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下山こそ本当の結果(岩菅山【一ノ瀬バス停コース】:長野県)

2014年 5月 18日

 夜、時々気になって外を見てみたけれど、結局起きる時刻の3時前になってもほとんどガスは晴れていませんでした。いつものスパイスチャーハンに残ったタマネギを入れ、横に唾液吸収装置を添え、かっ込んだ後も晴れることなし。あまり出発する意欲も湧かないので二度寝して、荷物を片付けて改めて出発したのは5時半。晴れていれば4時には出たかった。


 ひどい天気です。写真を撮る意欲も失せます。これでは、岩菅山すら登るモチベーションが下がります。


 ん?(・ε・;)
 そう思っていたら焼額山が…?


 このまま、劇的ビフォー・アフターになりますか?


 雲の底が徐々に高度を上げている、つまり、雲が薄くなっているのだと思いたいです。


 谷には日が差しているし、左奥の方にかすかに見える関東平野部はよく晴れているようです。


 驚くことに横手山中腹も晴れています。


 しかし、露だくなるふうたろうの道は、完全に幻想的な世界と化しています。


 ところで、この登山道は雪崩に土砂を持って行かれそうになっています。登山道の部分には草木がないので、支えがありません。雪庇の張り出す南斜面より北斜面に道を作った方がいいのではないか。


 徐々に晴れ間が広がってきています。劇的に青空の広がるときが来るのでしょうか。


 …期待するだけツラいか。


 でも、今日は必ず回復する方向に向かうと確信しているんだけどなあ…


 尾根が再び北に向きを変えました。岩菅山までもう少し…というには遠いけどね。


 登山道が出ているところもありますが雪の上を歩いた方が楽だと思います。


 2072mピーク。ここからきっとこの方向くらいに岩菅山が見えるのでしょうけど、心の目に頼るしかないですね…(遠い目


 岩菅山の最後の上りに取りかかりました。しかし、この展望だとやる気が(滅滅滅


 山頂はきっとこの上にあるのでしょう。位置だけしか解らない何とも寂しい行軍になっています。


 突如、雪が途切れて登山道に。いちおう南斜面ですし急坂ですから、積もりづらい上に溶けやすいのかもしれませんね。


 最後の鞍部辺りで7時6分でしたが、40~50分して、ようやく山頂っぽい(何)が見えてきました。


 いや、棒だと思ったら石碑でしたすみません(棒読み


 岩菅山の山頂には避難小屋があるらしいですがどこに…と思ったら、何とまだ雪の中に埋まりまくっています。左の方にトイレがあって、一見使えそうですが、氷が貼り付いて扉が開けられません。


 そして、マッシロけんけんの山頂(=皿=)


 この後、縦走しても景色はろくに見えないし、恐らく時間切れで死ぬ。ここで晴れるの、待とうか。つまみ食いでもしながら。


 それにしても、寒い。気温はそんなに低くないのに、何でこんなに寒いんだろう。


 いつまで経っても、晴れませんなあ…もう、小一時間経ちましたよ?


 トイレでも行くか、と思って、便所の扉に鍵をかけているピッケルで氷をたたき割っていたそのとき…!


 空が急に晴れ始めました。


 山の天気は劇的です。


 量より質への転換、という言葉がこれほど相応しい場所は、なかなかない。いや、本来は万物普遍の言葉なんだけど、それに気がつかないだけだよね、普段は。


 状態ではなく変化を楽しむ。さっきの一面ガスの状態も、実は動いているんだよ?動いているから、今も動く。


 20年経っても起こらないことが、一夜にして起こる。1時間待っても2時間待っても晴れなかった空が、今数分のうちに一気に晴れる。


 その代わり、一直線の変化ではありません。段階的に変化し、時には微少な逆戻りもあるもの…


 それでも、その変化が美しい。そして、その自然の変化に影響を受けて変化する自分の感情も、その変化する感情に影響を受ける別の感情もまた、美しい。


 その昔、雲の帯を目線で見るなんて考えられませんでした。手の届かないところにある雲の中ってどうなっているんだろう、と。


 奥志賀の深い山々。…といっても、この辺りは開発が進みすぎていると、ふうたろうは思いますがね。


 裏岩菅山が見えてきました。


 冬の空のように澄んでいる青空の中に、輪郭をはっきりさせた筋状の雲が東へ流れていきます。


 日が当たると同時に、周りの木いっぱいに付いていた霧氷が音を立てて崩れてゆく。


 横手山、まだ見えません。


 大きな景色です。


 岩菅山をちょっと裏岩菅山側に進んだところにある岩の上から、北方向を望むと、眺望最高の場所があります。
 でも、このカメラは横幅が広く縦幅の狭い広角なので、構図が取りづらいな、といつも思います。16:9だったかとおもいますが、ふつうの4:3が最高だと思います。


 雪渓、美しゅうございます。彼方に見えるでこぼこの山は榛名山、でしょうか。


 しかし、また曇ってきました。でも、もう十分でしょう。2時間もここで見ていましたから…


 さて、景色が消える前に、行こう、行こう。


 この雪斜面は心臓に悪いです。ふうたろう、踏み抜きずるずるの雪の斜面は苦手です。


 これから、一ノ瀬方面(雑魚川)に下ります。


 今回は無理をしない、そう言いきかせています。十勝岳も天塩岳も、会津朝日岳の時も、ずっと慌てていた。それを律することができないと、この先はないような気がしてきまして。いや、大仰かな?


 場所によって雪の付き方がまったく違います。さっきの山頂は2~3mは積もっていましたからね。


 右奥、山の向こうに長野市などが見えます。今日はあちらから帰ることになります。


 もう少しで横手山の山頂もガスから開放されそうです。草津笠ヶ岳はだいぶ前からずっと見えています。どれがその笠ヶ岳か、判る人には判ると思います。


 ちょっとばかり、これから似たような景色が続きます。


 長野市方面。


 雲中心。


 実は、富士山も見えています。写真では非常に判りづらいですが。


 雪の上を快適に歩きます。わかんは必要ありません。十勝岳やクマネシリ岳は、そう思えばきつかったですね…


 登りでは岩菅山はガスの中でしたね。


 折角戻るなら、ガスっていたときに、どこに岩菅山があるのかなあ、と想像していた場所と見比べてみましょうか?


 針葉樹がけっこう多くて見えづらい。


 木は多いけど山容がよく判るようになってきました。


 2072mピークの北東の取り付き辺りからがもっとも良い眺めではないでしょうか。ちょっと日が陰っているのがザンネンかなあ…


 4時間ほど前、ガスの中、この画角で真正面に岩菅山があるのかなあ、などと想像していましたが、けっこう外れていますね(笑


 そしてふうたろうは冷たい氷・水が降り注ぐ尾根を、一ノ瀬に向かって下り始めます。


 あれは寺子屋峰です。昨日の様子からでは想像もできないほどよく晴れ渡っています。


 2072mピークに登り返してから尾根を下っている理由は、本来の夏道は雪で埋まっている上に樹林帯、正確な道を取りづらいし展望も利かないと思ったからです。


 …というわけで安心安定の雪尾根歩きです。


 青い空、立ち枯れた木が一本。


 あと2ヶ月ほど前だと、ここももう数メートル雪が多かったことでしょう。


 ウボァー(゚Д゚)
 またか(滅


 岩菅山の形はすばらしいけど、この辺りは北面の樹林がすごすぎて…


 テープ…そうか、正規の道に合流しましたか。


 ここまで下ってくるとちょっと形が崩れてきましたか。


 手前の尾根が山を隠すようになりましたね。


 ん?(・ε・*)
 足跡が出てきました。上の方には足跡、あったようななかったような、レベルだったのですが…


 そして、登山道が出てきました。


 1893m小ピーク東側で下りに入ります。


 ところで、ふうたろうは毎週のように山で何をしているのでしょう?


 遊んでいるの?休んでいるの?考え事しているの?


 ふうたろうの普段の1日の労働時間は8時間程度。週休二日なので、毎週こうして山に行ける。でも、そういう労働環境の労働者は、日本人の何%でしょうか。ふうたろうの耳には毎日10時間とか12時間とかいうとんでもない話しか飛び込んできません。休日も土曜日の休みは隔週、あるいはない、祝日も休みではない、など。


 …道間違えた(滅
 ヤヴに突っ込みました(没


 本来は週40時間を越えて働かせてはならないという日本の労働基準法。しかし、通称三六協定と呼ばれる、労基法36条で、労使が合意すればそれ以上働かせられる、というものがあります。
 使用者側の方が立場が強いのに、どうやってその合意を断ることができるのか。事実、労基法は形骸化し、山に来る度「時間がない」という人が後を絶たない。


 長時間労働・低賃金の人たちと、ふうたろうのような人間。何も変わらないのに、いや、むしろ彼・彼女らの方が努力しているかもしれないのに、なぜ彼らは?
 労基法の厳格化と罰則の強化、三六協定の撤廃、最低賃金のアップ。中小企業に対する対策の具体的なことは判りませんが、それへの対応も必要でしょう。
 …ふうたろうが何も考えなくても冒険を楽しめる日本にするための課題はあまりにも大きすぎて、暗くなります。


 それになおかつ、ふうたろうは東京での生活に疲れています。あんな散歩もろくにできない場所に住み続けたくない。食糧供給がひとたび途絶えたらあっという間に死の恐怖にさらされるような東京に、住み続けたくない。


 …ふうたろうは山を歩きながらこんなことを考えていることだってあります。山にいるから何もかも忘れる、なんてことは無理です。ふうたろうの心はいつもひとつ。ただ揺れ動き、不安定なだけで、いつもひとつ。


 アライタ沢に下りてきました。ここからどうやら水路沿いに進んで一ノ瀬まで歩くようです。


 水路沿いの道は水平道。一ノ瀬までそのまま進みます。


 雪が道を埋めています。アイゼンを既に脱いでいるので、滑ったら沢にヅドンしますね…


 一面雪に見えますが、左側は水路がむき出しであります。踏んづけたら水路にヅドンします。
 まあ、そんなこと、落ちてから言っても後の祭りなんですがね(じと目


 流れる水の影響を受けて解ける残雪。
 …魚になれたら、水の中からもっと違う景色が見られるのに。


 何も考えなくても歩ける道。でも、何も考えないでは歩けないふうたろう。余裕があればあるほど、考え事も増えるんだ。


 ふうたろうが今こうして歩いている間も、自由な時間、お金さえない人がいることを考える。でも、できることが思いつかない。結果が出せない。


 岩の隙間から水が噴き出しています。でも、雪解け水と混ざっていそうで、水質は怪しいね…


 ここから右に進むと、車道には下りられます。でも、そこにはバス停はありませんので、結局一ノ瀬バス停まで歩かねばなりません。


 岩菅山からずっと下に見えていた焼額山はいつの間にかあんなに高く…ふうたろうが迷っている間にね。


 さっきの短縮ルート(車道に下りる道)より先の水路沿いの道は、特段雪の付き方がひどくなりました。今さらですが、エスケープ、しますか…。


 靴の裏を上手くスキー板代わりにして滑るとあっという間です。スキーがせめて使えるといいのですが、あまり道具に頼るのは好きでは…


 そして、3分で車道。速い。


 新緑と残雪のコンボを見たかったけど、これでは真冬ですな…もう、5月中旬なのですがね…。


 おや、バス停…
 と思ったら、もう使われていないバス停でした。


 冬なのか、夏なのか、それとも春なのか…いったい、どうなってんだ、季節…。


 ふむ…ここのバス停は生きていますな…


 次のバスも30分弱後と、ちょうどいいみたいですな…
 でも、もう一つ分くらい歩いてもいいかな…。


 おや?このホテルは看板の文字が剥がれて…?きれいなのに。


 バスの運転手と話すことになりますが、この辺りのスキー場や旅館などは、この地元の人たちが経営しているところが多いそうです。でも、昭文社の地図を見ると、「プリンス」が目立ちます。プリンスは西武…
 東京(外部大手)の資本は出てこないでほしいな…。でも、リフトなどの便宜も図っている、とは言ってました。それでも、地元の人たちが力を合わせて、本当は運営してほしいですな。資金繰りは、地元の金融機関(信用金庫など)がもっと機能できれば…。そして、国民の所得が上がり、労働時間が短くなれば…
 ごめんなさい。どうしてもそっちの方に思考が動いてしまいます。


 ここから、一ノ瀬スキー場バス停から、乗りましょうか。山頂で2時間ほど油を売っていたとは言え、けっこう時間がかかりました。これで縦走まで欲張っていたら、本当に夕方になっても着いていたかどうか怪しい。
 登山は、登頂も結果ですが、何より下山してこその結果です。ね?
 いや、どんなことでも、帰ってこなければ終わりにはならないのですよね。やりっ放しは…登りっぱなしでは、それは登ったこと、結果を出したことにはならないんです。


 ふうたろうの登山に対戦相手はいない。究極的にはどんなスポーツもそうかもしれないけど、100%自分だけが対戦相手、自己責任の世界なのは、登山独特のものだと思います。フィールド相手の闘いは、自分との闘い。自然との闘いなんかじゃない。自分は変えられても自然は変えられない。
 …とりあえず、今日は帰りましょう。


 湯田中駅。途中から乗ってきた女性ふたりも交えて、運転手含めた3人で話をしていました。その女性ふたりは、何となく「集団的自衛権」の話でかみ合いそうな雰囲気の人たちでした。いや、ふうたろうももう少しニュースや新聞を見なければならんのですが…ね?


 湯田中駅から長野駅まで、長野電鉄の特急で行きます。特急と言っても、特急料金は100円…


 長野駅前に着いたら腹ごしらえです。東京まで夜行バスで帰ることにしたので、その発車まで1時間半。
 しかし、よりによって、長野市で海鮮丼とは…
 どうでもいいけど、食堂が煙い。


 空には上層雲がウロウロしています。…が、それだけじゃなくて、幻日(げんじつ)です。


 ふうたろうみたいな都会人でもよく見かけるこの類の光学現象は、太陽の暈(かさ)というものがあります。ふうたろうも小学校3年の頃から、経験的にこれが出てきた後には天気が崩れることに気がついてはいたようです。


 バスが横川サービスエリアで休憩していました。妙義山の裏・表がよく見える場所です。表妙義山はともかく、裏妙義山はもう7年も前に登ったっきりですね…。あの下りの土砂降りはホントにひどかった。あれから数百の山を登ってきた…


 高速バスは新宿行き。お約束の渋滞で遅れましたので、練馬区役所前で下りた方が良さそうだったため、それで帰りました。110リットルのザックで都会を歩くのはホントにツラいですね…。それでも、こんな場所でも、ふうたろうがここに帰ってこなければ、それは本当の負けですから。決して元通りになることのない、負けですから…
 #199岩菅山クリア。


天気:くもりのち晴れ(長野県下高井郡山ノ内町・長野市、関越自動車道など)

  1. kirisame
    5月 27th, 2014 at 23:22 | #1

    こんばんは
    残雪歩き写真を楽しませてもらってます
    このところ劇的ビフォアフタ(あの番組は嫌いですが)よくありますが、好天好転の感動は万国共通ですね

    ところで岩菅山のトイレ使いました?
    あそこは下に大解放で沢に向かって放り出すだけなので、その辺でやって埋めた方が山のためかな(悲

  2. ふうたろう
    5月 28th, 2014 at 01:23 | #2

     kirisameさん、こんばんは。
     僕も、「劇的ビフォーアフター」は、映像効果で誤魔化している上、金持ちの道楽臭しかしないので、好きではありません。…というか、最近、やってますか?

     岩菅山のトイレは、結局凍り付いていて開かなかったので、中を確認することもできませんでした。そうでしたか、そのまま開放系ですか。利用者が多くなりすぎると浄化力を超えてしまいますね。携帯トイレを持つか、まったく違う場所でやるか、ですね。

  3. 6月 11th, 2014 at 01:28 | #3

    こんばんは。
    ふうたろうさんのちょうど1週間後に岩菅山を歩いてきました。(リンクの記事がその記録です、、、お気楽さが滲み出てる軽い日記なのですが。。)

    一緒に歩いた知人の提案で岩菅山に決まったんですが、何で正直知名度も低い岩菅山だったんだろうか???と不思議に思っていたところ、記事拝見し要するにふうたろうさんの日記を参考にしたんだなと、腹落ちしました。知人がふうたろうさんの日記の読者のようなので。。

    さておき、山の劇的な天気の変化と好転は、気持ちをグッと盛り上げてくれますね。自分達が岩菅山を歩いた日は、終日霞がかって低位安定という感じだったので、残雪と青空の同居した写真を見て羨ましく思います。

    自分ぐらいの経験値の人間からするとほとんど山データベースのようなサイトなので、色々参考にさせていただきます。

  4. ふうたろう
    6月 11th, 2014 at 09:15 | #4

     pointingさん、おはようございます。ブログの方も拝見しました。
     いやはや、見覚えのある風景がいっぱいです。いったことのある山のブログは、自分の思いとも対比して読めるから、おもしろいですね。・・しかし、1週間で山頂の雪は50~100cmは溶けていますね。この週は尾瀬にいましたが、あちらの雪の解け方もすごかったです。

     岩菅山、知名度が低い、でしょうか。最初から日本300名山(200名山はほぼその中に含まれる)全覇を目指す僕にとっては、いつもメジャーな山で、本当は200名山ラスボス、くらいの位置づけでした。会津朝日岳(福島県)が土砂災害で登山禁止なので叶いませんでしたが…。それでも、人っ子ひとりいないことを考えると、この時期の岩菅山はマイナーなのでしょうね。

     ともあれ、こんな日記ですが、またいらしてください。「山行記録」と呼べないおふざけシリアス調日記(何)ですが、生きている間は書いていきたいと思います。山のおもしろさをチラ見させながら・・
     

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