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希望の光(宮之浦岳:鹿児島県)

2007年 8月 14日

※記録:8月17日

 昨日の夕方は一度は晴れたものの、夜中はザンザン雨が降っていました。もはやここまでか。
 夜明け前の新高塚小屋は、目を開けても真っ暗で、あたかも失明したかと錯覚するかのようでした。そんな中、一人が出発の行動をとり始めると、一気に小屋はざわめき始めます。
 昨日の夜、神奈川県から初めて山に登りに来たという若い兄ちゃんがもりもり飯を食っていました。僕は昨日さんざん炊いた白飯が残りまくっています。


 僕はふりかけご飯を食べて速攻で出発しました。6時7分頃です。空はなんとあろうことか、すばらしい晴れ方をしています。高層にある雲がたなびいて、青い空をより青くしています。


 少し残るガスが、チンダル現象で輝いています。
 必ずしも、荒天が悪なわけではない。


 とはいえ、山の上で天気が良いことに気分が晴れやかなのは、紛れもない事実です。存分に楽しんでいます。どこの山脈かは、ちょっと不明。


 ここは、新高塚小屋から猛ダッシュで35分くらいのところにある(コースタイム75分)第二展望台です。(旅日記詳細で後日掲載します。)そこから、宮之浦岳は見えるはずなのですが、残念ながら、南から南東部にかけては天気は荒れています。


 ところどころに枯存の杉。


 実は、今日はよく虹が架かる日なのです。東からの朝日が入り、山の上で雨が降るので、虹がきれいにはっきり見えます。そして、よく見ると、2本あるのです。


 平石というところです。宮之浦岳周辺の稜線はこういう低木と岩場の多い場所。
 それにしても、ちょっと雲行きが怪しくなってきました。


 それでも北西側はよく晴れています。熱帯低気圧は、少しばかり離れていった模様です。
 そういえば、新高塚小屋から縄文杉を経て帰る人たちは、この晴れの天気の恩恵を受けているのかな。そうであればいいのですが…。


 ん?ヤクシカたちがその辺の草を噛んでいます。白谷雲水峡では、木の根っこをかじっていました。
 それにしても、こいつら、人が1mくらい近寄っても逃げないときもあります。安心しきっているのか、もう慣れっこなのか、よく判りませんが。


 ガスは多くなってきたけど、まだ晴れていますね。ただ、霧雨が多くなってきました。おかげで虹も見られるんだけどね。


 宮之浦岳頂上。意外とあっさり着いてしまったのですが、そんなことはどうでもいい。毒矢のように、また雨が降ってきました。しかも、強風を伴うので、雨合羽着ていても、痛い!太陽の女神の微笑みももはやここまでか。


 宮之浦岳の登山道は木道が多く、けっこう足を滑らせます。大体、木道が川になっている時点で、この屋久島、異常な量の雨です。


 もう青空は見えません。時折周りのガスが晴れて、それを喜ぶ程度になりました。


 谷の下のほうまで雲が垂れ込めてきました。あ~、もういいです!…そんなやけっぱちな僕でした。


 岩の上に人ふたり。ぬれた岩の段差を降りられず、ウロウロしていましたが、景色も楽しんでいるようです。
 ここは、投石岩屋というところです。


 これは、です。ではありません。


 ここは本当に川ですが、若い兄ちゃんが道を誤って、ここを歩いていました。まぁ、目が慣れてくれば、これも道に見えるだろう。


 花之江河(はなのえごう)です。実は、この瞬間、ものすごく激しいにわか雨です。僕はカッパ姿でシャワーを浴びるように、木道の上でくるくる回っていました。


 小花之江河です。花之江河より、淀川小屋方面に少し進んだところにあります。「小」と書いてはいても、黒味岳も見えるいいポイントです。
 ここで、またカップルの撮影。花之江河まで行くそうです。雨に気をつけて…。


 これは黒味岳です。隠れたところによい展望台があります。


 この後、淀川小屋で昼ごはん。第二展望台から抜きつ抜かれつしていた、Jくんと再び出会いました。そこに、雨の中黒味岳に登ったのに、ガスにまみれて何も見えなかったというYちゃんとMちゃんに、ここで初めて出会います。更に、高塚小屋を追い出され、近くのあずまやで寝転がって野宿していたKくんにも出会いました。
 この後の行動は、彼・彼女らとともにします。一人旅は一人でないことを、こういう出会いを通して常々感じます。


 YちゃんとMちゃんはレンタカーを運転しています。彼女らに便乗し、周囲100kmもある屋久島を1週半くらいすることになります。
 このロケーションは多分、愛子岳が見えるところでしょう。運転手さんのYちゃんが撮影に協力してくれ、止めてくれました。


 ここは白谷雲水峡に続く道。昨日のかつらのような島の風景からは想像できない風景です。本当に同じ場所だろうか、と。


 YちゃんMちゃんが泊まっていたライダーハウス(定義はよく解らない)です。そして、転がり込むようにJくんもテント場を借りました。


 青い風が揺れています。花之江河であれだけ降っていた雨は一体なんだったんだろう。


 ハイビスカス(アオイ科)です。オクラの仲間なんですってね。
 青い空に突き出すように咲いています。
 Kくん曰く、朝はもいでマヨネーズなどを付けて食べられるそうです。


 ライダーハウスからは、僕と、YちゃんとMちゃん3人でした。二人が大川の滝(おんこうのたき)に行くというので、僕はそれに便乗して、島の南西部にある青少年旅行村(「ふうたろう旅日記詳細」に載せます)に連れて行ってもらいました。さっきまで運転していたYちゃんに代わって、Mちゃんが運転手。とにかく、連れて行ってくれて、ありがとう。


 ここからはすべて僕一人で何もかもやらなければなりません。貸しテントを張り、飯をつくり、濡れた衣服を洗い、ロープを張ってすべての荷物を干し、寝る準備をする。この風景を楽しむ余裕なんてあまりなかった。


 この貸しテントなんですが、どうも紐の数が足りないような気がします。まったくペグが打てません。もう諦めて、こういうバラバラの状態で使うことにしました。夜中バサバサいってうるさかったけどしょうがない。


 何気に、ペグが曲がっています。…つかまされたかな。


 いろいろ作業しているうちに、すっかり暗くなってしまいました。5mくらいあるロープに、すべての洗濯物と、濡れた荷物を干しました。ここはあたかも僕の家の庭のようです。


 この写真じゃほとんど見えないけど、空は満天の星。寝転がってずっと見ていました。


 今日は、ここに書ききれないくらいたくさんのことがありました。良かったこと、悪かったこと…。
 今日、何より良かったのは、あの子たち4人に出会えたことです。みんな僕よりも年下なので「子」という表現を使いましたが、蔑む気はまったくないので、念のため。
 みんなそれぞれ社会人でいろんな仕事をしています。特に、Mちゃんはよく話をしてくれました。初めて会った訳の解らない僕にもね。いろんな意味で、うれしかったよ。ありがとう。
 でも、突然の訃報が入ったときは、驚きました。悲しいとかじゃなくて。またいつかそのことは書こうと思います。僕の山人生にもかかわることです。

天気:晴れ時々雨、山間部では雨で強く降る(鹿児島県熊毛郡上屋久町・屋久町)

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