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高い水、安い情報

2007年 4月 11日

 歯が痛い。しょうがないから、治らないと解っていても歯医者に行きました。で、結局、殆どよくなりませんでした。しかも、凄まじくしみる薬品を塗られ、最初の一発は飛び上がりました。歯科衛生士もびっくり。
 というわけで、今日は11時59分の遅い出勤。

 午前中を潰したので、仕事という仕事は出来ませんでした。とりあえず、液体クロマトグラフィー用の移動相(機械の中を流れる液体、とでもいっておきます)を調製。リン酸二水素ナトリウム二水和物1.950gを蒸留水に溶かして500mlにしたものです(25mM)。その蒸留水、本当はただの水なのですが、3リットルで2300円もします。そこらで売っているペットボトルの水、安ければ2リットル98円とかで売っていますから、相当高い。
 そういえば、農林水産大臣の水光熱費問題で、還元水が何とかと言っていました。500ミリリットル6300円?この数値の出所はインターネットだったり週刊誌だったりするのでそれほど信用はしませんが、異様に高い水光熱費に政治が燃えているようです。この問題は、どうも、その水光熱費がほんとに水光熱費に使われているのではなく、虚偽ではないか、というところにあるようです。
 でもね、僕からいわせれば、どちらにしても、虚偽なのです。例えば、今日注文した蒸留水は実験試薬類です。スーパーで買うペットボトルの水は普通に考えれば清涼飲料水でしょう。蒸留水は水道水から精製することも出来ますが、液体クロマトグラフィーに使うには十分な純度ではないと主任から教わりました。特別に精製した水だからこそ、純度保証があり、値段もそれなりにする。これを「水光熱費」とはいいますか?

 最近、読み物ネタが多いけど、今日もまた妙な情報を見ました。またまた週刊誌系。一つは仕事の最中。もう一つは家帰ってから「ためしてガッテン」見てたとき。
 一つめは、中国産の食塩に、ニセモノが出回っているという話です。中国では亜硝酸を含んだ塩を普通の塩として売る悪徳な業者がいて、死者や中毒者が出ているという話です。
 この話もここでやめておけばいいのに(黄砂問題と同じ)、「中国は社会主義云々の拝金主義がしかじか」という一言を付け加えて、また反中国を前面に出しています。悪意に怒りを感じなくはないのですが、ここまで一徹されると、むしろ、呆れます。(出典は面倒臭いから出さない)
 二つめは、週刊現代という雑誌の「ためしてガッテン」攻撃。中身は、「NHKがデータのねつ造をした」という、『発掘あるある大事典』の二匹目のドジョウを狙おうとしたものっぽい。週刊現代の記事も当該の「ガッテン」も見ていないのですが、どうもNHKの釈明文を見る限り、NHKに分がありそうです。
「週刊現代」の記事について(NHK)
 科学論文を読んだ経験が少しはある僕としては、NHKの言っていることの方が正しいと思います。
 週刊誌は、せいぜい300円前後の値段で買えます。駅の売店で簡単に買えます。
 でもね、本当の科学雑誌は、月刊誌や季刊誌で、年数十万もする場合があります。需要が少ないことに加え、ちゃんと精査され、研究にも多大なお金をかけます。もちろん、人類の成果である科学・技術の論文を誰もが見られるような社会を目指すべきだとは思いますが、ちゃんとした情報にはそれなりの対価を払うものです。
 テレビの健康系番組でも、大腸と小腸の内視鏡写真が間違って報道されていたことがありました(これが問題視されたという情報は今のところ知らない)。
 安い情報には必ずその理由がある。高い水にも必ずその理由がある。高いから必ずよく、安いから必ず悪いというのも違いますが、一般の週刊誌をぱらぱら見ている限り、フィルターを掛けて見ないといけないものはかなり多いように感じます。
 …さっきの話と矛盾するけど、科学論文でさえ、ねつ造の例もあるし、不完全なところもたくさんあるんだからね。

天気:くもりのち雨(東京都板橋区・千葉県松戸市・茨城県取手市)

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