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追憶の道、いつか来た道…(礼文島8時間コース:北海道)

2007年 5月 3日

※記録:5月5日

 強化訓練は折り返し点を通過しました。今日は第二のミッション、礼文島8時間コースをクリアします。行程24km。
 朝ご飯は、急遽キャンプ場の管理人さんからいただいた、純生礼文島産のホッケを焼いて食べました。携帯コンロを使ったので、だいぶ手も焼きましたが。


 今朝もまだ雨。24時間以上降り続いています。


 バスで香深井(かふかい)まで行き、そこから8時間コーススタート。実際、香深井からスタート地点までは30分かかります。道中、雨に打たれながら、ミズバショウ(サトイモ科)を愛でました。


 それにしても、いっこうにガスは晴れません。たった180mくらいの標高のところがガスに覆われています。


 迂遠内(うえんない)地区。舗装道路なんてありません。それどころか、僕が通ってきた山道以外の道は、海路しかありません。…?


 迂遠内からしばらく岩場の道。御嶽山のガレ場よりもひどい。ガレ場みたいにいい音はしないし、上からの落石は怖いし…。


 2年前に来たときはなかった花です。今年はやけに礼文も利尻もクソ暑いのでちょっと時期がずれているのでしょう。



 写真を左右逆転(画像の加工)したわけではありません。礼文島の西海岸はずっとこんな感じの険しい崖が続くのです。ある意味、利尻島よりも激しい地形ですね。
 で、ガス晴れませんね。


 エゾリュウキンカ(キンポウゲ科)でしょうか。ミズバショウが生えるようなところと同じようなところに生えているイメージです。ワサビみたい。


 8時間コースの前半はガスに覆われていた上、笹薮、ブッシュ(低木)で、すさまじく歩きにくい。靴もジャケットもずぶぬれです。雨はもう止んでいるのに…。


 ザゼンソウ(サトイモ科)です。湿ったところにやっぱり多いですね。


 やっとガスが晴れてきました。笹薮も道をあけてくれるようになりました。太陽が僕を応援してくれます。


 天候は一気に回復しました。笹薮に青空が映えます。


 じつは、僕は、一般的な8時間コースを逆行しています。人の流れと反対に歩くのもいいんじゃない?おかげで、景色のきれいなところで晴れてくれたんだからね。礼文岳も見えてきた(写真左)。


 笹薮だけではなく、高山植物の群落もあります。この時期に、紅葉…?


 西上泊(にしうえんとまり)と、その向こうのゴロタの浜、ゴロタ岩が見えます。ゴロタ岩、雲の笠をかぶっていますね。


 ここから、また追憶の道。2年前に一緒に歩いた人がいました。通常、4時間コースといわれるルートです。
 笹薮を抜けた向こうにあるのは…。


 キバナノアマナ(ユリ科)です。こいつに会うのはもう3回目だな。


 ふふ。ありがとう。


 澄海岬(すかいみさき)から見た、ここも礼文島で有名な場所です。こういう地形をなんといったか…。


 エゾエンゴサク(ケシ科)です。こいつも3回目ですね。青以外にも、白、紫、などのグラデーションがあります。色素成分の元であるアントシアニジン合成あるいは糖添加の酵素の多型なのか、土壌のpHなのか、何で色の違いがこれだけあるのか、わかりません。PCR(Polymerase Chain Reaction、遺伝子連鎖反応…つまり、増幅。)でそれぞれのバンドパターンなどを見ればわかるかな…。
 …と、旅をしていても忘れない化学。


 キジムシロ(バラ科)です。本州でも、取手でも、見たことがあるような…。2年前来たときは、まだほとんど見られなかったけど、今年はたくさん咲いていますね。
 ツアーで来ていたおばちゃんが「かわいい」といって、写真を撮っていました。


 この岩の先に鉄府巌神社(てっぷいわおじんじゃ)があります。でも、行くことはできません。礼文島ならではの荒々しい形相ですね。


 2年前にもあったコンクリート製の流し。家が無くなっても残っているんだろうな。蛙が卵を産み付けるところまで同じ。変わらない営み、何か違う僕の旅。


 漁師さんの遊びかな。貝殻で細工。この貝殻、すごく整った形をした貝なのです。


 ゴロタの浜。1時間のコースタイムですが、けっこう長く感じます。ん?雲が多くなってきた…。


 漂着し、壊れたブイにたまる水。住処とするはどこのムシぞや。狭いところでひしめくこのエビみたいな生き物。なんだろう。フナムシではなさそうですね。


 ゴロタ岩の上は完全にガス。周囲の視界はありません。微かに見えるスコトン岬。2年前は晴れていました。景色に見とれながら、もう一つ見るものを見ていなかった。何かを忘れていた。そんなことを思い出しながら、ちょっと苦い思いの道。


 物事にはね、二面性があるんだよ。
 ガスが織りなす芸術ですか。快晴の空にはコントラストはつかない。そして、海に降り注ぐ光にもまた同じ。
 僕に、何かを伝えようとしているね、この道は。


 ガスがかった山は1メートル進むごとに景色が変わり、数秒後の天候さえ予測できません。極端だけどね。でも、それくらい変わりやすいのです。さっきまでほとんど見えなかったスコトン岬が、見えるようになりました。


 鮑古丹(あわびこたん)という地域。さびたウィンチ。漁師の栄華の跡。


 7年前に廃校になった小学校。さびて放置された給食用の釜。もう子どもたちの笑い声は聞こえない。


 本日のゴール、スコトン岬に到着。8時間コースのミッションクリア。あのとき、手をつないで一緒にクリアできればよかった。そんな悔いが残らなくもない。


 昨日の、地蔵岩の「コインを差し込まないでください」の謎が解けましたね。見ての通り。…何でみんな「差し込む」の?


 夜は久種湖キャンプ場でテント張り。満月の晩。島最後の夜が始まりました。明日の礼文岳のミッションをクリアすれば、帰還するのみです。


 長いコースでした。天候も猫の目のように変わり、コースの起伏も激しく、地形も雪道からガレ場、砂浜、ヤブ、急坂、何でもあり。山に登るわけではないけど、立派な登山コースです。今日はそんなコースをクリアしました。一人でした。でも、寂しくなんかありません。必死でしたから。写真とコースクリアに。

天気:雨のち晴れ(北海道礼文郡礼文町)

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