雪の稜線を駆け抜けて(笈ヶ岳三方岩岳縦走コース:岐阜県)
昨日の夜見えていた星空は、何度も曇ったり、ガスったりして見えなくなっていました。しかし、朝を迎えてみると、春霞の中に笈ヶ岳が浮かんでいました。
しかし、お約束通り、出発直後に腹痛が起こって、木陰で笈ヶ岳を眺めながらExposeしました。
しかし、この最後のピークの下りもなかなかの急坂で、下りるのに一苦労です。
あまり不安定な雪を踏んだら落ちるので、どうしてもヤヴこぎゾーンに入ってしまいます。
程なくして、ふうたろう、笈ヶ岳山頂に到着です。あのテントを張っていたピークから38分程度です。
どうやら、登頂した人みんなの書き置きを詰めたボックスのようですね。蓋が開いていてみんなずぶぬれになっていたけども。
山頂でしばらくマッタリします。せっかくの笈ヶ岳ですもんね。でも、水蒸気にしてはこの霞み方は尋常じゃない。
笈ヶ岳の南側の稜線は、北側に比べると本当に穏やかです。なるほど、確かに積雪期しか登れないとはいえ、こちらが登山道に選ばれる訳だ…。
右手にはシリタカ山と冬瓜(かもうり)山が見えます。殆どの笈ヶ岳クライマーが通るところです。もちろん、ふうたろうは通りません。
気持の良い稜線漫歩。これからまだ続くであろう苦難の道をしばし忘れようぞ。
さて、ここから難関の連続です。この飛加越国境の縦走の目玉かも知れません。
あの岩場をそのまま越えることはできないので、左側の雪の上を何とか越えるしかないでしょう。しかし、これは所詮オードブル。
メインディッシュはこれから。この向こうに、切り立った崖っぽい痩せ尾根と不安定な雪の斜面があります。
ところが、雪が本当に切れ落ちていて、しかも、踏んだ瞬間変な音と感触が身体に響き渡り、身の危険を感じました。そっと裸地の尾根に戻って、やっぱり不安定な岩場とヤブの道を下ります。
しかし、まだ急坂の雪斜面が続きます。遠くから見ると、まるで絶壁のように見えていたこの部分ですから…。
…と、その時!!
ヌオッ(゚皿゚;)
後ろで大規模な全層雪崩が発生!!!!
木の隙間からだけど、現在進行形で崩壊しています。なお、ふうたろうがあの辺りを通過したたった8分後のことです。これは鬼気迫るものがありますな…。
あの、茶色くくすんだところが雪崩れたところです。3枚前の写真と見比べてみるといいでしょう。
気温が上がっている今、不用意に怪しい雪斜面を踏まないことです。あの辺り、雪のヒビの入り方が新しかったので、確かに崩壊する兆候はあったのです。
さすがに雪崩にはドン引きなので、土の道をできるだけ歩こうという志向が働きます。
左の雪庇すれすれのところに足跡が付いているけど、あんなところ歩ける兵(つわもの)では、ふうたろうはありません。
しかし、あの最低鞍部を越えて、仙人窟山に達すれば、ひとまず難所は過ぎたことになります。
さっきの恐ろしい場所に比べて、この仙人窟山一帯の長閑なこと!
しかし、雪の多さで枝が根こそぎ折られている無惨な木。思えば倒木がそこかしこにあった。
マッタリと景色を眺めつつも、食料などが少なくなってきているので、三方岩岳・白川郷に向かってどんどん進みますよ。
ん?(*・ε・*)
人影が…?!
いえ、間違いなく人です。4日ぶりに会話を交わします。
でも、あの人、ふうたろうがドン引きしたあの雪崩ゾーンを歩いていくんだろうなあと。一応雪崩の注意だけは促しておきましたが、くれぐれも気をつけて…。
さっき通りすがった人は、ここに見えているどこかが難所だと思っていたと、言っていました。ふうたろうが味わったあの最低鞍部が本当の難所なのか、それとも、まだこれから歩く国見山までの尾根が厳しいのか…。
しかし、その困難をすぐに味わうことになりました。何とこの雪の隙間に、スノーブリッジではないんだけど、踏み抜いて落っこちました。
(`皿´#)
…いってーな!!
国見山の登りは猛烈な急坂。ちょっと気を抜いたら後ろにそのまま転がっていきそうな勢いです。
そして、後ろを振り向くと大展望。さすが猛烈な急坂だけありますな…。
ようやく国見山の上まで来ました。ここまで来ればもう難所はないでしょう。
左右が切り立っている場所もあるけど、さっきみたいに雪庇が崩壊しそうなところはそんなにないはず。
真正面に見えるのが、次の300名山の三方岩岳です。これは瓢箪山から撮ったもの、でしょうかね。
さて、次はもうダイレクトに三方岩隧道の峠に下りていきましょう。その尾根を通らないと、三方岩岳まで縦走できませんからね。
中央右手に展望台がありますが…
ふうたろうには必要ないものですね。だって、それを使わなくても、展望のあるところにいくらでも行けるのですから。
さ、三方岩岳への上りがもう少しで始まります。最後の急坂になるでしょう。
そして、坂はやっぱり猛烈にきついと。しかも、倒木とか萎えます。
この雪がなかったら、割れ目の隙間から見える大量の低木に絡め取られてひどい目に遭うのですね。残雪に強く感謝です。
…というのは嘘です。あのはす向かいにある雪に覆われたごっつい飛騨岩の方が山頂です。ふうたろうが今立っているのは加賀岩。
とりあえず、下山路の分岐にザックを放り投げて、飛騨岩を踏みに行きましょう。
ただ、その問題の下山路、イヤーなトラバースっぽくて、それが気がかりですな…。
飛騨岩、加賀岩と違って立ち入り禁止のロープとかはなく、簡単に落ちることができます。慎重に。
展望は加賀岩よりも良いようです。でも、さっきのトラバースが気がかりで、とてもここでマッタリする気分にはなれませんでした。
飛騨岩の切り立った岩場。三方岩岳は、その名の通り、三方に岩が立ちふさがっているという感じです。
これが問題の雪トラバース。よりによって、この斜面の上側には亀裂が入っているのですよ。見たくない見たくない見たくない…
そして、この最後の思わぬ難関を乗り越え、三方岩岳の下山路へ。
疲れてきましたね。それに、このまま白川郷に下山しても、行く宛てもないし…。
というワケで、三方岩岳の一つ下のピークにテントを張ってしまいましょうか。水はほとんどないけど、料理用の水なら確保できますから。
実は、この尋常ではない霞が黄砂に依るものであることを知ったのは、このテン場(?)に来て携帯で気象情報を見たときです。誰もがきっと思うだろうけど、この黄砂は展望を悪くするので、とても迷惑です。
あとは明日の下山を待つだけ。14時にテントを張ったけど、マッタリした時間を過ごしますぞ。
時間がゆっくりなのか早いのか、過ぎ去っていき、そして夕方に…
山は朝と夕方が一番いい。特に、これから、という朝日を見ると、元気が湧きますが、夕方の景色もまたいい。
ここまで来ればこの大縦走はクリア目前。問題は明日以降の猿ヶ馬場山や人形山です。回復の間もなく連戦になるので、気を抜くなかれ。
天気はしばらく崩れることはないようです。がんばろう。
天気:晴れ(富山県西砺波郡福光町・石川県石川郡吉野谷村・岐阜県大野郡白川村)
命がけ!すごいなー。
ふうたろうさんの難所って一般人は行かないところだろうな~。
あれは本気の難所でした。通過して8分後の雪崩はさすがにドン引きです。あの道は、あまり行かない方がいいです。
このコース、ネットでもいくらかは見かけますね。三百名山ハンターあこがれのコースではありますが、やはりこの区間は怖そうですね。
それにしても、雪山は状態が常に変わるので、できるだけ多くの山行報告を見ると、参考になります。
このコースでしたか!?
雪崩た所というのは(>_<)
命があってよかったよかった!
こんな所でやられたら、いつ発見されるかわかったものじゃないですね(T_T)
‘ティースプーンカットの雪’や‘雪原にたたずむ一本の木’というような写真、好きですね(^^♪
>NYAAさん
そう、いくらかみかけますよね。ふうたろうも、それを見て考えたことがあります。ただ、写真がそれほどあるわけではないので、写真をたくさん撮っておこうと考えていました。ふうたろうの山日記がこれほどウルサいほど写真が多いのは、景色が良かったからだけでなく、道の様子なども判るかもしれないからです。
>☆Pegasus☆さん
そうです、ここです、雪崩れたのは。
あれは本当にびっくりしました。飲み込まれていたら、あの下に転がっていたんだなあと思いました(滅
写真、この10日間で1000枚以上撮ったので、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる、ってやつかもしれませんね(笑