ごり押しアタック(裏巻機渓谷:新潟県)
朝になるほど眠くなるのは、どうやら生理学的な問題らしい。とりあえず、あれだけ眠れなかった夜にもかかわらず、4時29分起床という、お決まり寝坊。
起きた直後のガスは筆舌に尽くしがたいほどの状態で、この写真のレベルだと相当視界がよい方になります。晴れの予報は…?と問いたくなります。
巻機山山頂に、とりあえず向かいましょう。たとえ頂上がガスでも、裏巻機渓谷の美しい風景がありますから、めげない。
かなり雲が切れてきましたが、どうもスッキリしません。それから、昨日小屋を半分以上占領していたグループがそこいらをウロウロ。まるで庭ですな。
高層湿原が点在する巻機山。2年前に苗場山に行くまで、山の上に湿原があるなんて考えたこともなかった。この辺りは本当に高層湿原の山が多いです。
上の方から、なりふり構わず、「オーイ、こっち向いてぇ!!すごいええ景色やでーーー!!」と、関西弁で叫んできます。
巻機山避難小屋から一本道を上って突き当たり、巻機山山頂の標に着きます。でも、本当の頂上はまだ少し東に位置します。しかも、この札のある位置は1967mではありません。
巻機山の山頂付近を覆う高層湿原は、晴れていたらきっと会津駒ヶ岳みたいに輝いているんでしょうね。晴れているときに、もう一度来るべきなのかもしれません。
ふうたろう、あの雑踏から離れて、一人、巻機山山頂より北東、牛ヶ岳まで歩いてきました。ヤブが軽く道を覆っていて、露払いする人(先を歩く人)は一人もいないために靴はずぶ濡れ。ここから先はバリエーションルートですから。
そんな露とガスに少しウンザリしていた頃、ふうたろう、生まれて初めて、ブロッケンの妖怪を見ました。
ブロッケンの妖怪は、ブロッケン現象と通常言われているみたいです。今までガスに覆われても、ブロッケンの妖怪には会えなかったけど、2009年9月6日、やっと謁見できました。素晴らしい。
向こうには割引岳(われめきだけ)などが見えています。今日はあちらは通りません。そして、まだ微かにブロッケンが見えます。
ガスが晴れるとふうたろうの影を反射する水滴もなくなるので、ブロッケンは帰っていきます。
さっき、ガスにウンザリしていたけど、そのガスのお陰で見られたものは、ブロッケンの妖怪だけではありません。この牛ヶ岳山頂から見られる雲海と雲の天井は、この世のものとは思えません。
え?熱でも出て唸っているときの夢じゃないかって?それはありうる。
巻機山から、地図には示されていないけど東に縦走する道があるようです。その稜線です。
遙か向こうは雲の絨毯。素晴らしい風景です。
人にこれを起こさせることはできない。自然は、大きい。何だか、雨に嘆いているときの自分が途端に小さく見えてしまう。
ずいぶん牛ヶ岳でマッタリしました。でも、さすがに居座るのもなんなので(後を追ってくる人は一切いませんでしたが)、出発。ここから先は、注意の看板があるほど、熟達者向けです。
折りたたむように山が連なります。下山口まで、これからものすごく長い道のりです。
高層湿原がまた、ありました。こればっかりは、青空がほしいですねえ。
六日町方面は雲が多少少ないようです。
アクセントのようにある雲がいい。
下り続けていると、一度目の沢の渡渉です。渡渉といっても、飛び石を飛ぶようなものですが。
沢まで下りてきましたら、次は靴を脱いで渡渉です。靴を脱いで沢を渡るのも、生まれて初めてではないですかね。
渡渉が終わったら、今度は厳しい上り返しです。登るというよりも、這うという感じかもしれない。
時々立てる場所がつかの間の休憩所。
鎖の付いた岩場。こういうところを、おりゃおりゃ~~~と上ります。
杁差岳の、大石ダムコースとかなり似たところがありますが、あそこと違うのは展望がかなり利くこと。あちらに比べたら、この裏巻機コース(旧道)の方がまだ飽きない、かな。
4合目の渡渉地点から取水口(後述)までの上り返し区間は、恐らく巻機山屈指の厳しさだと思います。いや、今朝ここを上ってきた勇者なるおっちゃんは、新潟一キツいコースだと強弁しておりました。なるほど。
ここ、長さ10mくらいでしょうか、ロープで岩壁を渡らなければなりません。こういう場所はたくさんあって、少ないとっかかりに足をかけたり、手に力を入れて鎖やロープを握ったり(するしかない)して、渡ります。かなり体力を消耗します!
この対岸の岩山が見えるところまで来ると、もう半分は来ていますが、あの上り下りで相当消耗しました。暑さも堪えます。ここはねばり強くゆっくり行くのが大事かもしれません。
取水口が見えてきました。この先に水力発電所があるのです。
あの取水口まで下りる坂は、殆ど崖です。それもただの崖ならいいですが、木の根がクルクル巻き付いている、非常にいやらしい崖。キケンです。
取水口のところには、水を溜めるための堰があります。堰には切れ込みがあり、その切れ込みには幅30cmくらいのアルミか何かの橋が架かっていますが、こいつはガタガタしています。キケンです。
こういう切り立った渓谷の、右岸を歩いてきたのです(写真から見れば左側)。
上りから見ると、この渓谷に入る前に注意を促すこのような看板を見ることになります。
高さを感じる渓谷。大きな滝が小さく見え、何やら大きな落石が小さく流れを阻んでいます。
不動滝の方に行きたいけど、バッジを手に入れるためには、ちょっと開発の手の回った方に行かなければならない。夫婦滝から来たので、ここで上道と呼ばれている方向に行きます。
川幅もだいぶ広くなりました。でも、深い谷ですね。もう少し余裕があれば、ゆっくり歩きたいですね。
ところどころ紅葉?と思ったけど、どうやらただ立ち枯れているだけらしい。
ハラが減ったので、適当なところでインスタント焼きそば(焼きそばじゃないけど)をば。
垂直な岩壁には、こうして青洞門みたいに彫られた場所があります。しかし、そんなに怖じ気づく必要もありません。
割引沢という沢です。水に直に触れられて、気持ちがいい。
しかし、水に濡れた岩の上は、踏んだら奈落の底かも。
みやて小屋と呼ばれる、無人小屋。ただの休憩所です。トイレはありますが、水道の水は飲めません。
ここまでが車で来られる場所でしょうね。垂直の岩を彫られたところで子連れの4人家族に出会いましたが、きっと、ここまで車で来たのでしょう。捕虫網まで持っていましたし。
実は、小屋で銀マットの場所を少しだけ譲った3人グループの人たちは、ふうたろうが下ってきた旧道を上り、もう一本の沢道の新道を下ってくる予定でした。さっきのみやて小屋付近で出会えたら車で駅まで送ってくれる、という話をしていました。
でも、どうやらまだ3人は来ていないようです。いつ来るかも判らないし、ふうたろうの足が急いだら、バス停に着く方が早いかもしれません。というわけで、ふうたろう、先を急がせてもらいました。
(゚Д゚;)
まさに、この階段を下りてきた頃にはそういう表情でした。
みやて小屋から五十沢(いかさわ)キャンプ場まで下りる道は、ものすごいクモの巣で、ドラクエみたいに歩いていても止まっていても、枝でも振り回していないと、クモの巣に絡めとられてしまいます。もっとも、枝くらいでは完全に払いきれず、かなり被弾しましたが。
結局、巻機山のバッジが見つからず、里に下りてきてしまいました。林道っぽい車道歩きが長い。
イネがもうすぐ収穫を迎えそうですね。
食料自給率99%の新潟県(2007年?)
地図にない道を歩いてみたら、民家(?)の庭に出てしまいました。速攻で走り抜けました。
バス停に着いたら、20分前に行ったばっかりで、次の便が1時間半後というおぞましい事態だったので、歩きました。そしたら、温泉に出会ったので、そこで時間つぶしです。もっとも、電車の時刻を考えたら2時間半潰す必要があったのですが。
温泉で汗を流し、むかし山屋だっただろう爺ちゃんと話をし、六日町駅に出てきました。無事下山完了です。
ところで、駅前のショッピングセンターにあったこのメシ屋、食道って、マジ?
ためしに、食道に入ってみました。メニュー表にはミニ丼がひとつ250円で、具もそこそこ載っているように見えたので、それを3種類注文。で、出てきたのが写真。
(・_・)
ウナギ、これはひどくないか?
しかも、食ったら、まずいじゃねーか。
刺身メニューにはメバルとかがあったのでなかなかシブいことやるじゃないかと思ったのですが、甘かった。
ところで、この店の暖簾、ふうたろうも玄関にかけてある「彩」の暖簾ですね。なんというか、う~ん…。
こうして、時間を潰している間に色々な買い物をしてかなりの無駄遣いをした後、鈍行列車で帰宅。2回も人身事故が起こって帰路を脅かされましたが、23時になる前になんとか帰宅できました。なんというか、帰りの電車の最後の方では、ブロッケンの妖怪の余韻も殆ど消えてたな。やはり、移動は場合によってはスムーズにした方が旅は続ける気になろうものか。
最後、ちょっと萎えたけど、いい山でした。そういえば、体調の方は思ったほど悪くなりませんでした。
#55巻機山クリア。
天気:くもり時々晴れ(新潟県南魚沼郡塩沢町・六日町・群馬県利根郡水上町、移動中は含まない)