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逆転劇(羅臼岳:網走支庁・根室支庁)

2008年 4月 29日

※記録:5月5日7時過ぎ

 う~ん…
 今朝もガスは晴れず…。低気圧通過後の疑似好天と北西の暴風、この季節の偏西風の強さなどを考えると、そろそろ晴れてもいいと思ったのに…。曇り始めて17時間くらい経つのにな。
 諦めて、今日も一日ここで過ごすか。
 もたもたと飯を炊き、鮭フレークでガツガツ食いました。どういうことか、食欲と体力と精神力はしっかりしているようです。


 おや?これはまさか…?


 うむ。間違いない。
 予感的中!!これは進めそうですぞ。


 ありゃ!
 …スパッツのファスナーが破壊されていました。タイタニックの船体が壊れた原因と同じでしょうか。気温、-1℃。


 外に出たら、もうこんなに晴れています。向こうには羅臼岳が。
 さぁ、登るぞ!


 三ッ峰もはっきり見えました。一面の銀世界。荒天が好転して好天です。


 羅臼岳の頂上には、ガスの残りッ屁が。
 おいらはそこに行きたいんじゃ。早よどかんかい。


 忘れてたね。これ、熊から食料を守るための、あるいは熊の襲来を防ぐための、フードロッカーです。知床連山に4ヶ所あるようです。


 銀色の道を歩いて頂上へ。青い空を仰いで頂上へ。


 夜中の暴風の中で、山のあらゆる物体が樹氷になっていました。これはすごい。


 大きく発達した樹氷。どこかで、「エビのしっぽ」という表現を聞いたことがありますが。
 そういえば、僕は勘違いをしていたのですが、テントをテント場に張ったまま置いて羅臼岳を登っていたと思っていました。でも、実は、この岩清水分岐標まで全部の荷物を持ってきていたのでした。帰りはショートカットです。


 これは、たぶん岩清水という水場です。でも、一応低温のために凍っています。風も強かったし、過冷却も起こらなかったんでしょうね。
 雪の下で、水が流れた跡があり、アイゼンが必要。


 羅臼岳に登る道は、雪に埋もれていてよくわからない。しょうがないから直登なんですが、できれば、雪崩危険角度30±10度は避けて通りたいところです。


 岩場を越えて、頂上そばまで来ました。樹氷の形が変わってきました。樹氷というよりも、塩の結晶みたいです。


 さぁ、頂上です。
 羅臼岳、#35制覇。


 知西別岳(何と読むのか判らない)でしょうか。羅臼岳の南東方向。天頂山よりは向こうっぽい。


 昨日はガスであまり見えなかったけど、銀色の大地の向こうにオホーツク海が。


 そして、南東(反対側)を向けば、太平洋が!


 羅臼町の市街地が、遙か下に見えています。あそこまで歩くんですよ。


 三ッ峰が少し見えているのかな。岩清水分岐からリュックを背負ってこの雪斜面を下ります。雪崩が危険なので、最も危ない角度はさけたつもりなのですが、避けきれないところもある?


 長い長い雪の谷の下り。スキーで滑ったら楽だろうな。


 足跡が続いています。いつものことですが、僕だけの足跡。


 泊場(とまりば)というところに下りてきました。まだ半分来ていないかな。距離的には半分ですが、ここからがまた大変なのです。
 本当はここにも水場があり、テント泊もできるのそうですが、両方ともちょっと怪しい。


 川は硫黄と鉄を含んだ水のようです。下流に行くほど鉄が赤く(3価)なります。2価の鉄は、確か青。


 鹿が遠くからじっとこちらを警戒。ここでこそ警戒しているけど…。
 ま、熊じゃなけりゃいいや。


 これは、どちらに進むのだと思いますか?
 …右に下りるのではなく、直進するのです。トラバースといって、かなりしんどい。ピッケルが手放せません。


 しかし、これが続くのではなく、こういう土道と交互にあるので、よけいに歩きにくいのです。アイゼンを履くべきなのですが、土道でアイゼンはきつい。


 今朝登ってきた羅臼岳(右)。名もない1000m強のピークの方が高く見えるくらい下りてきました。


 歩いてきた雪斜面。ピッケルでとっかかりを確保して歩いてきましたが、左手側が斜面の上だったので、利き手と逆。なかなか苦労しました。


 この、岩肌の側をずっと歩いてきました。長い、長い、トラバース。


 何スミレか判らないけど、スミレです。あまりこの辺じゃ少ないけど…。


 あまりにも急坂すぎてわかりにくいのですが、これを滑落したら、奈落の底です。


 ハイマツ原。歩いている間は気分がいいんですけどね。


 ハイマツ原を抜けたら、突然また雪道で、全く道が判らなくなります。尾根線にでて、地図とコンパスで方向を決めます。これ、基本みたいです。
 コンパスで現在地を確認できるくらいなら、道に迷わないので、僕はコンパスは方向を確認する、地図を補完する程度のものだと思っています。


 尾根の先端から下りる道は、また尾根線です。しかし、二叉に尾根が分かれていて、尾根に向かって左側の尾根に入ると、泥沼になります。必ず、右の尾根、つまり、南側に見える尾根に入ります。笹に覆われていて、北(左)の尾根にひとたび入ると、南側の尾根は見えないので、要注意。


 木がくれの滝という滝だそうです。知床連山からの雪解け水が流れてできた滝。
 …だと思う。


 下りてきました。本当に、下山完了です。15時25分頃です。7時間くらいかかりました。あのトラバースが苦しかったのです。
 お疲れさん。


 羅臼町はふつうの町です。観光地とは縁もなさそう。ただ、道の駅がしょぼいだけです。あれがなければまだ味もあろうて。


 羅臼川の河畔に鹿が平然とおり、草をはんでいます。
 長い長い、一日がそろそろ終わろうとしています。


 この後、釧路まで、阿寒バスで向かいます。生活路線で、公的援助を受けている路線で、これについてはまた「ふうたろう旅日記詳細」で書きたいと思います。
 釧路市街、暖かくて、所沢でもそんな格好をしたことがないのに、半袖、長袖、長袖シャツの3枚で夜の街を歩いていました。またもや高温の北海道を見せつけられました。
 釧路市街には、米を切らしたので買いに行ったのです。コンビニはローソンとセイコーマートしかないのですが、セイコーマートの方が品は充実しています。釧路駅からいえば、南に下った方角に2件ほどあるようです。
 今夜は釧路市内のビジネスホテル、パルーデ釧路に宿泊です。

天気:晴れ、下山後くもり(北海道網走支庁斜里郡斜里町・根室支庁目梨郡羅臼町・釧路市)

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