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台風に蹴落とされて(杓子山荘【鑓温泉コース】:長野県)

2013年 9月 15日

 昨日の夜の雨はにわか雨だったのでともかくとして、問題は今日です。恒久的に降られると絶対アウトなので、今朝の天気がどうなのかが、これからの行く先を決めることになるのです。
 おや、ガスっていませんね。白馬鑓ヶ岳がスッキリ見通せておりますね。


 しかし侮るなかれ、東海や関東南部では既にかなり強い雨が降っています。この辺りには雨雲がかかっていませんが、それも時間の問題でしょう。せいぜい持って3時間…


 ところでこの小屋はすぐ横に水場があります。そのままグビグビしても大丈夫みたいです。
 このあと、ドライカレーチャーハンを作って食べ、出発という運びになります。


 さて、5時55分、猿倉に向けて出発。晴れていれば稜線を歩いて白馬岳経由という運びになりますが、そういう状態ではありませんね。レーダーには映らないレベルの小雨がぱらついています。


 ふうたろうが出発する頃には、小屋にいた人の9割以上がもうとっくの昔に出発していました。ふうたろうは明るくならないと行動できない生き物なのでね…


 小屋番もどこかに引っ込んでいたので、挨拶もせずに出てきてしまいました。ま、今日はちょっとくらい慌てても許されるでしょう…(←こら


 しかしその割には、
 (☆ε☆)「ウサギギクばたけだー(黒ハート」
 なんて言ってたりする(黒笑


 さっきまで見えていた白馬鑓ヶ岳も、ふうたろうが稜線に上がった頃にはガスの中に入っていました。いや、今日は稜線に上がるのは得策ではありませんね。下山するには一時的にこの稜線を通らねばならないのでやむなしなのですが…


 しかしふうたろうは余裕を放いて写真を撮っている。まだそこまで風は強くなってはいない…


 白馬稜線から西の風景。あの奥の山脈はどの尾根ですかね。あれが白馬岳から欅平につづく尾根…?


 白馬市街地が見えています。村なのに市街地とはこれいかに(笑


 ふうたろうをひとりのおっちゃんが抜かしていきました。昨日の夜、少し話をしていた人でしたかな。


 ま、ふうたろうは、ほどほどのスピードでバテない程度に行きましょう。この先も意外と長いのですし。


 ここが鑓温泉経由猿倉山荘へのエスケープ(退避)ルートの分岐です。まっすぐ稜線を進むと白馬鑓と杓子岳を経て、白馬岳に行きます。ふうたろうは今回、ここからエスケープします。


 エスケープとはいっても馬鹿にしてはいけません。この鑓温泉コースは、途中の鑓温泉を通過する名物コース。しかもその温泉は宿付きですから。下界のちゃらちゃらした温泉旅館なんぞとは格が違うのですよ、格が。
 って、着いてから言えよってな。


 というわけで、雲海見ながら急なカールを下っていきます。カールとは氷河で削られた地形という意味らしいですが…違いましたっけ?
 それに、ここがカールなのかどうかもアヤシい件(←こら


 それはともかく、美しいガレの斜面や岩肌を両側に見ながら、えっちらおっちら下山。エスケープにしては贅沢じゃないの!


 晴れていればもっと映えるんでしょうけど、ま、贅沢は言わない。ふうたろうの今回のミッションは唐松岳だから。キレットと大上りまで通っといてこれ以上贅沢抜かしたら罰が当たりますぞ。


 台風は憎たらしいけど、まあ、ふうたろうはそろそろご老体なので、明日は休ませてもらう方向で、と考えるとしましょう。景色見ながら、ゲームのことも考えながら下ります。


 FacebookのソーシャルゲームのMegapolis(都市作りのゲーム)はスマホでも起動するので、実は天狗小屋の外の電波が入るところで夜な夜な(あるいは朝飯作りながら)イジっていました。
 ふうたろうはゲーマーなのです(`・ω・´)キリッ


 というわけで、山もゲームも楽しむと。さすがに歩きながらゲームするのはだらしないのでやんないけど。


 カールの下部まで来ると、立て看板が。どうもこの下にある鎖場で滑落事故が起こったそうで。ストックを突いたまま上り下りするのがいるようで。危ないのは当たり前ですがな。スマホ見ながらチャリ運転する阿呆よりはマシですけどね(苛


 ここから樹林帯です。


 さわやかな音を立てながら沢が流れています。


 こういうところでタオルを濡らして頭に巻いて歩くと、ほんの少しだけ暑さが紛れるのですよね。


 どうやらこの先、鎖場らしい。


 鎖場の難易度でいえば、あのキレット付近のよりここの方が断然難しい。鎖に頼らないと足をかけるところさえもないのですからね…


 今日は路面も濡れています。いっそう滑りやすくなっています。


 見晴らし最高ですな。


 ところで、さっき足場の悪い岩の上から飛んで着地に失敗したときに、右膝を痛めました。まずい、けっこう痛い。これはまさか、あの悪魔の膝痛で2週間も山を休まされた悪夢の再来か。


 右膝を庇いながら、この不安定な鎖場をとりあえず抜けねば。


 ちょっと岩かどこかに腰をかけましょう。右膝の靱帯が若干痛んだ程度であれば、可逆的なものかもしれません。
 そしてそれは概ね当たったようで、少し休ませたら治まりました。しかし無理は禁物。あまり負荷をかけすぎないように下らねば。無理な飛び降りは厳禁です。


 しかしそんなことを思った矢先に、こういうヅドンゾーンが出てくるという罠。


 この沢には採水設備が取り付けられています。きっとこの下にある小屋の水になるんだろうね。


 足場がコンクリートになりました。小屋は近いね。ま、地図読んでるから解るんだけど。


 低木樹林帯の広がる大きな谷の斜面に、オレンジ色の小屋が貼りついています。あれが鑓温泉ですね。


 さっき既に膝を痛めたふうたろうですが、この看板が注意を促しています。


 雪渓があります。よく見ると右奥のところに、何かテントみたいなの、見えない?


 タテヤマウツボグサ(シソ科)。花、いっぱいありますね。全部撮ってないけど。


 水の流れはいつ見ても癒やされますね。…どぶ川は別として(じと目


 鑓温泉の屋根がすぐそこ。


 さすがにもう人はあまりいません。みんなすたこらさっさと下りているのでしょうね。


 どこから繋げたのか、パイプから硫黄が析出した温泉が流れています。けっこう熱い。


 硫化水素ガスを浴びた金属は黒く錆びます。硫化鉄。


 内湯があります。さすがにこんな衆人環視のコースで露天風呂オンリーだと、女性は辛かろうて。


 小屋のテラス下の休憩所も人はまばら。小屋番たちが片付けにバタバタしています。


 明るく落ち着いた感じのテラスです。


 ふうたろうは、下界と山は違うと思っています。下界では売った側がゴミを回収してもいいだろうと思うのですが、山では、山だけでは、自分で出したゴミはすべて自分で持ち帰るのが原則だと思っています。たとえ小屋で買ったものであっても、ふうたろうが持って帰らなければ小屋が荷下ろしすることになる。その大変さやコストを理解しているから。
 ふうたろうは小屋で売っているものを営利目的だとは思っていないところがあるのですね。そういう理由が大きいのかもしれません。


 これが名物の露天風呂ですね。入ったら気持ちいいでしょうけど、ここで入ってしまうと動きたくなくなってしまいますなあ…


 せめて足湯でも…?
 いやいや、行きましょう。


 小屋の方から温泉が流れてきます。


 鑓温泉小屋グッバイ!いつか泊まりに来たいね。


 この温泉はそのまま沢に注ぐのでしょうね。


 さて、ここから、コースタイムでまだ3時間半以上も下らなければなりません。8時過ぎの今ならば、12時20分のバスには間に合いはするでしょうけども、雨が強くなる前には下山したい…


 9月だというのに、バカでかい雪渓がまだまだ残っています。そのうち氷河として残っちゃうんじゃない?この頃の冬はずっと雪が多いから…


 やはり、このコースはエスケープだからと馬鹿にしてはいけません。カールや雪渓、沢、樹林、極めつけの温泉など、見所はイッパイ。


 道が水平になり始めると、それからが長いようです。いや、地図通りであればの話ですがね。


 また沢を渡るのか。しかも雪渓を直接歩くようですな。


 ものすごいスノーブリッジです。できればあの上は歩きたくない。


 赤い粉(ベンガラ?)で道しるべ。ん?(・ε・;)
 ヅドン!!! ブッ¨:∴(゚ε゚;)
 雪渓がツルンツルンに凍っていて転けました(滅


 トゲゾーでも降ってきたら怖いけど、トゲゾーが怖くて登山ができるか。


 ガレ場の石の美しい斜面。あの、山に登り始めた頃、初々しくも、このガレ場の石同士が当たる音が心地よくてねえ…(遠い目


 キヌガサソウが咲いている、と思ったら、もう、実になっていました。そりゃ、1ヶ月以上盛りは前のはずですからね。あのノロわれた奥大日岳の頃ですからね(ヴォー読み


 このところの雨でできたのか、それともこの大いなる山は渇水を知らずに流れ続けさせているのか。
 ああ沢はさわやかだなあ(笑


 ヤマルリトラノオ(ゴマノハグサ科)かなと。長日植物(春の花)もいいけど短日植物(秋の花)もいいですな(ぇ


 この谷の真上が、ちょうど杓子岳に当たるようです。ガスの中に消え去っていますが。


 チョウジギク(キク科)です。丁子(チョウジ)というからにはクローブですか。いや、クローブはチョウジノキという植物のつぼみらしい。ただし、丁子とクローブという単語は同じ意味で使っているようです。


 これはウメバチソウ(ユキノシタ科)。110リットルのザックを背負いながら、こういうのを屈んで撮るのは一苦労なんですよ。


 雨が強弱を繰り返し始めました。雨合羽を着ていても、結局中で蒸れて濡れるというオチです。このゴワテックスめ。


 ミヤマコゴメグサ(ゴマノハグサ科)。さすがに花、多いですな。広葉樹林や草原地帯は花の宝庫です。おかげで体力を使います(ぇ


 ここは三白平という場所のようですが…


 とても見晴らしもいいのですが…


 適度に湿ってもいるのですが…


 どう考えても地図がデタラメだとしか思えない上り坂があって、小日向山の峠(小日向のコル)まで来るの、めちゃ大変だったんですよ。


 小日向のコルのところには小さな池塘があります。この葉っぱはミズバショウですかな?ってことは、コッテリ残雪期に来るとミズバショウがきれいなのですかな?


 小日向のコルを過ぎると湿原地帯。バリエーション豊富なコースですな、この鑓温泉コースは。


 ん?(・ε・*)
 何か、変なところでツェルトを張っているカップルがいますな。
 返事がない。ただのしかばねのようだ(違
 たぶん、構ってくれるなってことなのだろうと解釈し、先へ進むことに。


 ちょっと先に、うら若き女性ふたりがいたので、さっきのカップルのことを聞いてみたのですが、ふたりは特に異状を感じなかったようです。


 数百メートル程度そのお嬢さんたちと一緒に歩き、ちょうどトラバースから尾根状の下りに曲がったところで別れました。
 しかし、いよいよこの道、飽きてきたな。


 その飽きを来させるような道が終わったら、砂利道にぶつかります。この砂利道をそのまま上に進むと、かの有名な大雪渓です。あまり行きたくはないけども。


 砂利道のところでおっちゃんとばったり会ったので、猿倉まで少しばかりお話をしつつ。


 猿倉に到着して着替えをしていると、ひとりのおばちゃんがタクシーの乗り合わせを呼びかけていたので、便乗決定。駅前の温泉付きで行きます。


 というわけで、駅前のホテルの温泉です。
 周囲の家の2階から丸見えの露天風呂が気持ちよかったなあ(棒読み


 松本まで一緒だったおばちゃん、独特の雰囲気のある人でした。ふうたろうは松本でカレーを食べて帰ることにしたので、そこでお別れしました。


 どんより松本の空。駅ビルの半地下で地元産の野菜などを売っているコーナーがあるので、そこでメシの種でも買っていくことに。キュウリ・ミョウガ・味噌…それだけじゃ足りないので、バスターミナルが入っているビルの大型スーパーで、豆腐と煮干し(トビウオ)。


 松本駅の屋根に、何か黒い四角のタイルが貼り付けられていると思ったら、ソーラーパネルですな。今日は雲が多いから、そんなに多くは発電していないようですが。


 16時30分発の臨時のスーパーあずさに乗って、帰ります。台風のおかげで若干消化不良ですな。
 #288唐松岳クリア。


天気:くもり時々雨(富山県下新川郡宇奈月町・長野県北安曇郡白馬村・松本市、中央線など)

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