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空の海鳥たち(津軽袴腰岳【安兵衛川林道コース】:青森県)

2014年 7月 6日

 ここ数ヶ月でもっともぐっすり眠った今宵。時々目が覚めては外を見る度にひどくなるガスを見て、ダメかと思い続けた…
 その結果が、目覚ましも消して二度寝したというわけで。


 でも、あそこに丸屋形山のシルエットが見える…?


 テントを撤収し、荷物を担いで袴腰岳を目指しましょう。


 森の中は相変わらず幻想的です。そして…


 ウボァー(゚Д゚)
 笹がすごい。
 いや、それだけならいいけど、霧を浴びた森林は露だくゾーン。


 それでも霧の中に日が差そうとしている光景は素晴らしい。


 森がにじんで見えています。


 森に旭日章が(←こら


 深い広葉樹林帯の、そのガスがほぼ晴れました。


 ムスカ大佐が飛行石めがけて進んでいくように、展望を求めて歩いていたら、隙間からその展望が。


 ムスカ大佐は虫の攻撃に遭っています。
 目がぁ~目がぁ~~(違


 津軽半島も陸奥湾も、押し寄せる雲の海に沈んでいます。


 津軽袴腰岳は標高700mちょっとの低い山ですが、雲海は標高500m程度までの高さで止まっています。


 飛行機の上から見る雲海より、何百倍、何千倍もきれいです。いや、比較できませんね。


 ヨツバヒヨドリ(キク科)のつぼみです。ここは標高700mにありながら亜高山帯に近い気候のところ、らしい。


 ヨツバヒヨドリは、南アルプスなら鳥倉登山道から入ってしばらく進んだところでいっぱい咲いているのを見た覚えがあります。あそこなら標高2000m前後。


 空いっぱいにたたえる大海原の向こうには下北半島の山々があります。あちらにも行きたい。絶対。


 東側の展望を楽しんでいる間に山頂。
 …といいたいところですが、この辺りはかなりヤブ化が進んでいて、ヤブで足下が見えません。よそ見しながら歩いていると滑落します。東側は、こう見えてかなり切れ落ちていました。


 袴腰岳は南峰と北峰があります。北峰の方が若干展望が良いと思います。


 ツバメたちが飛び回っています。さながら、空の海鳥です。


 ところで…
 ヌオッ(゚皿゚;)
 ハラが痛い…(滅滅滅


 草陰というかヤブに隠れてっていたら、バルスという呪文がどこからともなく聞こえてきて(何)、ムスカ大佐は虫に襲われました。そしてお尻や玉之浦など、ピーなところを色々やられてきました(真顔


 はい、爽やかな空の風景で語ることではありませんでしたすみません(棒読み


 さて、小一時間楽しんだので、そろそろ行こう、この先に。


 おや?袴腰岳よりさらに先に進んで大川平駅まで歩こうと思ったのですが、道の痕跡ゼロです。この辺りの地形図の道は、とにかくアテにならないことがよく判りました。
 まあ、こんなマニアックで誰も登らないところの地図を、わざわざ国家予算取って再調査までして作り直すなんて、しませんよね…。
 でもいいの(ぇ
 ふうたろうは人知れず冒険を楽しむんだもん(黒ハート


 とりあえず、袴腰岳北峰に戻ってきました。
 が?雲海が津波のように稜線まで押し寄せてきています。


 刻々と変化する空。昨日は雲の下。たまに晴れ間はあったけどほとんどくもりで、夜中はガスの中。森の中では幻想的に霞み、突然晴れたと思ったら、遙かなる大海原。そしてまた雲の津波。
 …こんな贅沢な風景、いったいどれくらいあるでしょうか。


 雲の津波が押し寄せてきたので、森は当然少し暗くなります。でも、十二分に楽しませてくれましたね、この雲は。


 この札のあるところから西側に分岐がありますが、途中から道が消滅していました。恐らく、昨日峠まで上がったところの登山口に、かつては出ていたのでしょうけど、今はもはや山の生き物たちに支配されてしまっているのですね。


 ま、それはともかく、これを食べます。
 これは、あの蟹田駅前の店で買ったロールケーキ。青森県産の小麦を使っている、なかなかイカス行動食で、かなり美味い。また買いたい。


 おや?雲の津波が押し寄せたんじゃなかったのか?また明るくなってきて…?


 しかし、なんて素晴らしい森でしょうか。


 これは心が満たされます。


 ここは、生き物が全力で生きている場所。輪廻転生を繰り返している場所。ふうたろうも全力で生ける場所。


 写真撮るのも楽しいです。300名山が終われば、こういう山行はもっとできるのです。まあ、会津朝日岳の障壁がある限りキツいんですけどね(じと目歯ぎしりヴォー読み


 キノコに侵された枯れ木。この森は楽しいですね。


 朽ちる木あれば芽生える木あり。


 ただし、この辺はウボァー(゚Д゚)です。虫にかまれまくりながら進むことを覚悟せねばなりません。


 登山口近くまで下りてきました。悩んでいましたが、結局来た道を戻って、林道を伝って今別町側に下りることに決めたのです。
 さっき稜線まで迫っていた雲の津波はここでは押し寄せていません。


 登山口。古びた看板も草陰に隠れ、いつか朽ち果てていくのでしょう。


 林道を奥へ。昨日歩いたあの峠までは少なくとも行けます。それ以降は行ってから考えましょう。


 ここに広いスペースがあります。峠よりはまだまだ手前です。


 シロバナニガナ(キク科)です。


 この辺のはハナニガナ(キク科)でしょうか。


 昨日、同じ場所から同じ方向の写真を撮っていますが、まさか袴腰岳が見えていたとは。


 オニシモツケ(バラ科)でしょうか。沢沿いに生えている、との情報なので、もっと違う植物種かな…


 さて、峠まで来ました。ここから今別町まで抜けます。


 …と思ったらいきなりウボァー(゚Д゚)です。


 草木の新芽が美しいですな。まだまだ、若葉、楽しめます、東北。


 かつては車の通り道だったことを思わせるカーブミラー。ここが復活する日はもう来ないでしょう。


 昨日からこの林道沿いにたくさん咲いていましたが、昨日はくもりで光量が足りていなかったのでパスしていました。


 イタチハギ(マメ科)という木のようです。驚くことに、大正時代に山林の砂防や護岸用に持ち込まれ、そのまま野生化したとのこと。帰化植物ではないですか!
 人間の都合で持ち込まれ、捨てられた植物。しかし、こんなものを植えたところで、林道の崩壊は避けられない。ヤブ化してもなお、崩壊は進んでいます。


 このゴミ、製造年月日を見ると今年の5月29日。しっかり人が入ってきていて、あの十和田白地山と同じことになっています。ゴミに関する知識が足りないのか、ただ単に自然に対する畏怖の念が足りないのか。どちらにしても、世代交代し、未来を生きる子どもにこの大人どもの尻ぬぐいをさせねばならないことは、非常に無念です。
 袋に着いていた少量の有機物は、森の生き物であるゴキブリの子供がしがみついて食べていたようです。ゴキブリの方がよほど自然を大事にしているような気がしたのはふうたろうだけでしょうか。


 ここから袴腰岳がよく見えます。あの稜線まで迫っていた雲海は本当に雲のように消え去りました。


 林道には下界でもよく見かける草本類がたくさん生えています。例えばこのシロツメクサ(マメ科)もそうですし、オオバコやイネ科などの雑草類も多数。


 ん?(・ε・;)
 待避所?
 …この標識たちは、本当に遺跡になってしまっています。林業が栄えていた頃、安い木材の輸入に頼り切っていなかった頃の、遺産です。
 でもその安さは、必ずあとで高い代償となって帰ってくると思います。これもまた、未来の子どもたちに尻ぬぐいさせることになるのかと思います。


 マーガレットみたいなこのキク科の花は、イワギクでしょうか。よく判りませんが…


 林道の真ん中に沿って付いた洗くつ痕。これからも雨が降る度にこの洗くつはひどくなり、そのうち林道そのものが崩壊することでしょう。


 この先も続いています。


 一つ一つの現象を見ていると、政治の責任というものが如何に大きいかを考えます。ゴミを捨てるという行為は個人的なマナーレベルかもしれませんが、白地山の時も述べたように、ふうたろうが拾えばすむようなレベルのゴミ投棄(不法投棄)と、山丸ごと、場合によっては人の生活を変えてしまう環境や産業の破壊での政治・財界の責任とでは天と地ほどの差があると思います。


 道が安定してきました。まだまだヤブっぽいですが。


 舗装路まで出てきましたが、また直ぐになくなります。


 花、多いですね。


 何かの変化があればその変化に適応した生物が生まれてくる。生物という大きな枠で見れば、そう簡単に生物は絶滅したりはしない。ただ、種によっては簡単に失われるものもいる、…それだけの話なのでしょう。


 ふうたろうは、こういう場所を、不自由なく歩けていることを幸せだと思います。空気のように思えることを幸せだと思います。


 ヌオッ(゚皿゚;)
 でも、その道すべてが安寧だとは限りません。


 恒久的に水がたまっているのか、オタマジャクシが孵っています。


 どこまでも続く林道。


 同じような景色で飽きてきます。それでも、東京の、ビルの牢獄に閉じ込められていることを思えば、全然…


 ここには作り物でない生物たちがいますから。


 取手市や所沢市にいた頃は、近くに田んぼや畑、あるいは草むらや小さな森もあった。あの頃が懐かしい。


 橋が出てきました。橋は重要な位置確認ポイント。


 それにしてもこの渓谷、小さいけど、紅葉したら絶対きれいです。ここに住んでいる人たちは、それをきっと当たり前のように見て過ごしているんですよね。それって、人生の勝ち組だと、ふうたろうは思うのです。


 ん?(・ε・*)
 フキがなぎ倒されて、というか、切り倒されているところ多数…


 …と思ったら、地元のおっちゃんたちがフキを採りに来ていました。そのおっちゃんのひとりが、これまたとてもクセのあらせられるお方で、色々話し込みました。その場には息子さんもいらっしゃったので、息子さん、相当イヤそうにしていました(黒笑
 いやいや、ふうたろうはおもしろかったですよ(黒ハート
 なお、ふうたろうが海岸から袴腰岳に向かって歩いてきて、ここまで更に歩いてきたことには、(´゚Д゚`)ハァ?って顔をしていますが、これは白地山でもみんな同じ症状でしたね。


 フキの下に潜ってカメラを構えます。小人になって撮ってみたいですな。


 さあ、終点はどこだ。
 ところで、真新しいゴミが林道に散らかっています。昨日製造年月日で今日賞味期限のゴミが。さっきのおっちゃんたちとは思いたくない。


 うがー(゚Д゚#)
 とにかく、木の名前は判らないもの多すぎ。
 今持っている図鑑では、科より検索しなければ答えにたどり着けないので、もっと初心者向けのものが必要ですな。


 これはトチノキ(トチノキ科)ですかね。葉っぱも木も大きい。


 切り出されたような木材が数本ありますが、果たして、日本の林業はどうなるのやら。あの林道の荒廃具合を見れば、とても手入れするレベルじゃない…


 おや、林道があそこで終わるようです。まあ、地図見ているので判るんですけどね。


 ん?(・ε・;)
 なんだあの灰色の物体は。


 ヌオッ(゚皿゚;)
 新幹線の線路ですな。まるで、ふうたろうは刑務所の壁の中に閉じ込められたような気分ですよ。いや、それはコンクリート詰めか。壁の内側、というべきか(じと目


 で、津軽今別駅の入口はこの刑務所の壁の向こうだろ!


 (=皿=)
 やっと渡れたぜ…こんちくしょー


 で、道の駅って地図に書いてあるから、何か買えるカナーって思ってんだけど。


 ヌオッ(゚皿゚;)
 新幹線駅建設のせいで、閉まっているという罠。


 そして、イヤな予感がしてはいたのですがまさかと思いながらやっぱり駅の入口に向かって歩いていたら、青森行きの特急が停車しました。
 おい、これ逃したら俺どうなるか判らんぞ!
 …というわけで、ハイパー駆け込み乗車しました。


 とりあえず、蟹田駅で降ります。切符買わなアカンし。メシとか靴の履き替えとかやりたいし。土産とかも…


 そうそう、蟹田駅前には心強い道の駅があるんですよ…
 ん?(・ε・;)


 ヌオッ(゚皿゚;)
 何だよ、原発関連のひも付き施設だったのか。
 ふうたろうのテンションと購買意欲がゼロになりました。いてつくはどうをくらった気分です(滅滅滅
 何かのマイクロバスで立ち寄ったおっちゃんたちも、「ここ原発関連みたいだね」と、喋っていました。


 行くアテを探していたら、看板が薄いというか、見つからない店がありました。幟にはやきそばって書いてますね。
 なお、ふうたろうは肉食べ(たく)ないので焼き鳥は見えていません(黒笑


 やきそばの肉ナシを注文しました。先客の兄ちゃんたちがいたのでそれが終わってからです。ふうたろうはちょっと外に出てお散歩。


 ふうたろうの実家にいた黒猫のタンゴも、こんな色してたな。もう、3匹いたあいつら、みんな死んじゃったよ。実家帰っても、寂しくなった。あいつらのおしっこのにおいもしないんだよ…。


 280円の肉なしやきそば(小)。まさか、青森県の津軽半島まで来て焼きそば食って帰ることになるとは思わなんだ。
 なお、さっきの先客の兄ちゃんたちの話によると、ここでやきそば(大)400円ものを頼むと、けっこうな量になるそうです。さらに、定食とかのご飯の盛り方は、まんが日本昔話だそうです(゚Д゚;)


 蟹田から鈍行で青森駅。この辺りも稲作地帯です。


 何かここ最近よく見かける場所だけどここどこだっけ(ヴォー読み


 何かここ先週月曜日に見たような気がする場所だけどどこだっけ(激しいヴォー読み


 新青森駅ではガッツリ晴れていたはずですが、仙台に着く前辺りから薄雲が出てきて、関東平野に入った頃には高層雲、宇都宮過ぎた辺りからはガチで下層雲がモヤモヤと。


 これは雨にぶちのめされるかな…


 と、赤羽駅からバスに乗って帰ろうとしたら、「秘密保護法廃案」を訴える集団に出会いました。しかも、よりによってその中に職場関係の人がいて(以下略の遠い目
 帰ってきたらマックラでした。ま、いいけどね。


 小さい山だと思ってたら、けっこう険しい山でしたね。具合もそんなに悪くならず、今回の旅は比較的安寧だったと思います。でも、また、虫にはかなりかまれてしまいました。特に玉之浦は反則であるぞ!(怒
 登られなくなっていく運命にありそうな山でしたが、ふうたろうはここ、いいと思います。特に、雲海の上を舞う空の海鳥は壮観だったなあ…


天気:快晴、仙台より南ではくもり(青森県東津軽郡平舘村・今別町・蟹田町・青森市、東北新幹線など)

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