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山とふうたろうの夏(毛勝山毛勝谷コース:富山県)

2011年 6月 5日

 なんと!夜中はひどい雨でした。こんな叩きつけるような雨はしばらく味わっていない、というレベルの。宵のうち、少し晴れていたから希望、持たなくはなかったけど、現実はこの状態。
 結局、5時半に一度目が覚めるも、2回ほどふて寝して7時半頃に起き出すことになりました。


 朝飯、何食べたっけな、出発の用意をしてザックに荷物をしまう前に、この残雪を空の水筒に詰めていくというミッションがあります。福島の山は汚染がヒドかったけど、毛勝山…富山の山はどうなんだろう。


 出発しようというとき、何と、もう登ってきた二人組が!


 二人は上に来れば晴れていることを期待したらしいけど、ダメでしたな…。


 二人は、猫又山まで行くと言っています。ふうたろう、天気が良ければ、と思っていたけど、ついて行ってしまうことに決定。もちろん、責任まで預けることはありませんが。


 ガスの方は、晴れそうな晴れなそうな、一進一退を繰り返しつつ、薄くなっているようにも感じます。


 途中、クレバスのすごいところがあって、諦めかけたけど、ふうたろうたち3人は何とか釜谷山(かまたんやま)に到着。一瞬、眼下の谷と山々が見えた気がしますが、絶叫している間に消えてしまいました。


 ボロボロの釜谷山の看板。ここまで来る人はそんなにいないんだろうなあ。


 釜谷山まで来れば、その更に南にある猫又山まで行って、僧ヶ岳縦走で全滅したところに、一矢報いてやりましょう。


 さっきよりガスが薄くなって、展望が利き始めました。


 先頭を行くふうたろう、二人は既にあの毛勝谷を3時間以上歩いてきてからなので、息を切らしながらです。もう少し、がんばって…って言える立場じゃないよね、ふうたろう。


 雪の谷、そして、崩れた雪の斜面。


 雪の上を歩いている雰囲気を撮ってくれと言っていたFさん。元気だなあ(笑


 崩れた雪庇。


 猫又山の上りです。


 一瞬、釜谷山が見えましたが、すぐにガスりました。


 この岩は、ふうたろうがアホみたいに登ってまごまごしていたところです。


 終わりだと思ったピークから、猫又山のピークが見えています。この、あと少し、が遠いんですよね…


 そして、猫又山到着。毛勝山・釜谷山・猫又山を併せて毛勝三山と言うそうです。


 猫又山から南にうっすら見えている山は…?


 どうやら劔岳のようです。あの、ガスまみれでヒドい目にあった、はしご谷乗越くらいしか見所がなかった、劔!(滅


 北にはもちろん釜谷山。


 東芦見尾根です。あれも縦走できるそうです。


 猫又山には出っ張った岩がひとつあるので、その上に座って、猫又谷を撮ってみました。絶景ですねー。


 雲は多めだけど、景色が見えています。昨日の昼の呪いのような状況から考えたら、恵まれすぎ、ですな…


 土の上からだとヤブが邪魔して見づらいけど、雪の盛り上がったところからだと、遮るもの無く、周囲が見渡せます。これは、雪山の特権ですなあ。あの西吾妻山は、同じ理由で360度の大展望でしたなあ…


 FさんとMさんが腹ごしらえを終えて、なにやら携帯でメールだの何だのを送っているようでしたが、ふうたろうは一人写真を撮りまくっていました。どうせふうたろうの携帯は通じないからね…


 猫又山を後にします。さ、これから毛勝谷終点部に置いたザックのところまで行かないと。


 この上り返しは地獄ですよなあ…。ふうたろうはピンピンしてるけどさ。


 毛勝山は、猫又山や釜谷山が見えているときでも、ずっとガスが多めでした。そして、今もずっとガスがかかっています。


 この崩壊した雪庇を歩くのです。いや、感覚麻痺してないと、歩けないよね、きっと。


 雪庇の上をMさんが行く。


 この谷をスキーで滑っていく戦士がいるらしい。くわばらくわばら。


 そして、毛勝山南峰の、キッツーい上り返し。後ろの二人はどうなってるかな?


 やっぱり、疲れています。そりゃそうだよね。


 毛勝谷の出合のところに戻ってきました。これから、毛勝谷を下っていきます。どんなところか知らんけどさ。


 下方がどうもガスっているようですが、どうなんだろう。


 坂は、やっぱり西北尾根から見ていたとおり、かなりキツい。


 みんな、普通にサクサク下っているようですが、ふうたろう、重心崩して転んだら真っ逆さまになるような荷物を担いでいるので、おいそれと足を前に出せません。


 上り坂ではそれなりの早さで歩けるふうたろうも、この下りには死を感じます。周りにいる大勢の登山客たちがどんどん遠のいていきます。


 しかし、そういう慎重なふうたろうを余所に、このおぞましい傾斜の雪斜面で山スキーをやっている勇者たちがいます。…が、その中の一人の女性がバランスを崩して、転がって、いや、降ってきますがな!!これはまずいぞ!!!
 ふうたろうがいた2mほど上で、何とか停止したようです。ふうたろうも覚悟を決めて止めようという体勢でいましたが、当たっていたら実際どうなっていたか解りません。


 この谷、平気で雪崩の痕、落石の痕があります。さりげなく直径50cmくらいの岩が雪渓のど真ん中に転がっているんですけど。


 下に行くにつれて坂がだんだん緩くなります。そうなってくると、ふうたろうも徐々に安心してくるので、どーんと突き放されたFさんとMさんを追いかけます。


 雪が消えたあたりでは、何とコゴミが生えていました。Fさんが教えてくれて、ふうたろう驚喜!しかし、「そんな細いコゴミは誰も採らねえ」と、Fさん。ふうたろうにとっては貴重なおかずなんだもん。


 ありがたいことに、Fさんたち、ふうたろうを乗っけて送ってくれています。富山市の方に住んでいるというので、ふうたろうの行き先と被ります。話もできるし、なおありがたいですね。
 ところで、富山県は米どころ。でも、この広大な麦畑(小麦畑?)は、転作です。米が余っているというのは本当かというと、決してそんなことはない。外米の輸入(ミニマムアクセス米)が70万トンもあるのに、それで減反を押しつけるなんて許せない。それでも麦で農家が食っていけるのならいいけど、輸入麦に国産麦が価格競争で勝てるはずもないだろう…。


 途中で、Fさん運転する車から、Mさんの車に乗り換えました。そこでFさんとはお別れです。富山の山に来れば、またどこかでお会いすることになるでしょうか。
 Mさんは寡黙な人でした。緊張していたのかなあと思ったりもしましたが。でも、仕事のことを話しているときは元気でした。ふうたろうとは逆だなあ。自分の切った木が使われることを想像して、森でがんばっているらしい(二人は木こりです)。
 Mさんに、富山駅前の銭湯の前で下ろしてもらって、お別れしました。さっきFさんには渡せなかった名刺も渡しました。名刺の住所は古いままだけど、使わないよね…?


 銭湯で汗を流した後、メシ屋を探しに出歩きましたが、雨が降ってきました。でも、チェーン店みたいなところに入って満腹にするのは、あらゆる意味で有害なので、ちょっと探しました。すると…
 「桝天」という店の看板がそこら中にあって、「山好きの人いらっしゃい」的なことが書かれていますがな!これは行かなければ全滅ですぞ!!
 …が、16時半ではまだ開店前。鍵はかかっていなかったけど、中は真っ暗(滅
 腹が減りすぎていたので待てず、ミスタードーナツ2個で空腹をしのぎ、その後、腹ごなしに土産物あさりに出かけました。大型店の地下に、爺ちゃんと婆ちゃん二人でやっている乾物屋があって、白エビのめんつゆと煮干し買うだけで30分ほど立ち話しました。
 また、この婆ちゃんが優しいんだ。煮干しでダシを取って孫に食べさせるんだけど、ちゃんと滓を漉しとるんだって。その光景が目に浮かんで、思わず目が潤みました。ふうたろう、煮干しの使い方を教わっておきました。腸を取り、半分に割って、ふやかせばダシが良く出るそうです。


 腹ごなしをもうちょっとしてから行こうと思ってたけど、することがないので、結局桝天に直行しました。
 先客は3人。マスターは年配の親父っさん。奥さんもいます。
 ふうたろうは100リットルのザックを持っているので、もはやアイコンタクト以前ですね。カウンター席に座って、最初に注文したのは(飲み物はあえて除く)カワハギ。カワハギなんか出してくれる居酒屋なんてある?ふつう??しかも、「俺は自分で食って納得したものしか出さねえ!」なんて粋なことを言ってくれるところなんて、今時ないぞう…。だから、出てきたカワハギ、肝も身も、大変美味い。カワハギの肝の刺身なんて生まれて初めて食いましたぞ。


 次に出てきたのは甘エビ。甘エビはちょっと違いがわかりませんが、普通に美味い。
 ところで、この刺身のつまになっている大根、奥さんの手作りだそうで、非常に美味い。なお、マスターが作ったものは認めてもらえないそうです(黒笑


 少し時間をおいて、今度はカジキマグロ。東京の、本マグロやビンチョウマグロ、あってチリ産のサーモンくらいしかないスーパーの状態を思ったら、ありえないくらい素晴らしいですぜ。今日は日曜なので市場も休み。品はこの3品を含めて5~6しかなかったけど、十分ですわ。


 ところで、この桝天の名物は、魚のうまさもそうかもしれませんが、何より、マスターが歌を歌ってくれることでしょうか。ふうたろうが店を出る22時過ぎまで、5~6曲は歌ってくれました。
 マスターの選曲は、演歌ではありません。寧ろ、演歌はあまり歌えないそうです。どちらかというと、歌謡曲や童謡、山の歌など。それでいて、1980年代付近の歌なので、ふうたろうのハートをガッツリ掴みました。
 ふるさと、故郷の廃家、早春賦、しあわせのうた(5番)、あと題名を忘れた曲を2~3曲。
 よく考えたら、山の話はあんまりしなかったな。


 結局17時半に来てから22時過ぎまで4時間半以上、ずっと過ごしていました。マスターはしきりにふうたろうに結婚しなさいと言っていましたが、まあ、それはそれで(笑
 でも、これほど居心地の良い居酒屋は生まれて初めてです。奥さんが山の絵を描いてくれたTシャツを着て魚をさばき、盛りつけをして、歌を披露してくれます。歯に衣着せぬ喋りは、山小屋のようですね。ふうたろうも、そういうところにいられるレベルに、ようやくなったのでしょう。一人で登ってきた山は、決して独りで登っていたわけではなかったということですね。


 夜行バス発車が22時50分。本当にガッツリ楽しんで、無駄なく時間を使えました。
 思えば出発時は罠だらけでどうしたろうかと思ったし、山頂目前でガスった時は(゚Д゚メ)ゴルァになったし、夜中の雨と気分の悪さにはうずくまるしかなかった。でも、山頂で出会い毛勝三山を一緒に撃破した木こりのFさんとMさん、さりげなく優しかった風呂屋のおばちゃん(薬飲んでたところ邪魔しちゃったけど)、料理する姿を想像するだけで優しい雰囲気を感じる乾物屋の婆ちゃん、そして歌と魚の居酒屋マスター(笑)、もちろん、ふうたろうが絶叫しながら駆け抜ける毛勝谷にいた多くの登山者たちも…。
 今年も、こうしてふうたろうの夏が始まろうとしています。
 #139毛勝山クリア。


天気:くもり、小雨ぱらつく(富山県魚津市・下新川郡宇奈月町・富山市、移動中は含まない)

  1. 6月 8th, 2011 at 20:52 | #1

    お疲れ様でした。

    今日も山で木を伐っておりました…
    チャンスがあれば、また富山に遊びに来てくださいね!

  2. みゃーみ
    6月 8th, 2011 at 21:00 | #2

    うーん。よかったよかった。
    ふうたろうの心はきれいだな~と改めて思った。
    あとで地図だして調べてびっくりしようっと。

  3. ふうたろう
    6月 8th, 2011 at 22:45 | #3

    >モリグチさん
     その節はお世話になりました。木こりの仕事、誇り持ってやっていることを、最後の最後に聞けて良かったです。ふうたろうは消費者側になるわけですが、誰が切ったか判る木を、やっぱり使いたいと思います。食べ物も服も、家も、ゲームも、みんな同じですよね、きっと。
     それから、チャンスも何も、富山はまだ行くべき山がありますので、行きますよってに(笑
     そういえば、あの、マンゾクというショップには結局行きそびれましたわ…(汗

  4. ふうたろう
    6月 8th, 2011 at 22:49 | #4

    >みゃーみさん
     …毛勝山、ふうたろうが歩いたところは、今回はそんなに驚くことはないと思います。ちなみに、車で入るのであれば、片貝山荘のところに車を止めて、夏道の西北尾根をピストンすれば、往復10時間ほどで日帰りできるんじゃないですかね。交通手段さえあれば、あの山はきっとランク3ほどの山です。

     ふうたろうの心は新潟の冬のようなものです。9割以上は厚い雲に覆われていますよ。

  5. 6月 9th, 2011 at 19:37 | #5

    厳しい登山口までの移動がさらに大変になったし、予定どーりにいかなかったりですけど毛勝山ゲットおめでとうございます。

    せっかく毛勝三山って呼ばれてるんですから変更になった内容も悪くないですよね。

    自分も毛勝山は三山狙い。 いつ行けるかわかんないけど………

  6. ふうたろう
    6月 10th, 2011 at 00:15 | #6

     祝辞ありがとうございます(笑

     ちなみに、三山を一緒に歩いたお二人は、上り3時間ほどで毛勝山山頂まで来て、三山往復4時間、下りは2時間ほどで、結局9時間で全部歩ききったそうです。Yサー♪さんもがんばって!

     来年には行けますよ。今年はもうそろそろ終わりですね・・・。

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