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ケモノの舞(船形山鶴子ダムよりクラビ沢コース:山形県)

2012年 5月 19日

 夜行バスが山形駅前に到着しました。4人がけの倚子の割になかなか寝心地はよかったのですが、そのバス会社のパンフレットを読んでいると、やる気満々の雰囲気をニオわせていて気持ち悪くなりました。もちろん、体調の方は何とか大丈夫ですが。
 ところで、本当は「尾花沢待合所」という山形県尾花沢市にある市営バス停留所の発着点まで行きたかったのですが、その便のバスが1日にして満席になってしまい、山形駅経由というハメになったのです。


 というわけで、山形駅からJRに乗って北上し、大石田駅へ。


 大石田駅からバスで。
 …
 ……
 ………行けるほど人生は甘くない(じと目
 3~4kmほど離れた尾花沢待合所まで、いつもの林道歩きの姿で歩きます(今回の山行での歩行距離にこれは含めていない)。


 晴れ間が見える山形県。


 1時間弱歩いて尾花沢待合所。バスが行き来する中心部という割には、奥まったところにあってなかなかこれが…。
 ここで、鶴子方面に行くバスに乗ります。
 →交通・道路|尾花沢市


 鶴子線で終点の森のホテルより一つ手前の、屋内運動場前だっけ、そういう感じの名前のところで下ります。
 バスの運転手がふうたろうの行き先を聞くや、最善の場所で下ろしてくれました。なお、このバス、ふうたろう一人貸し切りでした。


 ヒメノオドリコソウが咲いてすっかり春になっている山形県。さあ、出発ですぞ。※ただし大石田駅から尾花沢待合所までの徒歩は除く


 25000分の1の地図を見ましょう。道は自ずと開かれます。


 魚…じゃなくて竜の鱗みたいなダムの流れ。


 それにしても、しこたま曇っている尾花沢上空。


 延々歩いていくと、トンネル一つ目。誰がこんなところを行くんだろうと思ったけど、この先はダムなんですよね。


 トンネルを抜けるとダムだった(何


 車道を歩いていきます。行く先には、山菜採りをしている人がワラワラいます。


 山形県長井市から来たという夫婦は、この倒木を前にして諦めたそうです。手前でウドとか採っていました。おっちゃん、滑落しないでね。
 ふうたろうは、当然「立入禁止」のロープなんてものは越えていきます。こういうものは車のための標識だと思っていますから(黒笑


 フキやらコゴミやらが生えていますが、フキは食べられる気がしないし、コゴミはとうが立ってそうです。


 しかし、山頂で付け合わせの野菜代わりにしたいので、少しでも食べられそうなものを選んで。


 進んでいくと残雪が少しずつ現れてきます。


 ここに残雪はありませんが、残雪のそばには、まだ芽吹いたばかりのコゴミがあります。


 空には雲が多いですが、晴れ間がさっきよりは多くなってきています。


 コゴミが気になるふうたろう。というか、この猛烈に長い車道、コゴミでも採りながらでないと、進む気になりません。


 崩落3箇所目。ここは徒歩でも多少進みづらそうです。


 コシアブラの成熟した葉っぱかなと思ったけど、においがしませんでした。


 ダムもそろそろ最奥部。空の晴れ間も広がってきて、ダムの水が青いクリームソーダ状になって見えます。


 新緑も美しいダムサイト。しかし、ブヨもヴンヴン集ってきます。


 水たまりにカエルが卵を産んでいます。ムチン質の卵の中は殆どオタマジャクシになりかかっています。


 この橋を越えると、昭文社の地図の記載域に入ります。


 橋左手。ここも、元々はきれいな渓谷だったんだろうなあ…。


 コゴミが林道脇に大量に生えています。ダム入口よりも太いものが多い。


 食べ頃のコゴミが大量に生えています。ふうたろう、袋を出して採りまくっています。山頂での付け合わせというには多いので、おみやげにする勢いで。


 8時半頃から歩き始めて3時間、漸く御所山荘です。林道歩き9~10km。コゴミがなかったら集中力は持たなかったでしょうね。


 この火原沢沿いに登るはずのバリエーションルートは、おそらく朽ち果てて使えないでしょう。最初から足場がなくなっている…


 しかし、その入口とおぼしき場所に、水栓の付いたパイプがあって、水がじゃんじゃん流れています。これは水場ですな。御所山荘で使う水場。


 ちょっと写真が飛びますが、これは御所山荘の2階です。まだ1階の打ち付け板が外れておらず、2階からしか入れません。おそらく、林道の崖崩れが復旧しないと、ここも開かないでしょう。


 御所山荘を過ぎてすぐにちょっとしたボール遊びくらいできそうな場所があります。ここで道なりに進むと沢道で、一般人は詰んでしまうので、この広場に入って、斜面上の奥の道に進みましょう。


 水たまりにカエルが。卵を死守しています。


 この道、崩れたところを補修したばかりというか、それもまた崩落しそうというか、なかなか怖い状態です。


 あまり安定していなさそうな崖の道。新緑の沢は美しい。


 気持の良い春の森。


 ここは昭文社の地図にある層雲峡の沢登りのルートより手前の沢沿い林道です。その地図にはないですが、沢登り用のルートが存在するようです。


 新緑満開。これから船形山山頂まで行かなければならない、と思わなければ爽やかさも違ったと思いますが。


 折れた木の枝に花が。これは何の花でしょうか。


 雪解け水から生じたものでしょうか、小さな滝です。


 トンネルがあります。


 すぐ横は断崖絶壁。高度感ある渓谷。


 車では入れないところです。ふうたろうただ一人歩く。


 トンネルはいつ建設されたのでしょう。枠を残して崩落しています。


 そこら中で水が出ています。猛烈に暑いので、気分だけでも涼しげに。


 ここは水の流れるパイプが詰まっているのか、溢れそうです。


 新緑の森を歩いていきます。そろそろ車道歩きも終わりです。


 ところで、行動食に持ってきたチョコパイは、潰れやすく溶けやすいので早めに食べておきます。チョコパイがペチャパイになる前に食べておかねばなりません(違


 針葉樹も新緑。


 林道終点、あずまや。ここから層雲峡の沢登り(大沢小屋方面)とクラビ沢コースとに分かれます。


 ふうたろう、時計を見てクラビ沢コースを登ります。本当は層雲峡コースを行きたかったけど…


 しかし、クラビ沢コース、初っぱなから若干崩落があるという、怪しげなニオイを醸しています。


 ヌオッ(゚Д゚;)
 これを渡るのか…


 これがゴォキッと折れてヅドンと落ちたらたまったもんじゃないですね。くわばらくわばら。


 雪に押しつぶされて曲がった低木がたくさん。登山道そのものも削られて斜めになりかかっています。


 こういう雪とか、かなりタチ悪いし。でも、この辺り、良質なコゴミが生えているので、正直な手が採取していきます。


 …どう考えても沢の向こうだよね、道…。しかも、この沢、靴だけで渡るのは辛いでしょ…。


 ここ、橋があったのかな、残骸が転がっています。


 靴を脱いで渡渉。沢靴まで出すほどじゃない…。


 何とか渡渉完了。靴履いて次へ行こう。


 ヌオッ(゚皿゚;)
 もう一本あるのかよ!!しかも、今度のは一枚岩の沢じゃないか!これは足袋(沢靴)を履かないと滑る可能性があるぞ、と。


 …?でも、1本目の沢と2本目の沢の間に、ロープが…?これを登るといいのかな?


 でも、ヤヴっぽい。


 ウルトラヤヴこぎゾーンになってしまいましたね。諦めて戻るか。


 …改めて、靴を脱いで沢靴を履いて渡ろう…(=皿=)


 幅がものの1mほどの沢を渡るだけで、沢靴なんてダルいっすね。しかし、もう渡らないでしょ、さすがに…(じと目


 (Θ_Θ#)…


 …スパッツを穿いて、無理やり渡りました。ええ、ヤブの中に突入してしまいましたが、沢の中にヅドンよりはいいでしょ(じと目


 この尾根は、さっきロープがかかっていた尾根です。要するに、あのヤブをがまんして越えていくと、2回の渡渉が省かれるということです。渡渉を採るか、ヤヴを採るか。


 倒木だと思ったら、これはコシアブラでした。完全に幹が折れているので、もうこの木は朽ち果てるしかないでしょう。かわいそうだけど、このコシアブラ、ふうたろうの今夜の野菜になっていただきます。
 こういうとき、ふうたろう、食というのは、生物学的な意味での消費者全員が背負った原罪だなあと思います。命をいただくんだよなあ、と。ね?


 コシアブラの屍を踏み越えて(ぇ ふうたろうは先に進みます。なかなかいい時間になってきましたけど、山頂はまだまだ遠い。いったい何時になるのやら。層雲峡どころじゃないですぞ。


 日の長い5月中旬。冬ならもう薄暗くなりそうな15時過ぎでもめちゃくちゃ明るい。
 余談ですが、冬至の南中高度は、真夏(夏至?)の16時頃の日の高さに相当するらしいですね。小学生の頃の理科の教科書で見た気がします。今はまだ冬の真昼よりも昼ってことですね(違


 針葉樹林帯。道がビミョーに険しい。


 ヌオッ(゚Д゚;)
 このハイパー倒木雪スペシャルはないでしょー!


 危うく道をロストするところでした。上下を見回しながらトラバース道を探しますが、その時のストレスたるや、どうしようもありません。


 しかし、いよいよクラビ沢出合です。火原沢からの幻の破線ルートとそこで出合うのですが…


 道らしいところは見つかりませんでしたな…。アレは廃道扱いでいいですよ、もう…


 高木の新緑の下、歩けるのは幸せです。扇ノ山の新緑にはそれでも敵わないと思いますが、いいものです。


 …が、そんな呑気なことを言っていられるのも束の間で、倒木が2~3本連チャンになると、(▼皿▼)ギャーってなります。


 がまんならなくなって雪の吹きだまりに飛び出してしまうこともあります。


 しかし、それは道をロストするリスクも背負っているので、一長一短。踏み跡がただでさえビミョーなルートなので、しかも、雪がないからウルトラデラックスハイパーヤヴこぎゾーン突入となると、本当に地獄を見ます。


 とりあえず一言言えるのは、雪があまりにも快楽過ぎる、という件。


 一応踏み跡がしっかりしているところは普通に歩けますが…


 ひとたび倒木に阻まれると、ヤヴよりもタチが悪いという罠。これがとにかく時間と体力を浪費する原因です。しかも、今日はかなり暑い。


 気が利くじゃんキャンプ場じゃないか(棒読み)


 水場だって(棒読み)
 Ψ(▼皿▼)ガーッ
 ダイレクトきたなごり雪解水なんて、キチン・キトサンの塊じゃねーか。節足動物類の抜け殻末なんて呑み込みたくありません。


 アレは船形山の端っこですかな。遙か彼方ですなあ…


 この辺り、若干地図がデタラメですな。地図では右方向だけど、踏み跡は左の斜面に続いていますわ…。


 当然道なんて完全に埋まっているので、こうなったら方向で進むしかありません。ただ、この時期の残雪というのは、方向だけに頼っていると、ほぼ間違いなくヤヴにぶち当たって地獄を見るということ。冬山とは違う地獄ですな。


 どうやら、あそこに尾根があるようですね。もう少しですわ。


 見かけより斜度は緩い。アイゼンいらん(あるに越したことはない)。


 そして、やっと日の目を見ます。おはよう5月19日(違


 船形山は右側の緩やかな方です。近そうで、かなり遠いよ?


 (´▽`)はあ~~
 遙かなる雪原。冬山に回帰したくなりますなー


 雪の上を歩いているので、尾根より少し北側を歩いています。尾根がカーブするところ、ジャンクションピークです。ここで、層雲峡からの沢コースと出合うはずです。


 …正規ルートに戻ったら、この通り、ウルトラヤヴこぎゾーンでした。冬山が恋しいという件。ケモノ(道)の舞はもうイヤです


 残雪があるとしたら、こんなんとか。罠のように張り巡らされた低木が牢獄の鉄格子のようですよ。


 ヤヴの向こうの船形山


 ヤヴから見た西の空。


 雪渓をツボ足で必死で登っているところから見た日没前の西の空。


 ちょっと明るく撮ってみますか?


 …(Θ_Θ;)
 調子に乗って登り詰めたら、完全にヤヴにぶち当たりましたがな。


 げろりんちょ(=皿=;)
 しょうがない、戻って道探すか…


 あの黒い影のところ、道かしら。人かケモノか知らんけど、足跡があるようなないような…


 ん?(・ε・)


 ヌオッ(゚皿゚;)
 何と、山頂あと少しのところでガスってきやがった!?


 まあ太陽の周りのぼんやりした光がきれいだからいいかー(棒読み)


 っていうか、もはや、ケモノの舞に疲れ切ったふうたろうに、残された気力はほとんどない。


 やっと最後の分岐です。ここをもう少し上がれば、山頂の小屋に着くはず…。


 (゚Q゚;)ぐはぁ
 まだケモノの舞が続きますか。でも、この試練を乗り越えずして安寧はない(何


 これが船形山山頂の碑。もう日が暮れてますがな…。


 いや、ガスってるだけだった(白笑


 これが小屋…ん?(・ε・;)
 …入口が??
 何で1mほど段差のあるところに??(=皿=)


 とりあえず、疲れ切ってしまったので、夕食です。本当に夕食になりましたね。到着18時46分ですもん。10時間行動しましたよ、10時間!
 採ってきたコゴミを食べましょう。


 いつものスパゲッティに絡ませるんです。野菜は大事です(何


 お馴染みのチーズと、それから倒木コシアブラの亡骸と(何


 このコースをなめていたふうたろう、ひどい目に遭いました。10km以上の車道林道歩き、渡渉3回にヤヴと倒木と残雪の凄まじいケモノ道、午後の日差しの熱さ…。ケモノの舞、ここにありですな。このルートは二度と辿りたくねえ…。できれば、下でコゴミ食うだけのケモノに留まりたいわ(=皿=)


天気:くもりのち晴れ(山形県北村山郡大石田町・尾花沢市・宮城県加美郡小野田町・色麻町、移動中は含まない)

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