夕日の宴(十和田白地山【樹海ライン登山道コース】:秋田県)
昨日、いきなり予約した高速バスで、八戸まで来ました。新潟県の弥彦山や福島県の沼沢沼などを巡ろうかと思っていましたが、余裕で梅雨前線の圏内に入り、究極の脱北業に出たのです。
とはいえ、苗場山で痛めた膝のこともあって、あまりキツい山行は望めません。荷物も軽めでいこうとは思いますが、夜行バスの中では、座っているだけで痛む時もありました。結構筋肉に負担をかける乗り物なのだと、少し思いました。
さて、朝飯を物色します。八戸駅ビルの中に、バイキングを800円で食べられる店がありました。しかも朝7時から。いや、6時半かな。ともあれ、コンビニメシを食うよりは全然素晴らしいことなので、迷う理由はありませんでした。
ところで、地方都市だと思って、バス停にザックを放置してきたのですが、どこかのアホが、痰を吐いて行きやがっていました。
そういう行為は地元の面汚しなので、よい子は真似しないようにしましょう(真顔
ふうたろうがそのアホ行為に気がつくずっと前、八戸駅の西側をウロウロ散歩していました。十和田湖に向かうJRバスの始発が9時、ふうたろうが八戸駅に着いたのが6時でしたから、朝飯を食っても時間をもてあましているのですな。
しかし!ふうたろうにはSD1という強い味方がいるので、その辺で撮影会をば。
この西口、やたらと空き地が多い。住宅がまばらに建っていますが、かなりの割合で雑草が生い茂っています。たぶん、新幹線需要を見込んでのことだとは思いますが…
濁りきった川に曇り空が映っています。…あんまりいい表現じゃないね。
この看板、ひょっとして、西口前を描いたのでしょうか?ずいぶん、大阪南港みたいですなあ(真顔
子どもの「未来の八戸」像は、「経済発展」を描いたのでしょうかね?
ふうたろうにはよく判りませんが、大都市になることを望んでいるのでしょうか。大阪や東京に住んで、大都市でいいと思ったことは一度もありませんでしたけどね。それこそ、インターネットやコンビニがなかった時代でも。
都会に住んでいたからこそといわれれば、それこそ証明しようがありませんが、自然のあるところを散歩するのは、小さい頃からずっと憧れだったし、今も好きです。茨城県取手市に住んでいた頃(つい数年前ですが)も、定期券で東京に出かけることより、散歩で小文間(おもんま)や小貝川のほうに出歩く方がずっと楽しかった。
9時のバス発車が近づくと、それなりに人も集まってきました。ふうたろうは、バスを待っていた時に話をし始めた千葉県の70代の女性の隣に座って、結婚観のこととか男のプライドとか政治思想とか、むっちゃコアなことを、話していたような気がします。
でも、そういうところで話ができる初対面というのは、いつもおもしろい。最初から全力って感じです。
なお、この八戸~十和田湖のバス、休憩があります。ふうたろうはそこでアイスを食っていました。
そういえば、いつの間にか晴れているではありませんか。
かの70代の女性は、ふうたろうがこないだ南八甲田縦走の末に下りてきた子ノ口バス停で下車し、奥入瀬渓谷を下る予定だといいます。名前も言い合わないままお別れしましたが、どうぞお元気で。
ふうたろうは終点の十和田駅(?)まで。
季節運行のバスが、ゴールデンウィークやお盆休み、紅葉のシーズンだけ通る、十和田南駅まで出ています。しかし、今は新緑のシーズンなので外れています(じと目
普段なら容赦なく、この公共交通限界地から山頂めがけて歩くのですが、今日はかなりセーブします。あそこに都合よくタクシーが一台あります。
季節運行のバスが止まる発荷峠(はっかとうげ)で降ろしてもらいます。さすがに今回の目的地である十和田白地山の、その登山口までタクシーで行ってしまったら、もはや登山の9割を放棄したも同然ですからね…(何
トイレで用を足したら出発ですが、その前に…
コシアブラ集めとこうか(ぇ
コシアブラ(もうすっかり成熟しきっているけど)を集めたら、いよいよ出発。膝の痛み、勃発しませんように、と願いつつ。
展望台の駐車場がそこにあるようです。でも、売店とかはありません。
きれいな空の下、県道を歩きます。別名樹海ラインとか。
そこの幟に、遭難注意を喚起する文言が。
この辺り、料金を払えば入山&山菜とりができるらしいです。でも、誰に払うの?
車道、結構長いです。でも、車の通りも少ないので、それなりに快適ですよ。
雲の多い晴れ。恐らく、あのまま新潟県に行ってたら、ずっと雲の中をさまようことになったでしょうから、これでいいんですよね。
しかし、何となくもの悲しい感じのする山行。技術や体力では、そのもの悲しさは克服できないような気がします。
さっきまで歩いていた道路です。あんなに遠くに。あそこから今歩いているここも、見えていましたね。
そろそろ、登山口が近いと思いますが、コシアブラを集めていたのが11時50分だったので、1時間近く歩いている計算になりますか。さすがに、それなりの時間を要しますね。
登山口。おや、何やら人がわんさか入っていますね。それもそのはずで、そこの看板見たら、入山料1000円って書いてあります。山菜採りなどができるのだそうで。
で?誰に払うの?
どうしても気になったので、山菜採りをしている人に聞いて、料金を払いに行こうとしましたら、車で通りかかったおっちゃん(地元の人)曰く、料金所はかなり下の方らしいのですね。
まあ、ここまで歩いてくる人を想定していないのでしょう。たぶん、1000円払うからここまで来い(あるいは常駐しとけ)っていったら、徹底的に拒否されると思います(黒笑
駐車場にコシアブラの木があります。でも、ここでは採らないでおきましょう。
今度こそ張り切って出発。でも、ここは登山道と言うより、山菜ハンター用の林道みたいなもんでしょうね。
初夏の花・マイヅルソウ(ユリ科)。今年で5回目の初夏。早いもんですね。
鉛山峠の分岐です。ここから見ると、発荷峠方面への踏みあとがしっかりありますが、発荷峠の方からは、地図通りの場所に道はありませんでした。いったいこれはどこに続いているのでしょうか?
そうそう、今回は虫対策のハッカ油を忘れずにぶっかけておきます。もちろん、原液で。
でも、まぶたにかかったら地獄なので注意(じと目
この植物の名前がいつも出てきません。ヤグルマソウ(ユキノシタ科)です。
初めての十和田湖展望。思えば、こないだの南八甲田縦断の時も、ほとんど樹林帯で十和田湖がしっかり見えたところはあまりありませんでした。
対岸の、真ん中に出っ張っているところが見えますが、あれはふうたろうが縦断を終えて車道に降り立ったところの直ぐ先、御鼻部山です。
ズダヤクシュの見頃がもう終わりにさしかかってます。
それにしても、このSD1の画質は本当に素晴らしい…
最初、こちらの白地山方面に来るか、あの十和田山近辺を歩くか迷いました。しかし、結果的にはあの十和田山が曇っているのを見ると、こっちで正解だったかなと。
なお、この展望所は、傾いたベンチが2脚ほど置いてあるだけの開けた場所です。
湖の対岸に十和田山の他、戸来(へらい)山や十和利山なども見えています。
よく整備された登山道です。道沿いにはマイヅルソウの絨毯が広がっています。
その絨毯の向こうに、あずまやがありました。ここでいつもの井戸端(?)会議(笑
あずまや(白雲亭展望台)を過ぎると、人と出会うことはなくなりました。ここはミソナゲ峠。変な名前ですな。
さっき、あずまやで大館から来たという夫婦たちと話していた頃から、空に雲が多くなり始めました。今は林床にも日が差していますが…
ヌオッ(゚Д゚;)
この指導標はひどい。秋田県の札が、曲がった札と腐った木の間に刺さっている…
実は、このルート、似たような地形を延々と歩くため、正確な位置を突き止めづらいようです。しかし、歩いていれば一本道なので、あっさりと大川岱との分岐に来てしまいます。
とはいえ、やっぱり長いですけどね、ふつうに。
というわけで、ここでテントを張って、明日の朝に山頂を踏みつぶしてから碇ヶ関方面に下ります。
ガスがひどいので、テントの中でバウムクーヘンとか食いながら、青森県の山ガイドブックなんかを読んでたりしていました。ちょっと一息ついてコシアブラでもさがしにいこうかと思って立ち上がったら…
ふうたろうは、スリッパとカメラバッグだけ持って、白地湿地帯にBダッシュで向かいました。ちょうど進路から太陽光も差し込んでいますし、いい雰囲気ではないですか?
ブヨが大量に飛んでいる低木と笹の道をスリッパダッシュします。
白地湿地帯をなでるように霧が流れています。これはおもしろい風景ですな。
この湿地帯には、苗場山や尾瀬のような池塘はありません。かなり湿生遷移の進んだ湿地なのでしょうね。
あの彼方の山は、南八甲田の山だろうと思います。一番高いあれは櫛ヶ峯、かな?
19時になろうとしている今、低木のシルエットもくっきりしていていい感じですな。
小走り気味に白地山の山頂に行きますが、既に夜露がかかり始めています。足下が微妙に不安。
白地山山頂到着。案外展望の方は、低木に阻まれていてしんどい。
スリッパで来ているので、スリッパを脱いでベンチの上に立って写真撮影。もっとも、ふうたろうの靴下とスリッパの裏はどちらがキタナいかいい勝負かもしれませんがね…(じと目
再び周囲がガスっぽくなってきました。でも、このうっすらした感じがまた…
夕焼け空。もう、19時を回ってすっかり夜の時間ですが、今日は夏至です。日没がもっとも遅い時期は夏至よりも1週間ほど後ですが、本当に夜になるのが遅い。
そして、ガスってしまいました。速やかにテントに戻りましょう。
でも、テントに戻ってきたら、さっきまでガスっていた展望がほぼ晴れていました。三脚を忘れたので、そこに立っているし道標の上にカメラを置いて、15秒間のシャッタースピードで撮影しました。
やはり、暗すぎます。それに、雲は動くし、木の葉は風に揺らめきます。難しい写真ですなあ…
いつまで経っても暗くなりません。もうすぐ20時です。そして、これがあと6~7時間したらもう明るくなってくるんですよ…。あの夕張岳の2時台の目覚ましが懐かしい…(じと目
暗い!
ISOを上げるとノイズがすごくなるカメラなので、F値2.8で30秒シャッター開いていても、このレベルです。それでも限界まで補正をかけて現像して、何とか十和田山のシルエットが見えますか。
このカメラで星空が撮れたら、もう、他のカメラは絶対使えなくなります。何しろ、今の時点でさえ、もう他のカメラを使いたくないほどですから!
膝が悲鳴を上げない程度の山行をということでここに来ましたが、夕方の宴は思わぬラッキーでした。この風景は、テント泊しないと見られません。しかもここ、テント泊するような山ではないので、この景色を見た人はいったい何人いるでしょう?
そして何より、無理して一日で突っ切るよりゆっくり登れているので、足にも優しいだろうと思います。
あとは、明日の朝に、朝日の宴を見せてくれることを願うばかりです。
天気:くもり時々晴れ(青森県八戸市・南津軽郡平賀町・秋田県鹿角市・鹿角郡小坂町)