春萌ゆる房総(御殿山大日山縦走コース:千葉県)
予告どおり、房総半島を南下し、内房線岩井駅に到着。真冬でありながら春の山を楽しむべく、今日の山行は組まれています。
岩井駅は、房総半島ではそれなりに有名であり、かつふうたろうも3年ほど前の1月に登った富山(とみさん)の最寄り駅。イラストマップが設置されています。しかし、今日は富山ではなく伊予ヶ岳でもなく、御殿山~大日山の縦走という、ふうたろうらしいマイナーコースを歩くのです。したがって、富山町と三芳村の境にあるのもあって、御殿山は地図が欠けています。
そうこうしているうちに「南房総市」営バスのトミー号がやってきました。満員御礼のバス。
ところが、バスの運転手、中途半端な対応だという批判が乗客からあり、ふうたろうもそう思ったのですが、行き先を正確に告げないという。ある乗客が、伊予ヶ岳の登山口である天神郷まで行くのかと、乗るときに訊いていたのに、終点まで来てから「ここから歩いてください」とか、ちょっと厳しいでしょ。ふうたろうにしても、はるか先の山田中バス停まで乗合タクシーの接続があれば乗れるということで、実際に別の客が使った席に余りがあって乗れたのに、タクシーが出発してから「歩いてください」と。
予約が必要な区間に予約無しで来たのは悪かったけど、お役所的な仕事をここまで徹底することはなかろう。
しかし、何とか先に出ていったタクシーが捕まって(どうやって捕まえたかは省略)、無事、御殿山登山口に到着しました。正規に予約して使っていた人たちには申し訳なかったなあ。
さて、10時26分、御殿山登山開始。里山の雰囲気ばっちり。今日はこれで行きます。
御殿山への道は立て札に導かれています。迷うことはないでしょう。
ロウバイ(ロウバイ科)が咲いています。秩父の宝登山(ほどさん)には大量に咲かされているようですが、ここには少し。
さっき初老の夫婦がふうたろうの近くを歩いていましたが、少し話をしたら、直ぐに追い抜いてしまいました。この辺りの坂は思いのほか急で、格差が広がりやすい。
ほこらからの見晴らしは良く、伊予ヶ岳や山を抉って作ったゴルフ場などがよく見えます。
実は、このほこらの手前で、老人ハイキング会みたいなところの団体に混入する形になってしまいました。道が狭いから自分のペースでは進めない(追い抜けない)。
ほこらのピークから一旦少し下って、もう一回ピークを迎えるとぶつかる、プチ展望台。本当に“プチ”なので、さっきの団体が入るとスゴいことになります。
更に稜線沿いに進むと、この先山頂、という感じの標が見えました。しかし、この坂は今までにも増して急坂。
その山頂には大きな木がありますが、何の木なのか…。この下は鬱蒼としています。
山頂直下はやっぱり刈り払われていて、展望が良いです。展望が良いというか、展望を良くしたというか。
メシを食って、ふた組ほどの写真撮影に付き合って、いざ大日山へ。縦走を始めて直ぐ、ツバキ並木。
木の階段を伴った、ツバキ並木の恐ろしい急坂。前から青息吐息の登山者一人。
小刻みなアップダウンが連続します。小刻みにキツいです。これが長かったら、相当ハードなコースになるでしょう。
樹林の色もきれいですな。でも、本来は照葉樹林帯のはずでは…?
樹間から御殿山のてっぺんが。あの大きな照葉樹、ものすごい存在感です。
縦走路は右だとのこと。犬を連れた女性と、これから抜きつ抜かれつします。
大日山の山頂。意外とあっけなく着いたものです。御殿山ほど山頂っぽくはないですが、公園の一部という感じがします。
大日山を下り始めると、長いなだらかな階段があり、その突き当たりに坊滝方面へ導く道標が。
冒険好きふうたろうはそちらに向かいましたが、荒れまくっています。
結局、これは正規ルートと同じところに出てきます。犬連れの女性が来ましたよ。
坊滝の上にまた枝道があったので入ってみたら、坊滝の上に出ました。ソールのハゲかけた靴では危ないですなあ。
看板に釣られて行ってみたら、消防士下りをさせられてしまいました。
乙坊の滝とか書いてあるけど、薄暗いし、見てらんねーほど急坂だし。
沢をそのまま下ろうとしたら、淵にぶつかりました。そのまま退却。
消防士下りをしたところをよじ登っていると、下っているときには気付かなかった(当たり前じゃ!(゚皿 ゚メ))菌糸。雑木林のめぐみ。
ずっと歩いているとさっきの坊滝やトリオ滝の長男分がありましたが、もういいです。
しかし、海浜幕張から木更津あたりまではスゴく曇っていたのに、いい天気になってよかったですなあ。
それはそうと、ここ、増間ダムというダムで、土砂が堆積しているように見えますなあ。もちろん、水位が下がっているのもあるんでしょうけど。
これが堰堤。地図を見ると、このあたり、こういう小規模のダムが多い。
ソテツがたくさん植えられています。この辺り一帯、ソテツが多いです。
また、戦没者の慰霊碑っぽいものが。310万人の犠牲者を出した戦争だったのだから、本来ならこれくらいでは足りないのかもしれませんが。
山間の長閑な風景が続いています。本当はバスがないのでひたすら歩いているだけなのですが。目指しているのは上滝田郵便局前バス停。
バスは、南房総市の市営バスです。「館山日東バス」で調べると詰んでしまいます。
市営路線バス(廃止代替路線)丸・平群線
何となく、懐かしい農地の風景。北茨城も、こんな感じのところ、あったよな。
黄色のスイセン。他のは枯れが入っていましたが、枯れていなさそうなのを選びました。スイセンはちょっと見頃を外してしまったかもしれません。やっぱり1月上旬から中旬ですな。
上滝田郵便局前のバス停に着いたら、今朝バスの運転手共々右往左往したところに向かうバスがサクッと通過してしまいました。実はトイレを我慢していたので、どこかに便所はないかと思って、とりあえず小商店に飛び込んでみたところ、便所は住居の中にしかなく、借りられませんでした。まあ、ネコが可愛かったからいいか。
それで、30分くらい歩いたところに道の駅があるというので、歩き始めたところ、後ろからクラクション。何と!さっきの小商店に(客として?)来ていたばあちゃん。90歳だって。
遠慮してモゾモゾしているふうたろうに、「早く乗りなさい!」と。
ばあちゃん、「気は遣わなくていい。でも、覚えといて。」
下り際にふうたろうが礼ができないのを申し訳ないというと、「お礼なんて要らないわよ。困っている人を助けてあげなさい。」と。3倍生きている人の言うことは違う。
トイレを出てバス停に行ったら、なんか、さっきと違うバス路線に変わっていました。しかも、あと1分でバスが来るとか、道の駅で買い物する暇もないやんけ。
さっきのばあちゃんのことを考えながら、バスが富浦駅に着きました。ばあちゃんへの礼、か…。
内房線の上り列車が50分くらい先だったので、散歩に出掛けました。目指すは、そりゃ、浜辺でしょ。
この道、砂浜から打ち上げられたか、砂がビッシリとたまっていますぞ。
浜辺を北上すると、磯があるので行ってみます。磯の向こうは内海になっていて、船などが繋留されていて、静かです。人々が憩う姿もちらほら。
その磯、何かあったらいつでもおいでと、言ってもらえるような気がする。
これ、柵が壊れた痕がある。岩の下から波の音が聞こえてくる。この穴を埋める岩は波が運んだものなのか、人が後から埋めたものなのか。何かつまらないことをしていそうな予感がする。
再び海岸線を歩き、富浦駅に戻ります。なんて長閑な風景なんでしょう。
この辺りの家の人は波しぶきが大変でしょうけど、100万ドルの夕日をいつも見られるんですよね。うらやましいなあ。
…。車馬を乗り入れないこと、って、どういうことだろう。馬ァ!??
富浦駅前の煉瓦道。何となく道は小綺麗な感じだけど…。ここの住民たちの生活はどうなんだろうと思わなくもない。
富浦駅の改札をくぐり、4分後くらいに来る上り列車を待ちます。旅が終わろうとしています。
春の陽気の、真冬の山行でした。心落ち着く、マッタリとした南房総の山歩き。たまにはこういう旅も必要だと思いました。プロは場所を選ばない。アルプスや雪山のようなガチガチのコースでないと山ではないなんてことはないんだから、死ぬまで山に登りたいと思うふうたろうは、どんな山でも愛せる山屋になりたいものです。
それと、山から受け取るばかりでなく、山に与える行動も、いよいよしなければならないときが来ています。うーん…まずは何を始めればいいんだろうか。ねえ?ばあちゃん。
天気:晴れ(千葉県安房郡富山町・三芳村・富浦町、移動中は含まない)