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がんはなぜ生じるか

2008年 3月 7日

 …という本を、今読んでいます。
 何でだろう?「がんがなぜ起こるか」と唱えてみても、判らない。そもそも、がんというものが、「ブドウ糖」とか「結核菌」とか「好中球」とかのようなひとくくりに出来るものではないことを知っておきたいものです。
 がんが、遺伝子の突然変異によって起こる、ということは、少しがんのことを勉強したことがある人なら、聞いたことがあるかも知れません。
 でも、実際は、遺伝子が突然変異しただけではがんは起こらない。それに、遺伝子が突然変異することはがんの根源ではない。突然変異する理由だって、判っていないのですから。


 がんを起こすといわれている、確実な化学物質は、未だちゃんと存在していないらしい。見ていて思うのですが、あくまでも、疫学調査だったり、ネズミに大量投与しての動物実験だったりです。これらは、あくまでも可能性を示すに過ぎません。
 疫学調査では、Aという行動をする人たちとしない人たちとの間で、Bという状態にある人の数を比べます。この二つの人の群に差があれば、Aという行動とBという状態は関連があるかも知れないという結論に達します。
 例えば、タバコを吸う人と吸わない人で、肺ガンにかかる人の割合がどれくらい違うか、など。
 そうして、色々やってみると、脂肪の摂取で大腸がんにかかりやすくなったり、穀物を食べることで胃がんにかかりやすかったり、という結果が導き出されるようです。
 でも、変なのです。脂肪を多くとる人は、例えば相対的に他の栄養素が欠乏していたり、運動がおろそかな傾向があったり、と、傾向が一致するものが多く出てくる可能性があるからです。これを交絡因子といいます。これでは、運動が原因なのか、ある種の栄養素が足りないことが原因なのか、それとも全部なのか、結局判らないのです。その交絡を取り除くために、さらに細分化すれば、母集団(比較に使う人の数)が少なくなって、正確なデータが集めにくくなります。疫学の弱点。相関を数学的に見るだけですから、一見もっともらしいことであれば、信じてしまうかも知れません。
 以下、具体論。
 日本からアメリカに移住した人たちで、日本人に多い胃がんではなく、アメリカ人に多い大腸がんにかかる割合が増えるというのです。その理由が、食事の変化(穀物の摂取が減り、脂肪の摂取が多くなる?)だというのです。
 確かに、その可能性もあるかも知れない。でも、アメリカと日本の違いはそれだけでしょうか。というか、違いだらけじゃないでしょうか。アメリカに僕自身行ったことがないので判らないけど、日本と同じであることの方がむしろ少ないと思うけど?
 逆に、日本でも食事の欧米化で大腸がんが増える傾向にあると言われていますが、日本で食事を欧米化させる場合、その原材料のかなりが外国からの輸入であるという事実もあります。食材の変化ではなく、もっと別(例えば汚染物質など)の違いだってあるかも知れません。
 アフリカからアメリカへ移民した場合、肝がんが減って大腸がんが増える傾向にあるそうです。食習慣が変わった可能性と同時に、アフリカの温暖な気候ゆえのカビ毒の多少が関わっている可能性だってあるのです。
 穀物の摂取と胃がんが相関があるって、僕からすれば、交絡があるんじゃないかと思うくらい、突拍子もない感じがします。例えば、穀物くらいしか食べるものが無くて、副食の栄養素が足りない可能性だってあります。
 塩分の多い食べ物と胃がんも関係があるらしいです。濃度の濃い塩は胃壁を荒らすらしい。浸透圧で胃壁の細胞がダメージを受けるのだとすれば、理論上、3g弱の塩で既にアウトです。浸透圧がどのくらいになれば影響が出るのかは、判りませんが。
 高脂肪食は大腸がんを増やす傾向にあるらしいです。胆汁の胆汁酸の影響だと聞いたことがありますが、未知数。
 それと、最も厄介なのは、疫学データで食い違いが出ること。食物繊維の摂取量と大腸がんとの関係は相反するデータが出ているそうです。βカロチンの摂取に至っては、肺ガンを促進する結果にさえなったといいますから、どうなっているのやら。
 こんな感じのがん研究ですから、たとえ何かの物質ががんに影響しているといっても、言い逃れが可能になってしまいます。あるいは、本当の原因を見逃すことにも。
 日本でのがん研究はどこまで進んでいるのでしょうか。そういうデータは、ネガティブだろうとポジティブだろうと、是非、国民に開示してほしいものです(図書館などに論文として)。

 …メチャクチャまとまっていない日記です。始まって以来の最悪な日記かも知れない。でも、明日早いから寝ます。

天気:くもりのち一時雨(東京都板橋区・埼玉県所沢市)

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