独りよがりで素晴らしい演劇は出来ない
※記録:2月13日
今朝、普通に出勤でしたが、午後から、N民連青年部総会があったので、Sくんと一緒に、会場兼宿屋へGo!
会場の後部には、見覚えのある各地の特産品が。津軽のリンゴジュースは、毎度お世話になっております。安いのです。あ、安いだけで買うのはナンセンスですかね。仲間が作ったという意識があるのですね。これ大事。
牛乳は最近飲まなくなったけど、一時、差し入れでお世話になったことあります。夜、Sさんが作ってきてくれたチョコケーキを食べたHさんが、「チョコケーキにビールは合わねぇ。牛乳!」と言っていた頃には、もうほとんどなくなっているのでした。
これはポンカン。和歌山の紀ノ川農協から仲間の人が持ち寄ったものです。大粒ですが、美味いですね。隣にあった青島ミカンよりも素早く減っていきます。香りが高く、甘味も強いポンカンです。種が入っていますが、それくらい吐き出して食べるように。
僕らは、ただ美味いものを食べに来たのではないのです。それなりにお金がかかり、色々な人の協力で成り立っている総会。このタイの舞踊を披露してくれている女性も、その立派な協力者です。結婚していない男性は前へどうぞと言われましたが、そのような冗談もありながら、文化交流。
でも、文化交流だけをしに来たわけでもないのです。
僕は農業に関しては、全くの素人ですが、その農家が置かれている状態を聞かされれば、怒りの一つや二つは湧きます。最初に挙げた牛乳の価格は、いくらだと聞かされたか。
なんと、ペットボトル一本で35円であり、エサの価格が上がったので40円に上げてほしいと交渉しているというのです。さらっと流されたので質問することもありませんでしたが、その乳価の低さを国で補填すること出来ないのですか。安く安全な国産の食料を買うには、それなりの対価は必要なのですよ?
牛乳500ml、今、100円くらいで買えるでしょう。原価のばらつきを考えれば、35円より低い酪農家だっているはずです。農業経営者は、今、まさに死と隣り合わせなんですよ?
また、飼料会社にものも言えないというではないですか。肉骨粉が混ぜられた飼料を拒否しようにも出来なかったという意見を、討論で聞きました。
その他、食糧主権を守るために、タイで交流してきたわが仲間たちの話も聞きました。食糧主権というのは、平たく言うと、「自分たちの意思で、自由に食料を生産・消費する権利」なのですが、その自由を奪っている「何か」を暴き、自由に自分の意思で「どうやって」食料を生産・消費するのか、が最も大事です。
さて、僕が、チョコクッキーを食べたいと思っても、チョコレートは誰がどうやって作ったもの?クッキー生地の小麦はどうやって栽培されたもの?作った人たちの「本当の意思から生まれる自由」で作られたものですか?自発的に生産しているように見えて、実は経済的強制力が働いていることも考えて、本当に自由に作られたものなのでしょうか?
消費者である僕の方も、出来れば、さぬきの夢2000で作ったクッキーのように、国産で一定の信頼を置いている(これに理屈はない)ものを食べたいと思ったところで、そんなものは、売っていません(実在はする)。消費者でさえも、実は、その「自由に消費する権利」がないのです。さあ、何が自由を奪っているのか、頭を使っていこう。
…と、そんな固い話は、これから出てくる激辛タイ料理の前にひとまず影を潜めます。トムヤムクンは見るからに浮いている油が真っ赤で、全部が唐辛子から出てきたカプサンチン(辛味成分のカプサイシンは別の物質です)などのカロテノイドではないかと思うくらい、赤い。固い話は影が薄くなったけど、…赤い。
そんな冗談はさておき、もう一つのグリーンカレー。フクロタケとタケノコ、鶏肉などが入っている、ココナッツ味のカレー。これも激辛です。緑の唐辛子でも使ったのでしょうか。
うん。辛い。でも美味い。Iシェフ。美味いっすよ。調理師免許とって、店開いてくださいよ!
23時頃、旅館の風呂を使わず、わざわざ外の銭湯に出掛けました。写真は2年前に撮ったものですが、基本構造は同じ。信州大学の時から顔なじみだったTさんと、Tさんの仲間でもあるSさんの3人で行きました。北西の季節風が強いので、探している時間がとにかく寒い。
そして、ドラマはここから。本日の8割はこの銭湯後2時間の間に起こりました。
湯船に入るやいなや、鹿児島県出身のおっちゃんと、タバコの話。熱い湯を水で埋めることから、公共の場を利用するということを話し始めたのです。おっちゃんは喫煙に対する持論がありました。友達が喫茶店でタバコを吸えなくて(待ち合わせで喫煙所に行けなかった)店長とケンカをしたこと。鹿児島県の貧乏な土地でタバコは生計を立てる作物の一つだったこと。そして、おっちゃん自身が大連(中国ですか?)で日本のロシア侵攻のためにひどい目にあったこと。…「右へならえ」で禁煙ブームが起こっていることに、おっちゃんは「(適応するのは)無理なんだ」といいました。当時の日本と今の日本を重ね合わせているかのようです。なお、おっちゃんのお父さんがのんだくれで、お酒は逆に身体が受け付けないそうで、これに理屈は要らないでしょう。
こんなことをざっと40分くらい話していたのです。
Tさんは別の光景を見ました。扉に、「他のお客さんが寒いので扉はぴちっと締めてください」と書いてあります。それをちゃんと出来なかったTさんを、常連っぽいおっちゃん(別人)が注意したのです。Tさんは言いました。「こうして注意されて、なんか凄く嬉しかったよ。」
最後に僕が見た光景。出際に入ってきたまた常連っぽいおっちゃん。番頭さんに何も言わず、1000円札を握りしめながら、おもむろに中に入ってきて、400円するボディソープ代と銭湯代430円を払うのです。ボディソープなんて、その辺のドラッグストアに行けば、もっと安く買えるのに。あの迷いのない手の動きは、今日のN民連総会の話にも繋がる。理屈を理解して買っているとは思わないけど、道理を理解しているのだろうかと思ってしまいました。
…とにかく、凄い。この1時間で、稲妻3発はたまらない。
長くなってきたのですが、俺の日記。自由に書こう。
夜は、学生自治会をやっていた頃以来の語らい。TさんSさんと、あの大騒ぎの飲み会では語り合えなかったことを凝縮して話していました。この総会に対する感想、人間関係のこと…。
その最後、Tさんは言いました。
「俺が卒論を書いた時、教授に『風呂敷を広げすぎだ!』と言われたんだ。たった1年で書けることなんて本当に少ない。もっと対象を絞るように、と。」
これって、僕のことじゃないかと思いました。興味関心は色々あっていい。でも、すべてを深く追及するなんて、無限の時間と体力を持ってなけりゃ、無理ですから!
僕はね、前も書いたけど、「人の力を借りる力」が弱いのです。信じるべき人を信じない者は救われない。僕は、誰も信じられなくて、頼れなくて、何も出来ていない。そこにあるのは、独善と偏見だけかもしれない。TさんとSさんは劇団に所属していて、その聞きかじりだけでも、とてもじゃないけど、僕みたいな思考では苦労が絶えないでしょう。素晴らしい劇は独善では為せないのです。小道具が照明を信頼できなければダメなのです。
稲妻4発目は直接自分に落ちました。そして、今は大騒ぎの場所になっている総会の交流会も同じだと思いました。酒を入れた大騒ぎでの成功例を持っている人の独断じゃないのか、と。少なくとも、僕は、酒がなくても語れるし、酒はそもそも飲めない。熱く真面目に語りたいと思う時もある。そう思う人はもっと他にもいるんじゃないかな?これから総会に呼び込まんとする人の中には、そういう人だって来るとは思いませんか?僕の大学時代は、少なくともそういう人はけっこういましたよ?
…結局、独善は誰かを犠牲にするのですね。こんなの、劇じゃない。ある人は参加できるけど、ある人は参加できないものじゃないか。これより前にやっていた、「固い雰囲気の総会」の「固い」首がすげ替わっただけじゃないか。
人のこととやかく言ってもしょうがないので、僕はまず、自分を変えたい。…と気張ってもしょうがないんですがとりあえず、頭のどこかにとどめておこうと思います。
とても長い1日でした。2月12日は48時間ありましたか?
天気:雨(東京都文京区・板橋区)