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天井知らず、底知らず(雄阿寒岳:釧路支庁)

2008年 5月 1日

※記録:5月6日

 山モードの朝。北海道の朝のごとく、早起きです。旅館の主人たちもまだ、4時50分じゃ起きていないんじゃないかな。


 部屋の窓を開けるまでもなく、晴天は簡単に知ることが出来ました。勇み足で外へ駆け出します。


 昨日見た遊覧船よりも、ずっと綺麗に見えるのはなぜでしょう?


 この辺りで、僕と似たようなことを考えている人はいるみたいで、若い女性2人が写真を撮りに来ていました。いつものように、「シャッター押しましょうか」と申し出たら、どうも様子がおかしい。
 …言葉が日本語ではない!
 悩んだ僕は、"Can you speak English (a) little?"
 …本当は"a"が要るのです。じゃないと、「あなたは殆ど喋れないでしょ?」という意味になってしまうので。
 でも、向こうは判ってくれたようで、
 "I can speak English and Chinese."
 …どうやら中国からのお客さんのようだ。
 "Can I take …"  なぜか、シャッターを押す、写真を撮るという言葉が出てこない僕。補足するかのように、彼女、"Camera!?"
 そこまでは良かった。でも、撮れた写真は、この写真に写っている雄阿寒岳のように真っ暗です。2人とも逆光でして、それがみっともなかったですね。


 …さて、まぁ、そんなごたごたはあったけれども、旅館の主人たちに無理言って頼んだ30分早めの朝食を出してもらいました。6時30分。このような紙が一枚一枚丁寧に置かれているのです。一期一会。


 昨日の夕方、阿寒ハイヤーの社長と長話で仲良くなっていたので、その社員の人ともなぜか知り合いになってしまっていました。それで、バスを待っている僕を、お連れさんを送るついでなのでということで安値で(バスより安い)雄阿寒岳登山口まで送ってくださいました。
 そういうありがたいことがあって、かくして、雄阿寒岳、クライムオーン!


 阿寒湖の東の端。風も穏やかで、水面鏡が素晴らしい。


 これ、あとで判ることですが、エゾオオサクラソウ(サクラソウ科)です。この辺りじゃまだこのような新芽レベルで、時期は本来6~7月だそうです。


 ここは次郎池。凪で水鏡が綺麗です。次郎池よりも少し手前の太郎池についてはあとで。


 蛙の卵、凄くたくさんあります。卵割までは確認しませんでしたが。


 どうでもいいけど、この辺、ものすごい数の蚊です。ヴンヴンいっています。すぐに逃げました(それでも帰りにはまた来るのですが)。


 森の中の登山道…は、かなり荒れています。倒木、苔、残雪、ぬかるみ、その他。


 ほら、出てきました。残雪。
 実は今日、出発直前から気温が一気に上がってきて、猛烈に暑いのです。そのクソ暑い中、この雪道でエネルギーを使うのはどれだけ大変か!


 頂上まであと5000m。5kmって短いと思う?
 …登って見りゃ判るさ。


 4合目。ここで半分以上来たらしい。
 精神的には、かなりまゆつば物です。これからが本当の難所ですから。


 5合目くらいまで来ると、少しだけ展望が利くようになります。雌阿寒岳も、春霞の中、見えていますね。なお、5合目は8割方来たところだそうです。


 5合目から上を見たら、この右端のピークが頂上だと思います。
 さて、もう少しです。


 阿寒湖がはっきり見えてきました。昨日あっちからこっちを見ていたんですね。こちら側の方がいいな。


 7合目過ぎ。あれ?さっきのところ、頂上じゃないの?これ、まださっきのところよりも高そうだけど?


 雪道を越え、森の中ではぬかるみや中途半端なアイスバーンに辛抱してきた僕は、目の前のこんもりしたところが頂上だと思って登ってきました。


 でも、その幻想はこの風景を見るやいなや打ち砕かれました。
 …遠いね。


 8合目だってさ。ここには測候所があったそうです。あの天井知らずの道を通っていた人がいるんですね。


 直線距離で見ると200mくらいのところでも、凄く遠く感じるのは、今までニセピークに騙され続けたからかもしれません。でも、今度こそ、雄阿寒岳頂上。


 昨日食べた姫鱒の故郷、パンケトーが見えます。


 この小さいのはパンケトーより下流にある、ペンケトーです。両方の全容が見えるのはこの雄阿寒岳頂上だけなんだって。


 このヘンテコな焼きそばは、内地(本州)では見たことがない。とりあえず、これが昼飯です。


 雄阿寒岳の火口です。これが噴火したなんて、ちょっとイメージできないですね。


 さて、さすがに頂上は風が強いので長居は出来ません。下ります。
 下りの道は、見下ろす道です。上りの道とはまた違う風景が見られますよ。


 雪が解けてぬかるんでいる道が、頂上付近にあります。暑い。


 景色いいね。すとんと落ちたところに阿寒湖がババーンとあります。


 13時半の気温、20℃だって。ここ、確か5合目くらいだったと思うけど。


 森は倒木がいっぱい。この森は、このゾウムシのような朽ち木を食べてくれる生き物がいなければ、すぐにでも有機物の循環が滞って死んでしまうでしょう。
 しなやかに継続的に、生物は自然界の動的平衡を保つ存在です。


 トドマツが傷口から樹液を垂らしています。主成分はジテルペノイド(C20だそうです。ちょっと靴に塗ってみました。保革剤になるかな、と思って。


 夕方の次郎池。ちょっと反射が弱くなっているね。
 蚊は相変わらず多いけど。


 ここは太郎池。湖底にはアオミドロっぽいものがふわふわ。そして、ここに沈んだ木はなかなか朽ちないのです。何を意味しているでしょうか。


 トウダイグサの仲間だと思うのですが、解りません。


 下りてきました。雄阿寒岳クリア。阿寒湖畔からふたたび雄阿寒岳を眺めています。バスの時刻までしばし待ち時間。
 環境省の役人さんと言えばおどろおどろしいのですが、環境省勤めの若いネーチャンが次郎池まで、鳥インフルエンザの調査に来ていました。渡り鳥そのものがこの辺にはいなかったので調査も何もなかったようです。出会い頭に少し話をして、彼女も山好きな人で、東北訛りが出ていたのもあって青森県出身の人であることが解りました。ことし4月から勤めているようで、これから鳥の名前とか色々覚えて、名士になるんでしょうなぁ。がんばれ。


 オームの死骸?
 阿寒湖の水に沈んだ木の上に2匹いるように見えます。きっと、キノコでしょうよ。ピッケルでつついてやったら湖底に沈んでいきました。
 っていうか、ピッケルを持っていたこと自体不思議なくらい暑かったけど。


 桐で掛け流し同様の温泉に入ったあと、また昨日の寿し忠に行きました。今度は、同じパンケトーの姫鱒でも、今日捕れた生の姫鱒です。寄生虫?…信じるしかなかろうて。
 なお、姫鱒は20cmくらいの大きさなので、アラなどは味噌汁に入っていて、美味しくいただきました。
 この寿し忠、いいですぞ。外に出たら、店の前で入るかどうか迷っていたカップルがいたので、押し込んでおきました。


 今日は満足。雄阿寒岳の道は天井知らずでだいぶ苦しかったけど、登り甲斐のある山でした。雌阿寒岳とセットで登るのが良い。そして、姫鱒のふるさとも見ておくと。
 明日からは雌阿寒岳とオンネトーです。明日はちょっと早いですぞ。

天気:晴れのちくもり(北海道釧路支庁阿寒郡阿寒町)

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