
空の青さは、さっきまでの曇り空を見てきただけに、余計濃く見えますね。
別の踏み跡みたいなのがあったのでそちらへ進んでみましたが、山頂までは続いていないみたい。それでも、車道っぽいのよりは全然いい。
…ん?(・ε・)
これはアリの行列。
そうなんですよね、山頂付近まで車道が延びている山って、こういうのが常態化するんですよね。目的地がこれだと、やっぱり少し残念な気がしますよね。
でも、いいのです。ふうたろうは二ッ山からの縦走を含めて鉢伏山なのです。鉢伏山からの景色は確かにいいけど、香気成分のキー化合物だけを抽出して嗅ぐようなこの景色だけで、鉢伏山は語れませんから。
これが鉢伏山山頂の三角点。みんな完璧スルーしてましたけどね。
さっき、穴の開いたカロリーメイトを一気飲みしたのであまり食欲もなく、残っていたパンをイナヅマ食いしておきます。
鉢伏山の山頂直下にある、あの汚い内装の建物は、展望台です。ツアー客たちは、「100人乗っても大丈夫」の物置の宣伝みたいに、上に乗っていきます。価値観それぞれなんだろうけど、おもしろいんかなあ、と思ってしまいます。
でも、ふうたろうもちょっと上ってみます。みんなが飽きて下りていった頃に。
さて、出発しますか。これから、先行きの判らないロングコースが待っていますから。
ふうたろうはこれから前鉢伏山を経由して、遙か先の松本市山辺地区まで下りていきます。長いぞう…
煙じゃないもう一方のふうたろうはのぼっちゃうわけですよ、こういうスーパーハイテンションの時は。
さっきのキタネエ展望台とは違って、こちらは本物。やっぱり本物がいいよねー
前鉢伏山に向かう前に、トイレに行っておきましょう。100円です。
特別保護区、ですか。車道通しまくっているくせに。
要らんだろ、車道なんか。車で行くなら、美ヶ原にみんな行かせりゃいいんだよ(怒
車道はザンネンだけど、天気と景色と雰囲気がふうたろうを迎えてくれています。
前鉢伏山到着。ここから、無人の世界になるでしょう。鉢伏山を登る希有な人でも、登山道は扉鉱泉からといいます。ふうたろうは、希有どころか、逸材というべきか、林家たちの歩みを辿ります。
お?
崩れた斜面から松本盆地が一望ですがな。でも、標高が下がってきたので、盆地があまり広く見えません。
下山路と言っても、ここはまるっきり縦走路で、アップダウンを繰り返す、それなりに大変なコース。奥武蔵の伊豆ヶ岳縦走を思い出すようなコースです。
このルート、踏み跡はあるのですが、時々場所が判らなくなることがあります。山菜採りか何かに来ていたおっちゃんがたまたまそこにいて、何とかルートに戻りましたが、これはなかなかハードですよ。
地図でいう宮入山を越えて、林道にぶち当たりました。ここから東西に下りれば、それぞれの里に行き着くでしょう。しかし、ここで里に下りても、長い車道歩きに辟易するのが関の山なので、縦走を続けます。
なお、ここには3~4台車を止められるスペースがあるようなので、鉢伏山のエクストラコースとして使えるかも知れません。
ここからも山の尾根づたいに縦走しようと思ったものの、道が完全になくなっていましたので、等高線沿いに走る砂利林道を歩くことにします。しかし、これ、そんなに悪い雰囲気でもなさそう。
ヌオッ(゚皿゚;)
…またかよ…。
でも、ここまで来て先に進まないわけにはいかないんだよ!
時折ぶち当たる鉄塔で正確な位置を確認すると、林道が新たに敷設された、ということなのですね。
そして、二ッ山を登り始めた頃に見られたような、広めの道が出てきました。
地図にある、高遠山を越えると、少し判りにくい道があります。そこで変な尾根を下るととんでもない方向に向かってしまうので、慎重に踏み跡と地形を確認しつつ進みます。
すると、林道と出合います。
ここから先はしばらく林道歩き。その気になれば、ずっと林道を歩いて下ることもできそうです。
地図には幅員5m以内の破線ルートの道ですが、現地では林道に付け替えられていて、一見でたらめです。しかし、道の形自体はほぼ正確で、どうやら、予定どおりの道に進めそうです。
この細い踏み跡レベルの道の先には、橋倉集落があるようです。それってどこだよ、といいたいところですがね。
ところが、この道は殆ど誰も通っていないようで、猛烈に荒れています。ホンマに行けるんかいな。
更に、地図では完全に谷を通っている破線ではなく、実際は一本左側の尾根の上を歩いているようです。…ぬぅ…
…おれはイノシシか。
とりあえず、柵を越えないと先に進めないか。
中途半端な作りの扉で、抜けるの大変だったぜ、陸前五葉山の廃牧場の時みたいに(滅
しかし、山の持ち主名義の張り紙で、「入山禁止」という大きな注意書きを見つけてしまったので、先に進めず、ここから柵づたいに下ることに。一応、木の段が組まれているような形跡があって、何とか下りられました。
この扉、最後の扉となりましょう。
なお、ここは、さっき谷筋を下りてくる地図上のルートと一致します。いったい、どこから繋がっていたんだろう。
網(電気柵)の向こう側(人間界側)はブドウ畑でした。これはナイアガラ種ですか?
ふうたろうは田舎道を歩いていきます。そして、遠くに2時間に1本のバスが超鈍足で通過していくのをこの目でハッキリとらえてしまいました。思わず膝をがくっと落とすふうたろう(滅
川の段丘を上がったところの通りに、バス停があります。桐原バス停。
→アルピコグループ 路線バス 松本市周辺バス案内
「入山辺線」を見ましょう。美ヶ原に行くバスは季節運行で使い物になりませんから。
先ほども言ったように、2時間に一本のバスですから、待つか歩くかするしかないわけですな。
と、そんなところに、ブドウ農家の産直売り場が。
ブドウと農家の人たちに吸い込まれるように入っていったふうたろう。巨峰を2房600円で譲ってもらい、緑色のナイアガラまでサービスで付けてもらいました。兄ちゃん姉ちゃんおっちゃんありがとう(目がハート)
しかし、復路を受け取った瞬間地面に落として転がすという罠。
(`゚皿゚´;)あ"あ"あ"あ"ーーーー!
それを見たおっちゃんが、ナイアガラをもう一房サービスしてくれました(涙
立派なブドウ畑。すてきだなあ。松本に住んでいた学生時分、農家のことに思いを寄せたことなんて無かったよね。思えば、環境が認識を発展させることもあるんだよね。当時は農薬のことさえ興味の範囲外だった。
休憩用に置かれていた倚子に座って、ふうたろうはブドウをしこたま食いました。美味かった(目がハート
そして、まだバスまで時間があるので、すぐ下にあった産直売り場に足を踏み入れ。
しかし、ここにあった野菜、なぜか山形産のニラとか、鹿児島産のオクラとか、嘗めたものを扱っている件。
また、NHK連続テレビ小説の「おひさま」は戦前から戦後の安曇野を扱ったもので、ヒロインの家はそば屋。それにあやかったそばを売っていましたが、プロピレングリコールまみれの蕎麦という件。
松本産のオクラとカボチャとモロッコインゲンだけを買って出てきました。
二ッ山~鉢伏山のふうたろうはこんなだったに違いない(何
…スーパーサイヤ人なんて懐かしいよね。
17時3分入山辺局前バス停発の最終バスに乗り、松本市街地へ。バスの運転手、何だか機嫌が悪そうに見えたけど、気のせいかなあ。それよりも、松本市を走る車の一部に、マナーの悪いのがぽつぽつ。うぜえ…。
駅前のモスに入るところを、今日はネパール料理店。ちょっと高いけど、地域の振興にはなるでしょうか。メニューはダルカレー(豆のカレー)。店員は向こうの方の人で、日本人とは感覚が違うよね。いい意味で。
カレーを食ったら、これから帰宅です。駅前にあるチケットショップで、安いあずさ回数券をゲットして、ね。
イヤ、長い旅でしたね。166枚の写真とは、ふうたろう絵日記史上最大の多さ。薬師岳の時みたいに2回に分けても良かったけど、ま、いいよね。
今回も、天気良し、展望良し、出会いもまあまあ良し、評価はSクラスですね。鉢伏山の車道を地図で見るとがっかりするけど、コースを選べばこんなにいい山だとは。歩きごたえ抜群。
#241鉢伏山クリア。
天気:くもりのち晴れ(長野県岡谷市・諏訪郡下諏訪町・松本市、移動中は含まない)