皇海山の外堀(皇海山松木沢コース:栃木県)
眠い目をこすりながら、5時18分発西武池袋線に乗車。眠い目をこすりながら新秋津にて武蔵野線に乗り換え、眠い目をこすりながら新越谷で東武伊勢崎線に乗り換え、寒い身体を震わしながら太田駅で東武桐生線に乗り換え、切符がワケ解らなくなりながら相老駅でわたらせ渓谷鉄道に乗り換えました。
で、空、めっさ曇っているんですが。
わたらせ渓谷鉄道が、1時間20分ほどかけて、間藤(まとう)駅に到着。殆どの人はひとつ手前の足尾駅にて下車。
どんなに寂れた駅かと思ったら、意外とモダンな感じがするではありませんか。
とりあえず、駅に備え付けてあった登山届けの紙に、「松木沢~国境平(テント)~皇海山~銀山平~原向」と書いておきました。
先週の七ヶ岳もそうでしたが、今日のも負けないくらい車道歩きが長いのです。眠いので、初っぱなからの固い道が堪えます。
足尾精錬と書いてあります。その昔、足尾銅山があったところだからでしょうか。足尾銅山鉱毒事件という公害がありました。その歴史的事件の、遺跡なのでしょうか。
その廃墟の先に、銅親水公園があります。何を公園化したのでしょうか。
しかし、今日の目的はあくまでも皇海山(すかいさん)。この見学は次の機会、必ず行うとしましょう。
何!?
進入禁止だと?
しかし、歩行者は入れるようです。奥のゲートを跨いでいきます。
この辺りも砂防の工事をしているようですが、まあ、きれいな原野だこと。
松木沢に入ります。松木沢は、本当は松木川という川です。
この即席の橋を渡ると、違うところに連れて行かれ、GAME OVERです。
松木沢の側の砂利道を遡上します。この辺り、足尾銅山鉱毒事件の影響で禿げ山になっていて、至る所に植林が成されています。
しかし、その植林の成果は上がっているのでしょうか?
蛇行を繰り返しながら、少しずつ奥へ奥へと。しかしまだ、人の匂いがプンプンする、きれいな砂利道が続いています。
砂利道を含めた車道を詰めて、ほぼ最奥まで来ました。奥に立入禁止のはずの一般車がいて、悠長に鳥を見ながらタバコを吸っていますが、その風下で、豚骨風味チャルメラを食います。
車道最奥に再びひとつゲートがあり、そこは足尾町の「責任管轄外なので事故にあっても一切知りません」という看板が掛けられています。それを越えると、遂に皇海山松木沢コースの始まりです。
さて、沢登りも織り交ぜたルートと聞く松木沢コース。どんなものでしょうか。
しかし、このくらい、ガレ場だと思えば屁のカッパ。何食わぬ顔で突っ切りますよ。
崩落していない登山道も、落石がイッパイ。気休めだろうけど、メットくらい必要だったかな?
広い河原。どこを水が流れているんでしょうか。すぐ下に砂防ダムがあったから、既にダムは埋没しているということになりますね。
荒れ地にこの植物が多数生えていました。固そうで、痛そうで、毒の大地に強気に生きているという感じがする、植物。
背丈くらいのすすきに、登山道(ガードレールがあることから車も通っていたであろう)は切り傷のように塞がってきつつあります。
ジャンダルム。
標高1000m程度の沢なのに、殆ど木がないなんて、異様すぎる。
こんなでも、車道だったんですね。まるで、最初から廃墟だったような…。
崩落した瓦礫の上に夏緑樹林が形成されつつあります。
元は紅葉のきれいなはずの、松木沢渓谷…なんだよね?
木がないので、風雨で岩石は簡単に崩れ落ちます。この道が、道の面影を残すのは、あと何年なんだろう。
沢が涸れました。少なくとも、ふうたろうが見る限り、沢は見あたらなくなりました。流れていた跡には、種類も数も多い足跡が刻みつけられています。
涸れた沢を歩いていると、谷から何やら声が聞こえた気がしたので、近寄ってみました。が、誰もいませんでした。
しかし、そんな期待も不安も無用。すぐに沢が現れます。遂にふうたろう初の沢登り、開始です。
でも、ふうたろう、沢登りなんて、やったことないぞー。見様見真似でいってみよう(って、見たこともないッス)。
遠くに砂防があります。あそこまで、まず歩くのです。それにしても、この沢靴、指の位置がおかしいぞ。
沢歩きはこの程度の水かさならさほど難しくもないので、南港の人工の川で魚を漁っていた頃とあまり変わりません。
しかし、砂防を蜘蛛みたいに這い上がることはできないので横から回る(へつる(動詞)、というみたいです)しかありません。そしたら、ありえないところに矢印が。またヤブですか?
しかし、砂防の手前までちゃんと詰めて、そこを見ていれば、あんなおぞましいヤブと急坂なんか、ムダな体力と生傷を作ってまで通る必要はありませんでした。ロープがあるんですが、何か。
かなりあっさり越えられた砂防です。ここが三沢出合。スゴく時間を無駄にしました。
砂防を越えるために再び登山靴に履き替えていたのですが、またこの辺で沢靴に履き替えます。これ以上上流には砂防はありませんから。
ここ、確かネットで、他の人が登った情報にもあったと思います。そして、実際見てみると、すごく深い滝壺です。入る気なんてさらさらないけど、恐らく、首くらいまでは浸かるんじゃないでしょうか。
たとえ首まで水に浸かってもあの滝を越えることはできそうにないので、ここはさっきの砂防と同じく、へつります。さっきの滝の写真右手に、心の目で見える道があり、滝上まできたら確かに踏み痕まであります。
なお、ふうたろうは沢靴のまま(フェルト地)歩きましたが、スリップには要注意です。
普通の登山靴では到底渡渉しきれない沢が、ずっと続いています。深そうに見えますが、浅そうなところを探せば、向こうずね真ん中くらいまで水に浸かればじゅうぶんです。なお、沢全体を通して、渡渉が必要なところの一番深いところで、膝上くらい。
しかし、今は雪解けのシーズンからもっとも離れていて、かつ、ここ数日雨がたくさん降ったわけでもないので、沢の水は少なめではないかと思います。
石段の上に黄葉が降り積もっています。渓谷は徐々に色鮮やかになっていきます。
沢を出たり入ったりを繰り返しながら、鮮やかさを増していく紅葉を見ていきましょう。
ニゴリ沢の分岐があります。しかし、目立った印があるわけではないので、注意です。ニゴリ沢に入ると、紅葉はますますきれいになります。
ニゴリ沢の水量は松木沢に比べたら少なく、水深も深くありません。ここからは、歩きやすさを優先して、登山靴装備に戻ります。
滝があっても大丈夫。ちゃんと石のステップを踏んでいけば進めます。
しかし、一箇所、かなり厳しい滝があります。ここはふうたろう、左側をへつりましたが、相当な腕力と、クライミングもどきが必要なようです。
でも、暗くなりましたね。何せ、もう、16時過ぎています。このあと、モミジ尾根を登って、国境平まで行かなければならないのですが。
ところが、道が崩落していて取り付き点がまったく解りません。これは大ピンチ。
他に逃げる場所もないので、なんとか上れそうな場所を探して、よじ登るしかありませんでした。それにしても、もうそうとう暗くなってきました。
猛烈なザレの急坂をよじ登ったら、ようやく見えてきた道標。フラッシュを焚いたら不気味に輝いていますがな。
今日は結局、国境平までたどり着けませんでした。モミジ尾根の途中でビバーク。まあ、飯でも食って、ドラクエでもやって、アーバナイズしましょうや。
幾多の試練を乗り越えて、なんとか沢越えを果たしました。しかし、これから先のルートも、そう簡単ではなさそうです。天気は晴れの予報だったはずなのに陽が差すことは遂にありませんでした。明日はどうなるのでしょう。
夜中、ずっとフクロウとシカの鳴き声が聞こえていたので、ドラクエの音楽が鳴り終わったら、それを子守歌に、やっぱり一時間おきに目が覚めながら、眠りました。
天気:くもり(栃木県上都賀郡足尾町、移動中は含まない)