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農家、労働者、そして分析者

2008年 2月 29日

 今日は一日、くしゃみと寝不足で、体調が悪い。それから、野暮用の仕事が、いつまで経っても終わらない。イライラはかなり募ってきています。4年に1度の閏年、2月29日はハッピーにいきたかったのですが、どうもそうではなかったようです。
 明日から、焼津のビキニ行動に行くので、実務が終わった16時過ぎに、さっさと上がらせてもらいました。波平さん帰宅ですね(冬でも明るい時間に帰宅の電車に乗っている)。


 今日は、改めて、僕のやっていることを考えてみたくなりました。ネタ切れだったのですが、切れている場合じゃない。
 僕は、農家の団体の、分析センターで、残留農薬分析をしている若造です。野菜を潰して、その野菜4gをアセトニトリルと一緒に振り混ぜて、濾過して、水分や色素などの不純物取り除いて、GC/MSオペレータのSくんにバイアル(サンプルの詰まった小瓶)を渡すのです。
 僕は、毎日このマンネリ化した作業をやっています。
 今日、SくんがGC/MSの分析待ちの間に、インターネットで、他の分析機関がどのくらいの料金で、どのくらいの人員で、残留農薬分析をやっているのかを調べて、教えてくれました。ある機関は、249成分の農薬を、GC/MSで13万円だそうです。人員も2桁クラスでいるようです。成分数で言えば僕らの施設はその7割くらいだけど、金額にしたら10分の1くらい。人員も、実働4人です。だから、ハードですし(慣れたけど)、主任が言うには、給料も全然安いそうです(僕は最初からこれなので解らない)。
 ところで、僕らの職場に来てくれる営業の人たち、つまり、試薬や器具、分析機器を販売に来てくれる人たちはみんな気さくで、支払いを滞納しても我慢強く待ってくれますし、色んなトラブルで困った時は親身になって助けてくれます。まるで、昔ながらの義理人情で繋がっているみたい。だから、僕なんかは人生の先輩のものとして、話を聞きたいと思うのです。こんなことやったりもしています。接待なんてとんでもない。みんな意地を張ったりしながらうりゃりゃーって感じで。
 …そんな営業さんの中には、僕らの分析の価格設定について、前向きに意見してくれる人がいます。「もっと値段を上げて、良い分析が出来るようにした方が良くないか」って。その気持ち、凄く解る。解るってのは、言いたい気持ちが解るということ。だから、「前向き」と書いたのです。
 でも、僕の気持ちからしたら、上げられない。僕らが特殊な分析方法で制度管理していて、恐らく他のところよりも手間のかかる、マトリックス効果回避法をやっているとしても、です。だって、N民連大会や青年部の総会で、農家の実情聞いて、農家のための分析センターやってるのに、これ以上値上げなんて、考えられません。今の値段でも、きっと農家にとっては高いのに。だから、分析に出せない農家もいっぱいいるはず。いや、いる。
 ここから、昨日の話と繋がります。
 もし、僕らの施設が、分析受託価格を上げて、利益をより生むことを考えたら、トラック一台(箱一つ分だっけ?)数十円のキャベツに困っている農家はどうするの?時給256円の米農家はどうするの!?米の分析なんて、油を抜く作業が入るから、余計に手間がかかるし器具も使うから、本当なら値段を上げたいくらい。でも、農家の実態解ってたら、上げられないよね?
 …僕らの職場に営業に来ているみんなは、同じ気持ちで商売していると思いますよ。それに、営業する人やその会社が、富裕層をターゲットに(だけを大事に)するようになったら、僕らの施設も、そして僕ら個人も、野に投げ出されるわけです。
 ヘリウムガスの値段が上がっている。濾紙の値段も上がっている。珪藻土の値段も上がっている。でも、みんなぎりぎりでやっています。そんな僕らの施設の話をすれば、2年ほど前の消費税の課税最低限の引き下げ(3000万円から1000万円に)で課税対象になり、分析費用を上げなければならなくなったのです。
 …人員も十分いて、器具や機械が充足していれば、誰でも遅かれ早かれいい分析が出来るのは、当たり前。でも、そんなわけにいかない理由が、農家や労働者、そして僕ら分析者にのしかかっているのです。
 だから、昨日の番組の話なんて、もってのほかだと思ったのです。僕は、一部の人が助かって、他の大多数が助からないのなら、それは結局みんなが助からないことだと思うのです。昨日の『クローズアップ現代』が「クローズアップ」していたのは、金を持っている人だけだった。それが許せなかった。何で、日本の…自民・公明(その他)政権の作った税制を問題視しないのか。何で、偽装請負を「法律が悪い」といって憚らないキヤノンの会長が、経済界のトップに立っていることを問題視しないのか。
 日本全体が貧乏なんてのは嘘です。それは、23日にも書いた、資本金10億円以上の企業の内部留保が、10年前の1.5倍の218兆円になっていることからも明らかです。企業には利潤に応じた税金を払わせ、一部の企業しか儲からない不要不急な大型の公共事業を停止し、無能さを顕わにしただけでなく人命をも奪ったイージス艦を買うのをやめるだけで、どれだけの財源が生まれますか!?農家や中小企業に対する補助を厚くし、彼らが税を払えるくらいになれば、その税は活かされていることになるんじゃないですか?何より、派遣だの何だの、理由を付けて賃金を切り下げて、結局は自社の製品すら買い手が付かなくなりつつある現状を、派遣業務が自由化される前(1997年頃)に戻すだけでも、国民の可処分所得は上がるんじゃないですか!?

 明日からビキニデー。どれだけのことが吸収できるか解らないけど、精一杯見てこようと思います。これでも僕は科学者の端くれなんですから。
 あ…、疲れるから、気張るのやめるんだったね。

天気:晴れ(埼玉県所沢市・東京都板橋区)

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