いきぬく(蕨山~蕎麦粒山~鳥屋戸尾根)
昨日の就寝は結構がんばったと思う。そして、5時前に起き、軽くコーンフレークなど食い、出発。題名のとおり、奥武蔵~奥多摩の蕨山(わらびやま)~蕎麦粒山(そばつぶやま)~鳥屋戸尾根(とやどおね)を抜ける、15~20kmにも及ぶ、長大な山行に向かうのです。
2月1日の、へなちょこ秩父御岳山以来の山行であり、厳しいものでいえば1月1日以来ほぼ3ヶ月ぶりの山行となります。すっかり自信をなくしているふうたろうの心を焼き直すのです。
5時36分所沢発。
飯能駅でソバを食べ、エネルギー充填は完了。バスで1時間弱揺られ、名郷(なごう)バス停。ここから、3ヶ月ぶりの本気ふうたろう旅日記が始まります。
朝は曇っていたので、どうなることかと思ったけど、その辺りはある程度覚悟。山に心の病を治してもらいに行くのです。
でも、晴れてくれました。
少しの車道歩き。背中には10kg前後の荷物。長いので、ツェルトなども持っています。
舗装されていない林道を歩き続けていると、この分岐を見落としました。すぐに気が付いたので引き返したけど。
危うく、ロストするところでした(GPS様々です)。
シッカリ道をロストしました。樹林の向こうに正規ルートが見えますか?
…谷挟んで向こうだと戻れない。
倒木たくさんのおぞましいルート。いや、ルートではなく、樹海です。
ふうたろう、ほぼ3ヶ月ぶりのくせに、果敢ですな。
斜面は急で、しかも針葉樹林(植樹)は崩壊しやすいようです。まるで、雪道を歩いているようです。
…幌尻岳の前哨戦?
やっと厳しい崩壊樹海を抜けた後、稜線。展望は一切なし。でも、山にいるだけで幸せと思えるほど、山エネルギーが枯渇していたようです。こんな岩なんてあった日には、たまりませんな。
この辺りで8時半になっていない。急坂コースを1時間で何とか抜けたようです。
正規のルートに出た途端、猛烈に歩きやすくなりました。これが、登山道というものです。ふうたろうは木こりではありません。
春霞の空。ここら辺で8時半頃。いつものふうたろうなら、起きるか起きないかその辺り。早起きの幸せを、山でこそ感じます。…知床や阿寒湖・オンネトーなどでの早起きの至福の時を思い出すと、涙が出そうです。
数少ない展望ヶ所。見えているのは、伊豆ヶ岳~子の権現天竜寺の稜線でしょうね。2年前、行ったでしょ?
この程度を急坂と言って疲れている自分に驚いているふうたろうでした。
このベンチで休んでいる頃、ちょうど9時19分。ふうたろうは、遠く所沢の分身を見送りました。
蕨山直下まで来ました。休みながら、迷いながら、ここまで来ただけでも、褒めてやりたい。
蕨山の最高峰1044mはまったく展望もないので、立ち寄る程度にしておきました。展望台もあるそうですが、今日は長いので、先に進みます。
写真も上手く撮れないなぁ、と、思いながら、何回かカチカチ。
そういえば、絞りの調子が悪かったのは、レンズと本体との間にゴミが挟まっていたからのようで、取り除くとスムーズになりました。
ここで初めて人に会いました。有間山と蕨山に行くそうです。蕨山は目と鼻の先ですが、これからふうたろうも進む有間山は、またスゴい急坂です。
これが、その急坂。最初に食らった雪道がやっぱり痛恨で、疲れをだいぶためてしまいました。それでも、予定時間よりも少し短めに進めました。上出来。
東側にいつも針葉樹のある稜線。それでも何となくすがすがしい稜線。
木の間から、少しだけ見渡せる景色は、やはり春霞でスッキリしない。雌阿寒岳・雄阿寒岳の春霞を、思い出します。
同じような景色。でも、空も、くるぶしくらいのヤブも、冬枯れも、いい感じ。
有間山の本山(1213.5m)を過ぎると、少しヤブっぽく…。
いや、少し、ではありませんな。ふうたろうの背丈くらいになってくると、晴れていてもツラい。
…と思ったら、道路で斜面が削られているだけでした。しかも、看板見たら、イカにも最近の流れに身を任せたといわんばかりのダム湖の名前が書かれていて…。
ふうたろうの目の前はすさまじいヤブ。しかも、見えないけど、スゴい坂ですから。
この、笹で緑になっているところを、ふうたろうが歩いていたのです。たぶん、外から見たら、恐ろしく滑稽でしょう。
ひどい、ひどすぎる。
最初の樹林の時から感じていたけど、こういう開発が、山崩れを引き起こすんだな、と、改めて感じました。これでもし、大規模崩壊が起こったら、人災です。
まだ半分くらい。仁田山(読み方判らない)そこで、11時40分くらいになったので、昼飯。
山行の昼飯といえば、お約束。
今日はこれに、ドンキホーテで買った、中国産有機認定甘栗を付けました。
そして、ここで今日2度目の人との接触あり。恐らく、休日でも大して人は通らないんだろうな、と思います。
仁田山(?)からちょいと歩くと、車には優しい林道の跡がくっきりと浮かび上がる風景が。ある意味幾何学ですな。
この辺は林道のメッカで、崩落も激しい。登山道自体、いつなくなってもおかしくないでしょうな。実際、GPSにはこの登山道はありません。
鉄塔がありました。ここから見る風景はかなりのものでしたが、遠くの展望はあまり良くありません。
…ちらほら、朝とは違う雲が出てきています。
まだ厳しい坂は続きます。既に、アップダウンに、疲れが来ています。
13時6分、歩き始めて6時間弱で、ようやくここまで来ました。蕎麦粒山のある、稜線。「日向沢ノ峰」というらしい。
と思ったら、突然ガスが湧いてきました。天気は下り坂とは聞いていたけど、ここまで早いとは思いませんでした。
とはいえ、常時ガスに覆われているというわけでもなく、アップダウンはあれど静かで広い稜線。心も自然と穏やかになります。
ちょっと、雲、多くなってきたかな?でも、いい。ガスが出てきても、山にいるという雰囲気があると思えるのですから。
立ちションをしながら、どこで木の枝は枝分かれを決定するのだろう、と空を仰いでいました。
蕎麦粒山到着。13時49分。名郷出発から6時間37分ほどで着きました。地図にコースタイムの記載は正確にはありませんが、6時間前後のようで、ステータス異常(最大MP・HP半分)ふうたろうにしては、上出来でしょう。
しかし、思っていたほど展望がなく、残念。
いや、展望どころじゃない。天気がヤバくなってきた。気温も下がってきたようで、疲れがよりたまりやすくなります。最大HP(体力)が低いので、気をつけないと。
これから、鳥屋戸尾根(とやどおね)という、コースタイムが判らない道を下ります。というのも、これが車道を歩かずにバス停に行き着ける唯一のルートだからです。
鳥屋戸尾根は一般登山道に比べると多少荒れていますが、ふうたろうにとっては、誤差レベル。これくらいなら、普通はがんばれます。
トイレットペーパーのように散らばった落葉が、曇り空を照らしています。左手(東斜面)に見える針葉樹林が、最大MP(精神力)を削いでやろうと魔の手を伸ばしています。
鳥屋戸尾根もアップダウンがキツくて、ナマクラになった足の指先が痛みます。何度も音を上げました。でも、エスケープはない。クリアするしか、ない。
笙の岩山(しょうのいわやま)というところに着きました。最後の時間記録、15時12分。相当、憔悴しています。
ここも、元々展望がない上に、厚い雲が覆っていて、MP消費が激しい。
笙の岩山から1時間20分で下りきれば、16時34分のバスに乗ることが出来ましたが、既に指先と足首と右膝が痛く、筋肉痛も厳しくなってきました。靴ひもを何度も結び直して、仕切り直しましたが、今のふうたろうに歩ける距離・速度の限界が来ているようです。次の17時58分まで見送ることに決めました。
ガスが濃い急坂は、HP・MPに来ます。でも、不思議と、苛立ちのようなものはなく、焦りや恐怖もなく、ただ、痛いけどがんばろう、という気持だけ。
こんな暗い針葉樹林、いきなり食らったら泣きたくなるだろうに、このコンディションで、よく歩いていると思う。でも、何度もいうけど、エスケープはない。クリアするしかない。
作業者のための索道が敷いてありました。登山道に掛かっているので、何度か跨(また)ぎましたが、足を上げるのもつらい。
やっと、鳥屋戸尾根を通過しました。今のふうたろうには、本当に強敵でした…。
川乗橋(かわのりばし)バス停。16時49分頃到着。途中、ただでさえ爪先が痛いのに岩を蹴飛ばしてしまって大変でしたが、着きました。完璧にミッションクリアです。
バスが来るまで1時間以上待ち時間があるので、見るところもなく、暗くなる一方の曇り空の下、できることは、食うことくらい。栗ぜんざいでもシバいてしまいましょう。
この時のふうたろうはいたって余裕。最大MP(精神力)が半分になっても、こちらは余裕で耐えられましたね。HPは切れかけでしたが、このぜんざいで回復。
ちょっと、身体慣らしにしてはつらいミッションになりましたが、自信もついたでしょう?
生き抜き、行き抜き、息抜きした、一日。
徒歩時間9時間37分。名郷~蕨山~蕎麦粒山~川乗橋、クリア。
天気:晴れのちくもり(埼玉県入間郡名栗村・秩父市・東京都西多摩郡奥多摩町)
覚え書き:青梅寝過ごしかけ・A7インストール